2009年7月12日-13日

インフルエンザパンデミック (H1N1)2009 ワクチン 
◎ ペスト、野兎病 米国 プレーリードッグ

● インフルエンザパンデミック (H1N1)2009 ワクチン 
PRO/AH/EDR> Influenza pandemic (H1N1) 2009 (03): vaccine 
Archive Number: 20090713.2505
[1] WHO update パンデミック (H1N1)2009 
短信2 : パンデミック(H1N1)2009ワクチンに関する勧告(WHO) 
Pandemic (H1N1) 2009 briefing note 2: WHO recommendations on pandemic (H1N1) 2009 vaccines 
 情報源: World Health Organisation (WHO), Global Alert and Response, EPR、2009年7月13日
2009年7月7日、予防接種に関する専門家戦略諮問グループ the Strategic Advisory Group of Experts (SAGE) はジュネーブ Geneva で臨時会合を開き、the pandemic (H1N1) 2009 に関する議論と、ワクチンに関する勧告を立案した。SAGE はパンデミックの現況、季節性インフルエンザワクチンの生産状況および A(H1N1) ワクチン生産能力の見通しについて総括し、今後のワクチンの選択的使用を検討した。委員らは各国が採用するパンデミックワクチン接種戦略に取り入れるべき 3つの目標があることを確認した  
− 医療システムと国家の重要なインフラ保護  
− 有病率と致死率の減少  
− コミュニティ内のパンデミックウイルス感染伝播抑制 
各国はこれらの目標を達成するためには、様々なワクチン配備計画を策定することができるが、その計画は各国の疫学状況、資源およびワクチンへのアクセスの可能性に配慮し、対象グループへのワクチン接種キャンペーンとワクチン以外の他の緩和対策を実施可能とするものでなければならない。現在のパンデミック の重症度は moderate で、ほとんどの患者に合併症が見られず自然治癒傾向であるが、妊娠女性、喘息患者や、病的肥満 morbid obesity [body mass index (weight/square of height) = 40 plus. - Mod.JW] などの慢性的な負荷のある一部の患者では、重症化や感染による死亡のリスクが高い状況にある。パンデミックウイルスの拡大を阻止することは不可能と見られることから、すべての国にとってワクチンが必要である。SAGE は the pandemic (H1N1) 2009 に対応したワクチン開発に着手した国々が公平性を保持するよう努力することの重要性を強調してきた。以下の勧告が WHO 事務局長あてに提出さ れた  
− すべての国は、必要不可欠な医療インフラの保護のため、医療従事者に最優先に予防接種を行うべきである。初期に利用可能なワクチンの量は限られたものとなるため、段階的な特定グループへのワクチン接種計画を検討するべきである。SAGE は、以下のグループへの配慮を推奨 (suggest) するが、各国固有の状況に基づいて優先順位が決定される必要がある点を注記する; 妊娠女性; 慢性疾患をもつ生後 6ヶ月以上の患者;15-49歳までの健康成人; 健康な小児; 50-64歳までの健康成人; 65歳以上の健康成人。  
− いくつかのパンデミックワクチンの生産には新技術が投入され、特定の人口集団での安全性について十分な評価が行われたことがないため、品質に間違いがないか市販後調査を実施することが非常に重要である。さらに各国間で、免疫原性や市販後の安全性と効果の調査結果を直ちに共有することが、各国のワクチン政策の調整に不可欠となる。  
− 全世界的にはワクチンの利用範囲が制限されること予想され、"drifted (ドリフトした=大きな変化のあった)" ウイルスに対する防御が必要とされることから、SAGE は、oil- in-water adjuvants (アジュバント) 製法のワクチンや、弱毒生インフルエンザワクチンの生産や使用の推進が重要と考える  
− 北半球の 2009-2010インフルエンザシーズン用ワクチン生産はほとんど完了し、パンデミックワクチンの生産への影響はないと考えられる。SAGE は季節性インフルエンザワクチン生産からパンデミックワクチン生産への "switch"(切り替え)を勧告する必要性はないと考える。WHO 事務局長は、現在のパンデミック状況に適合するとの認識から、2009年7月11日に上記の勧告を承認した。新たなエビデンスが得られれば、変更されることがあることも付け加えられた。
SAGE は 1999年に WHO事務局長によりワクチンと予防接種に関する主要諮問委員会として設立された。15人のメンバーで構成され、各委員は各自の能力を活かし、世界中の幅広い分野を代表しており、その中には疫学、公衆衛生、ワクチン学、小児科学、内科 学、感染症学、免疫学、薬物制御学、programme management、予防注射配送、医療行政 (医学管理) 学が含まれる。 
[2] カナダでの報道 Canada Press report
 情報源: The Canadian Press、2009年7月12日
豚インフルエンザワクチンの生産は思いがけない障害に突き当たっている。製薬会社は、鶏卵内でのワクチン株ウイルスの成長ががっくりするほど低いと報告されている。WHO はこれまで、卵を使用したワクチン生産量(the yield 収量)は季節性 H1N1ウイルス用ワクチン製造時の収量の半分かやや低いとしていた。インフルエンザワクチンのほとんどが、卵でウイルスを増殖させている製薬各社に依存している。新たなシード株は、ワクチン生産量増加への期待を込めて作成されていると、WHO のワクチン責任者 Dr. Marie-Paule Kieny が述べている。しかし生産量が伸びなければ、パンデミックワクチンが生産ラインから産出されるまでの時間が遅くなり、さらにカナダなどのワクチンを購入した国々でも国民を守るのにかかる時間が延びることになる。パンデミックワクチンを事前に購入 (発注) しなかった国では、製薬会社が販売量を確保できるまで相当の遅れが生じる。"すべてが計画通り順調に進んだとすれば、ワクチン完成までに長時間を要することを示唆するものは何もない。問題は、価格がいくらになるか?である" と、ミネソタ Minnesota 大学の研究者が述べた。ワクチンを作る魔法はない。問題となるのは、いくらかかり、いつどこで使用できるかである。収量の問題は WHO のスタッフが先週行ったジュネーブに本部を置くこの国際保健機関にワクチンに関するアドバイスを行う専門家委員会の臨時会合でのプレゼンテーションで明らかになった。SAGE と呼ばれるこの委員会は、パンデミックワクチンの使用に関する様々な疑問に 対する WHO からの助言を作成する目的で召集された。利用可能となったときに、どのグループにワクチンを優先的に使用するかや、成分を増強することで限られた供給量でより多くの使用が見込めるアジュバントの使用を WHO が製薬会社に勧告するのか、といった内容が盛り込まれている。... Dr. Wenqing Zhang of the WHO's global influenza program によると、いわゆる野生株ウイルス(現在循環中のウイルスなどの、非修飾ウイルス) を使用するワクチンメーカーは、細胞培養媒体である Vero 細胞での季節性 H1N1ウイルスの培養時と同等の収量を報告している。しかし、この方法でインフルエンザワクチンを製造するメーカーはほとんどない。多くのメーカーは卵を使い、収量増加のチャンスを広げる目的で作成した、再集合やハイブリッドのシード株ウイルスを培養している。これらのシード株ウイルスの製造方法はいくつかあるが、最終産物は、ワクチンが目的とするウイルスの外部遺伝子external genes と、良好な増殖成績が実証されている別のウイルスの内部遺伝子とのハイブリッドウイルス株である。WHO のワクチン計画責任者の発 表では、収量は "less than optimal (最良とはいえない)" とされ、WHO の研究機関のネットワーク内の各施設は、できるかぎり早い新たなワクチンウイルスの製造に取り組んでいることが明らかにされた。今回の発表は収量がワクチン使用の可能性に与える影響を示したものであった。およそ 8億5千万− 9億人分ないし 18億人分のパンデミックワクチンが必要であるとされている。最小限の予測値は、1人当たり 1回の接種で十分な場合の契約した各国の必要量であり; 最大値は 2回接種が必要な場合である。もしもすべての製薬メーカーが有効性が期待できる最低限の用量とし、季節性 H1N1生産と同程度の収量を確保し、各国が 1人1回 接種とした場合、2009年11月中旬までに事前に発注を受けたすべてのワクチンの生産を完了できるだろうと述べた。最善のシナリオのためには、製薬メーカーのすべての生産能力をパンデミックワクチンに注ぎ、南半球の来年度 [2010年] のインフルエンザシーズン用季節性インフルエンザワクチンの生産に一切振り替えないことが必要となる。製薬メーカーが用量を低く抑えず、事前購入した各国がすべての接種者への 2回接種を要求したとすると、富裕国のワクチンメーカーが中−低所得国にワクチン製造にとりかかるのは 2009年4月中旬にずれ込む可能性があるとの見通しを明らかにした。世界のインフル エンザワクチンの生産能力の 90%が季節性インフルエンザワクチンを使用する高所得国に集中している。収量の少ないワクチンウイルス株により、大幅なスケジュールの遅れを生じるだろうと警告した。季節性インフルエンザワクチン生産の半分の収量と仮定すると、single-shot で low-dose regime の場合でもすべての契約発注量の生産を終えるのは 2010年1月中旬になると見られる。発表は low-yield であることによって、 たとえ low-dose shots で生産する場合でも、各国が 2回接種を選択すれば、その全契約の遂行には 2010年6月までかかることを意味するとしている。





● デング熱 スリランカ,インド,ベトナム,ブラジル,メキシコ,
PRO/EDR> Dengue/DHF update 2009 (28)
Archive Number: 20090713.2501
スリランカ
 情報源:China View 、2009年7月6日
スリランカでは、全国の病院から 1万4000人余りのデング熱 Dengue 患者の報告がある中、死者の数が165人に達したと、6日政府情報局が発表した。2008年の年間の患者数 4156人・死者 85人に対して急増していることが明らかになった。デング感染流行急拡大への対策として、衛生当局は、ウイルスを tame す る(抑止する?)キューバ製細菌を輸入した。流行レベルの急上昇により、保健当局は啓蒙活動拡大による蚊族対策を推し進めることになった。家屋周辺の蚊族 を除去する呼びかけが行われ、水たまりを放置して蚊族を繁殖させた者は罰せられる。 
[Mod.TY- The "Cuban bacteria" はおそらく _Bacillus thuringiensis serovar. israelensis_ のことで、殺虫効果のあるトキシンを産生し、mosquito larvacide(ボウフラ駆除薬)として広く使用されている。この微生物も、そのトキシンも、デングウイルスそのものには全く効果がない] 
地図 Sri Lanka 
インド 
[1] 情報源:The Telegraph 
デ ング熱様症状を示す発熱疾患流行の報告を受け、Moreh(Chandel district) に医療チームが派遣された。マニプル Manipur 州の国境にあるこの町はデング流行の記録がある。2007年11月に 8才女児についてムンバイ Munbai の SRL Ranbaxy Lab. で行われた血液検体検査によりデング陽性が確認されている。確定されてから 8日以内に Moreh のデングウイルス流行に対して組織的な対策を発 表した。(今回) デング熱が疑われる感染流行の調査のため、Imphal から Moreh に医療チームが向かったのは 8日のことである。6月19日までに多数の発熱患者とデング熱が疑われる 200人近い患者が政府の病院に入院した。Moreh にデングが再興したかについてはまだ分からないと Moreh への出発前に述べた ... Moreh はインドとミャンマーとの国境にあり、主にビジネス目的の流動人口が大きく、当局は 2007年のデング熱の感染源は 南アジア諸国と見ている。 
[2] 情報源:Times of India、2009年7月10日
Kolkata Municipal Corporation (KMC コルカタ市公団) は、マラリア対策に着手する以前に、市内のデング熱阻止という難問に直面している。2009年はすでに 73例のデング熱が記録されている。45例が感染した、Kankurgachi, Ultadanga and Manicktala などのコルカタ北部で事態は非常に深刻化している。このほか Camac Street, Bhowanipore, Dhakuria, Jodhpur Park and Lake Gardens などが発生地域となっている。
地図 West Bengal showing the location of Kolkata (旧Calcutta)
ベトナム 
[1] 情報源:VNS (Viet Nam News Service) 、2009年7月8日
the Ho Chi Minh (HCM) City Paediatrics Hospital No 1(第1小児病院)のデング熱病棟医師は 2009年6月末以降のデング熱による入院患者が 1日あたり20−30人となっていると述べた。ほとんどの患者は HCM市民で、入院時に重症となっている患者も複数いると述べた。80床の病棟だが、先週は 100人以上の患者の治療を行ったことを明らかにした。 
2009年の上半期に市内で 4000人以上のデング熱患者が発生しており、これは前年 (2008年) 同期比で 80%の増加であった。HCM 市熱帯病病院の小児病棟の医師も、最近数週間の患者数急増を報告している。同院には 5日現在、50人のこどものデング熱患者と、30人の成人患者が入院中である。
[2] 情報源:Thanh Nien News、2009年7月4日
保健省は、まもなく雨期に入りデング熱が再燃する恐れがあると警告している。2009年のこれまでに蚊族が媒介するこの疾患によりすでに 26人が死亡して いる。同省の健康環境予防局長は、南部の多くの県で最近感染率が急騰していると述べた。同氏は雨期にはさらに死者が増える可能性があると警告した。ベトナム国内の 2009年のこれまでの感染者数はおよそ 25700人で、2008年の同期と比べ 25%増加している。that Mekong Delta の住民は、大型のふたのない容器に水をためておく習慣があることがデング熱ウイルスを伝播する蚊族の個体数を増加させていると指摘した。ベトナムでは 4種類のデング熱ウイルス全てが確認されている。2種類以上のデング熱ウイルスに感染することで、診断が困難になると説明した。 南部の発熱疾患 Fever in the southland 
The HCMC [Ho Chi Minh City] Pasteur Institute は 2009年6月21日現在の中南部 Da Nang から Ca Mau までの 20の市と省で 20967例のデング熱患者を報告している。これは 2008年同期比で 23%の増加である。死者 23例のうち、7例は HMC、残りは Mekong Delta 地域での発生であった。一部地域の発生率は 2008年の 3倍となっている。Tien Giang Province では、死者 1名入院患者 900人以上と、異常な数のデング熱患者増加が報告されており、Soc Trang Province in the delta でも、毎週新たに 150人が入院する増加と、上半期の患者数 2380人、死亡した小児 5人が認められている。2008年の死者はわずか 2人であった。HCMC では、上半期の患者が 4649人で、脱水や出血による血液濃縮患者が多数認められている。.... デング熱では発症後症状の悪化が見られることが多く、感染の数日後に発生し、患者は内出血、筋収縮、呼吸困難などを発症する。感染の 2−3日後、患者は平熱に復するが発疹を伴って状態が悪化し、疲労、手足の冷感、clammy skin(肌が湿る)、鼻出血・歯肉出血・吐下血などの症状が認められる。約1週間後には、最悪の場合デングショック症候群に陥ることがあり、適切な治療が行われない場合、内臓障害や死亡に至ることもある。 
[3] 情報源:VietNamNet Bridge、2009年7月3日
保健省は 2日、2009年上半期小児を中心に死者 26人など 2万5000人以上のデング熱患者が記録されている。前年比 25%の増加となっていることを明らかにした。Phu Yen, Binh Dinh, Quang Ngai, Ninh Thuan, Ba Ria, Vung Tau, Can Tho, Hau Giang, Kien Giang and HCM City など、中南部の各省での発生が多くなっている。HCM 市では 6月中旬以降、50-70% の患者増が記録されている。当局者は、気候変動など多因子が患者数増加につながっていると述べた。2000年から 2007年までの期間の患者数は 1980−1989年の患者数の 4倍で、ベトナム人の open tanks に水をためておく習慣が、蚊族繁殖とデング熱感染流行拡大の主要因となっている。 
[Mod.YMA− ... ベトナム国内では 4種類の全てのデング熱ウイルスが確認されていることから、違う血清型のデング熱ウイルスへの重感染の可能性があることは、知っておかねばならない] 
地図 Viet Nam with provinces
ブラジル
[1] リオデジャネイロ Rio de Janeiro 
 情報源:G1 (10 Jul 2009) [in Portuguese]、2009年7月
2009 年のリオデジャネイロ Rio de Janeiro 州内のデング熱患者数は 10424人で、2008年の 246087人から激減した。国民の間にデング熱への免疫が獲得されたが、取り組みは続けられなければならない。保健省によると、同州はブラジル国内で最もデング熱患者数が減少した。州保健当局責任者によると 2009年の1月から6月までの患者数は 10424人で、一方 2008年同期の患者数は 246087人であった。95% の減少となった。Rio 州内で循環するデング熱ウイルスは 2008 年流行時と同じタイプであるため、多くの国民はデング熱に対する免疫を獲得していると、専門家は説明した。蚊族対策も患者数減少に寄与した。... [Mod.LJS- 時々私はこのような保健省からの発表は、無知の結果か、国民をだますための、見せかけの誇大広告ではないかと疑っている。デング熱は発生に波のある疾患で、数年ごとに流行し、それ以外の年は患者数が少なくなる。2009年に Rio de Janeiro で感染流行が起きなかったことは、必ずしも対策のお陰では決してなく、単にいつものような発生の波による可能性が最も高い。これから 2−3年のうちに、新たな流行発生を経験する可能性が極めて高い。これはブラジルだけではなく、デング熱が地方病感染と流行を繰り返すほとんど全ての国々にあてはまることである。市民はもっと正確で正直な情報を求めている] 
[Mod.TY- 建物内のデングウイルスベクターである蚊族の数量化なしに、蚊族対策の効果を語ることを難しい。同様に抗体保有率を示唆するデータもないため、現在循環する型のデングウイルスに対する集団の免疫状態も判らない] 
地図 Brazil showing the location of the states 
[2] バイア Bahia
 情報源:Fonte: A Regiao [in Portuguese]、2009年7月9日
バイア州内のデング熱患者数が減少に転じた。州衛生当局の発表した疫学情報により明らかになった。2009年4月前半から次第に減少し始めている。6月の最終週に、新たに州内で確認されたデング熱症例は 320例であった。4月はじめまでは週あたり 1000人以上の患者が報告されていた。2009年のデング 熱患者数は 93191人に達し、2008年同期に比べおよそ 190% の増加であった。2009年、391市からデング熱患者が報告されている。 Itabuna, Ilheus, Jequie, Porto Seguro, Salvador and Feira Santana からの報告が、デング熱患者の 42%を占めた。これらの都市では DHF 患者についても最多となっている。_Aedes aegypti_ larvae(ネッタイシマカのボウフラ)指数は着実に下降しているとの、良いニュースもある。 Itabuna, Ilheus & Jequie の各地で、ウイルスの蚊族ベクターの繁殖箇所は50%減少している。2009年、デング熱により 56人が死亡した。
メキシコ(ハリスコ)
 情報源:Informador.com.mx [in Spanish]、2009年7月9日。 
Tonala でデング熱感染流行が発生している。デングウイルスが 1型か 3型か判っていない。市内で 17例の古典的デング熱患者が確認され、ほかに調査中の患者があ る。the Guadalajara Metropolitan Zone の中では 2009年初のデング熱発生都市となった。全患者は 6月第2週以降に Altamira に隣接する Tonala 市で発生しているが、最近ハリスコ州内で確認されていたデングウイルスのうち、1型か3型かは判明していない。6月21−27日までの疫学第 25週の、州内で発生した新たなデング熱患者は 28例で、DHF(デング出血熱)の症例は 1例のみであった。2009年のこれまでに the unit(州内?) で確認されているデング熱患者は古典的デング熱患者 157例、DHF患者 15例の合計 172例である。 
[Mod.TY- メキシコ第2の都市とその周囲の衛星都市を擁する the greater Guadalajara area の人口は 400万人で、デングウイルス伝播を維持するのに十分な数のネッタイシマカが存在するなら、深刻なアウトブレイクが続く可能性のある人口であることが懸念される] 


● 麻疹 ニュージーランド
PRO/EDR> Measles - New Zealand (05) 
Archive Number: 20090712.2498
 情報源:TelstraClear、2009年7月11日
クライストチャーチ Christchurch の衛生当局は、予防接種を受けていた 6人が麻疹 Measles に感染したことから、麻疹ワクチンの品質に問題がなかったかについての原因調査を開始した。The Canterbury District Health Board はこれまでに 15例の麻疹確定診断例と 6例の可能性例を確認している。患者の多くは、ワクチンを受けたことがない 11−16才の若年者であったが、6人はワクチンを接種されていた。Medical Officer of Health(医師)はこの点を憂慮し、the DHB [District Health board] は患者らに接種されたワクチンの種類を確認している。特定の batch か、もしくはワクチンの一部の取り扱いに問題があった可能性があると述べた。同医師は Canterbury の保護者らに対して、麻疹は非常に感染力が強いことから、幼児への麻疹ワクチン接種を急ぐよう呼びかけた。生後 15ヶ月まで 1回目のワクチンを受けられない乳幼児は特に心配されており、麻疹に感染すると合併症を伴うリスクが高い。(小さいこどもたちの)周りの人々がワクチンを受けることが最も良い方法と説明されている。3種混合の麻疹・ムンプス・風疹ワクチンは 95%の人に有効で、終生免疫が維持できる。




● ウシ流行熱 イスラエル
PRO/AH/EDR> Ephemeral fever, bovine - Israel: southwest, susp.
Archive Number: 20090713.2502
 情報源: Hachaklait web-site [in Hebrew]、2009年7月13日
11日以降、酪農家から bovine ephemeral fever (BEF ウシ流行熱) 感染流行が疑われるとの報告が届いている。the southern coast and the western Shfella で発生しており、臨床症状はミルク生産量の低下、歩行困難、流涎、背側の皮下気腫、呼吸困難、高熱、横臥などである。NSAIDs [Non-steroidal anti-inflammatory drugs 非ステロイド性抗炎症薬] による治療が勧められている。昨年発生した BEF の件数は 2004件で、2004年と同じく6月末という早い時期に発生した。

● トウモロコシの病気,細菌性疾患 米国
PRO/PL> Bacterial diseases, maize, sorghum - USA: (NE)
Archive Number: 20090713.2500
 情報源:The Grant Tribune Sentinel、2009年7月12日
南西部ネブラスカ Nebraska 州からの検体で Goss's bacterial wilt and blight が、the UNL [University of Nebraska-Lincoln] において行われた検査で確認された。昨年 (2008年)、20年ぶりに州全域でこの疾患が確認された。大量の菌が越冬したため 2009年に増加すると見込まれている。さらに最近の厳しい天候によるコーンへのダメージも、疾患発生の一因になると考えられる。

● 口蹄疫 イスラエル
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease, ovine - Israel: Northern District, RFI
Archive Number: 20090713.2499
 情報源:Hackalait web-site [in Hebrew]、2009年7月13日
6 日、Deir-el-Asad 村のヒツジの群れで、臨床的に foot and mouth disease (FMD 口蹄疫) の感染が疑われる症例の発生について報告された。国立 FMD 研究所に送付された検体で FMD ウイルスが確認された。周囲に制限区域が設けられ、臨時のワクチン接種活動が開始した。

● White nose syndrome 米国
 PRO/AH/EDR> White nose syndrome, bats - USA (13): 20090712.2495
 情報源:Daily Record、2009年7月7日 
the Hibernia Mine(鉱山)内の 3万頭のコウモリの 90%以上が死亡した。北東部全域で個体数を減少させている原因不明の疾患が懸念されている最中の出来事である。 8日に報告を受けた米議会当局は white-nose syndrome (WNS) の全容解明に乗り出す。原因不明のこの病気は、翼を持つほ乳類が身体に蓄えていた脂肪を減らし最終的に死に至らしめる。コウモリの鼻の部分に白色で粉状の真菌が生える様子からこの病名がついた。この自然界の災害を防止するためあらゆる努力が払うことを約束すると、議員の1人が声明の中で明らかにした。2006年、ニューヨーク New York で初めて発見された WNS は 2009年1月には NJ州でも Rockaway Townshipと Denville の brown bats が保護されて検査が行われた結果、発生が確認された。Rockaway Township はコウモリの冬眠する場所として知られている the Hibernia Mine にある。

◎ ペスト、野兎病 米国 プレーリードッグ

PRO/AH/EDR> Plague, tularemia, prairie dogs - USA (SD): 20090712.2494
 情報源: National Park Traverl.com、2009年7月11日
当局は、Badlands National Park バッドランズ国立公園において、森林型のペスト Plague 及び野兎病 tularemia の発生を確認した。公園内のプレーリードッグ prairie dogs とクロアシイタチ black-footed ferrets にとって悪い知らせとなったが、常識的な注意を守れば観光客には問題とならない。サウスダコタ South Dakota 州で 2004年に初めて確認された森林型ペストは、2008年には Badlands National Park の南隣にある the Conata Basin(盆地)のプレーリードッグでも感染が発生した。感染した動物から健康な動物(時にヒト)への感染伝播はノミによって起きるため、当局は約 11000エーカーの公園内のプレーリードッグの群れに対して、殺虫剤によるノミ駆除対策を指示した。さらにクロアシイタチは捕獲されたうえでワクチン接種が行われている。この対策がプレーリードッグだけでなく園内の絶滅危惧種であるクロアシイタチの保護にも役立てることが熱望されている。公園内の the Sage Creek Wilderness Area のプレーリードッグの群れで森林型ペストによる死亡が発生していることが、野生動物生物学者により確認されている。またプレーリードッグの群れの1つで、野兎病 Tularemia (rabbit fever) の発生も確認されている。いずれの疾患によってもプレーリードッグは感染して死亡する可能性があり、公園内の個体数が減少し恐らくクロアシイタチの復活に払われた多大な努力が帳消しになる。米国内のペストや野兎病の感染者は少ないが、他者に感染伝播する可能性があり潜在的に危険と考えられている。公園当局から観光客らへの感染を最小限とするためのアドバイス; 
 − ダニや刺咬、キズ、尿に汚染された水、感染性エアロゾルの吸入により、ヒトに感染伝播する可能性のある危険な疾患に注意すること 
 − 衣服や皮膚に DEET を使用し、ノミやダニから身を守る 
 − 公園内の、病気の動物や死体を触らない 
 − 病気を運んでいる可能性のあるノミとの接触のあるプレーリードッグの中に、ペットを放さない 
 − ペストや野兎病に感染したことが疑われる時には医師に相談する 
[Mod.TG- これらは地リスなどのげっ歯類が運ぶ主に米国西部に発生する疾患である。"Sylvatic(森林型)" の意味は、森林地帯に常在することを意味した言葉である。ヒトへの感染宿主となる野生の齧歯類が感染伝播する。米国西部ではプレーリードッグ、地リ ス、その他の小型陸上げっ歯類によって運ばれることが多い。どの地域でも発生する可能性があるが、西部に多い。
ペストは non-motile, facultatively intracellular, Gram negative rod(非動性_細胞内要求性グラム陰性桿菌)で、_Enterobacteriaceae_ 腸内細菌科のYersinia pestis_ の感染による疾患である。齧歯類またはヒトの間での感染伝播は、感染性のノミの刺咬により生じる。主に the oriental rat flea (_Xenopsylla Cheopis_) など、数種類のげっ歯類のノミをベクターとする。米国では _Oropsylla Montana_ が多い。ヒトノミHuman fleas (_Pulex irritans)_ も _Y. pestis_ を伝播することがある。感染動物の組織や体液中にもペスト菌が存在する;これらの細菌は粘膜やキズを通じて直接伝播される。肺ペストのヒトや動物由来のエアロゾルは感染性を持ち、動物に咬まれることで感染する場合もある。肉食動物は感染した齧歯類の摂食により感染することが多い。プレーリードッグはペストと野兎病の鋭敏な指標と考えられている。
野兎病はグラム陰性、非動性球桿菌(coccobacillus) の _Francisella tularensis_(旧名 _Pasteurella tularensis_ 野兎病菌) の感染による疾患で、2つの亜型; _F. tularensis tularensis_ (別名 Jellison type A) および _F. tularensis holarctica_ (Jellison type B) が存在する。_F. tularensis tularensis_ は北米のウサギ目に感染しヒトとペットのウサギに高い病原性を示す; _F. tularensis holarctica_ はやや病原性が弱く、北米ではビーバー、muskrats、voles ハタネズミ 、ユーラシアではウサギや小型齧歯類に感染する。_F. tularensis_ は摂食、吸入、節足動物の媒介、キズや粘膜との直接の接触などの伝播経路をもつ。感染動物の血中や組織中に病原体が存在し、食品中や水中などで長期間生存可能である。水生動物も水の汚染に曝露して野兎病を発症することがある。肉食性のものでは感染した死体の摂食から感染する場合がある。 _F. tularensis tularensis_ のベクターとしては、ダニ (_Dermacentor andersoni_, _D. variabilis_ and _Amblyomma americanum_など) や、(deerfliesなどの)アブの刺咬などがある。_F. tularensis holarctica_ もロシアでは蚊族が伝播する。動物の咬傷による感染拡大はまれである。自然界や節足動物のベクター内において、_F. tularensis_ は長期間生存可能である。固有のアブは 2週間、ダニは一生この病原体を保有する。 感染動物の死体や皮、穀物の籾やわら・水・土壌・南京虫などの媒介物で、数週間からときに数ヶ月間にわたり、生きた細菌が確認される。冷凍に高度の抵抗性 を示す;3年間 −15℃に冷凍保存されたウサギ肉で生菌が確認されたことがある]