2010年11月1日

パラチフス-中国
◎ 狂犬病 (EBLV-2)-スイス コウモリ

● コレラ-ハイチ,世界各国(26)
ハイチ 南アジア由来
PRO/EDR> Cholera - Haiti (08): south Asia origin
Archive Number: 20101101.3962
 情報源 National Public Radio 、2010年11月1日。
ハイチで対策に当たる DNAdetectives らは、コレラ菌が南アジア由来であると見ている。ハイチの患者から分離された菌のDNA を分析した結果、13人の検体は全て一致し、ハイチでの感染流行が単一の菌から発生した可能性が高いことが示された。世界中の菌と比較し、最も近い関係にあったのが南アジア由来の菌であった。

PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update 2010 (26) 20101101.3958
[1] Cholera - ザンビア Zambia (Southern)
 情報源 The Post 、2010年11月1日。
Monze で小児2名がコレラ感染により死亡
[2] Cholera - チャド Chad
 情報源 Thomson Reuters Foundation AlertNet、2010年10月28日。
River Chari 決壊によるコレラ感染流行を懸念
[3] Cholera - ナイジェリア Nigeria (Government statistics)
 情報源 Nigerian Bulletin 、2010年10月28日。
the Federal Ministry of Health (FMOH) has said that the country had 37 289 cholera cases and 1434 deaths between 1 Jan 2010 and 25 Oct 2010(UN の発表;38 173 and above 1500)
[4] Cholera - Nigeria (Bauchi)
 情報源 AllAfrica, Daily Trust report 、2010年10月26日。
3か月間で100人がコレラ感染流行により死亡したと、州政府当局が発表
[5] Cholera - カメルーン Cameroon
 情報源 Hindustan Times, Indo-Asian News Service (IANS) report 、2010年10月26日。
4月の流行発生以来、国内のコレラ感染流行による死者は559人に達したと、保健相が発表した ... 感染状況が深刻なのは順に、The North Rim area, followed by the Northern region , Littoral region and the Centre
地図 the regions of Cameroon
[6] Cholera - ベニン Benin
 情報源 Irish Times 、2010年10月26日。
国際援助団体 Care International は25日、1963年以来となる最悪の洪水に見舞われた西アフリカのベニンで、大規模なコレラ感染流行の恐れがあると指摘している ... すでに846人のコレラ患者と7人の死亡が報告されている
[7] Cholera - インド India (Assam)
 情報源 Agence France-Presse (AFP) 、2010年10月28日。
インド北東部の茶葉栽培地域で、コレラ感染流行により合計16人が死亡した
地図 India showing the location of Assam state in the far north east
[8] Cholera - パキスタン Pakistan: WHO
 情報源 WHO Global Alert and Response (GAR) Disease Outbreak News 、2010年10月25日。FORTH
12日、パキスタン保健省は、検査室診断でO1型コレラの患者99例が確認されたことを報告した。洪水の影響のある広い範囲、Sindh, Punjab, Khyber Pakhtunkhwa 州で散発的に報告されている ...

● デング熱・デング出血熱(55)
  ラオス、パキスタン、メキシコ、ベネズエラ、ブラジル、マルティニーク、グアドループ、台湾、インド
PRO/EDR> Dengue/DHF update 2010 (55) 20101101.3961
[1] Asia: regional
 情報源 Climate Signals 、2010年10月30日。
WHO が、気候変動、人口密度上昇、頻繁な海外への渡航などによる、アジアのデング熱の感染リスク増大を警告。8月の感染報告として最多は、インドネシアの80065人で、以下、タイ(57948人)、スリランカ(27142人)となっている。
[2] ラオス Laos : Dengue serotypes in Lao PDR
 投稿者 仏 Marc Grandadam 、2010年10月27日。
... Dengue 1 seemed to be predominant this year [2010] in Vientiane, but the high proportion of dengue 2 and the possible circulation of a 3rd serotype may sustain dengue circulation in Lao this year [2010]....
地図 Laos with provinces 
[3] パキスタン Pakistan (Sindh)
 情報源 Daily Times、2010年10月29日。
シンド Sindh 州で発生したデング熱流行が、Khyber Pakhtunkhwa [formerly the North-West Frontier Province] にも波及し27人以上の死者が発生している。Punjab、 Faisalabad でも発生。
地図 Pakistan
[4] メキシコ Mexico (Tamaulipas)
 情報源 Metro Noticias [in Spanish]、2010年10月27日。
Reynosa and Rio Bravo 両市でのデング熱患者発生確認。
[Mod.TY- これまで1型ウイルスの感染循環しか経験していないところに、3型ウイルスが導入された事を当局が懸念している]
地図 Tamaulipas state in Mexico
[5] Cases in various countries: Venezuela, Brazil, Martinique and Guadeloupe, Taiwan, India

● パラチフス-中国
PRO/AH/EDR> Salmonellosis Paratyphi A - China: (GX) 20101101.3960
 情報源 Xinhua News Agency 、2010年10月30日。
中国南部の広西荘族自治区 Guangxi Zhuang Autonomous Region 当局は30日、中学生77人ら合計80人がパラチフス集団発生により隔離されていると発表した。パラチフス paratyphoid type A fever の患者が発生し始めたのは9月後半で、10月になり患者数が増え、生徒84人が感染したと報告されている
[Mod.LL- Paratyphoid fever は typhoid fever と似た症状で,いずれも enteric fever types of disease であり、必ずしもそうとは限らないが前者がより軽症である。The paratyphoid salmonellas は A, B, and rarely now C に分類されている。_Salmonella paratyphi_ は _S. enterica_ serotype Paratyphi と呼ばれることもある。Types B and C には species(now serotypes)があり、それぞれ _schottmuelleri_ and _hirschfeldii_ となっている。paratyphoid も typhoid 同様 zoonosis ではないと考えられており、保有宿主はヒトだけである。ただし the paratyphoid bacillus は家畜や魚類からも分離されている]

● サルモネラ菌感染症、Bareilly -英国 スプラウト
PRO/AH/EDR> Salmonellosis, Bareilly - UK (04): sprouts 20101101.3959
Outbreak of Salmonella cases linked to bean sprouts continues
 情報源 Health Protection Agency (HPA) report 、2010年10月28日。
イングランド England とスコットランド Scotland における、汚染スプラウト contaminated bean sprouts によるサルモネラ菌感染症アウトブレイク outbreak of _Salmonella [enterica_ serotype_] Bareilly infection は、現在も継続している。8月の流行開始以来190人の_S._ Bareilly cases が England, Wales (5 of the cases), and Northern Ireland (2 cases) で確認されている。例年であれば、報告される患者数は10人以下である。

● ハンタウイルス 米国
PRO/AH/EDR> Hantavirus update 2010 - Americas (36): USA (CO) 20101101.3955
 情報源 The Durango Herald 、2010年10月30日。
19日に急死した Montezuma County の男性1名は、齧歯類の排泄物からのハンタウイルス感染症 hantavirus [infection] が原因であったことが、29日のコロラド州保健当局 Colorado Department of Public Health and Environment の獣医師の話でわかった。患者は35歳で建設現場の時間労働者であった。Montezuma County resident のハンタウイルス感染による死亡の最新例は、1993年の San Miguel County の女性に起きた事例である。La Plata County では、1985年以降、死者3人を含む多数の human hantavirus cases が報告されており、死者のうちの1人は1993年に、残りは1998年に発生している。
地図 Montezuma County in south west Colorado

● レプトスピラ症 英国 死亡,ボート選手
PRO/AH/EDR> Leptospirosis, fatal - UK: (LI), rower
Archive Number: 20101101.3954
 情報源 This is Lincolnshire 10月29日
24日に51歳のボートの元オリンピックチャンピオン Olympic rowing champion が水系細菌性感染症により死亡したとみられることから,water sports を楽しむ際に安全に留意するよう呼びかけられている。19日の the annual Boston Rowing Marathon で from Lincoln to Boston [UK] までの50kmをボートを漕いだ後に体調を崩していた。感染動物の排泄物により汚染された水に暴露し,ワイル病 Weil's disease [leptospirosis,レプトスピラ症] に感染したものと見られている 

● 粘液腫症、ウサギ-英国
PRO/AH/EDR> Myxomatosis, rabbit - UK: (HA) 20101101.3964
 情報源 Daily Echo 、2010年11月1日。
Dibden Bay で粘液腫症 myxomatosis と見られる原因により野生のウサギが大量に死亡していることから、ハンプシャー Hampshire 州のペットオーナーらに対し注意が呼びかけられている。

◎ 狂犬病 (EBLV-2)、コウモリ:スイス

PRO/AH> Rabies (EBLV-2), bats: Switzerland 20101101.3963
[1] コウモリの間で感染循環が保持されている
 情報源 World Radio Switzerland 、2010年11月1日。
1日に発表された Geneva and Lausanne の研究者らの報告によると、西欧では哺乳動物のほとんどで狂犬病が根絶されている一方、低レベルではあるが、コウモリの間で、現在も類縁疾患が保持されていることがわかった。研究者らは、このウイルスを保有しているコウモリの集団は小さく、コウモリを手にしない限り、ヒトへのリスクは低いとしている。しかし、調査を行ったコウモリの 2% が陽性との検査結果から、引き続き調査を行うべきと考えられる。
[2] Surveillance for European bat lyssavirus in Swiss bats.
 情報源 Le Matin, Suisse [in French]、2010年11月1日。
西欧の陸生動物においてイヌの狂犬病 canine rabies はもはや問題とされることはなくなっているが、コウモリの間では同じウイルス科 [the _Rhabdoviridae_] に属する別のウイルスが今も存在している。有病率は低いものの注意してサーベイランスを行う必要がある。European bats コウモリは、2種類のリッサウイルス lyssaviruses を保有しており、それぞれ European bat lyssavirus 1 (EBLV-1) and European bat lyssavirus 2 (EBLV-2) と呼ばれている。(スイスの) the University of Lausanne and the Centre for Protection of Bats の研究者らが、このウイルスの有病率と疫学について、the journal Archives of Virology [Surveillance for European bat lyssavirus in Swiss bats., Arch Virol. 2010 Oct;155(10):1655-62. Epub 2010 Aug 28.] 誌上で報告した。
要約: 

西欧のほとんどの国において、現在、陸生生物の狂犬病は根絶されている。しかし自然界のコウモリ bat-specific のウイルス European bat lyssaviruses (EBLVs) の感染循環により、公衆衛生上の狂犬病のリスクが残されている。European bat lyssavirus types 1 及び 2 (EBLV-1 and EBLV-2) は、欧州全体に感染が広がっているが、その有病率や疫学の実態についてはあまり知られていない。今回われわれは、1976年から2009年にかけて the Swiss Rabies Centre に提出されたコウモリから摘出した脳の検体のうち、immunofluorescence (FAT 免疫蛍光) 法により EBLVs が陽性となった検体が、867検体中わずか 3件であったことを確認した。陽性となった3検体はすべて _Myotis daubentoni_ の脳の検体で、提出されたのは1992, 1993 and 2002 年だった。この passive surveillance に加え、2009年に targeted survey を行い、スイス国内に生息するコウモリにおける lyssaviruses の検出を試みた。スイス西部の数か所で合計237頭の bats of the species _M. daubentoni_, _Myotis myotis_, _Eptesicus serotinus_ and _Nyctalus noctula_ を捕獲した。各個体の Oropharyngeal swabs (口腔咽頭スワブ検体) 及び血液検体を、RT-PCR と rapid fluorescent focus inhibition test (RFFIT 迅速蛍光焦点阻止検査) を用いて解析した。RNA corresponding to EBLV-2 が検出されたのは、1件の oropharyngeal swabs of _M. daubentoni_ bat だけで、infectious virus (感染性ウイルス) は確認できなかった。分子系統発生学的解析法により、以前に確認されている Swiss bats (特に2002年にジュネーブで発見された個体) の the other EBLV-2 sequences に、塩基配列が非常に近いものであることが示された。3頭の_M. daubentoni_ bats は RFFIT による血清学的検査では陽性だった。
結論
スイス国内での有病率は低いが、公衆衛生上の潜在的リスク評価のため、continuous management and surveillance が必要と考えられた。
結語
"the public-health risk of infection with EBLV is moderate to low in Switzerland. Nonetheless, ....both active and passive surveillance must be intensified in order to assess more appropriately the potential risk to public health."
[Mod.CP- Discussion:
"血液検体中で過去の EBLV 暴露を意味する中和抗体が確認されたと同時に、 oropharyngeal のスワブ検体で ウイルス RNA も検出されていることから、Swiss Daubenton's bats の集団の中で recent active circulation of EBLV があり、感染拡大の可能性があることが示唆される。検体を採取した他の3種のコウモリ (Serotine bat, Noctule bat and Great mouse-eared bat) からは、serology or RT-PCR のいずれの検査においても、1例も positive reaction(serology or RT-PCR)が確認されなかった。the 3 seropositive Daubenton's bats のうち、1件は challenge virus (攻撃ウイルス?) として、CVS [challenge virus standard,狂犬病攻撃ウイルス標準] rabies が陽性となったが、これは EBLVs との血清学的交差反応によるものと考えられる。残る2件の検体は、 EBLV-2b は陽性となったが、CVS は陽性とならなかった。the challenge virus に EBLV を用いると、中和試験がより高い感度を示した... [*おわび : challenge virus の意味が分からず、意味が通るように訳せませんでした]。 Daubenton's bats での血清抗体陽性率は 2.4 percent (3 of 24 bats tested) であったが、RT-PCR から推定される有病率は、陽性反応個体のうち 0.7 percent (1/148) とこれより低率だった。今回示された低い有病率は、従来のウイルス検出法による西欧における北高南低 the north-to-south gradient の EBLVs 頻度の傾向に一致していた。スコットランド Scotland の _M. daubentoni_ に対するスクリーニングでは seroprevalence of 0.05-3.8 percent であった。最近行われたイングランド England での精力的なスクリーニングでは seroprevalence of 1.0-4.1 percent との結果が得られた一方で、RT-PCR and RTCIT を用いた検査では363 _M. daubentoni_ bats sampled からウイルスは検出されなかった。EBLV-1 は欧州北中部に最も多く見られるウイルスで、遠く東はロシアや西のスペインでも確認されている。ドイツとオランダのみ、 EBLV-1 と EBLV-2 のいずれもが確認されている。EBLV-1 の主要ベクターとして the serotine bat との特別な関連が認められるが、スペインの greater mouse-eared bats やドイツの noctule bats でも同じような関係が報告されている。serotine bats, noctule bats and greater mouse-eared bats は頻繁にスイス国内全域で確認されているが、検体を採取して解析されたことはほとんどなかった。フランスやドイツで serotine bats の症例が常時報告されていることから、これまでの (スイスでの)サーベイランスでは、限られた検体数やサンプリングの偏りによって、感染が見逃されてきた可能性がある。”]
写真 Images of Daubenton's bats

● ブルセラ症,ウシ 米国
PRO/AH/EDR> Brucellosis, bovine - USA: (WY)
Archive Number: 20101101.3956
 情報源 trib.com 10月27日
the state veterinarian によると,ワイオミング州北西部 northwest Wyomingの群れの3頭のウシが,ブルセラ症 brucellosis 検査で陽性となった