2010年11月19日-20日

炭疽-トルコ 小児の皮膚症状,米国 ヒツジ
鳥インフルエンザ、ヒト (59)-中国 H5N1
狂犬病、イヌ、ヒト-フィリピン

● コレラ-ハイチ
PRO/EDR> Cholera - Haiti (22) : update
Archive Number: 20101120.4204
[1] ドミニカ共和国 Dominican Republic : spread
 情報源 Reuters、2010年11月19日。
WHOは 19日、ハイチからドミニカ共和国へのコレラ Cholera 感染流行の拡大は避けられない状況にあるものの、被害の程度はより限定的となるとの見通しを示した。多くのハイチ国民がドミニカ共和国内で労働し、コレラに感染しても症状が現れない事も多いため、水系感染するこの病気は、容易に国境を越えるだろうと、WHO広報担当者は述べている...
[Mod.LL- 記事の中で直接述べられていないものの、ドミニカ共和国内のコレラ菌感染者数は 1人だけではないようである]
[2] Haiti (Port-au-Prince) : prisoners
 情報源 CNN 、2010年11月19日。
ハイチ国内で 1100人以上の死者を発生させている、致死性のコレラ感染流行が、新たに感染に対して脆弱な、国内最大の刑務所内に広がっている。3日間で 7人の受刑者が死亡したと報告された。

● 炭疽-トルコ 小児の皮膚症状,米国 ヒツジ
トルコ
PRO/AH> Anthrax, human - Turkey: (East) cutaneous cases 20101119.4201
Clinical Findings in Children with Cutaneous Anthrax in Eastern Turkey
 情報源 Pediatric Dermatology、2010年11月18日。
要約
炭疽 Anthrax は炭疽菌 _Bacillus anthracis_ による人獣共通感染症である。今回、小児の皮膚炭疽 cutaneous anthrax (CA) の臨床症状、治療、予後を明らかにすることを目的に、カルテに記載された、年齢、性別、職業、臨床症状、病変の位置、経過、検査所見、治療および結果について、後方視的検討を行った。調査したのは、生後 1ヶ月から 18歳 (平均9歳) の 65人の患者で、89.1%の患者が夏から秋に発生し、20人は入院までに抗生物質による治療が行われていた。1人をのぞく全員に、感染動物との接触が認められた。生後1ヶ月の患者は、皮膚炭疽のある母親との接触歴があった。臨床所見では、36人(55.3% ) に炭疽浮腫 anthrax edema が、また炭疽膿ほう anthrax pustule が 27人 (41.5 percent), anthrax edema と anthrax pustule 両方が認められたのは 2人 (3 percent)だった。 グラム染色及び培養検査で B. anthracis が陽性となったのは 35人(53.8 percent) 、グラム染色だけが陽性となったのは 10人 (15.4 percent) だった。残りの 28人(30.8%) については、臨床所見により診断されていた。トルコ国内では、感染したウシ、ヒツジ、ヤギなどの処分や搾乳、保護対策なしで行う生肉処理に伴って炭疽感染流行が発生するため、市民に対し動物の処分や肉や皮革の取り扱いに際しての、個人防護対策を啓蒙する必要がある。
[Mod.MHJ- トルコでは多数のウシや小型反芻動物ときにウマでの流行に端を発し、毎年150-300人の患者が発生するほど、ヒトでの炭疽感染発生状況は深刻である。接触感染例 contagious cases はまれだが、今回の乳児とその母の例のごとく、発生する可能性がある。全文を読むに値する記事である]

米国 ヒツジ
PRO/AH/EDR> Anthrax - USA: (TX Texas) ovine 20101119.4198
 投稿者 米 ・ Texas Department of State Health Services、Ed Wozniak、2010年11月17日。
Val Verde county でヒツジとヤギの農場を営む所有者より、死亡したばかりのメスのヒツジが検査に提出された。獣医師は農場で剖検を行ない、複数の臓器を州検査機関に提出したところ、培養と分離により炭疽菌 _Bacillus anthracis_ が確認された。

● 鳥インフルエンザ、ヒト (59)-中国
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (59): China (Hong Kong) 20101119.4197
[1] CIDRAP, Avian Flu News Scan
Few clues in Hong Kong H5N1 analysis

 情報源 CIDRAP (Center for Infectious Disease Research & Policy) Avian influenza news、2010年11月18日。
最近確認された 59歳の女性の H5N1鳥インフルエンザ Avian influenza 感染への対応として香港政府当局は、家禽農場、生きたトリの検査、農場や市場の衛生保持などに、一層の努力を行っていると18日の記者会見で当局者が述べた。患者の女性は現在も危険な状態にあり、Princess Margaret Hospital に搬送されている。当局よれば、初期検査で H5N1ウイルスがアジアで一般的な clade 2.3.2 であることが分かった。この結果から、女性がどこで感染したかを推測することはできないが、潜伏期間を考慮すれば、女性は中国本土への旅行中にこのウイルスに感染したと推測されると説明された。また、Hong Kong's Center for Health Protection (CHP) は 18日、the woman's infection の詳細について the latest issue of its Communicable Diseases Watch で明らかにしている : 発症後の 14日に入院し、状態が悪化して集中治療室に移され、 oseltamivir (Tamiflu) が使用されているが、人工呼吸器は装着されていない。濃厚接触者は隔離され、予防投薬を受けている。
[2] Hong Kong Government Department of Health, press release
Bird flu precautions enhanced
 情報源: Hong Kong Information Services Department、2010年11月18日。
食品保健局長は、香港での大流行のリスクに大きな変化はないものの、鳥インフルエンザ対策を推進する旨の発言を行った。

.● 狂犬病、イヌ、ヒト-フィリピン(07) (08)
PRO/AH/EDR> Rabies, canine, human - Philippines (08): background  20101120.4208
 情報源 GIDEON (Global Infectious Disease & Epidemiology Network)、2010年11月20日。
近年、フィリピン国内の狂犬病 Rabies 発生数はやや減少傾向にあるものの、同国内の人口 10万人対の発生率は、近隣諸国と比較すると高くなっている。

PRO/AH/EDR> Rabies, canine, human - Philippines (07) 20101119.4200
Rising rabies deaths alarms health department
 情報源 Allvoices News、2010年11月18日。
政府保健当局は、1月1日から 10月23日までの期間中の狂犬病感染が疑われる患者の数が 264人であったことを報告した。このうち 206人が、イヌ等の感染動物に咬まれたり、傷を舐められたした時に、唾液からこのウイルスに感染し死亡したと述べた。狂犬病の症例数は、子どもたちがワクチンを接種されていない動物に近づく学校の休み期間中に増えると説明されている [しかし、2008年の 5658例と比較すれば、心強い数字である]。
2010年に狂犬病患者の発生数が多いのは、以下の地域である; Region IV-A (49); Region III (36); Region V (29); and Metro Manila (20) 
2008年の世界の狂犬病死亡患者発生状況(多い順): インド India -- 244 478、バングラデシュ Bangladesh -- 22 900、中国 China -- 13 995、フィリピン Philippines – 5658、ベトナム Vietnam – 5183、パキスタン Pakistan – 2843、スリランカ Sri Lanka – 2042、ミャンマー Myanmar – 1683、タイ Thailand – 1377、インドネシア Indonesia – 1208

● ウエストナイルウイルス- スペイン、ウマ
PRO/AH/EDR> West Nile virus - Eurasia (13): Spain, equine, update  20101119.4203
10 horses died and 41 were positive during the 2 months of Nile virus

 情報源 Infomacionjerez [Spanish]、2010年11月18日。
アンダルシア Andalusia 地方で Jerez を中心に初めてウエストナイル熱 West Nile fever 感染流行が確認されてからわずか 2か月間で、検査陽性となったウマは 41頭におよび、このうち 10頭が死亡した。初めてのウマの感染と死亡が確認された Jerez ではこれまでに 14頭のウマの感染と4頭の死亡が確認されている。
[Mod.AS- 10月14日から 27日までの間に、新たに 15件の感染流行がいずれもアンダルシア Andalucia 地方で発生している]

● アフリカ豚熱-ジョージア
PRO/AH/EDR> African swine fever - Georgia: susp., RFI 20101119.4199
A new outbreak of African swine fever in South Ossetia and Georgia

 情報源 Rosselkhoznadzor (Russian Federal Service for Veterinary and Phytosanitary Surveillance) News, epizootic situation、2010年11月17日。
南オセチア共和国政府農業当局によると、ジョージア(グルジア)国境付近の領内で、大量の家畜のブタの死亡が確認されている。200頭以上が死亡し、African swine fever [ASF アフリカ豚熱(豚コレラ)] の症状が認められているという。Tebota and Garistav settlements of the Zanurskiy Region and the Orchosan settlement of the Leninogorskiy Region で死亡したり、発病したりしているブタから採取された検体の検査で ASF と診断された。17日ジョージア国内でブタの大量死が確認されたため、検疫体制が布かれている。the [Republic of] North Ossetia-Alania では、ブタの大量死は報告されていない。

● Equine grass sickness-英国: 推定される病因
PRO/AH/EDR> Equine grass sickness - UK: possible etiology 20101119.4188
 情報源 HorseTalk、2010年11月18日。
英国の研究により equine grass sickness [EGS] の原因が飼料中の鉄や重金属であることが示唆されている。the School of Pharmacy at the University of London が行った研究で、牧草地の牧草の鉄や重金属濃度が異常に高かったり、toxic buttercups の量が多かったりすると、equine grass sickness になりやすいことが見出された。
原著

● 口蹄疫-世界各国
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - world (02): quarterly report 20101119.4186
FAO/OIE Reference Laboratory contract report, July-September 2010, Foot-and-Mouth Disease: summary
 情報源 WRLFMD、Quarterly Report July-September 2010 [accessed 18 Nov 2010, edited]、2010年11月18日。