2010年11月29日

原因不明の疾患-ウガンダ
◎ Alkhurma virus-イタリア エジプトから
狂犬病-バングラディシュ

● デング熱/デング出血熱 (59)
  フィリピン、台湾、タイ、インドネシア、インド、パキスタン、コスタリカ
  プエルトリコ、ブラジル、ベネズエラ
PRO/EDR> Dengue/DHF update 2010 (59)
Archive Number: 20101129.4300
 -フィリピン(Negros Oriental). 25 Nov 2010. ...dengue cases dropped from 108 in week 42 to 56 in week 44.
 - 台湾. 23 Nov 2010. ... 106 reported cases of dengue fever last week (week of 14 Nov 2010), .... Of the 1216 reported cases of indigenous dengue fever since the beginning of August 2010, 1196 were in the southern part of the island, including Kaohsiung and Tainan cities and counties and Pintung County
 - タイ (Phuket). 22 Nov 2010. Phuket Town Mayor ... 693 confirmed cases of dengue in the city so far this year [2010].
 - インドネシア (West Nusa Tenggara). 23 Nov 2010. West Nusatenggara had a total of 1781 dengue fever cases in the January-October 2010
 - インド (Delhi). 23 Nov 2010. Delhi reported 14 more cases of dengue today (23 Nov 2010), taking the total number ... to 6190
 -  (Andhra Pradesh). 22 Nov 2010. In the last 24 hours, 3
persons died ...in Bhadrachalam Agency in Khammam district
 - パキスタン (Punjab). 23 Nov 2010. ..., 46 cases of dengue fever were reported from Lahore and 35 from other districts during the last 24 hours.
 -  (Sindh). 23 Nov 2010... during past 24 hours, 88 dengue patients hospitalised; 56 from Karachi and 32 from other parts of the province. The total number of suspected cases increased to 5064. The total deaths remained at 22
 - コスタリカ. 24 Nov. 2010. ...In mid-year (2010), dengue fever cases reached a number 4 times bigger than the number registered in 2009,
 - プエルトリコ. 24 Nov 2010. The number of dengue deaths reached 30 in 2010. 
 - ブラジル(Goiania). 26 Nov 2010. ...the reported dengue cases currently total 102 726, with 69 deaths[ in Portuguese.]
 -  (Sao Paulo). 24 Nov 2010. The capital of Sao Paulo state has 5676 confirmed (dengue) cases as of 10 Nov (2010). l[in Portuguese.]
 - ベネズエラ. 26 Nov 2010. The Ministry of Health's Epidemiological Bulletin No. 45 (for the period 7-13 Nov 2010) reported that the cumulative number of dengue cases for 2010 reached 112 258, with the DHF cases to date at 9621

● 原因不明の疾患-ウガンダ
PRO/EDR> Undiagnosed disease - Uganda: Acholi, RFI 20101129.4297
 情報源: The Monitor, via allAfrica.com 、2010年11月29日。
Kitgum, Abim, and Agago districts で原因不明の病気が発生し、8日以降、8人が死亡し、12人が感染している。26日の衛生報告によると、累積患者数は 32人に上っている。一部でエボラ出血熱との疑いがもたれているこの疾患は、11月はじめに Balang Village in Agago District で発生した後,Odiyo Village, Patongo などからも患者が報告されている。Gulu District の WHO の専門家は、現在 Kalongo Hospital に 19人が隔離されていることを明らかにした。患者らは、急性の下痢、嘔吐、激しい頭痛の症状が見られるという。治療中に患者の吐物に触れた、同院の医療従事者 1人にも感染が発生している。
[Mod.CP- Kitgum, Abim and Agago in the Northern Region of Uganda の各地区は、the Achol ethnic group が多く住んでおり、北方のスーダンからの難民がたびたび悩まされている。2008年には hepatitis E virus infection の大流行で複数の死者が出ている。上記の集団発生の症状は詳らかではないが、the hepatitis E outbreak とは違うようである。Ebola hemorrhagic fever が原因の1つとして示唆されている。あり得なくはないが、感染症の兆候として出血については触れられていない]

◎ Alkhurma virus -イタリア エジプトから
PRO/AH/EDR> Alkhurma virus - Italy ex Egypt 20101129.4285
 情報源: Environmental Health Threats Forum、2010年11月26日。
サウジアラビア以外では初めてとなる Alkhurma haemorrhagic fever の症例について、the December 2010 edition of Emerging Infectious Diseases オンライン版で報告された。2010年中の異なる時期にエジプトのあるラクダ市場を訪れた 2人が、イタリアに帰国後この疾患を発病した。”この地域内での ALKV [Alkhurma virus] circulation が強く示唆される" と述べられている。high-biosafety pathogen に分類されているこの病原ウイルスは、ラクダとヒツジに感染し、ヒトの感染例 Alkhurma haemorrhagic fever の患者の多くは感染動物の血液と接触することの多い食肉処理業者である。しかしダニ Ornithodoros savignyi_ tick の刺咬や未殺菌のミルクの摂取によっても、ウイルスに感染する恐れがある。患者の約 25%の転帰をとる。1990年代半ばに発見され、初めての死者が発生した都市名に因んで病名がつけられた。これ以後およそ 40人の患者が報告されているが、サウジアラビア以外から報告されたことはなかった。報告された1例目の輸入感染例患者は 64歳の男性で、2010年 4月にラクダ市場を訪れた際にダニのようなものによる咬傷を足に受けている。刺咬から 2日後に高熱、悪寒、嘔気などの症状を発症し、イタリアへの帰路の途中で状態が悪くなったが、5月中旬には完全に治癒して退院となった。この間に行われた診断のための血液検体検査で、デング熱、ウエストナイルウイルスが否定されたが、フラビウイルスの1種であるとの疑いが持たれ、genus-specific reverse transcription-PCR の結果 the Alkhurma virus に非常に近い遺伝子成分が確認された。その数週間後には、他の患者からの血液検体でも同ウイルス陽性の結果が判明し、いずれの患者も約 1ヶ月の間をおいてこの地方を旅行していたことが分かった ... 
参考文献
1. Alkhurma hemorrhagic fever in travelers returning from Egypt, 2010. Emerg Infect Dis.(EID)2010; 16(12) doi: 10.3201/eid1612101092.
(全文和訳) 厚生労働省検疫所 FORTH
一部抜粋: 
南エジプトから帰国した2名のイタリア人旅行者が不明熱で入院し、検査の結果、Alkhurma ウイルスに感染していることが示された。Alkhurma ウイルス (ALKV) は、最近になって、フラビウイルス属のダニ媒介性出血熱グループに属することが記載されたウイルスで、現在、Kyasanur 森林病ウイルスの変種であると考えられており、89%の nt 系列相同性を持っている。この新興病原体は、発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、嘔吐、血小板減少などの徴候や症状を惹起し、重症例では出血症状(鼻出血、斑状出血、点状出血、吐血)や脳炎を起こす可能性があり、致死的な転帰 (致死率は25%程度) をとる可能性がある。ラクダとヒツジが自然宿主と考えられているが、他の哺乳動物の感染サイクルに関与については、不明である。最近、サウジアラビアのジェッダ(Jeddah) 近郊で採取されたダニ(Ornithodoros savignyi) で、ALKV RNA が検出された。複数の動物を宿主とするこのダニは、アラビア半島では、ラクダやラクダ用の厩舎で発見され、夜行性かつ潜行性で、木の下で休むヒトやその他の動物を刺咬する。また、蚊がベクターとなりうるという仮説も、2つの研究で提示された。ヒトに経皮的(感染脊椎動物の血液により、皮膚の創傷部が汚染されるか、あるいは感染ダニの刺咬によって)感染のほか、ウイルスで汚染された未殺菌の牛乳摂取による、経口感染が推定されている。ヒトへの伝播には、ヒツジとラクダの屠殺にも関連する。 ヒトからヒトへの感染報告はない。ALKV はサウジアラビアだけで検出されてきたが、近縁関係が濃厚な Kyasanur 森林病ウイルスは、インドから中華人民共和国に至る地域に、分布が拡大している。 以下に、2010年にエジプトからイタリアに帰国した、2名の旅行者に生じた、Alkhurma 出血熱症例について報告する: 症例報告、遺伝子解析・系統解析の結果、結論 ... 
2. Alkhurma hemorrhagic fever in humans, Najran, SaudiArabia. Emerg Infect Dis. 2010; 16(12). doi:10.3201/eid1612.100417.
[Mod.TY- ... このウイルスはダニ媒介性で、インドの Karnataka state に地域内感染する Kysanur Forest disease virus に似ており flavivirus に属する。中東の経済圏内の  Alkhurma virus encephalitis のサーベイランスが望まれる。 ダニ刺咬や感染動物との接触だけでなく、consumption of raw camel's milk も、Alkhurma virus 感染の major risk factor とされている点は興味深い。 この地域においては、raw camel's milk の摂取が一般的であるため、この点についてもさらに調査を行う価値がある]

● 狂犬病-バングラディシュ
PRO/AH/EDR> Rabies - Bangladesh: (NI), feline, human 20101129.4284
 情報源:BDNews24, Bangladesh 、2010年11月28日。
Narsingdi において狂犬病 Rabies により少なくとも 3人が死亡し、他にも 3人の患者が発生している。死亡したのは Darikandi village (under the jurisdiction of Kathalia Union at Sadar Upazila) の 45歳の男性とその 12歳の息子と 13歳の娘であった。感染が疑われる 3人とは、40歳の女性 2名と 12歳である。感染の疑われる 3人に暴露後接種が行われている [すでに症状があるとすればワクチンによる効果は望めない] 。感染した 3人はネコによる咬傷を受けたと説明されている。
[Mod.CP- 死亡患者は、いつ受傷したのか分からないし、おそらくは暴露後接種を受けていない理由も分からない。現在暴露後接種を受けている患者らは、同じネコに襲われたのか、違うネコなのか?]
地図 Narsingdi in central Bangladesh、 50 km north east of Dhaka。この地域 district は国内では唯一の農業だけに頼らない地区である 

● ポテトの病気,Late blight type A2-エストニア 初報告
PRO/PL> Late blight type A2, potato - Estonia: 1st report 20101129.4298
New, dangerous potato blight found in Estonia
 情報源: ERR News, Estonian Public Broadcasting 、2010年11月23日。
新種でより強力な型の potato blight が、エストニアにも発生したことが、大学の学位論文として発表された。国内のポテトの病原体を調査した結果、より危険性の低い型と違い、この菌は有性生殖で増えることが確認された。
[Mod.DHA- Potato late blight (PLB) は真菌様の_Phytophthora infestans_ を原因とする]

● 口蹄疫-韓国
PRO/AH> Foot & mouth disease - S Korea (08): (KB North Gyeongsang) recurs, RFI 20101129.4296
Outbreak of foot and mouth disease discovered in South Korea
 情報源: Xinhua News Agency 、2010年11月29日。
韓国の地方養豚場のブタに対し行われた、口蹄疫 foot and mouth disease [FMD] の検査が陽性になったことを、29日政府当局が発表した。感染流行の発生が疑われているのは、Andong, North Gyeongsang province の養豚場 2か所で、それぞれの農場で 5500頭と 3500頭のブタが飼育されている。韓国では、1月に 2002年以来発生のなかった感染流行が報告されているが、9月27日に OIEの清浄国の基準を達成していた。
[Mod.AS- 2010年のこれまでに、韓国では 3件の FMD 感染流行が発生している
1. FMDV serotype A was recorded in Gyeonggi-do province on 2 Jan 2010,
2. FMDV serotype O was recorded in the province/island Incheon-Jikhalsi on 8 Apr 2010
3. FMDV serotype O was recorded in Chungcheongbuk-do province (1 outbreak) on 21 Apr 2010, spreading to the adjacent province of Chungcheongnam-do (4 outbreaks)]

● 鳥インフルエンザ (54) : ベトナム
PRO/AH> Avian influenza (54): Viet Nam (NA,HT) 20101129.4294
 情報源: Saigon Giai Phong (SGGP) Daily 、2010年11月
11月に洪水の被害が発生した、北部 Nghe An および Ha Tinh 省で H5N1鳥インフルエンザ Avian influenza ウイルスが確認されたと、26日に保健当局者が述べた。Nghe An Province, Dien Chau District では約 600 羽の家禽 [ニワトリか?] が、H5N1 virus に感染したため焼却処分された。Ha Tinh Province 省では Cam Xuyen District で発生した。現在鶏肉の需要が高まり、農家は飼育数を増やしている。寒冷気候と高密度飼育が、感染を拡大させているという。

● Rhodococcus equi -アラブ首長国連合 ヒトコブラクダ 初報告
PRO/AH> Rhodococcus equi - UAE: (Dubai) dromedary, 1st rep 20101129.4293
Unusual pneumonia outbreak kills camels on Dubai farms
 情報源: The National (Abu Dhabi)、2010年11月28日。
ラクダに起きている原因不明の肺炎流行について調査が行われている。2008年 3月以降、これまでに 15頭すべてが死亡した。子馬では一般的な _Rhodococcus equi_ が原因菌であり、ヒトにも感染することはあるが、ラクダで確認されたのはこれが初めてであった。
[Mod.AS-出典: Disseminated _Rhodococcus equi_ nfection in dromedary camels (_Camelus dromedarius_). Vet Microbiol. 2010 Oct 8 [Epub ahead of print]. ]

● Mare reproductive loss syndrome-オーストラリア ウマ
PRO/AH> Mare reproductive loss syndrome - Australia: (VI) 20101129.4292
Caterpillar killing unborn foals
 情報源: Weekly Times Now 、2010年11月26日。
有毒の progressionary caterpillar [Mod.SH- the processionary caterpillar 行列毛虫のことを言っているのか、それとも the eastern tent caterpillar なのか] による胎仔の流産によって、ウマの飼育業者らに大きな被害が発生する可能性がある。この the progressionary (or hairy) caterpillar が、the Geelong region から ビクトリア Victoria 州中央部に広がっており、foal abortions の原因になっていると見られている。Kyneton and Trentham 間の Spring Hill の飼育家の 1人は、いもむしを発見した 2010年春以降、飼育していた 15頭のうちの 7頭を失っている。
[Mod.TG- 米国東部で妊場に被害を及ぼしている the tent caterpillar のようなものかもしれない。病名は mare reproductive loss syndrome で呼ばれている。the caterpillars の毒性物質はいまだ確認されていないが、the eastern tent caterpillar が原因であることは分かっている。以下 eastern tent caterpillars (_Malacosoma americanum_) についての説明など]

● ウマヘルペスウイルス-米国
PRO/AH> Equine herpesvirus - USA (04): (NY) 20101129.4286
EHV in New York : state health official confirms disease diagnosed at racetrack
 情報源: Horse Health Blogs, The Jurga Report at Equisearch.com 、2010年11月24日。
23日 New York State 当局者は、州西部の Finger Lakes Racetrack の厩舎内のウマ1頭のequine herpesvirus [EHV 馬ヘルペスウイルス] 感染が確認されたことから、同施設を隔離していると発表した。