2010年9月27日

デング熱/デング出血熱
狂犬病 南アフリカ、スウェーデン、中国(ニセのワクチン)、米国





● デング熱/デング出血熱
PRO/EDR> Dengue/DHF update 2010 (50)
Archive Number: 20100927.3506
[1] フィリピン the Philippines (Iloilo):The Star、2010年9月22日
Iloilo province の1月から9月18日までのデング熱 Dengue 患者数が4825人となり、死者は27人であることが、当局から報告された。
[2] 台湾 Taiwan (Kaohsiung City): RTI、2010年9月26日
保健相は2010年のこれまでに227人の感染者が発生している高雄 Kaohsiung City のデング熱の状況を懸念している。
[3] ベトナム:Vietnam Plus 、2010年9月21日
2010年、これまでに全国から5万5400人が感染し、うち42人が死亡したデング熱に対し、確実に対応するよう首相が指示した ハノイやホーチミン市での発生数など。
[4] タイ Thailand:National News Bureau of Thailand (NNT), Public Relations Department、2010年9月18日
公衆衛生相は、1月から9月11日までのデング熱患者数が7万5852人となり、死者は7人であると発表した。患者の多くは Northeastern provinces, 次いで the Central, Southern and Northern regions で確認されている。
[5] インドネシア (Jakarta): Berita Jakarta、2010年9月26日
Central Jakarta residents にとっては、デング熱は今も深刻な脅威であり、1月から9月までの患者数は1565人に達している。9月1日から20日にかけて260人が感染した。
[6] マレーシア:Arab Times、2010年9月22日
マレーシア政府当局は20日、デング熱による死者の発生が、2009年同期の70例から、2010年は107例に増え、53%の急激な増加があったと発表した。しかし、議論の多い、遺伝子組み換えが行われた蚊族放出によるデング熱駆除の試みについては、後退の意向を示した。
[Mod.TY- the sex-specific alternative splicing in insects to engineer female-specific autocidal genetic systems developed in the Mediterranean fruit fly, _Ceratitis capitata_ to _Aedes aegypti_ が採用される模様である。成功の鍵は、放出された、遺伝子が組み換えられたオスの蚊が、自然環境で生き延び、野生のオスに打ち勝って、野生のメスの蚊と生殖を行うことができるかにかかっている: Reference: Female-specific insect lethality engineered using alternative splicing. Nat Biotechnol 25(3):353-357.]
[7] 中国(香港 Hong Kong): MB.com.ph、2010年9月23日
香港で46歳の男性1名が、自所感染によるデング熱であると診断された。香港では7年ぶりの感染であると22日に保健当局が発表した。
[8] ネパール:Xinhua Net、2010年9月20日
Chitwan in central Nepal でデング熱により7000人以上が感染し、1か月間に19人以上が死亡したと、20日報じられた。8月の最終週に同地域内で発生したデング熱感染流行により、9 persons in Chitwan Medical College (CMC), 6 in Bharatpur Medical College and 4 in Bharatpur Hospital の死亡が発生したと伝えられている。
[9] インド
 -India (Delhi):The Times of India、2010年9月26日
26日に新たに95人のデング熱患者が報告され、首都の感染者数が2916人に達した。5人が死亡している。
 -India (Bihar):Data News & Analysis、2010年9月22日
the Munger district of Bihar で6人が死亡し518人がデング熱の検査で陽性となっている。
[10] パキスタン(カラチ Karachi):Daily Times、2010年9月23日
州内のデング熱患者数が増加しており、この24時間に新たに13人の患者が報告されている。2010年の合計患者数は356人で、21日に1人が死亡している。
[11] オーストラリア (North Queensland):Sydney Morning Herald、2010年9月24日
ケアンズ Cairns のデング熱感染流行で、the suburb of Parramatta Park の4人がデング熱検査陽性となった。dengue type 2 [virus infection] の患者が増えると見込まれている。
[12] モナコ,カリブ海から:Maville.com [in French]、2010年9月24日
モナコ在住の18歳の市民が、the Caribbean からデング熱に感染して帰国した。ニース Nice で自所感染例が確認されたため、すでに蚊族対策が実施されている。
[13] フランス
 -France (Corsica): 24 Ore [in French]、2010年9月21日
2010年のシーズン開始以来、島内で3人のデング熱症状のある患者が報告されている; 2人は先週 Corsica, San Gavinu di Fiumorbu and Biguglia で、3人目は Corse-du-Sud への旅行者の感染が報告されている。3人は "imported" 感染例とされアジアへの旅行で感染した。
 -France (Alpes-Maritimes): Le Generaliste.fr [in French]、2010年9月22日。
Nice ニース西部の居住地域で確認された2例の自所感染によるデング熱患者に加え、the Maritime Alps でさらに6-7人の感染が疑われる患者がいると当局者が明らかにした。
[14] プエルトリコ:Google / EPA [in Spanish]、2010年9月25日
55歳の男性が死亡し、2010年のプエルトリコ国内のデング熱による死者は23人となったと、25日に保健当局が発表した。
[15] メキシコ (Oaxaca):ADN Sureste [in Spanish]、2010年9月26日
デング熱感染流行の患者数は1668人にとどまっており、このうち30%が出血性患者である。
[16] ホンジュラス: European Pressphoto Agency [in Spanish]、2010年9月19日。
保健省当局者が2010年の DHF による死者が68人を超えると報告した。60258人のデング熱患者と2276人の DHF 患者が報告されている。2009年の DHF による死者は12人だった。
[17] ブラジル
 -Brazil (Roraima): BV News [in Portuguese]、2010年9月24日。
州内で確認された4型ウイルス感染患者が12人に増えた。
 -Brazil (Sao Paulo): O Globo [in Portuguese]、2010年9月22日。
Sao Vicente in Sao Paulo [state] では、4100人の患者と17人の死者が確認されている。
[18] パラグアイ: Paraguay.com [in Spanish]、2010年9月25日。
公衆保健相は、2010年に全国で13678人のデング熱患者が発生したと述べた。

● 原因不明の致死性疾患-パキスタン

PRO/AH/EDR> Undiagnosed fatal illness - Pakistan: (NW) 20100927.3505
 情報源 PakTribune 、2010年9月27日。
先週、若い医師1人と中国人技師1人の合計2名が原因不明の病気で死亡し、学童1人も the Ayub Teaching Hospital (ATH) に入院し重体であると,保健当局が明らかにした。洪水被害のあった地域から The ATH に搬送されてきたこれらの患者は、血液の凝固能が低下していたと説明した。発熱と頭痛を訴えていたが、その後けいれんを起こし、血小板数が低下したという。原因不明のウイルス感染により若い研修医が突然死したことで、上級医師や病院当局に不安が広がっている。この医師に発熱が認められたのは Bisham で、通常15万から30万ある血小板数が135000に低下していたことが調査により判明した。19日には解熱したものの、21日になってシャワールームで倒れ救急室に運ばれた。血圧が80/30に低下し、意識はあったものの、激しい頭痛を訴え、その後数分間意識を失った後にけいれん発作が起きたと、診察の医師が語った。MRI 検査で脳内出血が判明し、その後死亡した。この医師の弟にも、数日前に同じ症状があった。Allai in Battagram district で作業中であった中国人技師1名も the Ayub Teaching Hospital に数日間入院した後に死亡している。
[Mod.CP- The Ayub Teaching Hospital or ATH は、パキスタンの Abbottabad, Khyber-Pakhtunkhwa (previously the North-West Frontier Province) にある公立で非営利の三次教育病院で、この地域では最大の24時間救急センターの1つとして1998年に設立された。eastern Khyber-Pakhtunkhwa, the Northern Areas of Pakistan, as well as certain parts of Azad Kashmir の広い範囲をカバーしている。死亡した医師の症状は、Crimean-Congo hemorrhagic fever の症状に一致し、ATH のような病院ならすぐに診断がついて院内感染対策が実施されるはずである。死亡した医師、その弟、中国人技師らに、感染動物や患者同士の接触があったのか、記載がない。]

● 狂犬病-南アフリカ,スウェーデン,米国,中国

南アフリカ
PRO/AH/EDR> Rabies, human, canine - South Africa (GG) susp 20100927.3504
 情報源 Times Live, SAPA report、2010年9月27日。
ヨハネスブルグ Johannesburg の少女1名が死亡し、狂犬病 Rabies 感染による可能性が疑われていると、Gauteng agriculture and rural development 当局者が27日に述べた。この10歳未満の Dobsonville, Soweto の女児は狂犬病様症状を発症し,Chris Hani Baragwanath Hospital で25日に死亡した。イヌの咬傷を受けた既往があった。感染は確定されておらず、検査のために遺体は the National Institute for Communicable Diseases に移送された。

スウェーデン: コウモリのサーベイランス
PRO/AH> Rabies (EBLV) - Sweden: bat surveillance 20100927.3502
20100922.3419 に関し
 投稿者 スウェーデン ・ National Veterinary Institute、Susanna Sternberg Lewerin、2010年9月27日。
" The Kakskerta での発見は、隣国スウェーデンでも大きな関心事となった。国内では狂犬病は確認されていないが、研究者らの調査により、狂犬病抗体が公式に確認されている。" のコメントに対し、スウェーデンのコウモリの狂犬病サーベイランスに関する情報を付け加えたい。1998年以降、コウモリの死体についての狂犬病ウイルス検査 (by the fluorescent antibody test -- FAT) による passive surveillance program が行われている。さらに2008年にはスウェーデン初の active surveillance program が導入され、ネットにより捕獲されたコウモリから採取した血液検体のの血清検査と口腔内スワブ検体の PCR 法を用いた検査を行っている。

中国 偽薬ワクチン
PRO/AH/EDR> Rabies - China: (GI) counterfeit human vaccine 20100927.3498
 情報源 CRIEnglish.com, Xinhua News Agency report、2010年9月26日。
中国南部の広西荘族自治区の薬事当局は26日、ニセの狂犬病ワクチンを製造販売したとして Laibin 市の8人を拘束した。1人が死亡し、ほかにも1000人以上が死亡する危険性がある。2010年1月からの2か月間で1263本のニセの注射用ワクチンが発見されており、すでに約1214人に接種されたことが判った。Xinbin District, Laibin City の13か所の村病院と20の私営クリニックで見つかったこのニセの狂犬病ワクチンは,underground workshop が製造し、総額48530米ドルで売られていた。薬事当局は残っていた全ての注射薬を回収した。この事件は,Xinbin District の4歳児が自宅のイヌに咬まれた3週間後に死亡したことから、2010年12月に発覚した。死亡した患児は、村の病院で6回の狂犬病ワクチンの接種を受けたと父親が述べていた。
[Mod.CP- 同じような事例が2009年2月にも報告されていて (20090219.0691) 、単一の製薬メーカーが生産した32万接種分の汚染された狂犬病ワクチン予防接種が Liaoning province で回収されている。この時には有害反応は報告されていない。狂犬病の潜伏期間は数日から数年間と大きな幅があるが、典型的には1-3か月である。今回の4歳児の死亡は、イヌに咬傷を受けてから3週間後に死亡していることから、狂犬病ではなく、ニセのワクチンによる死亡である可能性が高い]

米国 2010年9月
PRO/AH/EDR> Rabies update - USA (16): September 2010 20100927.3499
[1] Canine, human exposure - Minnesota、2010年9月12日。
[2] Bat, human exposure - Georgia、2010年9月15日。
[3] Raccoon, canine - Georgia、2010年9月17日。
[4] Raccoon, canine - North Carolina、2010年9月15日。
[5] Bat, human exposure - Arizona、2010年9月17日。
[6] Bat, feline - Texasl、2010年9月17日。
[7] Feline - Pennsylvania、2010年9月18日。
[8] Raccoon, canine (fox), human exposure - Massachusetts、2010年9月21日。
[9] Canine (fox, dog), human exposure - Massachusetts、2010年9月20日。
[10] Bat, human exposure - New Jersey、2010年9月20日。

● 炭疽-ロシア ヒト、ウシ
PRO/AH/EDR> Anthrax, human, bovine - Russia (02): (KD) confirmed 20100927.3503
 情報源 Russia-IC 、2010年9月27日。
Krasnodar Territory で炭疽感染が確認された。この地域の5人が、炭疽 Anthrax 感染が疑われるため入院となり、うち2人が確定された。患者らは農場労働者とその接触者であった。the Stanitsa of Uspenskaya の酪農場の1つで炭疽感染が確認された。19頭のウシが処分されている。
[Mod.MHJ- 先週ウシの感染が確認されており (20100924.3452) 、今回2人が入院となった]

● ハンタウイルス感染症-チリ
PRO/AH/EDR> Hantavirus update 2010 - Americas (33): Chile (central) 20100927.3497
Cases of [hantavirus infection] 40 percent higher than in 2009
 情報源 La Tercera, Chile [in Spanish]、2010年9月26日。
この4年間は発生数が低下し、ハンタウイルス Hantavirus 感染症がコントロールされたと考えられていたが、今日まで49人の感染者が発生し公衆衛生当局は再び対応に追われている。the Ministry of Health (MINSAL) epidemiological report は,17人が死亡し "予想を上回る数" と述べられている。当局者は、流行レベルを下回る発生数(2011年 81例)ではあるが致死率が感染者の35%と高いとし、ハンタウイルスを伝播するげっ歯類 the rodent population (the long-tailed pygmy rice rat [_Oligoryzomys longicaudatus_])の増加が患者数増に結びついていると述べた。これ以上の降雨が続き、げっ歯類のエサとなる the quila plants(チリ及びアルゼンチンの湿潤温帯林で生育する多年生のタケの一種)が多く開花したり、穀類が増えたりすれば、病気の発生はさらに増えると述べた。発生数の多い地域は Biobio (14 [cases]) and Maule (9) である。 

● レンズマメの病気,Ascochyta blight-オーストラリア
PRO/PL> Ascochyta blight, lentil - Australia: (SA South Australia) 20100927.3496
Worst case of ascochyta blight ever seen on lentil crops in SA  
 情報源 Australian Broadcasting Corporation (ABC) Rural、2010年9月22日。
South Australia 州全域の湿潤気候により、lentil crops に過去最悪の ascochyta blight 感染流行が発生している。Yorke Peninsula と the mid north の lentil paddocks や、Saddleworth 付近の vetch (カラスノエンドウ) crops などに大きな被害を与えている。
[Mod.DHA- Ascochyta blight (AB) of lentil is は、真菌の_Didymella lentis_ (previously _Ascochyta lentis_) により起きる]