2010年9月29日ー30日

◎ Haff disease 中国
住血線虫 スペイン

◎ Haff disease 中国
PRO/AH/EDR> Haff disease - China: (JS) 
Archive Number: 20100929.3535
 情報源: Beijing Today 、2010年9月23日
8月に南京 Nanjing (Jiangsu Province 江蘇省) で発生した、crawfish ザリガニの関係する Haff disease は、多くの人々にとって初めて耳にする病気であるが、骨格筋の breakdown (融解)や急性腎不全に至る深刻な疾患である。
魚類や魚介類が保有する特定されていない毒が原因で、発熱や麻痺を伴わない筋肉と関節の痛みの症状などが見られると、17日に南京の当局が説明した。この毒素による症状は、正確には rhabdomyolysis (横紋筋融解) と呼ばれ、骨格筋が破壊され、その成分が血中に放出される状態を言う。
1924年に初めて発見されたバルト海沿岸の Haff Beach に因んで命名されて以後、1000人以上の中毒患者が発生しており、2000年には、北京 Beijng でザリガニを食べた6人が Haff disease を発症している。数十年間に中国国内でザリガニを食べた数百万人のうち発病したのは23人とそのリスクは低いものの、下手物食いの人々もザリガニを注文する前にもう一度考え直して欲しいと CDC 関係者は述べている。
この毒素を摂取した後、24時間以内に発症する。このまだ特定されていない毒素を有するザリガニは一部で、ある水域で吸収されるものと考えられている。泥の中で飼育されているザリガニは、死亡し腐敗しつつある水棲生物をエサとする。この甲殻類 crustacean は、第二次世界大戦中に日本人によって初めて南京に持ち込まれ、腐乱死体の処理に用いられたとの文書が残っている。10分以上茹でれば細菌は死滅するが、ザリガニの体内の毒素は中和されないとされている。
[Mod.TG- Haff disease は原因不明の横紋筋融解症 rhabdomyolysis 症候群で、ある種の魚類の摂取後に発生するが、原因となる toxin は特定されていない。Rhabdomyolysis とは、骨格筋損傷の結果、筋細胞成分が循環中に放出されることによる症候群を指す。
1920年代、バルト海沿岸の brackish inlet(汽水の入り江)にある Koenigsberg Haff 一帯の住民1000人に起きた、激しい筋肉痛と硬直を特徴とする病気に対して "Haff disease" の病名が付けられた。その後も、スウェーデンや旧ソ連などで同様の流行が発生している。
原因は特定されていないものの、疫学調査により魚類、特に burbot(イソアイナメ)と疾患との関連が示されている。
典型例では近位の横紋筋融解が見られるとされており、筋肉の圧痛、固縮、褐色尿を伴う。軽症例も存在する。
この報告では発症までの平均期間は8時間(6-12時間)となっているが、摂取から約18時間後に発症することが多い。Haff disease の検査所見として著明な CK (creatine kinase) level の上昇があり,MB (muscle/brain) fraction は5%未満となる。他の筋由来の酵素 (such as, LDH lactate dehydrogenase, GOT glutamate oxalate transaminase, and GPT glutamate pyruvate transaminase) なども上昇する。ミオグロビン尿 Myoglobinuria が肉眼的に血尿と間違われることが多い。compatible clinical history(合致する病歴)から診断が行われる。
治療は対症療法となり,the renal tubules(尿細管)に対するミオグロビン毒性を軽減する目的で病初期から大量の輸液が行われる。合併症として electrolyte disturbances(電解質異常),腎不全、DIC disseminated intravascular coagulation などの発生の可能性がある。通常は2-3日で軽快する。致死率は約1%とされている]
参考文献 : CDC. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2010; 47(50): 1091-3

● 住血線虫 Angiostrongylus スペイン
PRO/AH> Angiostrongylus - Spain: (Tenerife) 1st report 20100929.3523
 情報源: RTVC.es [in Spanish]、2010年9月28日
The rat-lung worm [Angiostrongylus spp.] has been found in Tenerife
the Canary Islands カナリヤ諸島の熱帯医学研究所が Tenerife テネリフェ島のレタスで、摂食によりヒトに感染する可能性のある寄生虫を発見した。テネリフェ Tenerife で調査されたラットの40%の肺内でこの寄生虫が発見された。動物から卵を通してナメクジカタツムリに移る。感染の可能性は低い。島内への freight によって持ち込まれた。
[Mod.EP-住血線虫 _Angiostrongylus_ from Tenerife の初報告であるが、はっきりとした species が確認できない。_Angiostrongylus cantonensis_ は、好酸球性髄膜炎 eosinophilic meningitis の原因として最も多い。輸入されたようだが、何の imports か判らない]

● 鳥インフルエンザ、ヒト インドネシア(2件)
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (55): Indonesia (SS South Sulawesi) susp.
Archive Number: 20100930.3548
 情報源: The Jakarta Post 、2010年9月29日
州都 the South Sulawesi capital of Makassar の病院で、鳥インフルエンザ Avian influenza [A/H5N1 ウイルス] 感染の症状のある Pinrang and Soppeng regencies の 4人が治療を受けている。このうち 3人は子どもで、高熱、呼吸困難、せきの症状のため28日に入院となった。直ちに鳥インフルエンザ治療のため、感染センターを受診した。当局は現在、発熱患者 30人の監視を行っている。このうち 3人の病状が悪化したため入院となった。3人の患者は、多数のニワトリが突然死した後に発症した。Pinrang regency の7地区で先週、鳥インフルエンザウイルス感染により 6300羽のニワトリが死亡したことが記録されている。
[Mod.CP-インドネシアの地元紙には、家禽の大量死後のヒトの鳥インフルエンザ感染疑いの報道が繰り返されているものの、確定されたことはまれである。実際,2010年にインドネシアで確定診断された鳥インフルエンザ A/H5N1 感染の確定患者数は 6人である]

PRO/AH/EDR> Avian influenza (45): Indonesia (SS) susp. 20100930.3549
 情報源: IDA 、2010年9月28日
サウススラウェシ South Sulawesi 州、Kabupaten (municipality) Sidrap の当局は、 Pinrang-Sidrap, Parepare-Sidrap, Wajo-Sidrap and Soppeng-Sidrap の境界での家畜の移動対策を強化している。数千羽のニワトリが死亡した原因が、鳥インフルエンザウイルス感染によるものであったかどうかの調査が行われている。

● クリミア・コンゴ出血熱 パキスタン
PRO/AH/EDR> Crimean-Congo hem. fever - Pakistan (03): (PB PUNJAB) nosocomial 20100930.3547
 情報源: Dawn.com, Islamabad 、2010年9月30日
the Holy Family Hospital [HFH] の女医4人と多数の病院職員らが、クリミア・コンゴ出血熱 Crimean-Congo Haemorrhagic Fever (CCHF) virus に感染し、感染拡大を防止するための対策がとられている。
26日の病院関係者らの話によると、国立保健局に送付された女性医師4名、看護師2名、看護学生1名、病棟係1人の血液検体で,感染が陽性であることが確認された。感染した医師らは集中治療室に入院し治療を受けている。
この病院に14日に搬送された [20100923.3440 の] 患者らの治療に当たっていた医師が感染した。同院では 24日に別の CCHF 患者が死亡している。病院側は、予防的に職員らの採血を行い、検体を送っていた。医師らに特に症状はなく、看護師2名に発熱が認められる程度である。
[Mod.CP- Rawlpindi にあるこの病院の患者と,となりの Khyber-Pakhtunkhwa 州 (旧 North-West Frontier Province) の CCHF の可能性もある原因不明の疾患の患者や、カラチ Karachi (Sindh 州) の 1人の CCHF 患者とは、何らかの関係があるのだろうか。かつてのパキスタンの病院内における CCHF 院内感染の悲惨な歴史をがあるにもかかわらず、その危険が広く知られていないとは驚きである。最近発生したインダス the Indus valley 広域の洪水に、さらに壊滅的打撃を与える可能性がある]
[Mod.JW- この報告には混乱させる内容が含まれている: 4人の医師は ICU で治療されているとされる一方で、おそらく同じ医師らを指す the "house officers" には何の症状もないとされている:なぜ ICU に入っていて、なぜ血液検査が行われたのか判らない。おそらく隔離病棟に入れられて予防的に採血や治療が行われているのだろう。さらに、病院職員らが他州の CCHF の発生を知らなかったというのも情けない -- 新聞や ProMED-mail を読んでいないのか?]

● 日本脳炎 インド
PRO/AH/EDR> Japanese encephalitis & other - India (21): (UP) 20100929.3525
[1] JE 感染による死者346人に
 情報源: NetIndia 23 、2010年9月25日
Uttar Pradesh 州東部における Japanese encephalitis (JE 日本脳炎) [virus] 感染による死者は、この24時間に新たに発生した5人の小児の死亡を加え346人に達した。Bihar ビハール州からの37人と Nepal の1人が含まれている。ゴラクプル Gorakhpur、マハラジガンジ Maharajganj、Sant Kabirnagar、デオリア Deoria、クシナガル Kushinagar、バスティ Basti、Siddharthnagar、アザムガル Azamgarh、ゴンダ Gonda、バーライチ Bahraich、マウ Mau、バリア Ballia and Balrampur districts of UP の各地区から、大半のJE 患者が運ばれてきている。
[2] 2005年以降のJE 発生・被害状況
 情報源: NDTV 、2010年8月31日
2005年以降、州内で3000人以上の小児がJE 感染により死亡している。

● チクングニア、デング熱 インド
PRO/EDR> Chikungunya & dengue - India (02): (DL) 20100929.3524
[1] チクングニア熱 Chikungunya
 情報源: Mid Day 、2010年9月23日
首都デリー Delhi で22日、新たに6人のチクングニア Chikungunya ウイルス感染が報告され、患者は8人となった。昨年は市内での感染報告はなかった。保健当局者はデング熱を伝播するベクター _Aedes_ によって、チクングニア熱も拡がっていると説明している。患者が報告されているのは、the Palam area in outer Delhi であった。
[Mod.TY -Delhi においては、デングウイルスと同時に、チクングニアウイルス感染伝播が発生してもおかしくない。いずれのウイルスも常在しており,_Aedes_ mosquito vectors もたくさん発生しているようである。まもなく行われる、インフラ不足の問題が持ち上がっている Commonwealth Games(競技大会)にとって、チクングニアウイルス感染の発生は悪い知らせである]
[2] デング熱
 情報源: The Times of India 、2010年9月27日
わずか5日後に the Commonwealth Games in Delhi 開催が迫る中、デリーではデング熱 dengue 感染流行が続いており、新たに97人の患者が検査で陽性となり、このベクター媒介性疾患の患者数が3013人に達した。首都では、今シーズン中に5人がデング熱で死亡している。依然として最も感染が深刻な地域は,今シーズン437人の患者が記録されている South Delhi で、以下 MCD Civil Lines Zone (392), Rohini (354) and Central Zone (337) と続いている。 モンスーンの長期化と Commonwealth Games construction sites の建設現場の水だまりが原因と見られている。この競技会に参加する他国も、感染の発生状況に懸念を示している。

● Q熱 オランダ 
PRO/AH> Q fever - Netherlands (31): (NB NORTH BRABANT) investigation report 20100930.3546
 情報源: Agrarisch Dagblad (AGD), ANP (Dutch National News Agency) report [in Dutch]、2010年9月29日

● トウモロコシの病気,Turcicum leaf blight ブータン
PRO/PL> Turcicum leaf blight, maize - Bhutan: (DA) 20100930.3542
 情報源:Bhutan Broadcasting Service (BBS) 、2010年9月26日
A new crop disease in Dagana
2年前から turcicum [leaf blight] と呼ばれる病気が Dagana のトウモロコシに発生している。
[Mod.DHA- Turcicum leaf blight (TLB; also called northern leaf blight) of maize の原因は、真菌の _Setosphaeria turcica_ (旧 _Exserohilum turcicum_) である]

● Foot rot オーストラリア ヒツジ
PRO/AH/EDR> Foot rot - Australia: (VI, NS) ovine 20100929.3537
 情報源: ABC (Australian Broadcasting Corporation) Rural、2010年9月27日
foot rot(腐蹄症)に感染したビクトリア州のヒツジ Victorian sheep が、2010年春の the Riverina [an agricultural region of south western New South Wales] の病気発生の原因と見られている...
[Mod.TG- Foot rot in Australia はヤギとヒツジの伝染性疾患で、他の多くの細菌と関連する the organism _Dichelobacter nodosus_ を原因とする。重症例では、羊毛の生育や品質を低下させ、妊娠率や生育率が減少し、blowfly(クロバエ) strike への抵抗力が落ち、商品価値が下がるため、大きな経済的損失を発生させる]

● パパイヤの病気,Bacterial dieback マレーシア
PRO/PL> Bacterial dieback, papaya - Malaysia: (PK) alert 20100929.3534
 情報源: The Star、2010年9月24日
ペラ Perak 州農業当局はパパイヤ栽培農家に対し、papaya dieback disease 感染拡大防止のため、推奨する栽培法を行うよう指導している。
[Mod.DHA- Bacterial dieback (別名 crown rot or bacterial canker) of papaya は、1980年代に the Caribbeanの各島で発生し、その後 the Caribbean and southern Asia で問題となっている(20091029.3747)]

● 告示 New Zealand Surveillance Quarterly online
PRO/ALL> Announcements (08): New Zealand Surveillance Quarterly online 20100929.3536
The September 2010 edition of Surveillance Quarterly