2010年7月16日

インフルエンザパンデミック (H1N1) universal influenza vaccine Science

● Q熱 オランダ
PRO/AH/EDR> Q fever - Netherlands (29): update 
Archive Number: 20100716.2382
 情報源:RNW (Radio Netherlands Worldwide) via Expatica.com、2010年7月15日
Q fever restrictions in the Netherlands lifted
オランダ農業省は、2010年の Q熱 Q fever 感染流行発生以来続けられていた乳用ヤギとヒツジの繁殖および移動の制限を解除した。妊娠したヤギやヒツジを宿主とする細菌による感染症で、ヒトに感染し、衰弱した患者は死亡することもある。
2010年1月以降、420人がQ熱に感染し、すでに持病のあった5人が死亡した ...
[Mod.AS- オランダで 91番目に Q 熱が確認された農場は、アイントホーフェン Eindhoven の北西約 12kmにある Oirschot(North Brabant)の農場で、適切な時期に正規のワクチンを接種されたにもかかわらず、ミルクの PCR 検査で陽性となった。ワクチン接種で完全に感染を防ぐことはできないが、細菌の増殖を抑え、他の家畜への感染や流産を予防できる。この感染例が農業省から発表されたのは 7月13日であった。ワクチンを接種された群れは、処分も繁殖制限もされない。安全のため、所定のバイオセキュリティ対策が実施されている。公衆衛生当局によると、2010年のヒトでの Q 熱感染例は 420例である。このうち 310人は 2010年に感染した。2009年の感染は 95人で、ほか 6人はそれ以前の感染となっている。あとの9人はいつ感染したか明らかになっていない]
関連項目 
Q fever - Netherlands (28): update 20100601.1826

● インフルエンザパンデミック (H1N1) 2009(2件)
PRO/AH/EDR> Influenza pandemic (H1N1) (52): WHO update 109 20100716.2381
Pandemic (H1N1) 2009 - update 109
 情報源:World Health Organisation (WHO), CSR, Disease outbreak news 、2010年7月16日 FORTH
12日現在、世界の214以上の国や地域から18,337例以上の死亡例を含む新型インフルエンザの確定症例が報告されている。新型インフルエンザの活動性は、世界的に概ね低い状態で推移している。現在、新型インフルエンザが最も活動的な地域は、南アジア、アフリカ西部、中米の一部で、季節性H3N2インフルエンザウイルスは、アメリカ大陸、アフリカ、東南アジアで流行が続いている。南アでは6月下旬、インフルエンザ陽性(主に季節性B型およびH3N2)の割合が急激に増加しはじめたが、7月第2週には減少してきている。オーストラリア、アジア (インド南部および西部、シンガポール、マレーシア以外) で、新型インフルエンザの活動性は概ね低く、散発的な発生にとどまっている。南北アメリカの熱帯地域では、新型と季節性H3N2インフルエンザの共流行が最近見られた中南米の一部の地域を除いて、新型および季節性インフルエンザの活動性は概ね低いままで、アフリカ西部のガーナでは、4月上旬に新型インフルエンザ最初のピークを迎えてからも、流行再燃が数ヶ月以上続いている。季節性B型インフルエンザはアフリカ中部および南部の一部、とくに6月に患者数の激増が見られたカメルーンで流行が続いている。

PRO/AH> Influenza pandemic (H1N1) (51): universal influenza vaccine 20100716.2377
 情報源:NIH News, NIAID Press Release 、2010年7月15日
NIH Scientists Advance Universal Flu Vaccine
何十年にもわたって、あらゆるインフルエンザウイルスからわれわれを守ることが期待されるため、そう名付けられているユニバーサルインフルエンザワクチンの開発が、the National Institutes of Health (NIH 米国立衛生研究所) の the National Institute of Allergy and Infectious Diseases (NIAID 国立アレルギー感染症研究所) の研究者らによる研究結果から、実現の現実味を帯びてきた。マウス、フェレット、サルを使った実験において、2-step immunization approach の手法を用いることで、多数の異なるインフルエンザイルス株を攻撃する infection-fighting antibodies (感染攻撃抗体)が誘導された。現行のインフルエンザワクチンでは、このような広域中和抗体は誘導されないため、それぞれの年の優位ウイルス株に適合するよう、毎年組成を変更する必要があった...
原著 Induction of broadly neutralizing H1N1 influenza antibodies by vaccination. Science DOI: 10.1126/science. 1192517 (2010)

● 日本脳炎など インド
PRO/AH/EDR> Japanese encephalitis & other - India (07): (MN) conf. 20100716.2380
[1] 34 検体の日本脳炎の検査が陽性となった
 情報源: The Telegraph 、2010年7月14日
The Manipur health department 当局は14日、州内で Japanese encephalitis [JE 日本脳炎] の感染流行宣言を出し、とくに the 4 valley districts を中心に、医療機関や住民らに十分注意するよう呼びかけた。地域医学研究センターで行われた40検体の検査で、34検体の検査が陽性となったことからこのような対応が取られることとなった...
[2] 一斉ワクチン接種が行われる
 情報源:E-Pao 、2010年7月14日
2010年の11月から12月にかけて、ワクチン一斉接種が予定されている。マニプル Manipur 州も対象地域に入れられている....
[3] 3人が死亡
 情報源: E-Pao、2010年7月15日
The outbreak of Japanese encephalitis により3人が死亡し、さらに5人についても、感染による死亡が疑われている...
[4] 14歳の死亡
 情報源:E-Pao、2010年7月14日
Khunthak village の14才の少年の死亡に加え、インドとミャンマーとの国境地帯にも JE 感染の疑われる症例が確認されている。
地図 India, including Manipur 

● 原因不明の大量死、魚類 米国(2件)
PRO/AH/EDR> Undiagnosed die-off, fish - USA: (HI) puffer fish 20100716.2384
 情報源: KITV.com 、2010年7月10日
Mysterious illness killing puffer fish
the US Geological Survey の野生動物疾患の専門家によると、過去6ヶ月間に(ハワイ)州全域から100件以上のフグの死亡の報告が入っているとのことである ...
[フグに関する詳説 フグには100以上の種がある。ほとんどが大西洋、太平洋、インド洋の熱帯もしくは亜熱帯の海洋に棲む。淡水や汽水に棲む種類もある。blowfish, fugu, swellfish, and globefish とも呼ばれ、危険が迫ると水を含んで体長の2倍に膨らむことから、puffer(膨らむの意)と呼ばれる。膨らんだ状態では、通常の半分のスピードでしか泳げない。フグ毒の解説など]

PRO/AH/EDR> Undiagnosed die-off, fish - USA: (PA, ID) 20100716.2373
[1] ペンシルベニア Pennsylvania
 情報源: The Mercury 、2010年7月14日
North Coventry の1か所の池で、数百匹と見られる魚類の死体が、ケニルワース Kenilworth Park を訪れた人々を驚かせている..
[2] アイダホ Idaho [* 後に WA に訂正された]
 情報源: The Spokesman Review 、2010年7月13日
Long Lake の湖岸に、多数のコイの死体が打ち上がっている

● 狂犬病、キツネ イタリア
PRO/AH/EDR> Rabies, fox - Italy: (NE Northeast) update, regional impact 20100716.2383
 情報源:Swissinfo 、2010年7月16日
Rabies creeps closer to the Swiss border
イタリア北東部における狂犬病 Rabies の感染流行が、最悪の場合、隣国であるスイスに波及する可能性が出てきた。現在発生している地域は、スイスとの国境から100km離れているものの、当局は事態を真剣に見守っている。スイス国内では、1998年以来この致死性ウイルスは確認されていない。イタリアでは、2008年の9件から、2009年に69件、2010年は半年で199件と、狂犬病の異常な増加が続いている。キツネがほとんどだが、イヌ、ネコ、シカやそのほかのほ乳類にも感染する。イタリアの狂犬病のキツネは、比較的数の多い東欧から移動してきたと考えられている。スイスでは以前から狂犬病対策が続けられており、1960年代から1970年代には、感染のリスクの高い農村地域で、ニワトリの頭にワクチンを詰めて地面にばらまくことも行われていた。イタリアからの自然の進入経路となる、canton Graubunden's Munster and lower Engadin valleys では、当局による監視が強化されている。
[Mod.AS- イタリアの狂犬病発生地域に最も近い国はオーストリアである; イタリア国内での狂犬病の増加が始まったのは2008年以降のことで、 9 Apr 2010 に国内での常在化が宣言された]

● 原因不明の死亡、ヤギ ケニア
PRO/AH/EDR> Undiagnosed deaths, caprine - Kenya: (Rift Valley), RFI 20100716.2379
 情報源 Daily Nation 、2010年7月10日
Farmers lose 300 goats to disease
East Pokot District [in the Rift Valley province] において、Rift Valley fever リフトバレー熱が疑われる感染流行の後、この1ヶ月間で300頭以上のヤギが死亡した。Kolloa Division の住民らの話では、Kolloa and Kaisagat locations の中の10軒以上の農家が、家畜の半数を失ったことが伝えられている。病気の症状としては、咳、下痢、鼻孔の粘液滲出と口腔の水疱形成があったという。獣医学当局者は、the contagious caprine pleuropneumonia (CCPP ヤギ伝染性胸膜肺炎) を疑っていると述べた ...
[Mod.AS- ケニアからの OIE への報告では、CCPP は国内に常在し、2009年に17件のアウトブレイクが発生し、149万頭あまりにワクチンが接種されている。重篤な人獣共通感染症である RVF を除外診断することは、公衆衛生対策上非常に重要である。2009年、RVF は発生せず、最後の動物での流行があったのは、2007年6月である。しかしながら、ケニア政府当局は5月、North Eastern, upper Eastern and the Rift Valley provinces の各州に対し、RVF の感染流行に十分警戒するよう通達を出した。放牧地区の家畜で感染が活発化しているとして、ワクチン接種が行われている(20100520.1675)。症状 (coughing, diarrhoea) から判断すると、PPR の可能性も十分ある]

● 口蹄疫 日本
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - Japan (33): (MZ) update 20100716.2378
[1] Owner of stud bulls in Miyazaki accepts their slaughter
 情報源: Kyodo News International via istockanalyst.com 、2010年7月16日
宮崎県の種牛6頭の所有者らは16日、日本の南西部にある同県での foot-and-mouth disease [FMD 口蹄疫] 感染流行制圧のための処分に同意した。これまでは殺処分に反対の立場だった...
[2] Miyazaki Pref. failed to report cow's alleged infection with disease to national gov't
 情報源:The Mainichi Daily News 、2010年7月15日
口蹄疫:宮崎県、「疑い牛」国に報告せず殺処分
宮崎県の口蹄疫(こうていえき)問題で2010年6月、県の家畜保健衛生所の職員らが同県新富町の農家で、異常があるウシ1頭を発見したにもかかわらず、写真撮影や国への通報などをしないまま殺処分していたことが分かった。農林水産省の聴取に県は「口蹄疫特有の症状とは聞いていない」と回答したという。農水省は、家畜伝染病予防法違反の疑いもあるとみて事実関係を調査する...異常があるウシは6月25日に見つかった。獣医師が1頭の異常に気づき、家畜防疫員に知らせ県に連絡して相談し「口蹄疫の症状ではない」との結論を得て、ウシの写真撮影や採血をせずに作業を再開し、牛は処分したという...
[Mod.AS- 同じ serotype O virus strain が中国と韓国でも確認されている。モンゴルとカザフスタンで発生した serotype O の解析が待たれている]

● 小麦の病気,Blue dwarf disease 中国
PRO/PL> Blue dwarf disease, wheat - China: new phytoplasma 20100716.2375
 情報源:Plant Disease 、2010年8月
[Full text with pictures available by subscription only]
原著:Y Wu et al: Identification of the phytoplasma associated with wheat blue dwarf disease in China. Plant Dis 2010; 94, 977-985; DOI: 10.1094/PDIS-94-8-0977
要約: Wheat blue dwarf disease (WBD) は、1960年代に中国で初めて報告された。中国北西部では、冬小麦 winter wheat (_Triticum aestivum_) の深刻な被害がくり返し発生している。はっきりとした病原体は判っていない。今回われわれは、 _Psammotettix striatus_ が伝播する、16SrI-C phytoplasma transmitted の1種が原因となり、WBD が生じることを明らかにした...
[Mod.DHA- Blue dwarf disease (WBD) は、中国北西部の arid and semiarid (乾燥・半乾燥)地帯の冬小麦にとって、最も重要な疾患の1つと考えられている ... The leafhopper _Psammotettix striatus_ が WBD. _P. striatus_ のベクターであることが判明したが、これは _Winter wheat mosaic virus_ (genus _Tenuivirus_) のベクターでもある]

● 東部ウマ脳炎 米国
PRO/AH/EDR> Eastern equine encephalitis - USA (08): (LA) 20100716.2374
情報源:The Advocate 、2010年7月13日
St James Parish の 3才馬1頭が、eastern equine encephalitis [EEE 東部馬脳炎] and West Nile virus に感染していたことが12日判明した。13日に当局者が明らかにした。バトンルージュ Baton Rouge にある The Louisiana Animal Disease Diagnostic Laboratory (ルイジアナ州動物疾患診断研究所)で、EEE and West Nile virus が確認された..
地図 St James Parish