2009年7月14日

皮膚炎 韓国、泥祭り 原因不明

● 皮膚炎 韓国、泥祭り
PRO/EDR> Dermatitis, mud festival - S. Korea: (GN), undiagnosed 20090714.2511
[1] 泥祭りに参観した子供らで、皮膚炎の集団発生
 情報源:: CourierMail、2009年7月14日
韓国で行われた the Boryeong Mud Festival の開幕前のイベントに参加した数百人が、皮膚疾患のため病院に運ばれた。韓国の都市でのイベントに参加した 1500人のうちの 200人 が、泥浴 mud baths を行ったあとの皮膚の炎症に苦しんでいる。同じ小学校の生徒約 50人が皮膚炎症状を訴えた例もある。米軍兵士 GIなどの外国人観光客も大勢発病 している。Daecheon Stream 河畔で行われる The Boryeong Mud Festival は、国際的なイベントとなり世界中から観光客が集まる。この町の父母らは、水田としての用途ではなく、観光の目玉としての泥がより経済活性化につながることに気づいた。そこで泥浴び、泥の滑り台、どろんこレスリングや泥の監獄からの脱出などの競技のための場所を設営した。このイベント による経済効果は、水路沿いの多数のホテルやレストランに波及している。泥まみれとなる市内での飛び入り参加自由の祭りは今年(2009年)は 11日から 19日まで行われている。
[2] 約230人の小児に皮膚炎が発生したが、原因は不明のままである
 情報源: Korea Times、2009年7月12日
... 4−5日に行われた the Boryeong Mud Festival のプレイベントに参加した約230人の小児が皮膚炎を起こしたが、今も原因は分かっていない。... ほとんどが遠足で来た小学生である子供らは、掻痒、発疹などの症状があり、今も治療を受けている。..
[Mod.LL- このような例の報告はないが、2002年西オーストラリア州の mud football game の参加者 100人のうち 26人に _Aeromonas hydrophila_ による皮膚感染症の集団発生が起きている。近くの川からの水で水浸しとなった競技場で、河川からもこの病原体が検出されている。泥に関連する皮膚感染の集団発生としてはもう1件だけ報告があり、_Enterobacter_ や _Citrobacter_ などの Enterobacteriaceae 腸内細菌が、どろんこレスリングのあと膿胞性皮膚炎を起こした大学生から分離された。著者はこの事例を _dermatitis palaestrae limosae_ (dermatitis of muddy wrestling) と呼んでいる。今回の集団発生の原因菌もグラム陰性桿菌によるものと考えられる。類鼻疽 Melioidosis (_Burkholderia pseudomallei_ による全身感染) は、東南アジアとオーストラリア北部の風土病であるが、2005年の初めの患者まで韓国では報告されたことが なく、皮膚症状のある患者の集団発生の原因となることはない。そのほか、自転車競技のレース中の campylobacteriosis や、3人の患者全員に泥との関連性が認められた音楽祭での病原大腸菌 O157 感染などがある。最後に、正式に mud fever と呼ばれる感染症があり、ウマの過敏性と下肢の皮膚症状を発症する。典型的には _Dermatophilus congolensis_ と  _Staphylococcus_ spp. による複数の細菌の混合感染であるが、真菌による場合もある。Photosensitization 光線過敏症, chorioptic mange mites(ダニの一種), contact dermatitis(接触性皮膚炎)などの原因も考えられる。このような症状は scratches や dew poisoning と呼ばれることが多いが、pastern dermatitis, grease heel, or greasy heel などとも表現される]
地図 Boryeong :韓国の South Chungcheong Province にあり、Daecheon Beach などのビーチがあることで知られ、毎年7月に行われる Boryeong Mud Festival が有名で、市内のビーチの泥は美容効果あると喧伝されている

● サルモネラ感染症,serotype enteritidis ブルガリア
PRO/EDR> Salmonellosis, serotype enteritidis - Bulgaria: (PZ), mayonnaise 
Archive Number: 20090714.2513
情報源:Sofia Echo、2009年7月14日
Pazardzhik の微生物研究所が、地域内のアラブ人の経営する schwarma fast food 店で 22人の患者が発生した原因は _Salmonella [enterica_ serotype] enteritidis であることを突き止めたと報道された。当初 19人が救急室を受診し、その後も 3歳児を含む 3人が診察を受けた。パザルジクの The Ali Baba fast food outlet が問題発生の原因であり、患者 22人のうちの 11人はすでに帰宅し、入院患者の病状も安定していると医師は説明した。
マヨネーズを作るのに使われた卵からサルモネラ菌が検出され、食中毒の原因となったと述べた。この店は 2009年初から 4回の監査を受けていたことも明らかになった。12日 に行われた最新の調査で、衛生状態が inadequate  と考えられるため改善が必要との文書が手渡されており、前回 3月の調査ではマヨネーズに鶏卵パウダーのみを使用するよう指示されていたが、オーナーはこれを守っていなかった。

● 麻疹 ニュージーランド
PRO/EDR> Measles - New Zealand (06): alert 20090714.2512
 投稿者:NZ・Dr Cheryl Brunton、2009年7月14日
20090712.2498 に関して
the Christchurch outbreak で 16例が血清学的に麻疹 Measles と確定診断され、8人が検査結果待ちとなっている。2組の同胞を含む 14人が同じ男子高校の生徒で、3人は同じクラスであった。ほかの患者の間には、地理的な関連性は見いだされていない。現在、ニュージーランドは 2期目の冬休みで、多くの家庭が町の外への旅行を計画している。このため、他のニュージーランド国内の公衆衛生当局に注意喚起を呼びかけると共に、ニュージーランドの休暇の人気の渡航先がフィジーを中心とした the Pacific Islands であるため、PacNet にも情報を流している。26人中 21人が男子で、生後 9ヶ月から 22才までであるが、ほとんどが 11−16才であった。14人は一度も麻疹ワクチンを接種されたことがなく、2人は部分接種にとどまっていたが、7人は完全に接種を受けていた。予防接種を完遂していた 7人のうち、2人は血清学的に確定診断されており、4人は検査結果を待っている。1人は検査を拒否している。(以前に受けたワクチンについて)ワクチン接 種日に共通点は見いだされておらず、4種類の別々の batch の MMRワクチンが同定されている。患者のうち 3人には同じ batchのワクチンが使用されていたが、そのうち 2人は同胞であった。

● ペスト ウガンダ 2008
PRO/AH/EDR> Plague - Uganda: (AW, NE), 2008: RFI 20090714.2509
 情報源:The Monitor & AllAfrica 、2009年7月13日
Arua District のコミュニティで、2008年に 17人が死亡した致死性の腺ペスト Plague アウトブレイクに対し高度の注意喚起が呼びかけられている。保健省は、現地衛生チームと共同でこの死亡する可能性のある疾患の原因、症状、予防に関する啓蒙活動を行っている。... 2009年、同地区で新たな感染例は報告されていないと、衛生当局の医師が答えた。2008年の Arua health office の統計によると、73人の患者と 17人の死者が報告され、2年間で最も多い数字となっており、29人の患者が腺ペストであることが確認されている。ペストの感染発生地域である Vurra および Logiri では啓蒙キャンペーンが行われている。しかし、Logiri と隣り合っていて(対象から)除外されるべきではないネッビ Nebbi の Kango Sub-county は、今も活動範囲から除かれている。歴史的に腺ペストはコンゴ民主共和国の、特に Aru や Ariwara からの患者に由来すると報告されている。同じくペストに感染することもあるネコなどのペットを飼う住民らへの教育が図られている。ネコは感染すると発病し、世話をしたり触ったりするヒトを直接 感染させる。
[Mod.LL− 20081104.3474 の、"2008年2月以降 68人が死亡した" と合わない]

● 口蹄疫 イスラエル、パレスチナ自治区
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - Israel, Palestinian Authority: serotype A 
20090714.2510
[1] イスラエル, serotype A
 情報源: Israeli Veterinary Services web-site -- Publications and Reports、2009年7月13日
感染開始時期 2009年2月1日
原因ウイルス FMDV Serotype: A
流行の詳細
[2] Palestinian Authority (西岸 West Bank) and Israel, Pirbright results
  情報源: World Reference Laboratory for FMD (WRLFMD, Pirbright, UK): Molecular Epidemiology (ME) report, 2009, accessed 14 Jul 2009、2009年7月14日

● ウシ結核 米国 シカ科、ウシ
PRO/AH/EDR> Bovine tuberculosis - USA (10): (IN) cervid, bovine 20090714.2508
 投稿者:米・University of Tennessee、Graham J. Hickling, PhD、2009年7月13日
(20090711.2480 のモデレータ注にある以下の文について)
アイオワ Iowa 大学のファクトシートからの引用で、一部の報告者とは誰を指すのかに興味が持たれる。ミシガン Michigan 州でのアウトブレイクの歴史では、事実は全く逆であり、最初からシカ科の動物が感染しウシへ波及したと考えられている。それから 15年後、シカの間で安定した永続的感染サイクルが存在することが明らかになっている。一方、ウシや他の野生動物からシカへの感染伝播が発生し、この感染サイクルを維持していることを支持する、信頼しうる証拠はない。

● 東部ウマ脳炎 米国 ウマ
PRO/AH/EDR> Eastern equine encephalitis, equine - USA (05): (MO, VA) 20090714.2507
[1] 1頭のウマの EEE感染確認
 情報源: Meridian Star、2009年7月9日
Wayne county [Missouri ミズーリ州] のウマ1頭が、蚊族によって感染伝播されるウイルスによる東部ウマ脳炎 Eastern equine encephalitis 感染と診断された。CDC によると蚊族によってヒトにも感染することがあり、このウイルスの感染で脳炎、昏睡や死に至ることもあるという。このウイルスによるヒトでの致死率はおよそ 1/3である。CDC のウェブサイトの情報では、蚊族の刺咬を避けることでこのウイルスの感染を免れることができると述べられている。EPA 認可の忌避剤、身体を守る衣服の着用、蚊族の活動する時間のアウトドア活動の中止、蚊族繁殖の場となる水たまりの撤去などの方法がある。獣医学病院の医師は、ウイルス感染と診断されたウマは死亡したと述べた。脳炎がウマからヒトに感染することはない。このウイルスは、鳥類から蚊族に、そして蚊族からウマやヒトに感染する。ウマが感染してもヒトへの影響はないが、感染性の蚊族がいることの目印でもある。ウマのそばにいても脳炎になるリスクは変わらないが、周りに蚊がいる場合、脳炎のリスクは増大する。
[2] 州内で EEEのウマ 1頭が確認されたが、WNV 感染は確認されていない
 情報源: The Horse.com 、2009年7月13日
バージニア Virginia 州で、2009年初のウマの eastern equine encephalitis (EEE 東部ウマ脳炎) 感染例を、州農業消費者局が確認した。チェサピーク Chesapeake 産の 2才のメスの draft cross であるこのウマは、10日 EEE陽性と診断された。3日に重症を理由に安楽死させられた。昨年 (2008年) は州内でただ1頭の感染例が 9月に報告されている。州内のウエストナイルウイルス感染は報告されていない。