2009年7月4日-5日

パラインフルエンザウイルス カナダ,新生児
インフルエンザ A(H1N1) フェレットの感染実験 Science

● パラインフルエンザウイルス カナダ
PRO/EDR> Parainfluenza virus type 3 - Canada: (ON) neonates 
Archive Number: 20090705.2413
 情報源:The Hamilton Spectator 、2009年7月3日
ハミルトン Hamilton の衛生当局者は,McMaster hospital の新生児集中治療室 neonatal intensive care unit NICU で 3人の新生児が呼吸器ウイルスに感染したため、アウトブレイクを宣言した。早産児らが感染したのはパラインフルエンザウイルス parainfluenza type 3 であることが確認された。
このウイルスは咳と発熱などの呼吸器症状を伴う季節性のウイルスである。その後新たな感染例は発生していない。44人の新生児がいるこの NICU は、見舞客や入院患者の受け入れを継続し、感染した 3人の新生児は隔離して注意深く監視されている。いずれの新生児も回復した。H1N1 豚インフルエンザウイルスとは関係ない。parainfluenza type 3 virus は季節性インフルエンザウイルスほどの危険性はないが、早産児にとってはリスクがもたらされる。春から夏の季節に新生児によく見られるウイルス感染で、多くの場合は治療を必要としない。
[Mod.CP- parainfluenza virus の初めての確認は、1952年の日本で発見された Sendai virus (parainfluenza virus type 1) で、1955年には急性喉頭気管気管支炎(クループcroup) の小児から type 2 が、1985年には気道感染の小児から type 3 が分離され、type 4 は 1960年に軽症の気道感染の小児から分離された。基本的に乳幼児の感染症で、上気道感染や下気道感染をおこす。発熱を伴う普通感冒、クループ、気管 支炎、肺炎などである。成人でも市中気道感染症の原因となり、重症度も様々である。Human parainfluenza virus type 3 HPIV-3 は、新生児や乳幼児の肺炎および細気管支炎の respiratory syncytial virus(RS ウイルス)に次いで多い原因ウイルスである。毎年 HPIV-3 の感染流行が主に春から夏にかけて発生し、他のパラインフルエンザウイルスのアウトブレイクより長い期間にわたって続く。一生の間、再感染も起こる可能性があり、高齢者や免疫不全患者では、重症合併感染症となるリスクが高い]

● インフルエンザ A(H1N1) (2件)
PRO/AH/EDR> Influenza A (H1N1) - worldwide (82): transmission 
Archive Number: 20090704.2402
 情報源:CHealth, The Canadian Press 、2009年7月2日
豚インフルエンザ Influenza A (H1N1) ウイルスは、現在・過去のヒトで効率的に感染循環するすべてのウイルスに認められる特徴のうち、少なくとも 2つが欠失しているにもかかわらず、このウイルスが極めて効率よく感染拡大を続けていることが 2つの研究から明らかになった。
この 2つの研究グループは、新型 H1N1ウイルスの拡大の程度に対し少し違った見方から研究を進めており、一方のグループはまだヒトインフルエンザウイルスほど効率的には感染伝播していないと見ているが、他方のグループは季節性インフルエンザの cousins(H1N1 ウイルス) と歩調を合わせる感染伝播率が見られるとしている。
とはいえ、世界中にこのウイルスが蔓延し、少なくとも 332人がこれまでに死亡した事実に異論はない。しかもこのウイルスは、あるインフルエンザウイルスがヒトで効率よく感染するために必要と研究者らが考えるすべてのツールなしで、現在のような感染状況を生み出していると the University of Maryland の研究者 Perez が述べた。いずれにしろ、ウイルスそのもの (全体) か、もしくは遺伝子の一部が定着し、季節性インフルエンザウイルスを打ち負かすか、あるいは共存することになるだろうと述べた。
3日発行の雑誌 Science [summary] に掲載される2つの論文の研究にこの研究者は参加していないものの内容については詳しく、彼の研究室も同様の研究を終えている。
この感染伝播の研究は、米 CDC と the Massachusetts Institute of Technology (MIT) のグループと、オランダの Erasmus Medical Center (Rotterdam) の研究グループが行った。いずれもヒトのインフルエンザ感染に関して最適のモデルとされているフェレットを使って実験が行われた。
CDC の研究では、ウイルスは完全にはヒトの間での感染拡大に適応していないことが示唆された。健康なフェレットを、実験的に感染させた個体の隣のかごで飼育し同じ皿から餌をとらせたところ、健康なフェレットの中で感染したのは 2/3にとどまった。
対照的にオランダのグループの結果は、ウイルスに感染した個体の隣で飼育された場合、すべてのフェレットが新型インフルエンザウイルスに感染した。Perez のグループでも感染率は100%だった。CDC と Erasmus のいずれの研究でも、ヒトのインフルエンザウイルスに感染したフェレットは、周囲の健康なフェレットすべてに感染伝播させた。
CDC の研究の senior author は、CDC のフェレットのケージ間の空気の流れと、他の研究のそれとの間で条件が違ったことが、異なる結果を生んだ原因かもしれないと説明している。しかし彼らの観察結果から、このウイルスは新たなヒトという宿主に適応しつつある段階と見ている。
このような結論を支持する重要な証拠として、ウイルスのヒト上気道細胞への感染能力が関係する。CDC-MIT の研究者らにより,新型インフルエンザ A(H1N1)ウイルスの感染細胞への定着に必要な表面蛋白であるヘマグルチニン hemagglutinin は、現時点では季節性 regular インフルエンザウイルスと比べて結合力が弱いもしくは効率的でないことが示されている。このことは、ウイルスが変化する余地があるということで、もしもより効率的に結合する型に変異すれば、よりヒト-ヒト感染が拡大しやすいウイルスとなる。感染伝播は起きているが、より効率よく伝播するようになる可能性があると、CDC の研究者は述べた。彼によると、より感染伝播しやすくなれば,単に感染者が増えるだけでなく感染者の中でも重症化する割合が増加する可能性があると指摘する。これまではほとんどの患者が軽症であったが、ヒトにより適合すれば、より重症となる可能性があり、もっと重症者が増えると述べた。
オランダの研究者も同じ懸念を抱いている。ウイルスはさらにヒトに感染し伝播しやすく変異する可能性があるが、自分の意見としては、すでに季節性インフルエンザウイルスを駆逐できるほど適応していると電子メールで回答した。
CDC の研究者らはまた、このウイルスが感染伝播性に関係することが知られている PB2 と呼ばれる内部遺伝子内の特徴を持っていないことを報告している。全ての季節性インフルエンザと 3種類の過去のパンデミックウイルス -- 言い換えると、他の種から壁を越えてヒトにうまく適応した全てのインフルエンザウイルス -- はこの特徴を持っているが、今回の豚インフルエンザ H1N1ウイルスは持っていない。研究者らは、なぜウイルスがこの変異を持たずに感染伝播性を獲得したのか、今後獲得する可能性がどれほどかについては、分かっていない。しかし、この変異が強毒化や重症化と関連性をもっており、インフルエンザ研究の関係者らはその変異を注意深く見守っていると言う。
両グループは感染したフェレットの組織についても検討している。その結果、豚インフルエンザウイルスの感染は動物の肺の深部から始まっていることが分かった。ヒトインフルエンザウイルスは上気道に感染する。このウイルスに肺の奥深くに浸透する能力があることで、重症の豚インフルエンザ感染患者の診療にあたる医師らが目の当たりしていることの説明がつく: 肺機能を奪う侵襲性ウイルス性肺炎の患者である。確かにフェレットに認められた病変はヒトの疾患と一致しウイルスの増殖能が高いことが、季節性インフルエンザに比べウイルスの侵襲性をより高め,より深い気道内への拡大につながっていると考えられる、と説明した。研究に参加した香港大学のインフルエンザ研究者 Dr Malik Peiris はこれらの発見を懸念し、豚インフルエンザウイルスは H5N1鳥インフルエンザや 1918スペインかぜのウイルスほど強毒性ではないが、下気道への感染能力を有していることは、ヒトへの病原性の点で明らかに注意すべき事項であると指摘した。H5N1 もスペインかぜウイルスも肺の奥の部分の組織に感染する。新型インフルエンザ A(H1N1) が肺の奥の組織に感染するため、ウイルス感染が拡大しやすい真冬という条件でウイルスの感染が拡大すればさらに重症化する可能性があるとの懸念を表した。
数年前に発表された、これもインフルエンザの感染モデルとして好適な guinea pigs の研究では、インフルエンザウイルスは低温でより活発で長期間に増殖することが示されている。このことが、ヒトの豚インフルエンザウイルス (感染) に関してもあてはまるとすれば、冬期の豚インフルエンザ感染は重症化するだろうと、警告した。

PRO/AH/EDR> Influenza A (H1N1) - worldwide (83): antiviral
Archive Number: 20090705.2417
 投稿者:蘭・National Institute for Public Health and the Environment (RIVM)、Adam Meijer and Harry Vennema、2009年7月4日
20090630.2359 の訂正:(誤) all seasonal A(H1N1) viruses (正) All A(H1N1)v viruses 
(20090630.2359 のモデレータのコメントの中で)6月25日の EISS の週報に関して、
"all seasonal A(H1N1) viruses tested have been sensitive to oseltamivir and zanamivir but resistant to M2 inhibitors, although elsewhere Tamiflu resistance has been observed in A H1N1 seasonal viruses." とあるのは誤りである。
the strain name(ウイルス名)を読み誤ったもので、原文では、"All A(H1N1)v viruses tested have been..." が正しい。
WHO は  the new influenza A(H1N1) を pandemic strain A(H1N1)v に指定した。実際のところ、欧州地域内では 2008/2009シーズン中、全季節性インフルエンザ A(H1N1)ウイルスの 98% が oseltamivir に耐性を示したが、zanamivir に対しては全てのウイルスが感受性があり、1種類をのぞく全てのウイルスが amantadine にも感受性を示し、世界中の他の地域と同様の結果であった。
the European Unionand EEA/EFTA countries 欧州地域内のインフルエンザウイルスの抗ウイルス薬耐性の監視は、スウェーデン・ストックホルム Stockholm にある the European Centre for Disease Control and Prevention の管理下に the Community Network of Reference Laboratories for Human Influenza in Europe (CNRL) が行っている。the CNRL の調整部門は WHO 関連インフルエンザ指定研究センターと英国・ロンドン London の the Health Protection Agency (HPA)、オランダ・Bilthoven の the National Institute for Public Health and the Environment に置かれている。調整担当者らは、欧州 25カ国からのインフルエンザウイルスの抗ウイルス薬耐性に関する情報について定期的に収集・解析・情報発信を行っている。これらのデータは WHO により National Influenza Centres に認定されている the CNRL 内の各研究施設から提供されるとともに、標準化 reference purposes と,耐性に関するモニタリングが行えない国のため the HPA の中央検査施設からも提供が行われている。
neuraminidase inhibitors (oseltamivir と zanamivir) ならびにM2-ion channel blockers (amantadine と rimantadine) に対する耐性の解析は、IC50 values の測定と、既知の薬剤耐性変異の確認のためのウイルス genotyping(遺伝型解析)によって行われた。
インフルエンザ Aウイルスは、完全に amantadine と rimantadine のいずれにも耐性であった。2009年6月12日時点のデータに基づいた、欧州の the 2008/2009 influenza season 中の抗ウイルス薬耐性モニタリング活動の結果は以下の通り; 
 − 解析された A(H3N2) influenza viruses はすべて、oseltamivir および zanamivir に感受性があったが、the M2-ion channnel blockers (amantadine and rimantadine) には耐性であった 
 − 解析された seasonal A(H1N1) influenza viruses の 98%が oseltamivir には耐性であったが、zanamivir に感受性があり、one virus を除く全てのウイルスが、the M2-ion channel blockers に感受性を示した 
 − 解析された influenza B viruses は全て、oseltamivir と zanamivir に感受性があった (M2-ion channel blockers は influenza B viruses には無効) 
 - デンマークから the oseltamivir resistant influenza virus A(H1N1)v (the 2009 pandemic A(H1N1) variant) が報告される前の時点で、すべての A(H1N1)v viruses はoseltamivir and zanamivir 感受性で、the M2-ion channel blockers 耐性であった。
[Mod.CP- ごめんなさい。正直に言えば、この時点で A(H1N1)v が WHO の the new influenza A(H1N1) pandemic strain に対する公式名称 として指定されていることを知らなかった。これまでこの略語が一般的に使用されることはなかったが、おそらく今回の間違いによってこの新たな呼称が一般的に知られることになるだろう]

● 麻疹 ニュージーランド,米国(2件)
ニュージーランド
PRO/EDR> Measles - New Zealand (04) 
Archive Number: 20090705.2412
 情報源:Voxy News engineVox.co.nz 、2009年7月3日
今週 [6月29日から 7月3日まで]、Christchurch Boys High School の生徒 4人の麻疹 Measles 感染が確認され、もう 1人も感染が疑われている。[NZにおいて] English measles とも呼ばれている麻疹は、肺炎などをおこすこともあるウイルス感染症で、時に脳炎などの重篤な症状を伴うこともある。Canterbury の衛生当局者は、体調の悪い 2 MMR [measles, mumps, and rubella] immunisations を受けていない生徒は、自宅にとどまり数日間様子を見るようアドバイスしている。ワクチン接種を受けていない場合は、主治医に接種してもらうことを勧めている。麻疹ワクチンは無料接種ワクチンに組み込まれている、生後 15ヶ月と 4才時の MMR ワクチンに入っている。接種された小児の中にも発病者は認められることがあるが、接種を受けていない場合よりも軽くなる。2回接種を受ければ 99%に有効である。成人の多くは以前に感染しており免疫があると考えられる。免疫のない人も、麻疹に曝露してから 3日以内にワクチンを受ければ、発病を防げる可能性がある。

米国
PRO/EDR> Measles - USA (05): (NYC) 
Archive Number: 20090705.2411
 情報源:New York City Health Press release、2009年6月22日
ブルックリン Brooklyn で過去 2ヶ月間に 11人の麻疹 Measles 患者が、衛生局によって確認されている。当局は医師に対して注意を促し、疑わしい症例は直ちに報告するよう呼びかけている。ほとんどの患者は,ワクチン接種を受けていなかったために感染に無防備な小児の感染だった。ニューヨーク市 New York City 内での麻疹発生は多くないが、非常に感染力が強い。1歳時に麻疹ワクチンを受けるべきで、ワクチンを受けた接種年齢の小児自身だけでなく、年齢が小さくてワクチンを受けられない小児も、麻疹の曝露から逃れられることで守られることになると説明している。麻疹感染により発熱、咳、 鼻水、結膜充血の症状が見られ、麻疹患者の 1/3が下痢、耳の感染(中耳炎)、肺炎などの合併症を伴う。一部の小児は入院となり、死亡することもある。 乳幼児 Younger children や免疫不全の状態にある患者は最も重症化しやすい。麻疹ウイルスに接触した患者は、発疹が出現する 5日前から感染を広げ、出現の 4日後までつづく。市内の学校・カレッジ・幼稚園の就学時には麻疹ワクチン接種が必要である。1回目の麻疹ワクチン接種は 1才のお誕生日に行うことが望ましく、2回目は 4−6才までに受けるべきである。

● チクングニア マレーシア,インド
PRO/EDR> Chikungunya (25): Malaysia, India (GA) 
Archive Number: 20090705.2410
マレーシア
 情報源:Bernama.com 、2009年7月3日
衛生当局者は,先週 [6月22−26日] に比べチクングニア Chikungunya 流行による感染患者数が 88人から 61人に減少したが、Penang (5 cases), Johor (2), and Selangor, Kuala Lumpur, Putrajaya, and Negeri Sembilan(各1例)の 5州では増加が見られたと述べた。これまでに確認されたチクングニア患者は 2836例で、2008年は 4271例であった。 保健省は 6月27日までに 33か所の "hot areas(感染多発地域)" を確認しており、hot area が確認されていない地方は 11か所にとどまっている。先週は 39地方が hot area free となっており、内訳は以下の通り; 27 in Selangor, 5 in Kuala Lumpur and Putrajaya, and one in Johor. 
地図 Malaysia showing the states 
インド(ゴア)
 情報源:Times of India 、2009年7月4日
2009年のチクングニア感染例 35例のうち、5月には確定診断の 29例が報告されている。
 地図 India showing the location of Goa

● ムンプス 英国
PRO/EDR> Mumps - UK (09): (England) 
Archive Number: 20090704.2407
 情報源:The Grimsby Telegraph 、2009年7月4日
North East Lincolnshire のムンプス Mumps(流行性耳下腺炎)感染流行の患者数が急増し、2008年1年間の13倍 (1333%) となっている。
The Health Protection Agency 当局は、2008年は年間 3例であった患者数が、2009年の上半期に 43例に増加したと報告している。さらに多くの新たな感染者がこの 5週間に発生し、小児期に the measles, mumps, and rubella (MMR、麻疹・ムンプス・風疹)ワクチンを接種されなかった 15-24才の年齢層である。当局は MMR の2回接種を済ませていないティーンエージャーや若年者に、GP で接種を受けるよう呼びかけている。ムンプスは重症化することのある病気であり、ほとんどの場合軽症であるが、男性不妊につながることもあると述べた。診断した医師は届出を義務づけられている。潜伏期間が 14-21日間あるため、実際の感染者はまだ分からない。
地図 the counties of England showing Lincolnshire in the east of the country

● 狂犬病 ロシア
PRO/AH/EDR> Rabies, animal, human - Russia (02): (MOW) 
Archive Number: 20090705.2414
 情報源:IA Moscow news [trans]、2009年7月2日
RosSelhozNadzor (The Federal Agency for Veterinary and Phytosanitary Supervision  連邦獣医学植物衛生学監視局) によると、the Moscow モスクワ region では狂犬病 Rabies のベクターである野犬とノラネコの増加が続いている。2008年の1年間に発見された狂犬病の症例数は、2007年の 2.5倍で あった。感染例の 80%が個体数をコントロールできない野生動物であった。残りの 20%はペットが関係していた。2009年のはじめの 5ヶ月間に、 11000人が曝露後接種を受けた。2008年の同時期より11%増えた。 
[Mod.NP− VmDaily によると 1987年以降 the Moscow region 内で記録された狂犬病患者数は 13例である; このうち 9人はこの 5年間に死亡している] 
[Mod.AS− Moscow region の狂犬病ウイルスの保有動物は明らかに野生動物である; 以前の投稿によると、その中でもタヌキ raccoon dogs (_Nyctereutes procyonoides_) とキツネが最も多い。野生動物と接触のあった野犬や,ワクチンを接種されていないペットのイヌ(や、それよりも少ないネコ) が、ヒトの中にこの致死性ウイルスを持ち込んでいる。(恐らく野生動物とペットの両方の)動物における狂犬病症例数の増加の報告には、少し説明が必要である; それは監視が強化されていることを反映した可能性があるからである。しかし、狂犬病に曝露した(そしてその後治療された)患者の増加は、路上の動物の個体数増加と、ペットのワクチンのカバー率が低いことの結果にほかならない。野生動物に対する経口ワクチンが地域的狂犬病対策として推奨されている。西欧などにおいて,キツネに対する狂犬病コントロールに長期的に非常に効果が高く安全であることが認められている、数種類のワクチンは raccoon dogs タヌキにおいても検証が行われており、同様の満足すべき結果を得ている]

● ブルータング イスラエル
PRO/AH> Bluetongue, bovine - Israel (02): RFI 
Archive Number: 20090705.2418
[1] Kalya の乳牛で BTV 感染確認 
 情報源: Weekly report of the Chief Veterinarian, Hachaklait website [in Hebrew]、2009年7月6日
最近、Kalya の乳用牛の群れで新たにブルータング Bluetongue 類似の疾患が発生している。数十頭のウシと数頭の子牛の感染が確認されている。主な症状は紅斑、結膜のうっ血と充血、鼻腔と口唇の発赤、発熱、corona(頭部?) の発赤と紅斑、ミルクの減少、軽度の下痢などである。the Kimron Veterinary Institute で行われた血液の PCR 検査の結果、ブルータングについては陽性となった。serotype については海外で行われている。新たな BTV-8 発生だとすれば、今夏の他の地域へも影響する。欧州では BTV-8 ワクチンが使用可能である。 
[2] BT ウイルスの serotyping の検査結果はまだ出ていない 
 情報源: Weekly report of the Chief Veterinarian, Hachaklait website [in Hebrew]、2009年7月5日
Kalya の感染流行で分離された BT ウイルスの serotyping の検査結果はまだ出ていない。2ヶ月前に発症している。適切なワクチン接種実施の決定のためには serotyping が不可欠である。欧州から調達可能と考えられる。2008年秋の Rosh Haniqra(ロシュハシャナ) dairy cattle farm における BTV-8 の感染流行による被害額は 76000米ドルと見られている。このウイルスの感染源は判明していないが、最新 ProMED- mail に投稿された英国の指定検査機関からの報告よると、Rosh Haniqra の BTV-8ウイルスは欧州のウイルス株に酷似していたという。 
[Mod.AS− "Hachaklait" はイスラエルにある全国的な臨床獣医学サービス相互協会である。国内の酪農の 90%近くを網羅している]

● 口蹄疫、ヤギ イスラエル
PRO/AH> Foot & mouth disease, caprine - Israel: West Bank, RFI 
Archive Number: 20090705.2415
 情報源:Israel Veterinary Services & Animal Health website (accessed Sun, 5 Jul 2009)
感染開始時期 2009年6月14日 前回流行時期 2009年5月21日 
原因ウイルス FMDV Serotype(s): pending 
感染流行発生地 Province: Jehuda & Samaria District: Tul-Karem: Kefar Tappuah village 
感染種 pecies: goats 
頭数/症例数/死亡数/ 廃棄/処分 270 / 65 / 0 / 0 / 0 
全部で270頭の放牧されたヤギ: 200 she-goats, 10 males, and 60 kids. The young were not affected. The main clinical symptoms were vesicles in mouth and on feet.

● Toxic algae(有毒藻類)英国、イヌ
PRO/AH> Toxic algae, canine - UK: (England) 
Archive Number: 20090704.2406
 情報源:Telegraph.co.uk、2009年7月2日
熱波により致死性の有毒な藻類が繁生しているため、イヌの飼い主はペットを池や湖で泳がせないよう注意しなければならない。the West Midlands では、藻類による酸欠のため公園内に死んだ魚類が浮いており、Trafalgar Square の噴水も green slime(ヘドロ)のため閉鎖されている。ガーデナーや漁業関係者にも影響が出る恐れがある。獣医師らは Cyanobacteria と呼ばれる有毒な青緑色の藻類 blue green algae を飲み込むことによる中毒のリスクがあるとして、湖や池にイヌが飛び込むことに懸念を抱いている。Blue green algae は極めて毒性の高い物質で、発症後すぐにイヌが死亡することがあると、獣医師は話している。
[Mod.TG- Blue-green algae or cyanobacteria はたくさんの動物を死に至らしめる可能性があり、世界中で家畜の死亡につながっている。Cyanobacteria は水中、土壌、岩や共生関係にある一部の苔類でも見つかることがある。single cells, colonies, filiments, sheets and sometimes a balls, with a hollow center(単細胞から、コロニー、菌糸?、シートから中空のボール)まで様々な形を取る。複数のタイプに分類されており、一部は cyanotoxins を産生する。トキシンの種類として anatoxin-a, anatoxin-as, aplysiatoxin, cylindrospermopsin, domoic acid, microcystin LR, nodularin R (from _Nodularia_), and saxitoxin が知られている。これらのトキシンは、神経毒、肝毒、細胞毒、エンドトキシンである。幅広い種の動物に有害作用を示し、ヒトにも危険である] 

● 犬インフルエンザ 米国
PRO/AH> Influenza, canine - USA: (NJ) 
Archive Number: 20090704.2405
 情報源:The Examiner 、2009年7月2日
the Millstone region において、犬インフルエンザ Canine influenza のアウトブレイクが報告されている。最近の数週間に the Clarksburg クラークスバーグ section of Millstone の専門救急病院である NorthStar VETS では、同ウイルスの治療のために入院する症例が増加している。これまで 9例が入院しているが、感染性が強いためさらに症例が増加すると見られている。犬インフルエンザはヒト・ネコその他の動物には感染しないが、鼻腔にウイルスを保有し、自宅のイヌに感染させる可能性がある。犬インフルエンザは重症疾患ととらえる必要があり;感染した場合の致死率は 100%である。迅速・正確に診断し、適切な治療が行われれば致死率は 1-5%に減らすことができる。新しいウイルスの再興したもので、若いイヌと高齢のイヌはより感染しやすいと説明されている。
[Mod.TG- Canine influenza は type A orthomyxovirus の1種で "kennel cough" or _Bordetella brochiseptica_/parainfluenza virus complex に似ており (mimics)、いつまでも続くような空咳のような症状が見られる。canine influenza では湿性咳も乾性咳も見られるが、感染したイヌの約 20%はほとんど症状を示さないままウイルスを排出する。Canine influenza はエアロゾル化した呼吸飛沫や物を介した感染で、ヒトはペットに感染させることがある。治療は非特異的な支持療法にとどまるが、致死率軽減のため、早期治療が望まれる] 

● American foul brood、ミツバチ 南アフリカ
PRO/AH> American foul brood, apiary - South Africa (04) 
Archive Number: 20090704.2403
 情報源:Independent Online 、2009年7月2日
6月30日に発表されたミツバチの群生状況 bee colonies に関する暫定的なサーベイランスの結果によると、the Western Cape 周辺全域における American foul brood (AFB) の拡大が衰えていないことが指摘されている。AFB はハチミツの幼虫の感染症で、1年でコロニーが全滅することもある。これまでに検査された 45検体の 80%以上が陽性(感染あり)との結果が出ている。のこる 450以上の検体の検査結果が待たれている。