2009年7月10日-11日

原因不明の死亡 マラウイ、モザンビーク
インフルエンザパンデミック (H1N1)2009 :肥満のリスク因子

● 原因不明の死亡 マラウイ、モザンビーク
PRO/EDR> Undiagnosed fatalities - Malawi, Mozambique: RFI
Archive Number: 20090711.2489
 情報源:Nation Online, Window on Malawi 、2009年7月11日
マラウイとモザンビークの国境を挟む 2つの村 Mtemankhawa (マラウイ) と Datson (モザンビーク) では、2009年5月以降、原因不明の疾患による患者 103人のうち 15人が死亡した。
人口 753人の Mtemankhawa Village は TA Dambe 地方 (Neno) にあり、Datson Village は the area of Chief Tsangano in Mozambique の人口 329人の村である。
マラウイで 8人、モザンビークで 7人が死亡した。
5人が Neno 地区病院に入院中であるが、原因は不明であると衛生当局者が述べた。検体が南アフリカに送付されている。
症状は項部硬直、脱水、発熱、頭痛、関節痛、腹部不快、失声であるが、髄膜炎ではないと述べた。検査結果を待つ間、保健省は抗生物質による治療と塩素配布を行っている。安全でない井戸水の使用があり、厳しい寒さのために何日も水浴ができない状態にあると説明されている。窓のないわらの家に動物と寝食を共にする生活であり、いくつかの原因が考えられるが突き止められていないと述べた。死者の中には Chawe Primary School の 3人など、5人の小児が含まれている。1週間に 3-4人の死亡があり、小麦畑やジャガイモ Irish potato 畑での作業に出られない状態となっている。ほとんどの家庭で患者が発生し、死者の多くは自宅で死亡している。
[Mod.MPP− 髄膜炎が想起されるが、記事の中で髄膜炎は否定されているとある。レプトスピラ症としても、筋肉痛ではなく関節痛であり、主症状である黄疸の記載がない。5月以降、発生率は 9.5% (人口 1082人中患者 103例) で、致死率は 14.6%となる。リスク因子は、水質と衛生状態が悪いことと動物との近接性で、細菌、ウイルス、環境からのトキシンのいずれも除外できない] 
地図1 the Neno district of Malawi
地図2 Tsangano district of Mozambique 

● インフルエンザパンデミック (H1N1)2009 :肥満のリスク因子 
PRO/AH/EDR> Influenza pandemic (H1N1) 2009 (02): obesity risk factor 
Archive Number: 20090711.2482
 情報源:Reuters AlertNet、2009年7月11日
肥満以外に健康上の問題がない人たちが、新型パンデミックインフルエンザ (H1N1)2009ウイルス感染において、重症合併症や死亡の特別なリスクを負っている可能性があることが、10日に米国の研究者から報告された。
このグループは Michigan ミシガン州のある病院に人工呼吸器による治療を必要とするほど重症化した入院患者 10人について報告した。3人が死亡した。10人のうち 9人は肥満症で、7人は高度肥満であり、この中に死亡した 3人のうち 2人が含まれていた。
すでに the Centers for Disease Control and Prevention's  (CDC 米疾病対策センター) の週報で報告されているこの研究で、医師らがタミフル Tamiflu の商品名で販売されている Roche AG's 社製抗ウイルス薬 oseltamivir の、通常の使用量の 2倍量を使用しても安全であったことも示唆されている。CDC の ウイルスの専門家である Dr. Tim Uyeki は、"報告結果から、特に高度肥満の患者ではこのウイルスにより重症合併症が発生する可能性があることが示された" と述べた。これらの患者のうち 5人で肺内に血栓が見つかっているが、このような所見が重症のインフルエンザウイルス感染患者で発生することはこれまで知られていなかったと述べた。
ミシガン大学医学センターの Dr. Lena Napolitano らは、HINI ウイルス感染による severe acute respiratory distress syndrome (重症急性呼吸障害症候群) で集中治療室に入院となった患者 10人について調査を行った。10人の患者のうち 9人が肥満症 (body mass index [BMI] > 30) であり、その中の 7人は高度肥満(BMI>40) であったと報告されている。彼らの研究は、肥満などがインフルエンザの特別なリスク因子となるかを調べる目的で行われたわけではなかった。しかし 10人の患者のうちの 7人までが高度肥満であり、9人にインフルエンザでも見られる多臓器不全、5人に肺内の血栓、6人に腎不全が見つかったことは、研究者らを驚かせた。
H1N1 豚インフルエンザウイルスは 2009年6月にメキシコ で初めて発生し、4月末に米国内での蔓延に気づかれたときにはすでにコントロールできない状態となっていた。6月に WHOはパンデミックを宣言した。現時点では軽症疾患であるが、すべてのインフルエンザウイルスは致死性となる可能性を持ちこのウイルスも例外ではない。世界中で 500人近い死者が発生し、 米国内だけで 200人以上が死亡している。しかも、新型ウイルスは夏季になっても感染拡大が続き、若年者や older children (10代) に被害が広がり、障害される部位も違っているなど、季節性インフルエンザとは少し異なるパターンが見られる。
ヒトの感染がまれな H1N1鳥インフルエンザ同様、タミフルを常用量である 5日間より長く服用することで生存率が高い傾向が見られるようだと Ueki 医師は述べてい る。肥満のある患者に高用量のタミフルを処方する必要があるかは、まだ不明だと述べた。(重症化した) 患者グループに肥満患者がきわめて多かったことに注目していると、CDC のコメントが付された。肥満が新型インフルエンザ A(H1N1)ウイルス感染の重症合併症の独立したリスク因子となるかは、まだ分かっていない。季節性インフルエンザにおいては、肥満が重症合併症のリスク因子とされたことはない。 
[Mod.CP- パンデミック (H1N1)2009 ウイルスが、older children(10代) や若年成人を中心に感染を広げ、比較的軽症ですんでいる一方、上記の報告では肥満がウイルス感染につづく重症合併症のリスク 因子である可能性があると報告されている。肥満が季節性インフルエンザ感染後の重症合併症のリスク因子と認められたことはない。ICU に入院となった高度肥満患者 10人中 9人が、インフルエンザでも見られることもある多臓器不全となり、5人に肺内の血栓が見つかるという一般的ではない特徴が認められた。後遺症なく回復した患者はいなかった。一般人口の間で肥満の割合が高まる中、死者の増加が懸念される] 
[Mod.DK- 患者 10人中9人が男性であったことも興味深い]

● 手足口病 中国
PRO/EDR> Hand, foot & mouth disease - China (10): (SD)
Archive Number: 20090710.2478
 情報源 China View, Xinhua News Agency 7月7日
山東省 eastern China's Shandong Province で先週,新たに小児 1名が手足口病 hand, foot and mouth disease (HFMD) により死亡し,2009年のアウトブレイクで最も深刻な被害が発生している同省の累計死者数が 44人となったと,7日保健当局者述べた ... 

● 麻疹 英国
PRO/EDR> Measles - UK (05): (England)
Archive Number: 20090710.2477
 情報源 BBC News 7月6日
麻疹感染者数 The number of measles cases がほぼ 3倍に増え, the northeast of England においておよそ 20年ぶりの規模の大流行となっている。
2009年のこれまでに 99例が報告されており,5月の最新報告は 37例だった。2008年に報告されたのはわずか 17例だった

● ウイルス性胃腸炎 イタリア
PRO/EDR> Viral gastroenteritis - Italy (03): (BS) final report
Archive Number: 20090710.2476
 投稿者 伊・Istituto Zooprofilattico Sperimentale della Lombardia e dell'Emilia,Prof. Stefano Cinotti 7月10日
Viral gastroenteritis Italy - final report
2009年6月中旬から,北部イタリアの小さな観光地の町 San Felice del Benaco, a small tourist town on Lake Garda, North Italy で,3000人以上が胃腸症状を発症し,400人以上が現地病院を受診した。44件の便や,水道水,湖水,砂,水濾過フィルターなど,138検体の検査で,
1. Clostridium perfringens toxin
2. Norwalk [norovirus] Genotype I and II by real time PCR
3. Enterovirus by PCR and negative staining EM
4. Rotavirus by PCR, negative staining EM and ELISA
5. Astrovirus by PCR and negative staining EM
関連項目 
Viral gastroenteritis - Italy (02): (BS) background 20090627.2336

● 腸管出血性大腸菌 O157 米国
PRO/AH> E. coli O157 - USA (07): refrigerated cookie dough
Archive Number: 20090710.2473
 情報源 FDA 7月9日
The Food and Drug Administration が [9 Jul 2009] ,a Nestle USA manufacturing plant の生のクッキー生地 raw cookie dough から検出された大腸菌 the strain of _E. coli_ [O157:H7] found in a sample collected は,アウトブレイクに関係する菌株 the strain that has been linked to a 30-state outbreak と一致せず,生地の汚染の原因も不明であると発表した 

● 腸チフス フィジー,中国 インドネシアから
PRO/EDR> Typhoid fever update 2009 (01)
Archive Number: 20090710.2472
[1] フィジー Fiji, school (Taveuni)
 情報源 Fiji Times 7月10日
1か月間に,a typhoid outbreak が宣言された the Taveuni Central Indian School の生徒約 20人が入院した。
[2] 中国 China (SAR Hong Kong) ex Indonesia
 情報源 Hong Kong Information Services Department 7月7日
インドネシアからの帰国者の腸チフス感染が増えていることから,香港・保健当局は旅行者らに注意を呼びかけている。
21人が潜伏期間中にインドネシアに滞在しており,15人がスラバヤ Surabaya [Indonesia's 2nd-largest city, and the capital of the province of East Java] に滞在していた。2009年のこれまでに 38例が報告されている。 

● 野兎病 米国
PRO/AH/EDR> Tularemia, feline, canine - USA (SD)
Archive Number: 20090711.2481
 情報源:ArgusLeader.com 、2009年7月9日
スーフォールズ Sioux Falls Animal Control 当局は、スーフォールズ近郊でネコとイヌの野兎病 Tularemia 症例を 5例確認した。"rabbit fever" とも呼ばれるこの病気で 1頭が死亡した。North Cleveland Avenue にある the Cactus Heights Mobile Home Park で飼育されていたペットの検査で判った。げっ歯類やウサギに見つかることが多い細菌による病気で、食欲低下、不機嫌、脱水、口腔潰瘍、体重減少な どの症状が見られる。ペットの飼い主は、ダニ忌避剤の使用やペットのダニに注意することで、(感染から) ペットを守ることができる。 
[Mod.TG− 野兎病 Tularemia の解説; 原因はグラム陰性の non-motile coccobacillus (非動性球菌) である _Francisella tularensis_ (formerly known as Pasteurella tularensis) 感染で、2 subspecies がある:  _F. tularensis tularensis_ (also known as Jellison type A) and _F. tularensis holarctica_ (Jellison type B)。北米のウサギ目の動物に見られる _F. tularensis tularensis_は、ヒトやペットのウサギに対して強い病原性を示す; _F. tularensis holarctica_ の病原性はやや弱く、北米ではビーバー、muskrats、野ネズミ vole、ユーラシアではウサギや小型げっ歯類での感染が見られる]

● ウシ結核 米国、ニュージーランド(2件)
米国
PRO/AH/EDR> Bovine tuberculosis - USA (IN) (09): cervid, bovine 
Archive Number: 20090711.2480
 情報源:Pal-Item.com 、2009年7月9日
bovine tuberculosis (TB 結核) の新たな感染例が the Indiana (インディアナ) Board of Animal Health 当局によって確認されている。当局は今週 [7月6-9日]、Harrison County のシカ農場1ヶ所で red deer のウシ結核検査陽性を確認した。このシカは、北部の Franklin County のシカ農場から購入されたシカで、同郡では5月に第1例の感染が確認されている。

ニュージーランド
PRO/AH/EDR> Bovine tuberculosis, bovine - New Zealand
Archive Number: 20090711.2479
 情報源:Northern Advocate 、2009年7月9日
Northland の酪農用の家畜の,ウシ結核感染のリスクが懸念されている。大規模な家畜の群れで bovine tuberculosis (TB ウシ結核) が発見されたことから、注意が呼びかけられている。この感染が見つかったのはカイタイア Kaitaia で、当局による3年ごとの結核の定期検査中、1頭のウシで確認された。

● 牛ブルセラ症 フィジー
PRO/AH> Bovine brucellosis - Fiji (03): (Viti Levu), positive serology
Archive Number: 20090710.2475
 投稿者 7月10日
Bovine brucellosis - Fiji Islands
主島 the main island of Fiji (Viti Levu) の乳牛の群れの,多数の流産や後産の遅延による子牛の衰弱について,フィジー当局 the Fiji Ministry of Primary Industries が調査した報告では,2009年2月にこのような事例の発生が開始していた。9herds in June 2009 から採取した 2429件の血清検体のブルセラ症 brucellosis 検査で,236件に強い反応が認められた 

● ピーナッツの病気,Black rot 中国
PRO/PL> Black rot, peanut - China: 1st rep (GD)
Archive Number: 20090710.2471
 情報源 British Society for Plant Pathology, New Disease Reports 7月
原著タイトル Cylindrocladium black rot caused by
_Cylindrocladium parasiticum_ newly reported on peanut in China. BSPP
New Disease Reports 2009 (Feb-Aug); 19]
In June and October 2008, disease symptoms on peanut (_Arachis hypogaea_) were observed in several fields in Guangdong Province(広東省).