2010年7月17日

マラリア インド,中国
結核 英国 BCGワクチン

● マラリア インド,中国(2件)
インド
PRO/EDR> Malaria - India (04): (Mumbai) 
Archive Number: 20100717.2397
 情報源:DNA 、2010年7月17日
Malaria in Mumbai
州政府当局は15日、ムンバイ Mumbai が、マラリア Malaria でも州の中心地 capital となっていることを認めた。州内で報告のあったすべての患者の内47%が同市から報告されている。州全体の患者数が 12%減少したにもかかわらず、ムンバイ、Thane and Nashi については、それぞれ 7,10,1%増加した。
6月10日までに報告されたマラリア患者 22159人のうち 12393人が市内の患者であった。2008-2009年、州内の死者数は 166人で、このうちムンバイの死者は 104人だった。当局者は、建設業者の中で市の決めたマラリア対策に従っているのはわずか 2%であると嘆いた ...
[Mod.EP- Mumbai は low risk area とされているが、それは富裕層地帯 affluent areas だけの事のようだ。ムンバイでは、 22 159 cases of malaria が、 1 Jan and 10 Jun 2010の期間中に記録されている。ムンバイの人口が 1400万人 (Wikipedia) であることからすると、数字自体はそれほど多くない。しかし、以前の報告 (Karn and Harada. Water Sci Technol. 2002;46:269-75) では、slum areas of the city において、年間に 126 per 1000 population のマラリア患者が発生するとされている ... 建設現場での対応が不十分であることが原因とされているが、先の報告によると、the slum areas of the city からの感染拡大と考えることもできる]

中国 薬剤の副反応
PRO/EDR> Malaria - China: (SC Sichuan), drug adverse reactions 20100717.2390
 情報源:Xinhuanet、2010年7月15日
Suspected side effects to malarial medication
南西部の四川省 Sichuan Province の内江 Neijiang City で、マラリア予防薬を服用した小児 1名が死亡104人の住民に被害が出ていることを、14日地方当局が明らかにした。
合計 143人の Mawan Village 近郊の住民が、chloroquine and primaquine の 2種類の薬剤を服用し、服用直後に倦怠感と吐き気を訴えた。このほかにも 98人が病院で治療を受けている: 5才の女児1名と 60才の男性が重体である。20人は退院した。
この薬剤は、市および地域 CDC 当局や Beinan Township Hospital から配布されたものであった。
[Mod.EP- 中国南部に多い、ある X染色体劣性遺伝性赤血球異常症では、glucose-6-phosphate dehydrogenase (G6PD) の欠損が認められる。香港、台湾、シンガポールでは、すべての新生児のスクリーニングが行われている。男性の 4.8%に認められる。Primaquine は G6PD deficiency の患者に溶血を引き起こす可能性がある。今回の報告は G6PD deficiency の関与を判断するには情報量が少なすぎる。145人中104人に副反応が出たとすれば、G6PD だけで説明するには患者が多すぎる。
最も可能性が高い説明としては、薬物に toxic substances が含まれていた品質の問題であろう]

● 結核 英国
PRO/EDR> Tuberculosis, children - UK: use of BCG vaccine 20100717.2386
 情報源:The Independent、2010年7月15日
ロンドン London で出産されるすべての児に対し、 感染の危険が高まりつつある  tuberculosis (TB 結核) 予防のためのワクチンを接種すべきであると、公衆衛生の専門家らが述べた。英国内の小児の結核のおよそ 45%が首都ロンドンで発生しており、その数が閾値を超えるようになったため、定期接種の必要性があると the Health Protection Agency (HPA 健康保護局) の医師らが訴えている。
結核は過去の病気と捉えられがちであり、20世紀初頭の主な死亡原因であったが、強力な薬剤の登場により 1980年代後半には史上最も少ない年間患者数 5000人程度に減少していた。
しかし再び上昇に転じ、2009年の英国内の成人と小児の結核患者数は 9153人となり、2005年以降最大の上げ幅 (5.5%) となった。患者 10人のうち 9人までが少数民族であるため、移民の子どもたちにより対象を絞るかたちで、就学年齢において行われていた結核予防のための BCG [Bacillus of Calmette and Guerin] 接種は中断されていた。
現在の方針では、海外で生まれた児、もしくは両親が外国人である児だけにワクチンが接種されている。また、人口10万人に対し結核の発生数が 40人を超える地域に住むすべての小児にも接種が勧められている ...(多くの成人が海外で結核に感染するのと異なり)小児の結核患者のほとんどが国内での感染である。小児から他への感染はまれであるが時に学校内で感染が広がることもある。ロンドンの 15才以下の小児では、1999年から 2006年の間に 1370人の結核患者が報告されている
[Mod.ML- BCG, or Bacille Calmette-Guerin は、弱毒ウシ型結核菌 bovine tuberculosis bacillus, _Mycobacterium bovis_ の生ワクチンで、結核菌と他のマイコバクテリウムによる疾患の予防のために開発され、1921年にはじめてヒトに対して接種された後、現在でも使用可能な唯一のワクチンである。
高発生国においては、小児の結核性髄膜炎と粟粒結核の予防に乳児への接種が行われているが、米国では結核の予防手段としては推奨されず、代わって latent TB infection (LTBI 潜在性結核感染) の患者の発見と治療に重点を置いている。米国では、他の方法により結核の発生件数の減少に成功したこと、米国内での結核菌感染が少ないこと、成人の肺結核に対するワクチンの効果がはっきりしないこと、tuberculin skin test (TST ツベルクリン反応)に影響することから、BCG は推奨されていない。
また HIV 感染患者には接種できない; HIV 感染児への BCG 接種による結核感染拡大や immune reconstitution inflammatory syndrome (IRIS 免疫再構築炎症症候群) の報告がある]

● 狂犬病 米国,イタリア(2件)
米国
PRO/AH/EDR> Rabies update - USA (05): July 2010 20100717.2398
[On 6 Jul 1885 Louis Pasteur gave the 1st rabies vaccine to a boy bitten by a dog. - Mod.TG]
[1] ノースカロライナ North Carolina, rabid fox(キツネ)
 情報源: Wake MyNC.com 、2010年7月6日
... Wake County health officialsは、 Rivermead Lane and Stonewyck Lane 付近でキツネ 1匹の狂犬病が確認されたと発表した...
[2] ニューヨーク市 New York City, Central Park, raccoon (アライグマ) bite
Raccoon Bites Woman In Central Park
 情報源: GOTHAMist 、2010年7月7日
the 72nd Street Transverse, near the Mall and Bethesda Fountain のベンチに座っていた女性が、背後からアライグマに襲われた。
[3] コネチカット Connecticut, rabid bobcat(ボブキャット)
 情報源:The Courant 、2010年7月6日
イヌ2頭とイヌを助けようとしたヒトを襲った1頭のボブキャットの、狂犬病の検査が陽性となったと、警察が発表した。Terry's Plain Road にある自宅で発生した...
[4] ノースカロライナ North Carolina, rabid fox(キツネ)
County issues rabies alert after rabid fox bites Statesville man

 情報源: Mooresville Tribune 、2010年6月25日
男性1名が、Devon Lane in Statesville, NC の自宅で狂犬病のキツネに襲われ、治療を受けている ... gray fox が庭を横切り、 the fence surrounding the pool を通り抜けたとき、子どもらはプールで遊んでいる最中だった。ボールを投げつけると一旦藪に逃げ込んだが、様子を見に戻った男性が持ったおもちゃのバットと男性の足に襲いかかった ...
[5] フロリダ Indiantown Florida, rabid bobcat (ボブキャット)
Bobcat that killed 2 pigs in Indiantown tests positive for rabies

 情報源: TCPalm.com 、2010年7月12日
先週、2頭のブタを死亡させた1頭のボブキャットの狂犬病の検査が陽性となった。7日に、Southwest Foxbrown Road. の牧場で、複数のブタを襲ったこのボブキャットは、狂犬病の検査の結果陽性であったことが明らかになった ... Martin County で狂犬病が確認されたのは、2010年に入って2件目となる。5月に Palm City のウマを襲ったボブキャットも狂犬病陽性だった。the Treasure Coast 沿岸から、多数の狂犬病が報告されている。All of Indian River County では、5件のヒトの襲撃事件があり、2010年8月まで狂犬病に対する警戒態勢が続けられたままである...
[6] ノースカロライナ North Carolina, rabid fox (キツネ)
County's 10th case of rabies confirmed
 情報源: NW Observer 、2010年7月8日
Ladford Lane in High Point でヒトを襲ったキツネが、狂犬病の検査で陽性となり、Guilford County で2010年のこれまでに狂犬病が確認されたのは10件となった。
[7] ノースカロライナ North Carolina, rabid raccoon (アライグマ)
New Hanover Co. confirms 6th case of rabies
 情報源: WWAY TV3.com 、2010年7月7日
New Hanover County Animal Control 当局は、 201年の the 6th case of rabies を確認した。 5日 Mimosa Place の住民から、ペットのイヌ3頭とけんかになった野生のアライグマが死亡したことが報告された。検査により、アライグマの狂犬病が確認された。...
[8] バーモント Vermont, rabid fox(キツネ)
Rabid fox bites Barre man

 情報源: Times Argus、2010年7月8日
Barre で男性の足首にかみついた A gray fox が狂犬病に感染していたことが、Vermont Department of Health biologists により確認された。この男性は、1日 Pond Street で乗り物から降りたところを突然襲われ、足首を噛んだあとキツネは逃げ去ったと言う...
[Mod.TG- the CDC regulations on post exposure prophylaxis (狂犬病曝露後接種) regarding rabies : 1回の human rabies immune globulin (ヒト抗狂犬病免疫グロブリン) と 4 doses of rabies vaccine (ワクチン); 暴露した日と days 3, 7, and 14 である。通常、上腕の筋肉内に接種される。b曝露後速やかに開始されれば、この一連のワクチン接種の狂犬病発症予防効果は非常に高い。ワクチンを暴露前接種されていた動物に対する暴露後の治療は、州ごとに若干違っている ... Unvaccinated pets are generally euthanized(暴露前接種を受けていないペットは、通常、安楽死させられる)]

イタリア
PRO/AH> Rabies, fox - Italy (02): (NE) vaccine 20100717.2388
Impact of emergency oral rabies vaccination of foxes in northeastern Italy, 28 Dec 2009 - 20 Jan 2010: preliminary evaluation
 情報源: Eurosurveillance, Volume 15, Issue 28, 15 July 2010, Rapid communications 、2010年7月15日
1.要約 
2008年、スロベニアとの国境に近いイタリア北東部でキツネの狂犬病 Rabies 感染が増加した。2009年、感染が西のベネトVeneto 州に拡大し、2010年には トレントTrento and ボルツァーノBolzano 両州にも拡大した。2009-2010年の冬、緊急のキツネに対する経口狂犬病ワクチン oral fox vaccination [OFV] の空中散布が行われた。このワクチン散布は、 freezing level 以下(氷点下の気温?) で実施され、その効果を確認するための統計学的解析が行われた。ワクチン接種キャンペーン後に捕獲されたキツネの77%に 0.5IU/ml の狂犬病抗体価が確認された。
2.結語 
好適ではない気象条件下の冬期に緊急 OFV キャンペーンを実施した。ワクチンが凍結することで、免疫応答が十分起きなくなったり、凍結と解凍がくり返されることで(ワクチンの)ウイルスのタイタ-も減少する可能性があることから、気温 temperatures below 0 DEGC でのワクチンは推奨されていない。しかし、77%で満足すべき結果が得られ、2010年春にさらに広範囲 (the entire region of Friuli Venezia Giulia, Trento and Bolzano, and part of the Veneto region). に対して実施した

● トリパノソーマ症 アルゼンチン:イヌ科保有宿主
PRO/AH/EDR> Trypanosomiasis - Argentina: (CC Chaco) canine reservoir 20100717.2391
 情報源: Nature、2010年6月24日
Chagas disease in the Chaco
[Mod.EP- supplement issue of Nature (Nature 2010;465(7301 suppl.):S3-S22) は、progress on Chagas disease にすべてを割いている。この中で、"if you have fewer than 2 dogs in a household, you're unlikely to get infected(飼っているイヌが 2匹未満 [1匹だけ] なら感染の可能性は低い)" との内容が、中心的な意見として述べられていることから、 イヌが _T. infestans_ の reservoir for human infections であるということがわかる。アルゼンチンからトリパノソーマ症について報告されるのは 1986年以来のことである (Gurtler RE et al. Dynamics of transmission of Trypanosoma cruzi in a rural area of Argentina. I. The dog reservoir: an epidemiological profile. Rev Inst Med Trop Sao Paulo. 1986;28:28-35) ]

● アフリカ豚熱(豚コレラ)カメルーン
PRO/AH/EDR> African swine fever - Cameroon: (North), RFI 20100717.2389
 情報源:Newsroom - meattradenewsdaily.co.uk、2010年7月17日
Cameroon - 10 000 pigs destroyed
カメルーン政府は、African swine fever アフリカ豚熱の感染流行対策として、過去 2週間に 10450頭以上のブタの処分を行ったことが、12日の政府系ラジオで伝えられた。東部のチャドおよび中央アフリカ共和国との国境にある、北部 Mayo Rey で5月に流行が発生したと報じられている。
[Mod.AS- OIE のウェブサイトのカメルーンに関する情報によると、ASF は複数の地域に限局して常在しており、"modified stamping out." などの対策が実施されている。2009年、19件の流行が報告されており、531頭に被害がおよんだ。178頭のブタは廃棄処分となり、62頭が処分されたと報告されている。感染の流行が報告されたのは 5 regions: Centre, East, Littoral, South-west and South である。今回の処分数は異常に多いが、これまでに感染の無かった地域で起きたのだろうか]

● 原因不明の死亡、ニホンザル 日本
PRO/AH/EDR> Undiagnosed deaths, macaque monkeys - Japan (05): RFI 20100717.2387
[1] Japanese monkey deaths puzzle
 情報源: Nature 466, 302-303 (2010) 、2010年7月13日
原因不明のサルの死亡原因となっている疾患は、ヒトの健康には影響がないとの説明を、霊長類研究センター Japan's premier primate research centre の研究者らが懸命に行っている。初めての発見からおよそ10年経過し、Kyoto University's Primate Research Institute (PRI) [also abbreviated KUPRI 京大霊長研] が、この疾患についての説明と、その原因の究明に至っていない事実について online publication on 1 Jul 2010 と in a press release on 7 Jul 2010 で明らかにした。しかし、その説明は他の研究者らにとって物足りないものとなっている ... これまでの経過、2010年7月の発表、判っていることの内容など。
[Mod.AS- これまでの記事より一部詳しい報告だが、除外診断された the "6 bacteria and 16 viruses" and the toxins の内容などの詳細は、依然不明のままである ]
[2] 霊長研、病死サルの一部殺処分へ 同じおりの個体など
 情報源: Chunichi Shimbun [Japanese]、2010年7月16日
(原文記事からの抜粋)
愛知県犬山市の京都大霊長類研究所(霊長研)で飼育中のニホンザルが原因不明の疾病で大量死した問題で、霊長研が、発症したサルと同じおりにいるなどした一部のサルを段階的に殺処分する方針を固めたことが分かった ... 付属の世界サル類動物園長は、「..防疫上、原因不明の危険を放置すべきではなく、研究所内のニホンザルを『ゼロにする』ことが重要で、申し入れた」と述べた。霊長研では、2001~10年の間にニホンザルが原因不明のまま計44匹死んでおり、7日の会見で「未知の病原体による感染症の可能性が極めて高い」と説明した。
[Mod.AS- KUPRI は先頃 severe biosecurity measures の実施を決めた。その内容とは、付属する 2施設の霊長類の全数 (800) primates の処分が含まれる。 the 'Japan Monkey Centre (JMC 日本モンキーセンター) は霊長類の研究、保存、教育を担っており; the 'World Primate Zoo (WPZ 世界霊長類動物園) は、約70種650 個体を飼育する the world's largest collection である]