2009年7月16日

インフルエンザパンデミック (H1N1)2009 ワクチン 皮内接種

● インフルエンザパンデミック (H1N1)2009
PRO/AH> Influenza pandemic (H1N1) 2009 (05): vaccine
Archive Number:  20090716.2540
 投稿者:フィリピン・One Health advocate/EID consultant、Noel Miranda、2009年7月15日
20090713.2505 の "ワクチンの使用可能な量は当初不十分であると考えられるため、特定のグループから段階的に接種する方法を検討しなければならない”とした点について 
("As vaccines available initially will not be sufficient, a step-wise approach to vaccinate particular groups may be considered." )
pandemic H1N1 2009 vaccines の供給不足を心配するのであれば、WHO の推奨する筋注に使用される量の 1/5から 1/10の量の皮内注について読んでみるのがよい。この危機的状況において経済は非常に重要である。安全性の問題でアジュバントの使用に疑問があるなら、アジュバントなしのパンデミックインフルエンザ ワクチンの皮内注射について議論し、真剣に検討すべきであり、WHO は直ちにすべきである。
インフルエンザワクチンの皮内注射を支持する秀逸な研究報告  
"インフルエンザワクチンの皮内注射による、薬量の節約(Dose sparing with intradermal injection of influenza vaccine.) Kenney RT, Frech SA, Muenz LR, Villar CP, Glenn GM. N Engl J Med. 2004 Nov 25;351(22):2295-301."。
90年代はじめから狂犬病ワクチンの皮内注射する先進的試みの個人的経験を披露したい。この方法は、タイで 1984年、フィリピンでは1993年からそれぞれ、標準的接種法 the routine regimen として確立されており、数百万人の患者に対して the standard full-course regimen(標準的な全量接種法)と比較し 最大60-80%の薬用量を節約して接種されている。この節約によってより多くの患者が接種する機会を与えられるという利点が生まれている。WHO の狂犬病専門家委員会は、1991年以降、狂犬病の曝露後接種として、この皮内注射法 the ID regimen の使用を推奨している。狂犬病での経験をふまえ、インフルエンザを含む他のワクチンも、同じ理論でテストされてきた。免疫源 immunogenと関係なく、the immunological principles/bases (免疫学的理論)は変わらない。 
参考文献 12件

● 旋毛虫症 ロシア
PRO/AH/EDR> Trichinellosis, dog meat, human - Russia: (ZB) 20090716.2539
 情報源:Broadcasting company: "Chita" [trans.]、2009年7月16日
Chita [2008年以降、Zabaykalsky Krai と呼ばれている] で、野良犬の肉を食べた 5人が旋毛虫症 Trichinellosis を発症した。2009年、チタ地方では 9人の患者が報告されている。すべてイヌの肉が感染の原因であった。 
[Corr.BA− 2008年6月 Tungokochen village の住民 14人と Chitaの住民 12人が、イノシシ肉を摂食後に旋毛虫症で入院した] 
[Mod.EP− 2005年、ブリヤート Buryatiya (Russia) でもイヌ肉摂取による旋毛虫症のアウトブレイクが報告されている (20050407.1010)。ロシアからは頻繁に報告があるが、ヒトの感染で多いのはイノシシやブタの肉である] 

● 麻疹 英国
PRO/EDR> Measles - UK (06): (England) 20090716.2535
 情報源:Northumberland Gazette 、2009年7月15日
2009年に the North East [of England] で麻疹 Measles 感染と診断されたこどもの数が 100人を超えたことが、15日に健康保護局 HPA から発表された。the North East では 2009年1月からこれまでに 10人の確定例が報告されている。ほか 100人以上の感染疑い例の調査が行われている。およそ 20年ぶりとなる大規模な麻疹感染流行発生により患者数が増え続ける中、HPA 当局は予防接種を完了していない小児はこの重症化する恐れのある疾患に感染する可能性があることを改めて警告している。
[Mod.CP- イングランド北東部で MMR ワクチンのカバー率を現在の 86%から目標の 95%に引き上げて、コミュニティの麻疹感染伝播を阻止する試みにはほとんど進歩が見られない] 
地図 the counties of England showing Northumberland in the north east of the country

● 鳥インフルエンザ、ヒト 中国 [7月17日に訂正あり]
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (105): China (HN, GX) 20090716.2534
 情報源:eGovMonitor, The Government of China report 、2009年7月15日
中国で 2人目の H5N1鳥インフルエンザによる死者が発生していたことが、2009年7月判明した。木曜 [9日?]、衛生省が Guangxi Zhuang Autonomous Region 広西チワン自治区の男性 1名の死亡を確認した。Nanning City [南寧] のこの 41歳の男性は、2月12日に発熱と頭痛を発症し、同月 20日に救命治療もむなしく死亡した。男性の H5N1検査が陽性であったことを、中国CDCが公表した。2009年2月18日、衛生省は中央部・湖南 Hunan 省の 22歳男性1名の H5N1検査が陽性であったことを確認した。この男性は1月24日に死亡していた。 
地図 the provinces of China showing Hunan and the Guangxi Zhuang Autonomous Region in the south 

● ランピースキン病 ナミビア
PRO/AH/EDR> Lumpy skin disease, bovine - Namibia (03): northern 20090716.2538 
 情報源:Bloomberg 、2009年7月15日
2月と3月にナミビア北部に壊滅的被害をもたらせた洪水により食料品の価格は高騰し、動物の疾患が増加していると、the United Nations' Food and Agriculture Organization [FAO 国連食糧農業機関] が述べた。島に取り残されたままのウシおよそ 6000頭は、毎日のようにクロコダイルのエサとなっていると報告した。この洪水によって、ウシの lumpy skin disease [LSD ランピースキン病] の "unprecedented(かつてない規模の)" 感染流行が発生し、例年平均200例程度のところ、6876頭が感染したと報告されている。LSD は子牛の高死亡率、妊孕能や draught power(哺乳力?) の低下、商品価値の下落を招くと報告で述べられている。
[Mod.AS− LSD  ("neethling" or "knopvelsiekte") は、ベクターを介したウシの capripoxvirus 感染症で、節足動物ベクターによる機械的な伝播が主な感染経路である。ウイルスの種類と、宿主の種によって重症度は異なる。_Bos taurus_ (欧州の乳用牛など)は _Bos indicus_ (肉用牛 Zebu) に比べて臨床症状が出やすい;  the Asian buffalo も感染しやすいと報告されている。ワクチンによって予防可能であり、ナミビア北部での感染拡大の持続はワクチン接種によるカバーが不足していることを表 している] 
関連項目 20080131.0388

● 牛ブルセラ症 フィジー
PRO/AH/EDR> Bovine brucellosis - Fiji (05): (Viti Levu ) positive serology 20090716.2533 
 情報源:Fiji Broadcasting Corporation LTD、2009年7月16日
農業省は the West の 4農場においてもブルセラ症 Bovine brucellosis 検査の陽性となったことを確認した。初期の調査でアウトブレイクは Wainivesi および Waimaro (Tailevu) に限局しており、4000頭のウシが検査されて 341頭の処分が行われたが、the Western Division にもブルセラ症は拡大していた。Nadi, Sigatoka, and Tavua の農場から感染例が報告されており、Rakiraki の検査結果はまだ出ていない。感染源については現在調査中のままだが、Tailevu から 広がった可能性があると農業省当局者が述べた。 
[Mod.JW− Tailevu からアウトブレイクが始まったとされているが、発端ではどのようにして感染が始まったのか]

● バナナの病気,原因不明 マレーシア
PRO/PL> Undiagnosed disease, banana - Malaysia: (ME, JH) RFI 20090716.2532 
 情報源:Malaysian National News Agency (Bernama)、2009年7月15日
the Jasin district [of Melaka ムラカ State] のバナナの生産量が、6月上旬以降、実が黒くなるまれな病気の被害を受け、栽培農家は生産量の低下に苦慮している。
[Mod.DHA− バナナはマレーシアの最も重要な果物で、生産されるバナナはほとんどが国内で消費されている。多くの農家は小規模で、疾患管理の訓練を受けていないことで、国内生産量が伸び悩んでいる。最近ではパナマ病 panama disease を中心としたバナナの病気が増えていることがマレーシアから報告されている]

● 炭疽 アルゼンチン
PRO/AH/EDR> Anthrax, bovine - Argentina (04): (BA), abortion 20090716.2531
 投稿者:アルゼンチン・Dr. Ramon Noseda 、2009年7月15日
2009年6月25日、the Partido de Tres Arroyos の英国産の 75頭のウシの群れをもつ放牧場の 1頭が流産した。獣医師が提出した流産内容から炭疽菌 _B. anthracis_ が培養され、マウスに注射したところ 28時間後に死亡したことから、病原体と病原性が同定された。ウシ自体は流産から 48時間後に死亡した。ウシの metacarpus [中手骨:アルゼンチンでは標準的に提出される組織部位] から B. anhracis_ が検出された。炭疽菌の菌血症が流産の原因と考えている。この放牧場ではこれまでに炭疽菌が確認されたことはない。しかし 60日前に家畜にはワクチンが接種されていた。現在冬期であり、初霜が降りた。雨も降っている。感染した死体の処理が適切に行われるかが問題である。
[Mod.MHJ- 炭疽の感染例(発症例)で流産が起きたことを見た(聞いた)のは初めてである。理論的には発病と流産が同時に発生することもあるが、おそらく通常 は、炭疽の超急性の経過から流産が終わる前に死亡してしまう。私が間違っていれば(見逃していたなら)、他のメンバーが訂正するかも知れない]