2009年9月14日

インフルエンザパンデミック (H1N1)2009 (47):スペイン、ICU患者

● チクングニア-インド 疑い
PRO/EDR> Chikungunya (32) - India (TN) susp. 20090914.3237
 情報源:Sify News、2009年9月14日。 
先週1週間にマドゥライ Madurai 市内各地から、1000人を超えるチクングニア Chikungunya 感染が疑われる患者の報告があったと 14日に保健省当局者が述べた。Chinthamani, Melamadai, Vilachery, Karimedu, and Ponnagaram などの私立病院からの報告であった。患者らには発熱、頭痛、激しい関節痛が見られた。政府系病院は連日 25人の患者を受け入れている。患者ら 2635人から血液を採取し検査を行っている
地図 Madurai and vicinity in Tamil Nadu state, India ]

● クリミアコンゴ出血熱-トルコ
PRO/AH/EDR> Crimean-Congo hem. fever - Turkey (08) 20090914.3235
 情報源:Today's Zaman 、2009年9月14日。 
夏の終わりが来ても、季節の厄介者であるダニは、依然として国内で病気と死亡の原因となっている。先週、6人がダニ媒介性の Crimean-Congo Hemorrhagic Fever (CCHF クリミアコンゴ出血熱) で死亡し、これまでの CCHF による死者は 61人となった。1月1日から 8月31日までの CCHF患者数は 274人で、このうち 61人が死亡した。2008年の同じ期間中に CCHFと診断された患者数は 1298人で死者は 59人だった。国内のおよそ 1200か所の村で確認されているダニを根絶するための最大限の努力が行われている

● インフルエンザパンデミック (H1N1)2009 (47):スペイン、ICU患者 
PRO/AH/EDR> Influenza pandemic (H1N1) 2009 (47): Spain, ICU patients 20090914.3234
 情報源:Barcelonareporter.com 、2009年9月14日。 
スペインの 21の病院について行われた調査によると、インフルエンザパンデミック (H1N1)2009 の重症合併症により、ICU [intensive care units 集中治療部] に入院となった患者のおよそ半数には、リスク因子や持病がなかったことが分かった。医学雑誌 Critical Care に掲載されたこの研究は、欧州のインフルエンザによる ICU入院患者について行われた最大規模のもので、持病のある患者に限られているとしていたこれまでの保健省などのコメントに相反する結果となった。市民に対しては、持病のない人でも過信せずにインフルエンザに注意するべきであると主張されている。大抵の場合、自然経過は 3-4日間の発熱で済んでしまうが、時に 4-5日目に悪化することがあると報告している。インフルエンザ感染後に呼吸困難を感じたら直ちに受診することが必要だが、この論文の主な論点は、リスクファクターや持病のない人は特に危ないとしていることである。英国での試算では、患者のうち重症合併症を伴うのはわずか 0.2%にすぎないとされている。すなわち、人口 100万人あたり 2000人が合併症を併発することになり、これは ICUの収容能力を超えてします。ウイルスが主に攻撃するのは肺であるが、ICUに搬送された患者の 75%が、数日間のうちに多臓器不全の状態となっている。このような肺炎は見たことがないと、医師は述べている。この研究でも、肥満妊婦は重症合併症のリスク因子であった。インフルエンザ Aによる ICU入院患者の平均年齢は 40才であり、約 25%死亡している。 
原著 Title: Intensive care adult patients with severe respiratory failure caused by Influenza A (H1N1)v in Spain : Critical Care 2009, 13:R148doi:10.1186/cc8044

● 狂犬病-ロシア ウシ、ヒトの曝露
PRO/AH/EDR> Rabies - Russia (02): (OM) bovine, human exposure 20090914.3236
 情報源:RIA (Russian News & Information Agency) Omsk Press [in Russian]、2009年9月10日。 
the Kolosovskiy Region [district] of the Omsk Oblast [オムスク州] では隔離措置が行われている。4頭のウシが狂犬病 Rabies ウイルスに感染して死亡し、接触のあった 24人が健康監視を受けている状態で、肉の移動が禁止されている。Kolosovskiy Region では、周辺の全ての農場も隔離されている。このウシは、群れの検査の中で狂犬病感染を疑われた。当初中毒ではないかと考えられ、隔離されていたがその後死亡し、ほか数頭に狂犬病の症状が確認された。接触のあった人々にワクチン接種が行われている。群れ全体にも狂犬病のワクチン接種が行われていて、農場内の消毒作業も実施された。 
[Mod.CP- おそらく野生動物との接触と考えられるが、感染源については触れられていない]

● スズメの大量死-オーストラリア:サルモネラ菌疑い
PRO/AH/EDR> Sparrow die-off - Australia: (TS) salmonella susp, human risk, RFI 20090914.3233
 情報源:ABC News (Australian Broadcasting Corporation) 、2009年9月14日。 
タスマニア Tasmania のスズメで見つかったサルモネラ salmonella 菌に、ヒトが感染する可能性が次第に高くなってきた。獣医師、病理学者と医科大学による調査により、数ヶ月間に大量に死亡したスズメの死因となる細菌が確認された。7/8月までに個体数が半減したと、バードウォッチャーの1人が報告した。調査に当たった獣医師は、死亡したスズメがサルモネラ菌の1種に感染していたことを確認した
[ModTG- Fowl typhoid 家禽チフスは通常 Salmonella gallinarum_ を原因とすることが多い]
公衆衛生当局者は、2009年に4人の同じサルモネラ菌による感染患者が発生しており、この件との関連性が調べられていると述べた。スズメから感染した証拠があるわけではない。

● リンゴの病気,Black rot-ドイツ 北方へ拡大
PRO/PL> Black rot, apple - Germany: northward spread 20090914.3230
 情報源:Proplanta [in German]、2009年9月10日。 
気候変動は、ドイツの果物農家にも影響を及ぼしている。暑い夏と降水量の増加が、真菌による果樹の病気発生増加につながっている。エルベ川 Elbe river 下流の Altes Land には、およそ 1万ha の北欧最大の果樹栽培農地が広がっているが、現在、特にリンゴの black rot  が問題となっている。この病気は真菌の _Diplodia seriata_ を原因とし、最近まで北欧では全く発生していなかった。一部の品種では収穫量の 10%が被害を受けている。 
[Mod.DHA- Black rot of apple は  _Diplodia seriata_ or _Botryosphaeria_ species を原因として発生し、果実、葉、樹皮に被害が及び、果樹園に大きな損害をもたらせる]

● 小反芻獣疫-ネパール
PRO/AH/EDR> Peste des petits ruminants - Nepal: (MH) 20090914.3229
 情報源:China Ministry of Commerce [in Chinese]、2009年9月14日。 
13日の The Kathmandu Post によると、インド国境との国境にある [the Central Region of] NpesteのMahottari District においてヤギの Peste des petits ruminants [PPR 小反芻獣疫] が発生した。この地域の 20以上ある村々ではヤギを飼うことが一般的となっているが、そのうちのヤギ 37頭が死亡し、ほかにも多数の感染が発生している。 
[Mod.AS- インド亜大陸において PPR が発生し始めたのは 1987年のことであるが、ネパールでも地方病感染しており、専門家らの間では、西アフリカで初めて確認された時期よりかなり前から、この地域に存在していたと見られている。1998年にもネパールでの発生やその動向について ProMED-mail で議論されている]