2010年8月24日

ウエストナイルウイルス ロシア,欧州:コメント

● ウエストナイルウイルス ロシア,欧州:コメント(2件)
ロシア
PRO/AH/EDR> West Nile virus - Russia: (Volgograd) 
Archive Number: 20100824.2979
 情報源:France 24 、2010年8月24日
中央アジア・ボルゴグラード Volgograd でおきている、ウエストナイルウイルス the West Nile virus 感染流行による死者は5人、感染者は100人を超えていることが24日当局者により明らかになった。感染のリスクのある住民は200万人いる。7月16日から8月23日までの期間中、116人の WNV 感染患者が確認され、このうち5人が死亡したとウェブサイト上に投稿された。感染リスクのある200万人のうち、中心地ボルゴグラード Volgograd; 旧 Stalingrad 市および周辺地域の住民150万人は "the high-risk zone(特に感染の危険性が高い地域)" にあたるとされている。ボロネジ Voronezh でも3人の患者がウイルスに感染した。
[Mod.TY- 1999年と2007年に Outbreaks of West Nile (WN) virus infections in Volgograd は発生しており、the 1999 epidemic では599 人が感染し、33人が死亡している。2007年は、9月中旬の時点で合計44人が感染し、異常な気温上昇も一因とされた。]

コメント
PRO/AH> Encephalitis - Greece (10): (MC) WNV, comment 20100824.2972
欧州では鳥類の大量死が報告されていないと指摘された点について。
 投稿者:仏・ Institut Pasteur、Paul Reiter, PhD, FRES 、2010年8月24日
欧州で、鳥類の死亡が報告されたことはこれまでほとんどなかった。オーストリアとハンガリーでは、鷹狩りに使用されるタカに限り、数件が散見されるが、他の地域ではおそらくまれである。ルーマニアでは、ブカレストBucharest 地域で、常に血清抗体陽性化率が高い値をとっているが、WNV の研究を長年続けている科学者は、目立った死亡発生を見たことはないと述べている。5年以上 the EU-funded EDEN-West Nile project に関わってきた、the Danube Delta の鳥類学者も、高い血清抗体陽性率が確認されているものの、大量の死亡発生は報告されていないとしている。スペイン、フランス、イタリア、チェコでも、鳥類の死亡は報告されていない。ルーマニア東部の広い範囲で最近行われた国内の約75万頭のウマでの血清学的調査で、およそ30%の陽性率であったが、感染症例は確認されていないと述べた。セネガルのウマの血清学的調査でも、年齢が進む従って陽性率は上昇して、7才馬では90%に達し、感染伝播が高率に起きているものの、臨床的な症状を示す症例は見つかっていない。一方、欧州の一部の地域では、新世界同様、ウマの発症例が、地域内感染の鋭敏な指標となっている。こういった例は、おそらく WNV 感染伝播が著しく低く、発生率が不安定 erratic な地域にあてはまると思われる。従って、感染伝播が常に起きている旧世界のウマには、何らかの形で先天性の免疫 innate immunity が成立しているものと考えられる。このようなinnate immunity が、欧州の鳥類では、渡り鳥にも留鳥にも広く成立し、新世界では欧州から導入された種 (イエスズメ House Sparrow, Starling and Rock Dove) などの鳥類が保有していると思われる。
[Mod.TY-D. Reiterが示唆した、West Nile (WN) virus transmission が頻繁に行われている地域での、鳥類やウマの host resistance の話は、 野鳥やウマの死亡が見られないことの、納得いく説明を与えてくれている。 欧州と南北アメリカで、感染循環する WN ウイルス株に、毒性の違いはないのだろうか。南北アメリカの WN ウイルスが、東欧原産の鳥類、とりわけカケスあるいはカラス corvids を死亡させるだろうか(決して行い得ない実験だが)。また、WN ウイルスに感染した欧州の鳥類は、蚊族ベクター(イエカ属 _Culex_ mosquito vectors)を感染させるほどの期間と量の、ウイルス血症を起こすのだろうか]

● 狂犬病 インドネシア
PRO/AH/EDR> Rabies, human - Indonesia (11): (Bali) 20100824.2976
 情報源: Jakarta Globe 、2010年8月24日
Bali Rabies' Toll Rises to 78 After 2 Children Die
8月22日からの週末、バリ Bali では2人の子どもが狂犬病 Rabies のため死亡し、2008年11月の流行開始以来、島内の死者は78人となった。今回の死者は、いずれも Buleleng district 出身の13才と5才の子どもで、それぞれ22日と23日に死亡した。
[Mod.CP- 狂犬病感染流行に、改善の兆しが見えない。イヌによる咬傷と死者の数は増え続けており、曝露後接種(ワクチン)の供給も不足したままである。これまでのところ、現地住民だけが狂犬病に感染し、旅行者の狂犬病ウイルス感染の報告はない。しかし、同島への旅行者は、事前の注意を聞き、十分な備えをする必要がある]

● 東部ウマ脳炎 米国
PRO/AH/EDR> Eastern equine encephalitis - USA (23): (MI) 20100824.2975
 情報源: Freep.com、2010年8月24日
Eastern equine encephalitis (EEE 東部ウマ脳炎) による3人目の死者が、23日ミシガン州保健当局 the Michigan Department of Community Health により確認された。先週、カラマズー Kalamazoo County で2人の患者の発生が報告されている。

● レプトスピラ症 マレーシア
PRO/AH/EDR> Leptospirosis, fatal - Malaysia (02): (KH) 20100824.2971
 情報源: El Paso Times 、2010年8月23日
これまでにおよそ10人の死者が発生したと見られる、ネズミが伝播する レプトスピラ症  leptospirosis 感染を予防するため、マレーシア政府当局は公園を閉鎖すると共に、市民に対し、河川での遊泳やゴミ投棄の危険性に対する注意を呼びかけている。21日、北部ケダ  Kedah 州の17才の患者が新たに死亡した。2010年7月、友人らと川で泳ぎ、レクリエーション公園へピクニックに行っていた。先月に初めての死者が発生して以来、国内の複数の公園が閉鎖されていた。死亡患者の一部は、レプトスピラ症以外によるものと見られており、保健省当局者は、レプトスピラ症による死者の数に関し、即答を避けている。マレーシアでは、レプトスピラ症による感染が増加しており、2004年の患者は263人、死者20人であったのに対し、2009年には患者数1400人、死者62人に達している

● 炭疽 バングラデシュ,キルギスタン(2件)
バングラデシュ
PRO/AH/EDR> Anthrax, human, bovine - Bangladesh (04): (SR) susp. 20100824.2970
[1] 約88人が感染
 情報源: iStockAnalyst 、2010年8月22日
首都ダッカ Dhaka から北西134kmの、Sirajganj district 内の3か所の村で、病気のウシを食べた3週間後に、およそ88人が炭疽 Anthrax に感染した。22日 the district Nurul Islam の医師によると、Dhopakandi village of Kamarkhand sub-district で32人、Adachaki village of Belkuchi sub-district で15人の患者が報告されている。最初の患者が発生したのは Chithulia of Shahjadpur sub-district で、その後 Kamarkhand and Belkuchi に広がった。
[2] 112人に炭疽感染の疑い
 情報源: Xinzhuanet 、2010年8月23日
北西部で少なくとも112人が、病気の家畜の肉を食べて炭疽に感染した疑いがあると23日に保健当局者が述べた。ダッカ Dhaka から約134kmの Sirajganj district の住民およそ89人が、病気のウシの肉を食べて炭疽に感染した疑いがあると述べた。さらにダッカの216km西の Pabna district でも、23人が治療を受けていると説明した

キルギスタン
PRO/AH/EDR> Anthrax, human - Kyrgyzstan (02): (OS) susp. 20100824.2968
 情報源:24.kg News Agency [in Russian]、2010年8月17日
the Kara-Suu rayon [district] of Osh oblast [region] の男性2名が、炭疽に感染した疑いがあると、保健省が発表した。検査のための検体が採取され、感染があったと思われる場所には予防的な措置が行われている。
[Mod.MHJ- キルギスタン南東部の政情不安 unrest や、ウズベキスタン側の家畜に対する炭疽対策の遅れにより、今後もこのような事例の発生が続くだろう]

● 旋毛虫症 チリ
PRO/AH/EDR> Trichinellosis - Chile: (VD) 20100824.2969
 情報源:Radio BioBio [Translated from Spanish (SB)]、2010年8月24日
Trichinellosis in the communes of La Union and Valdivia(VD), Chile
La Union 市に発生した旋毛虫症 Trichinellosis 感染流行による感染者は合計11人となった。患者らは入院となった; 最初の患者は6歳未満の小児で、La Union 病院に入院中である。感染した肉を食べた患者11人のうち、6人が Valdivia で発生しており、La Union and Valdivia 両保健当局から、検査のための肉の検体が提出されている。
[Mod.EP- 何の肉が、どのような料理に使われたのか? おそらくブタかイノシシだろうと思われる。チリ国内では、以前に野生のイノシシの trichinellosis について報告されている(First record of human trichinosis in Chile associated with consumption of wild boar (Sus scrofa). Mem Inst Oswaldo Cruz. 2005;100:17-8.) 。チリを含む南米の  trichinellosis に関するレビューの中で、"メキシコ、アルゼンチン、チリの the outbreaks of human trichinellosis のほとんどは、調理不十分な、不衛生な環境で飼育され、密かに処分されたブタの肉の摂取によるものと記載されている( Epidemiology of trichinellosis in Mexico, Central and South America. Vet Parasitol. 2000;93:201-25)]
2つの地域に関する情報: Valdivia La Union



● 炭疽 カナダ,米国(2件)
カナダ
PRO/AH/EDR> Anthrax, bison - Canada (13): (SK) 20100824.2977
 情報源:CBC News 、2010年8月20日
カナダのサスカチュワンSaskatchewan 州南部のウシの群れで、炭疽感染が発生している。20日、the Canadian Food Inspection Agency 当局は、感染流行により12頭のウシが死亡したと発表した。Reina からおよそ110km 離れた、the Fillmore area のウシが感染したが、その前に、Regina 南東のthe Weyburn area のバイソンの群れで流行が発生していた。

米国
PRO/AH/EDR> Anthrax, bovine - USA (03): (ND) 20100824.2974
Anthrax cases reported in North Dakota) county; ranchers urged to vaccinate cattle

 情報源: Associated Press 、2010年8月24日
ノースダコタ North Dakota's Agriculture Department 当局は24日、新たなウシの炭疽感染例が確認されたことを明らかにした。州北東部 Pembina County において発生した。これまでの報告は Barnes, Dickey and Sioux counties からで、全て州の南半分からの報告であった...
[Mod.MHJ- Pembina は the Manitoba boundary のすぐ近くで、North Dakota and Minnesota から Winnipeg, Canada につながる the old cattle trails の途上にある。1920年代かそれよりも古くまで遡るウシの炭疽感染の古い歴史があり、rancher は居眠りをして  this past Easter までワクチンをさぼっていた]

● リフトバレー熱 サウジアラビア
PRO/AH/EDR> Rift Valley fever, cattle, sheep - Saudi Arabia: (JZ), OIE  20100824.2978
 情報源: OIE WAHID (World Animal Health Information Database) Disease Information 2010; 23(34) 、2010年8月24日
Rift Valley fever, Saudi Arabia
感染開始時期 2010年3月10日、最終報告
流行終息時期 2010年3月10日 Sub-clinical infection
原因ウイルス Rift Valley fever virus
新たな感染流行
発生地 South west Region of the Kingdom, El Arda, Sebia, Jizan
感染した種 Cattle
Susceptible 1 Cases 1 Deaths 0 Destroyed 1 Slaughtered 0
感染した種 Sheep
Susceptible 100 Cases 5 Deaths 0 Destroyed 5 Slaughtered 0
Affected Population: Sheep and Cattle
血清学的サーベイランス陽性例の報告

● アフリカ豚熱(豚コレラ)ロシア
PRO/AH/EDR> African swine fever - Russia (07): (KD, RO) 20100824.2966
[1] Krasnodar 
Outbreak of African swine fever in Krasnodar territory
 情報源:New Izvestia [in Russian]、2010年8月17日
the Severskoy rayon [district] of Krasnodar krai [territory] で、African swine fever (ASF アフリカ豚熱) の感染流行が確認されている。当局によると、Solenaya Shel 近郊の森林で、2頭の野生のイノシシの死体が発見され、獣医学的検査により ASF の感染が確認された。この地域では、2010年になって3件の ASF 感染流行が発生している。
[2] Rostov
14 000 pigs destroyed in the Rostov region due to African swine fever

 情報源: Komsomolskaya Pravda [in Russian]、2010年8月22日
Rostov oblast [region]で、新たな ASF 感染流行が確認されたため、特に Martinovski rayon に対しては、非常事態体制が適応されている。Komarovski village 近くの野生のブタの死体から、ASF ウイルスが確認されたことを受けて決定された。Ust-Donetsk rayon では、同時にか2か所の村で ASF 感染流行が発生した。大規模養豚場の "Russkaya svinya" ("Russian pork") のブタにも感染が及んでいる。19日現在1200頭のブタが ASF により病死もしくは処分された。この農場ではブタ14500頭がすべて処分されることになった。
[Mod.AS- ロシア政府当局から OIEに提出された最新の ASFフォローアップ報告の日付は8月10日である; もし上記の状況が確定されたなら、詳細についてフォローアップ報告に記載してほしい]