2010年8月21日-23日

ランピースキン病 ウガンダ

● ランピースキン病 ウガンダ
PRO/AH/EDR> Lumpy skin disease, bovine - Uganda: east, susp. RFI 
Archive Number: 20100822.2938
 情報源: Sunday Monitor 、2010年8月22日
 ... Ciprox virus を原因とする lumpy skin 病は発熱と皮膚腫瘤の原因となる。身体の lumps はやがて深いキズとなり、迅速に治療されない場合死に至る。原因ウイルスの Capripox virus は1929年にザンビアで初めて確認された。ウシにワクチンの一斉接種が必要と獣医師は述べた。昆虫が媒介するこの病気により Kapir Sub-county ではすでに20頭が死亡している。
[Mod.AS- ウガンダに常在するとされている lumpy skin disease (LSD) ではあるが、2005年 (7 outbreaks in 5 provinces) 以降のウガンダから OIE への報告はなく、疑われることはあったが、確定診断されていない。
Lumpy skin disease (LSD, knopvelsiekte) は pox disease of cattle の1種で、発熱 ; 皮膚、粘膜、内臓の腫瘤; 衰弱; リンパ節腫脹; 皮膚の浮腫と死亡などを特徴とする。乳生産量の減少をもたらせ 経済的な影響が大きい。皮革の品質にも影響する。 LSD は capripoxvirus を原因とするが、このウイルスは sheep pox and goat pox と抗原性の上で区別がつかない。しかし sheep and goat pox の地理的分布との違いが見られることから、ウシのウイルスである capripoxvirus はヒツジやヤギには感染しないと考えられている。主に昆虫によって媒介され、ベクターの昆虫なしに接触しても効率的な伝播はおきない。
1988年までは、 サハラ砂漠以南 sub-Saharan Africa だけの病気であったが、この年にエジプトに感染が広がって常在感染となった。これまでにアフリカ以外の国で LSD が検査で確定診断された国はイスラエルレユニオンの2カ国だけである。イスラエルでは1989年に初めての発生があり、ワクチンと一斉処分でいったん排除され、2006年(1outbreak) と 2007年 (7 outbreaks) も "modified stamping out" and ring vaccination で排除されている。レユニオン Reunion、the overseas territories of France はモーリシャスから200kmのインド洋上の島で、1993年に LSD が流行した。1993 年のバーレーンの流行はウイルス分離による確定はされていない。2000年にモーリシャスに輸入されたウシの感染は、電顕で確定されている]
写真 clinical cases and gross pathology of LSD

● 麻疹 ナイジェリア
PRO/EDR> Measles - Africa (23): Nigeria 
Archive Number: 20100823.2946
[1] 2009年の麻疹患者455人から、4771人に増加した
 情報源: AllAfrica, This Day report 、2010年8月20日
政府当局は、2009年に確定された麻疹患者が455人であったところ、19日までに確認された国内複数か所から報告されていてる2010年の患者数が4771人であることに懸念を表している
[2] 2009年の10倍以上に増えた
 情報源: Yahoo News, Reuters report 、2010年8月20日
北部を中心としたコレラ感染について話した保健省疫学部長は、2010年の患者数が4665人に達した述べた。コレラと同時に、ナイジェリア政府当局は、麻疹感染流行にも対応を迫られている。2010年、アフリカ圏内で1400人以上の死者が発生している。2010年、ナイジェリア国内で確認されている患者数は4771人と、2009年の10倍以上に増えた。
[Mod.CP- 5月の時点で、アフリカ大陸の麻疹感染患者数は6400人で、死者1100人だった。当時 WHO は、20年間の麻疹感染対策が逆戻りしかねない事態との発言を行っている。過去1年間のアフリカ大陸における麻疹感染は64000人で、1100人以上が死亡しており、ナイジェリア、チャド、ジンバブエで大規模な流行が起きている。ナイジェリア国内の致死率の情報が欠如している]

● 脳炎 ギリシャ(2件)
PRO/AH> Encephalitis - Greece (09): (MC) WNV conf. 20100823.2943
 情報源:Kathimerini 、2010年8月21日
Aristotle University(Thessaloniki)の研究者らが、ギリシャ北部の蚊族で the West Nile [WN] virus を確認した。20日、同ウイルス感染による8人目の死者が出た。ウイルスを保有していたのは、他の多くの病気も伝播する _Culex pipiens_ of the _Culex_ genus であった。The [Greek] Center for Disease Control and Prevention (KEELPNO) 当局によると、20日に診断された15人を含め、92人が the West Nile virus に感染した。
[Mod.TY- 20100821.2922 の、蚊族ベクターに関する Mod.TY からの質問への回答となる。明らかに、今回の流行においては、the Asian tiger mosquito (_Aedes albopictus_) の WN virus transmission への関わりは示唆されていなかった。上記報告の通り、 _Culex pipiens_ は WNV のベクターとされている]

PRO/AH/EDR> Encephalitis - Greece (08): (MC) WNV conf. 20100821.2922
 情報源: El Confidencial [in Spanish]、2010年8月20日
ギリシャ北部のウエストナイルウイルス "West Nile virus" [WN virus] による死者は8人となった。この病気を媒介する the "tiger mosquito" の刺咬により感染した人の数は92人に上っている。前日に8人目の死者が発生し、新たに15人の患者が記録されたことを受け、20日に当局から流行状況について発表された..

● 炭疽 バングラデシュ、ブルガリア,カナダ(3件)
バングラデシュ
PRO/AH/EDR> Anthrax, human, bovine - Bangladesh (03): (PB Pabna) susp. 20100823.2944
 情報源:The Daily Star、2010年8月23日
fall sick in Pabna: anthrax suspected
Pathail Hat village(the district's Santhia upazila)で炭疽感染が疑われる患者が19人以上発生していると見て、当局が調査を開始した。前週に牛肉を食べた住民らが発病した
地図 Pabna は20日に報告のあった Sirajganj のすぐ南にあり、the Sirajganj riverの南岸沿い

ブルガリア
PRO/AH/EDR> Anthrax, human, ovine - Bulgaria: susp.
Archive Number: 20100821.2926
 情報源: FOCUS News Agency 、2010年8月21日
ブルガリア北東部の村で4-5頭のヒツジが死亡し、炭疽 Anthrax 感染が疑われるとして検査が行われ、当局はこれを否定しつつも感染対策がとられている。これより前にラジオ放送で、南東部 Stefan Karadzhovo 村の47才男性1名が、ヤンボル Yambol 市の病院に入院となり、皮膚炭疽と診断されたことが報じられている。男性はヒツジ1頭を処分したが、肉は食べていないと説明している。
[Mod.MHJ- ブルガリア国内の炭疽感染の発生は truly sporadic である]

カナダ バイソン
PRO/AH/EDR> Anthrax, bison - Canada (13): (NT Northern Territory), susp. 20100821.2925
 情報源:HQYellowknife.com 、2010年8月20日
Anthrax suspected in Mackenzie Bison Sanctuary Yellowknife, N.W.T.
the Mackenzie Bison Sanctuary で合計7頭のバイソンの遺体が発見され、炭疽感染についての検査が行われている。Fort Province 北西30kmの地点で、職員が7頭の遺体を発見した。保護区内で発見されるのは1993年以来となる。

● 腸チフス 米国
PRO/EDR> Typhoid fever - USA (02): (CA,NV) fruit pulp, recall
Archive Number:  20100822.2937
[1] CDC follow up report
 情報源: CDC 、2010年8月
5月25日から8月20日までの期間中に2つの州で、matching strain (同一の菌株) of _Salmonella [enterica_] serotype Typhi チフス菌に感染した9人の患者が確認されている: California (5) and Nevada (4)。
聞き取り調査により、患者9人中7人 (78 percent) が、冷凍果肉 mamey  frozen mamey fruit pulp(in a milkshake or smoothie、"batido" or "licuado" とも呼ばれている)を食べたと申告した。さらにこの7人中5人(71%)は、Goya brand frozen mamey fruit pulp を食べていた。 1人は La Nuestra brand frozen mamey fruit pulp を食べていた。
健康に問題のなかった人の中で frozen mamey fruit pulp を食べていた人はなく、病気との関連性が見出された他の食品はなかった。
Mamey, also called "zapote" or "sapote" は中南米を中心に生育する熱帯のフルーツで、中の種を取り除いたあと、果肉 fruit pulp をそのまま食べるか、もしくはミルクシェイク、ゼリー、その他の食べ物や飲み物に入れる。frozen mamey fruit pulp を作るときには、皮をむいてすりつぶし、a shake or smoothie として味わう。全米の食料品で購入でき消費期限は2-3年となっている。
[2] Additional recall
 情報源: FDA、2010年8月18日
Montalvan's Sales, Inc. of Ontario, California は予防的措置として,腸チフスの恐れがある "La Nuestra" brand frozen mamey pulp の回収を開始した。この商品は Arizona, California, Nevada, Oregon and Utah に流通している

● サルモネラ感染症 米国
PRO/AH/EDR> Salmonellosis, serotype Enteritidis - USA (03): eggs, recall 20100822.2936
 情報源:Dayton (OH) Business Journal 、2010年8月20日
サルモネラ感染症流行 Salmonellosis に関係し回収されるタマゴは5億個以上におよび、2000人の患者が報告されていると当局が発表した。サルモネラ症流行に関係するアイオワ Iowa 州の卵業者から出荷されたタマゴが、先週全米で回収される騒ぎとなった。この動きは第2の生産者である Hillandale Farms 社にも広がった。CDC は消費者に対して以下のような注意 (ガイドライン) を呼びかけている
- recalled eggs を食べない まだお店や飲食店、自宅内に残っている可能性がある
- 体調の不調が、recalled eggs 摂取によると思われる場合は、医療機関を受診する
- 卵はいつも冷蔵庫で保管する
- 割れたり汚れたりしたタマゴは廃棄する
- 黄身白身とも固まる(firmed)までよく調理する。
- 2時間以上室温で放置しない
- 卵を生で食べない
- 飲食店は、どんな料理 any recipe (such as Hollandaise sauce or Caesar salad dressing) にも pasteurized eggs を使用する 
などほかにも数項目あり。

● リンゴの病気,原因不明の mould と scab-メキシコ
PRO/PL> Undiagnosed mould & scab, apple - Mexico (QE) 20100822.2939
 情報源:Millenio [in Spanish]、2010年8月14日。
Queretaro de Arteaga の広い範囲で、リンゴの被害が発生している。最近降った hurricane Alex による降雨が原因と伝えられている。新型の white mould で、収穫量が5-10%減少した。Apple scab の被害も報告されている。

● European foulbrood(腐蛆病)、ハチ ノルウェー OIE
PRO/AH/EDR> European foulbrood, bees - Norway: (AA), OIE 20100821.2924
 情報源: OIE immediate notification、2010年8月20日
European foulbrood of honey bees, Norway
感染開始時期 2010年8月13日
前回流行時期 1994年
原因菌  _M. plutonious_
新たな感染流行 Total outbreaks: 3
発生地 Aust-Agder
1. Amli, District office of Aust-Agder, Regional office of Rogaland and Agder;
2. Tromoy, District office of Aust-Agder, Regional office of Rogaland and Agder;
3. Froland, District office of Aust-Agder, Regional office of Rogaland and Agder.
感染した種/ 個体数/ 症例数/ Deaths/ Destroyed/ Slaughtered
Bees (hives)/ 57/ 34/ 0/ 0/ 0
疫学的コメント
Tromoy and Amliは、同じ養蜂家のapiaries(養蜂所)で、接触性の感染拡大も否定できない...
[Mod.AS- European foulbrood of honey bees (EFB) の原因菌は _Melissococcus plutonius_ である。観察による発生の確認は信頼性が乏しく、最も一般的ではっきりとした症状は cells(ハチの巣の個室)をシールする直前の幼虫の死亡であるが、 これは European foulbrood 以外の場合に限られる。the diagnosis of EFB は病原体の分離と特定によって行われてきた。面倒な培養が必要である点で、ハチに関係する他の細菌と大きく事情が異なっている(診断方法 EFB diagnosis)。American foulbrood (AFB; 20020723.4842) の原因菌は _Paenibacillus larvae_で、世界中で発生し同じく幼虫に感染する]

● アデノウイルス出血性疾患、シカ 米国
PRO/AH/EDR> Adenovirus hemorrhagic disease, cervids - USA: (OR) 20100821.2923
 情報源: Statesman Journal 、2010年8月20日
Virus blamed for deer die-off near Corvallis
2010年7月にコーバリス Corvallis 近郊で発生した20頭の black-tailed deer の死亡の原因は、Adenovirus hemorrhagic disease (AHD) である可能性が高い、と州獣医学当局者は見ている。7月23日以降、オレゴン州当局 the Oregon Department of Fish と大学 Wildlife and Oregon State University の獣医師らが、the Timberhill area で回収されたシカ2頭の死体から、死因が SHD であることを確認した。州北東部の大学の McDonald-Dunn Research Forest のとなりの地域にあたる。AHD はシカだけに感染し、ヒト、ペット、家畜などに危険はないと説明されている。シカとシカの間の直接の接触により、病気が広がり、感染すると、foaming or drooling(流涎) at the mouth, diarrhea, seizures and weakness などの症状が見られる
[Mod.TG- The scientific name では,Black-tailed deer or Blacktail deer は _Odocoileus columbianus_ 、White tail deer は  _Odocoileus virginianus_ になり、ともに the family Cervidae の仲間である。Adenoviruses は、野生動物や家畜にかかわらず多くの種の動物に感染する。The AHD virus of deer は1994年に California ではじめて確認された]