2010年10月8日

ラッサ熱 シエラレオネ
チクングニア熱 中国、レユニオン
ポリオ インド

● ラッサ熱 シエラレオネ
PRO/AH/EDR> Lassa fever - Sierra Leone (02): (NO) 20101008.3662
 情報源 News 24, Agence Franc-Presse report 、2010年10月8日
45 die from Lassa fever in Sierra Leone
シエラレオネの保健当局者は8日、年初から9か月間で45人がラッサ熱 Lassa fever で死亡したことを明らかにした。この中には、ネズミ肉を出すレストラン経営の女性1名が含まれていた。保健省のサーベイランス担当者は、bush rats により伝播されるラッサ熱患者152例が確認されていると述べた。北部 Makeni 市の、問題の女性および女性の死亡した息子と接触のあった21人は、救急治療により生存している。東部の森林地域から北部のサバンナ草原地帯に拡大したこの疾患により、発熱、咽頭痛、胸痛、下痢、聴力障害などがおきる。1969年に、ナイジェリア北部の町 Lassa ではじめて確認され、現在、リベリア、ギニア、セネガルとシエラレオネの農村部など、西アフリカ各地に常在している。
[Mod.CP- 9月27日、同国北部の女性とその息子が死亡し、ほか7人(うち3名が重体) が感染したとの報告があったが、今回、女性と接触があった息子を除く21人全員が生存していることが明らかになった .. 感染したヒトのおよそ80%に症状が見られないため、ラッサ熱は大流行することがわかっている。ウイルスは、肝臓、脾臓、腎臓など、多臓器に深刻な影響を与える。潜伏期間は6-21日で、患者の25%に聴力損失がおきるが、1-3か月後に半数が聴力を回復する。回復期に、一過性の脱毛と歩行困難を発症することもある。粗致死率は1%で、入院患者については最大15%に達する。死亡までの期間は14日以内である。妊娠後期の感染は特に重症化しやすく、第3三半期の妊婦では、母体死亡、胎児死亡を合わせると、80%におよぶ。ラッサ熱は人獣共通感染症の1つである。ウイルスの動物での宿主は、マストミス属 the genus _Mastomys_ (一般に the multimammate or bush rat と呼ばれる) で、これらのげっ歯類は、ラッサ熱ウイルスに感染しても発病することなく、排泄物中にウイルスを排出する。ヒトでの流行は、げっ歯類の個体群内での感染増加 (蔓延)との関連性により発生する。ヒトの感染経路として、感染したマストミスの排泄物への暴露、および、これらを食料として接種する際の捕獲 (snaring) と調理を通じて起きることが多い。予防用のワクチンはないが、抗ウイルス薬 rivavirin は、病初期に用いられれば有効な治療法である]

● チクングニア熱 中国,レユニオン
PRO/EDR> Chikungunya (30): China (GD), Reunion 20101008.3661
[1] 中国 広東省
 情報源 Xinhua News 、2010年10月7日
中国南部・広東省の工業都市 Dongguan で少なくとも38人が、チクングニア Chikungunya ウイルスに感染したことが、現地保健当局により確認された。ほかに166人の感染が疑われる患者の検査が行われていることが、16日の the Guangdong Provincial Health Department の発表で分かった。重症例はないと言う ...
[Mod.TY- 4日の10人から38人に増えた。Dongguan は、中国南部沿岸の広東省中部の prefecture-level city の1つで、同市および周辺地域を合わせると、2500万人の人口となる。亜熱帯気候で、年間平均気温が22.8℃であり、ベクターのヤブカ属 _Aedes_ mosquito vector populations が豊富に存在することから、引き続き流行が継続すると考えられる]
[2] レユニオン
 情報源 Le Quotidien [in French]、2010年10月5日
4日現在、153例のチクングニア熱地域内感染例が確認されている。このうち112例の感染が確定診断されたと、the Health Agency Indian Ocean 当局が発表した。週ごとの確定患者数が増えはじめたのは2010年3月後半からで、5月中旬まで一定して12例程度であったが、その後は徐々に減少した。6月後半以降の患者数は少ない。しかし、発生数は大きく減少したものの感染は継続しており、最近 Saint-Denis (1 in la Montagne and the other in the town) で新たな感染が2例報告されている ... 国内感染例のほか、マダガスカル、バリ島、インドネシアからの輸入例7例も確認されている。

● ポリオ インド

PRO/EDR> Poliomyelitis - worldwide (21): India 20101008.3650
[1] インド
 情報源 MSN News India, Press Trust of India (PTI) report、2010年10月6日
Beed district から新たに1人のポリオ Poliomyelitis 患者が報告され、Maharashtra マハラシュトラ州のポリオ患者は、10か月間で5人となったとことが、6日保健当局者により明らかにされた。Beed の ''banjara (migrant)'' の一家の生後11か月の乳児1名がポリオと診断された。この乳児は、6月、7月、9月の3回、経口のポリオワクチンを接種されていた。しかし、9月16日に麻痺を生じ、入院となった。 Uttar Pradesh and Bihar の2つの州では、過去数年にわたりポリオウイルスの継続的な発生 (the breeding ground for poliovirus) が確認されていたが、2010年の今年は、(より有害で感染伝播しやすい) P-1 type polio [also known as wild poliovirus type 1 or WPV1] 16例のうち5例がMaharashtra、 7例が Mushirabad in West Bengal、 1例が Jammu and Kashmir、そして 3例が Bihar 州から報告されたと、 the Enterovirus Research Institute of ICMR [India Council of Medical Research] 当局者が説明した。2010年1月から9月までに、合計38例のポリオ患者が全国から報告されている。

地図 India with states 
[2] 世界各国: Global Polio Eradication Initiative case count
Wild poliovirus weekly update - 5 Oct 2010
 情報源 Global Polio Eradication Initiative、2010年10月5日
Total cases: Year-to-date 2010 / Year-to-date 2009
全世界: 706 / 1126 - 常在国: 134 / 861 - 非常在国: 572 / 265
国別: 2010年/2009年/2009年通年/最終発症日
パキスタン: 69 / 62 / 89 / 21 Sep 2010
インド: 39 / 395 / 741 / 16 Sep 2010
アフガニスタン: 18 / 22 / 38 / 4 Sep 2010
DRC: 24 / 3 / 3 / 2 Sep 2010
ネパール: 6 / 0 / 0 / 30 Aug 2010
ナイジェリア: 8 / 382 / 388 / 27 Aug 2010
アンゴラ: 25 / 26 / 29 / 20 Aug 2010
ロシア: 12 / 0 / 0 / 10 Aug 2010
タジキスタン: 458 / 0 / 0 / 4 Jul 2010
トルクメニスタン: 3 / 0 / 0 / 28 Jun 2010
チャド: 14 / 24 / 64 / 10 May 2010
セネガル: 18 / 0 / 0 / 30 Apr 2010
[* 2010年、患者数が大きく増えた国を中心に抜粋]

● 麻痺性貝中毒 カナダ
PRO/AH/EDR> Paralytic shellfish poisoning - Canada: (BC) warning 
Archive Number: 20101008.3665
 情報源 Benzinga.com 、2010年10月7日
CFIA/Health Hazard Alert: Certain Raw Oysters and Mussels Sold in British Columbia(BC) May Contain Paralytic Shellfish Toxin
The Canadian Food Inspection Agency (CFIA) 当局は、摂取により発病する恐れのある paralytic shellfish が含まれている疑いがあるため、以下に記載する 生ガキ及びムール貝 を提供もしくは摂取しないよう、市民に注意を呼びかけている。
The following oysters and mussels, harvested from Subarea 15-4, are affected by this alert:(抜粋)
Producer      Product
Albion Fisheries Ltd. Oyster N/Shell 5 dozen Albion
Albion Fisheries Ltd Oyster N/Shell 5 dozen Albion
Aquatec Seafoods Ltd. Mussels Various
Taylor Shellfish Canada ULC Gallow Mussles Various ...
[Mod.TG- 赤潮は、多くの有毒藻が原因となって起こり、トキシンの種類により、paralytic shellfish poisoning (PSP) と呼ばれている。the genus _Alexandrium_.のいくつかの近縁種により産生される PSP toxins は、鰓でエサを摂る魚介類に蓄積するため、残留性の問題の原因となる。また、食物連鎖を通じて移行し、zooplankton プランクトン、幼魚、成魚から、鳥類や海洋哺乳類にまで影響が及ぶ..]
関連項目 20070325.1039

● 狂犬病 ウクライナ
PRO/AH/EDR> Rabies, animal, human - Ukraine: (DT) 20101008.3663
 情報源 Komsomolskaya Pravda in Ukraine [in Russian]、2010年10月2日
Rabies incidence in the Donetsk(DT) oblast
the Donetsk oblast 内で、集中して狂犬病が発生する地域が、2010年は3倍に増加した。2009年の24箇所から、2010年は67箇所に増えた。さらに、およそ83%がペットや家畜に関係していることから、疫学関係者らは懸念を強めている。
また、2年ぶりとなるヒトでの狂犬病死亡例も発生している。自宅庭で野犬に襲われた男性1名が、医療機関を受診せず、10週間後に発病し、5日後に死亡した。
地図 The Donetsk Oblast in eastern Ukraine 

● クリミア・コンゴ出血熱 パキスタン
PRO/AH/EDR> Crimean-Congo hem. fever - Pakistan (06): (PB) 20101008.3660
 情報源 The Express Tribune、2010年10月8日
5 more suspected in Holy Family
新たに5人の Crimean-Congo hemorrhagic fever (CCHF クリミア・コンゴ出血熱) が疑われる患者が、7日、Holy Family Hospital (HFH) in Rawalpindi に転送された。病棟に入院中の患者32人中27人が、ウイルス検査で陽性となっていると、病院関係者が話した 

● 結核 カナダ
PRO/EDR> Tuberculosis - Canada: (NU), Inuit 20101008.3659
 情報源 Northern News Services Online 、2010年10月4日
The [Nunavut] territory で10年ぶりの深刻な tuberculosis [TB 結核] 感染流行が発生している。2010年のこれまでに、Nunavut の87人が TB と診断され、このうち92%が the Baffin region の患者であったと、 Nunavut's Department of Health and Social Services の専門家が述べた。40 in Iqaluit, 27 in Cape Dorset などとなっており、15 to 24-year-olds の年齢層での発生が最も多くなっている ...

● 炭疽 バングラデシュ
PRO/AH/EDR> Anthrax, human, bovine - Bangladesh (21): 3 new cases 20101008.3655
[1] ヒト Number of cutaneous anthrax cases from 18 Aug to 7 Oct 2010
 情報源 Bangladesh Institute of Epidemiology, Disease Control and Research (IEDCR)、2010年10月7日
District / Total / Change since last posting 30 Sep 2010 / (6 Oct 2010) / Upazilla [subdistrict] (cases)
1. Pabna / 69 / 1 / 0 / Bera (11), Santhia (35), Faridpur (23*)
2. Sirajganj / 219 / 1 / 0 / Shadjadpur (56), Belkuchi (54),
Kamarkhanda (99*), Ullapara (10)
3. Kushtia / 49 / 0 / 0 / Daulotpur (46), Bheramara (3)
4. Tangail / 26 / 0 / 0 / Ghatail (14), Gopalpur (12)
5. Meherpur / 82 / 0 / 0 / Ganghi (81), Mujibnagar (1)
6. Manikganj / 8 / 0 / 0 / Shaturia (8)
7. Shatkhira / 1 / 0 / 0 / Sadar (1)
8. Lalmonirhat / 107 / 0 / 0 / Sadar (78), Aditmari (29)
9. Rajshahi / 8 / 0 / 0 / Chaghat (7), Tanore (1**)
10. Narayangonj / 12 / 0 / 0 / Araihajar (12)
11. Laxmipur / 25 / 0 / 0 / Kamalnagar (25)
12. Chittagong / 1 / 0 / 0 / City (1)
[2] Kurigram、ヒト: bdnews24.com、2010年10月7日
当局が感染流行への警戒を解除したその日に、Kurigram [Rangpur
division] で新たに1人の炭疽感染が確認された。Dhananjoy village under Omar Majid Union of Rajarhat Upazila [subdistrict] の25歳の女性が7日、炭疽感染と診断された
[3] 情報源 bdnews24.com、2010年10月6日
保健大臣は6日、"The red alert may be lifted on Thursday [7 Oct 2010] morning."と述べた ...
[4] 情報源 bdnews24.com 、2010年10月3日
炭疽騒ぎは、家禽取引業者の7組合の propaganda に過ぎないと、保健大臣が述べた

● 腎症候性出血熱 ロシア
PRO/AH/EDR> Hemorrhagic fever w/renal synd. - Russia (07): (UD) 20101008.3654
 情報源 Udmimfo.ru News Agency [in Russian]、2010年10月6日
the Republic of Udmurtia における、hemorrhagic fever with renal syndrome (HFRS 腎症候性出血熱) の年間発生は、ロシア連邦全体の平均の10倍にも上ることが、 Rospotrebnadzor (Federal Service for Consumer Protection and Human Welfare) により明らかになった。共和国内の HFRS の患者は、年間およそ2000人である。感染の主なベクターである the bank vole (_Myodes glareolus_) は、寒い時期になると人家に入り込む。当局は、ネズミの駆除と、衛生環境の保全が唯一の感染予防策だとしている。

● ポテトの病気,Soft rot ドイツ
PRO/PL> Soft rot, potato - Germany: (SN) 20101008.3649
 情報源 Proplanta, report [in German]、2010年10月5日
2010年の今シーズン、広い範囲で、ポテトの soft rot infections (_Erwinia_) が報告されている。収穫に影響が出る可能性がある ...
[Mod.DHA- Bacterial soft rot of potato の原因となるものには、_Pectobacterium carotovorum_ subspecies (previously _Erwinia carotovora_) or _Dickeya_ species (previously _Erwinia chrysanthemi_). があり、 _Dickeya_ spp によるものの方が、シーズンの遅い時期に発生しやすい]