2009年9月12日-13日

肝蛭症 ベトナム

● 肝蛭症 Fascioliasis ベトナム
PRO/AH/EDR> Fascioliasis - Viet Nam 20090913.3219
 情報源:Thanhnien News 、2009年9月12日
中央部および中央部高地において寄生性の肝吸虫 liver flukes の感染による 肝蛭症Fascioliasis 患者が増加しつつあり、2009年にはおよそ 3000人の患者が報告されていることを、Quy Nhon にある保健省 Institute of Mariology (malariologyのこと?), Parasitology and Entomology が明らかにした。研究機関の代表者によると、最新のこの数字は前年比で 45%増となっている。
[Mod.EP- The liver flukes _Fasciola hepatica_ および _Fasciola gigantic_ は、家畜やそのほか多くの種に感染する。最終宿主は、ヒツジ、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、アルパカ、シカなどである。ヒトの感染は、吸虫が発生する地域の川から採った water cress の摂取によって生じる。ベトナムで行われた最近の研究で、 _F. hepatica_ と _F.gigantica_、および 2種の hybrids がベトナムで確認されている (Occurrence of spermic diploid and aspermic triploid forms of Fasciola in Vietnam and their molecular characterization based on nuclear and mitochondrial DNA. Parasitol Int. 2009;58:81-5)。ヒトの  fascioliasis の増加は、家畜における高頻度の感染と contaminated water cress への曝露の変化を反映したものである]
Fascioliasis は地域内を自由に動き回り、環境中に幼虫を撒き散らしているウシによって感染が伝播される。住民らは water vegetables(水辺の食用草?) を食べる習慣があり、煮沸せずに水を飲むため、感染がおきやすいと説明した。現地のウシの 40-70% がこの病気に感染していると見られている。

● 病原大腸菌 O157 英国
PRO/AH/EDR> E. coli O157 - UK (04): England, children's farm 
Archive Number: 20090913.3224
  情報源:BBC 、2009年9月12日
こども農場における大腸菌 E. coli 感染流行のため小児 12人が入院となり、4人が重症となっている。健康保護局はこれまでに 36人の患者が報告されていることを明らかにした。この小児らは、サリー Surrey にある放し飼いの牧場を併設する Godstone Farm で大腸菌に感染したと見られている。夏期には 1日 2000人の観光客を受け入れていたが、現在一時閉鎖の状態である。感染は 8月8日頃から発生し始めていたと見られている。この菌は下痢を起こし、とくに小さなこどもでは腎不全に至る場合もある。the Surrey and Sussex Health Protection Unit の責任者は、大腸菌の大規模流行であると述べた。この農場の所有者の全面的な協力を得て、感染源調査を進めているとし、この農場を訪れた人は、調査の進展に注意を払って欲しいとアドバイスしている。
[Mod.LL- Shiga toxin-producing _E. coli_ がどのように感染したのか、いまもって不明である。病原大腸菌 O157:H7らしいが、どこにも書かれていない]

● コレラ
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update 2009 (22)  20090913.3223
アフガニスタン
 情報源:Agence France-Presse (AFP) 、2009年9月13日
アフガニスタン国内では、この貧しい国中の 13の県で、死亡する可能性のあるコレラ Cholera 感染流行が発生していると、13日保健省が発表した。同省によるとこれまでに全国で 673例の患者が報告されている。首都カブール Kabul を含む、全 34県のおよそ 1/3から報告があった。死者は報告されていない。すべての感染流行は対応済みで、現在は非活動性となっていると、13日に報告された
エチオピア
 [1] 情報源:Reuters 、2009年9月7日
首都アジスアベバ Addis Ababa を含むエチオピア国内各地で、コレラおよび下痢性疾患により 18000人の感染者が出ていることが取材で判明した。1日開かれた国連機関などが参加した会議の記録によると 18000人の感染者のうち、中等症-重症患者の半分がコレラ感染によるものであった。コレラ以外の下痢症の大部分は acute watery diarrhea (AWD 急性水様性下痢症) によるものと説明された [AWD は、しばしばコレラの euphemism (婉曲表現) として使われている]。これまでに 14000人の AWD/コレラ患者が発生し、アジスアベバで別に 4000人が感染していると、会議録には記されている
地図 Addis Ababa and other regions of Ethiopia
 [2] 情報源: UN Office for Coordination of Humanitarian Affairs (OCHA) 、2009年9月7日
Addis Ababa の10ヶ所の sub-cities すべてで AWD 患者が報告されている。もっとも報告が多かったのは Akaki/Kaliti, Addis Ketema, Arada and Kolfe であったと、保健省の報告書に記載されている。今も感染拡大は続いており、新たに Amhara, Oromiya, Dire Dawa and SNNPR からも感染が報告された。これらの地域から 8月17-23日の期間に、新たに 2330人の AWD患者が報告され、22人が死亡した (致死率 0.9%)
ケニア
 情報源:Daily Nation 、2009年9月7日
Laisamis (Marsabit) では 8人がコレラにより死亡し、ナイロビ Nairobi の一家 6人が病院で治療を受けている。この家族 6人は Dandora Estate (Embakasi) で井戸水を飲んで感染したと、公衆衛生局長が 7日に述べた。給水体制にある市内では、衛生状態の分からない水を利用せざるを得ない人を生んでいる。半年間で50人以上の死者が出ていると見られている。
ジンバブエ
 情報源:Voice of America 、2009年8月25日
専門家らは、保健省の 2008-2009年のコレラ流行終息宣言から数週間を経て、今週  Chipinge district (Manicaland province 東部) で 12例のコレラ患者が確認されるとの見方を示した。保健相はジンバブエ政府当局が 10ヶ月間で 98000人以上の患者と 4228人の死者を出した 2008年の流行時に比べ、よりいっそうのコレラ感染流行対策を行っていると述べ、この見方に反論した。新たな感染者が出ているものの、感染流行は終息した。しかし地方感染の状態にあるため、引き続き注意が必要で、雨季に入れば患者数が増加すると警告している。ジンバブエでは通常 10月に雨季に入る。
ナイジェリア(アダマワ Adamawa)
 情報源:Agence France-Presse (AFP) 、2009年8月22日
ナイジェリア北部のコレラ感染流行により新たに13人の死者が発生し、死者の合計は 52人となったと 8月22日に当局が発表した。アダマワ州の流行に関し 5日間で新たな感染流行の患者が発生していると述べた。Demsa では 9人の死者が記録されており 120人が入院した。Fufure でも死者 4人と入院患者 18人が記録されていると述べた。Maiha で 39人の死者が報告されている。2008年9月、北部のコレラ感染流行によりカチーナ Katsina, Zamfara and バウチ Bauchi の各州で 100人近い死者が発生した。
パプアニューギニア  コレラ、赤痢
 [1] Cholera, shigellosis - Papua New Guinea
 情報源: IRIN 、2009年9月7日
パプアニューギニア Papua New Guinea (PNG) では、50年ぶりのコレラ感染流行により 12人が死亡しており、感染拡大前の封じ込めが必要と WHO当局が述べている。WHO の PNG 代表によると、7月末に北部モロベ Morobe Province の沿岸の 2村で発生し、以後 4つの地区に次第に拡大が続いている。ただしこのあと 1ヶ月間は発生していない。コレラが地方感染の状態となれば、PNG の医療サービスが弱いことから、非常に問題と述べた。コレラは低レベルで拡大しつつあり、患者数は依然として少数で、主要な水資源の汚染はないと考えているとしている。しかし州都ラエ Lae でもコレラが発生しており、農村部から人々が都会を訪れた結果と見られている。モロベ州では、これとは別に赤痢 shigellosis の感染流行も発生しており、州内の農村部で先月赤痢によりおよそ 40人が死亡した可能性があると述べた。
 [2] Cholera - Papua New Guinea
 情報源: BBC News 、2009年8月31日
農村部で40人以上が死亡したとされるコレラ感染流行により、Morobe 州の住民の間で、他にも数百人が感染したと政府当局者が述べた。WHO の医療チームはこの感染流行を確認し、保健相は感染拡大防止策を指示した。同国内でコレラが公式に確認されたのは初めてのことである。死者が報告されているのは、北部沿岸地方の Morobe province の Finsch-hafen district で当局によると、最大 800人が発病している。
インド
 [1] Cholera - India (ムンバイ Mumbai)
 情報源: Express News Service 、2009年9月11日。
人口が密集する Kalbadevi 地区は、コレラ患者が突然増えだし 2日間ですでに 9人が入院した。この地域には大量の汚水が貯留していることが要因の1つである。The Brihanmumbai Municipal Corporation (BMC) 当局は、住民のスクリーニング調査を開始した
地図 Mumbai (Bombay)  
 [2] Cholera - India (グジャラート Gujarat)
 情報源: Express News Service 、2009年9月11日。
10日、Lachras village of Narmada district で1例のコレラ患者が発生した。Rajpipla Civil Hospital で治療中の 18才の患者は、コレラ検査陽性であることが確認された。3日間に下痢症状のあった成人 3人が死亡している。この地域の住民 24人が入院している。衛生当局者は Lachras のコレラ患者発生は認めているが、汚染された水を飲んで死亡した 3人については認めていない
地図 Vadodara District:インド西部にあるグジャラート Gujarat 州東部、 The city of Vadodara (Baroda) は Gujarat 西部にある 
スリランカ
 情報源:Niadhasa News 、2009年9月1日
国会議員の1人が1日、バブニーヤ Vavuniya の難民キャンプでコレラ感染が拡大していると発言した。衛生当局からの報告を引用し、IDP の中の死者のほとんどが肺炎とコレラが原因と報告した。バブニーヤ、マナール Mannar, ジャフナ Jaffna and トリンコマリー Trincomalee には、30の政府系キャンプに 30万人近くが暮らしている。
地図 Sri Lanka 
クウェート 20090913.3223
 情報源:Kuwaiti Times 、2009年9月2日
クウェート沿岸部で採取された海水検査でコレラ菌が検出された、と医学専門家が発表した。保健省は医師を派遣し、海水を採取して検査を行ったところ、コレラ菌が検出された。Mishref sewage plant(汚水処理場)が故障し、海中に汚水が流れ込んだことが、コレラ菌検出の原因と見られている。

● クリミア・コンゴ出血熱 ジョージア
PRO/AH/EDR> Crimean-Congo hem. fever - Georgia, 1st case 20090913.3218
 情報源:Rustavi 2 News 、2009年9年11日
The National Center of Disease Control 当局は、ジョージアで初めての、死亡する可能性のある Crimean-Congo hemorrhagic fever (CCHF クリミア・コンゴ出血熱) 患者を確認した。ウイルスに感染したこの 31才の男性の状態は非常に危険である。トビリシ Tbilisi の感染症病院の究明センターで人工呼吸器を装着された状態にある。CCHF の初期症状は、突然のショック、内出血、外出血などがある。この男性は上記症状のため病院に搬送された。ナイロウイルス _Nairovirus_ of the family _Bunyaviridae_ というダニ媒介性ウイルス感染を原因とし、1944年に初めてクリミア Cremea ではじめて報告され、クリミア出血熱と呼ばれるようになり、1969年にはコンゴでも発見され現在の病名となった。今回の症例は、ジョージアで第1例目の CCHF ウイルス感染患者である。これまでにクラスノダール  Krasnodar Oblast of Russia、イラン、トルコで確認されている
[Mod.CP- CCHFV はアフリカ、中東、アジアの広い範囲に存在している。また旧ソ連 (Crimea, Astrakhan, Rostov, Uzbekistan, Kazakhstan, Tajikistan)、トルコ、ブルガリア、ギリシャ、アルバニア、旧ユーゴスラビアのコソボを含む欧州各地でも確認されている。血清学的検査ではハンガリー、フランス、ポルトガルでの発生の可能性もある]。
感染すると患者の致死率は 60%に達する。Ixodid (hard) ticks ダニ, 特に _Hyalomma_ 属は CCHF ウイルスの保有動物であり、ベクターの役割も果たす。ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウサギなど、多くの野生動物や家畜もウイルスの増殖宿主として働く。ヒトに対する感染伝播は、感染動物の血液やダニを通じて発生する。CCHF ウイルスは感染性の血液や体液を通じてヒト-ヒト感染を起こすこともある。当局センター長は、病院内の集中治療を受けている感染患者が若年男性であることを明らかにした。保健省が治療費用を全額負担する予定であると述べた。この男性はダニから感染したと見られている。男性の家族についても血液検査が行われる予定である。
地図 Georgia showing the location of the capital Tbilisi

● B 型肝炎 米国 院内感染
PRO/EDR> Hepatitis B, nosocomial - USA (02): (NJ) alert 20090912.3215
 情報源:Associated Press report 、2009年9月11日
Hepatitis cases tied to one doctor's office in New Jersey
ニュージャージー New Jersey 州の 1人の医師の診察を受けた数千人の患者らが、彼の医院に関係する二十数名が B型肝炎 Hepatitis と診断された集団発生を理由に、この血液媒介性疾患の検査を受けなければならなくなったと州衛生当局者が述べた。Dr.Parvez の患者のうちの 5人が B型肝炎であることが判明し、およそ 2800人の患者が B型肝炎の検査を受けることになった。現在、陽性患者は 29人となり、ほか 68人の抗体陽性者も今回の集団発生との関連性が否定できないとされている。当局は、これまでに 1400人が検査を受けたことを把握している。3月に同医師の医院を調査した担当者は不衛生な状態と評価していた。化学療法が行われていた部屋の床には血液が付着しており、血液製剤の保管場所にも血液が付いていて、未滅菌の生理食塩水やガーゼ、開封された薬瓶などが見つかっている。pen と冷蔵庫とカウンターが散乱し、汚れた手袋が使用され、消毒薬が誤用されているなど、数々の医療法違反も指摘されている

● 胃腸炎 英国:ノロウイルス、グルメレストラン
PRO/AH/EDR> Gastroenteritis, gourmet restaurant - UK (03): norovirus 20090912.3211
 情報源:Health Protection Report, Volume 3, No 36、2009年9月11日
Investigation report on a foodborne norovirus outbreak associated with shellfish
2009年1-2月に、Fat Duck restaurant(ブレー Bray、バークシャー Berkshire 州) で食事をした 529人が発病した集団発生の調査報告が、健康保護局から公表された。同様の症状を示した人に送付された質問票の解析、職員での発病の調査、レストランの環境と調理・食品取り扱い検査、食材の検査が対象となった。
結論
食事を取ったうちの 15%以上に当たる 500を超える患者が報告された; 貝・甲殻類(生ガキなど)を介して混入したと考えられるノロウイルス norovirus を原因とする;razor clams の取り扱いと調理に不備があった; 6週間以上感染流行が継続した;発生後のレストランの対応に問題があったことなど ... 
[Mod.CP- The Fat Duck restaurant in Bray, Berkshire は、英国とアイルランドで 3か所しかないミシュランガイドの3ツ星レストランの 1つである。Restaurant magazine では世界最高レストランとされている。"the best restaurant in the world" での食事であっても、生の貝・甲殻類 uncooked shellfish の unwise [!!] consumption を避けて通れないのである]

● 狂犬病 カザフスタン、ウクライナ
PRO/AH/EDR> Rabies, human, animal - Kazakhstan (SK), Ukraine (KR) 20090912.3216
 [1] カザフスタン (South)
Rabies cases notified in South Kazakhstan

 情報源: today.kz News Service [translated]、2009年9月4日
カザフスタンの非常事態省は、the South Kazakhstan Oblast において1日、2名の狂犬病 Rabies 患者が診断されたことを発表した。
1例目は Abayskoe Region of Shimkent で発生した、狂犬病症状で入院となった 72才男性で、彼と接触のあった 3人についての健康監視が行われている。Karatobe 村(in the Sayrmskoe Region) でも同じ症状の 80才の男性患者が報告されている。
[2] ウクライナ (Crimea) Outbreaks of animal rabies extend over Ukraine
 情報源: Kafanews.com News Service [translated]、2009年9月4日
獣医師らによると、the Crimea and the Ukraine の広い地域で、動物間の狂犬病感染流行拡大が懸念すべき状況にある。森林地帯との境界に多くの居住区域を持つ、フェドシア Feodosia Region が最も不安視されている。獣医師らは、飼い主のいない動物への対応に苦慮している。狂犬病流行はクリミア Crimea にとどまらず、ウクライナ全域で発生していると対策会議の中で報告されている。狂犬病の多くがイヌ、猫などのペットが中心であり、ヒトへの感染リスクが高まっている。森林地帯との境界域に多くの集落があることで、自然界でウイルスを保有する野生動物から飼育動物が感染するリスクが高まる。2009年、合計 96人が動物による咬傷を受けたため、また死亡した 3匹のネコについて、検査が行われている

● 腺疫 米国 
情報源:Thoroughbred Times、2009年9月12日
Hoosier Parkのサラブレッド1頭で、ウマの細菌性感染症が疑われる症例が発生し、12日に当局によりこの厩舎が隔離・閉鎖された。腺疫 strangles の病原体である _Streptococcus equi_ の感染が疑われるウマが飼育されていた厩舎の合計 59頭のウマは、(感染が疑われているウマの)検査結果の判明までの間、隔離されている。陽性結果となった場合は、すべてのウマの検査が義務付けられている。strangles の症状は発熱、鼻水、咳、食欲低下、嚥下困難である。equine distemper とも呼ばれ、リンパ節腫大が認められることもあるこの疾患は、呼吸が障害され、窒息により死亡することもある。最大 4週間にわたって非常に感染性が高い状態にあり、さらに、感染した動物との接触がなくなってから 1ヵ月後まで、環境への汚染が続く。若いウマほど感受性が高いが、どの年齢でも腺疫が発生する可能性がある。
[Mod.TG- Strangles は,_Equidae_(ウマ科) 動物の感染性・伝染性疾患で、上気道のリンパ組織の膿瘍形成を特徴とする。病原体の _Streptococcus equi equi_ は宿主選択性が高く、感染はウマ、ロバ、mules に限られている。グラム陽性、夾膜をもつ溶血性のLancefield group C coccus (球菌) で obligate parasite]