2010年12月10日

ブタ連鎖球菌、ヒト-タイ
マラリア、熱帯熱-ドイツ リビアから

◎ ブタ連鎖球菌、ヒト-タイ 
PRO/AH/EDR> Streptococcus suis, human - Thailand: (LG)
Archive Number: 20101210.4404
 情報源: Chulalongkorn University, Information Center for Emerging Infectious Diseases [in Thai]、2010年12月9日。
2010年初以来、Phetchabun ペッチャブン県でブタ連鎖球菌感染症 _Streptococcus suis_ infection による患者が23人発生し、うち5人死亡している。最近ランパーン Lampang 県でも新たに 3人が 'Larb' and 'Lu Mu' (生の豚肉と豚の血液を使った、Laos meat salad) を食べて感染したと報告されている。いずれの患者も回復した。タイ国内の豚連鎖球菌感染の患者は、 'Larb' and 'Lu Mu' が好まれる、北部で発生することがほとんどである。感染の症状は、高熱と突然の片側または両側の聴力損失である。この他の症状として、頭痛や嘔吐がある。重症例では死亡する場合がある。
[Mod.SCM- 上記記事は、2010年のタイでのブタ連鎖球菌感染としては3回目の報道となる(20100813.2771 および 20100628.2159)。2009年のタイ公衆衛生省の年次報告によると159例の豚連鎖球菌患者が確認されている。北部(130例)の内訳: Lampang (23 cases), Phetchabun (21), Phitsanulok (20), Uttaradit (15), Sukhothai (13), Nan (10), Chiang Rai (7), Nakhon Sawan (6), Chiang Mai (4), Phrae (4), Phayao (4), Tak (2) and Uthai Thani (1) provinces.]
[Mod.ML- Human _Streptococcus suis_ infection は致死性人獣共通感染症であり、報告としては髄膜炎を起こすことがもっとも多いものの、十分量のトキシンの産生があれば、トキシックショックによる死亡も起こりうるし、より少ないが心内膜炎もある。感染したブタを処分するヒトへの感染が主である。十分調理された肉や内臓の摂取には感染のリスクはない。感染した肉や臓器を調理する料理人にも感染リスクがある。ヒト-ヒト感染はないと見られている(Journal of Antimicrobial Chemotherapy)。_S. suis_ は症状がみられないブタ asymptomatic pigs からも検出されているが、子ブタを中心に virulent strains により重症感染 (多発関節炎, 髄膜炎、敗血症)が惹起され、離乳したばかりのブタには髄膜炎が起きる可能性がある。さらに _S. suis_ が成獣のブタの、肺炎、心内膜炎、心筋炎、流産の原因となることがある。ウイルス感染症の porcine reproductive and respiratory syndrome (PRRS 豚繁殖呼吸障害症候群) では、免疫能低下immunosuppressive effect により _S. suis_ に対する易感染性につながるとされている]
関連項目 20101201.4320

● 原因不明のウイルス症候群、小児-エジプト
PRO/EDR> Undiagnosed viral syndrome, children - Egypt: (FM), RFI 20101210.4403
 情報源: Al-Youm Al-Sabeh Newspaper, Egypt [machine translation] 2010年12月10日
Fayoum Governorate で数十人の小児が、かぜのような症状の原因不明のウイルス病に罹患している。入院先の The General Hospital of Fayoum Governorate が、the Department of Health in Fayoum Youm7 に報告した ... 当局は、この新型ウイルスはこれまでに確認されたことがないものと述べ、県内各地の病院にも、この原因不明の病気による小児患者が連日 30-40人入院しているという。現在治療中の小児は 200人以上いる。
[Mod.CP- ... particularly virulent strain of rhinovirus (common cold virus) might be responsible, しかし他にもたくさんのウイルスが上気道の症状をもたらせる。最近、エジプトでは成人 2人が鳥インフルエンザウイルス感染と診断されている; が、もっと重症で、ヒト-ヒト感染することはまれである]
地図 Fayoum governorate Fayoum ; number 9 in this map 

● 鳥インフルエンザ、ヒト (66)-インドネシア WHO
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (66): Indonesia (WJ West Java) WHO 20101210.4402
Avian influenza situation in Indonesia: update 5
 情報源: WHO Global Alert and Response (GAR) 、2010年12月9日。
インドネシア保健省は、新たなH5N1鳥インフルエンザ患者についての発表を行った。West Java 西ジャワ州 Bandung 市の 21歳女性 1名が、11月14日に発病し、同 22日に入院となり、現在も入院中である。初期調査で、患者の居住地付近に、ニワトリの商業的飼育施設があり、鶏糞の清掃が行き届いていないことが分かった。感染源の可能性について、さらなる調査が続けられている。検査室で H5N1鳥インフルエンザウイルスが確認されている。インドネシアでこれまでに確認された171人の患者のうち、141人が死亡している。
[Mod.CP- WHO による、インドネシアで 171人目の鳥インフルエンザ A/(H5N1)インフルエンザウイルス感染患者の公式確認である。ProMED-mail ではすでに 20101208.4383, および 20101207.4373 で報告されている。この患者は回復しつつあるが、感染源については、まだ分かっていない。他者への感染伝播はない。2010年に9人目の確定患者である]

● マラリア、熱帯熱-ドイツ リビアから
PRO/EDR> Malaria, falciparum - Germany ex Libya, RFI 20101210.4401
Falciparum malaria in a traveler visiting a country designated malaria-free
 情報源 : GeoSentinel 、2010年12月10日。
GeoSentinel, the global surveillance program of the International Society of Travel Medicine (ISTM) は、WHO が malaria-free に指定するリビアから帰国したドイツ人旅行者の熱帯熱マラリア Malaria, falciparum 感染について報告する。GeoSentinel のハンブルグ Hamburg, Germany site (HAM、the Bernhard Nocht Institute (BNI) for Tropical Diseases 内に設置)によると、この患者は11月7日にリビアに到着し、20日間の旅行を終え帰国したプロ旅行ガイドの女性である。チュニジアの Djerba に空路到着後、この女性は陸路により Sabratha, Ghadames, and then to a tented camp in the Akakuks mountains を20日間にわたり旅行した。18日から 2日間 Waw an Namus に、最後の週は Mandara lakes に滞在した。11月24日に発熱し、帰国したドイツの地方病院で 28日に 2.6%の寄生虫血症が認められ、29日に BNI に搬送されたときには14% の寄生虫血症の状態にあった。quinine の静脈注射に反応があり、12月2日には 3%の寄生虫血症となった。女性には基礎疾患や常用薬はなく、これまでにマラリアに感染したことはなかった。9月12日から 25日までトルコを旅行しているが、イスタンブール Istanbul のみの旅行で、Antalya から海岸沿いの船旅をしている。トルコの中でこの地域はマラリア清浄地域とされ、長らく患者発生がないことから予防内服は行っていない。2月にマリを旅行した際には doxycycline による予防内服を行っていたが、マリ出発後すぐに内服が中断されている。2009年、セネガルとニジェールを旅行しているが、いずれの旅行中および旅行後にも発病していない。ドイツ国内で免疫のない宿主の典型的な熱帯熱マラリアの潜伏期間を考慮すると、今回はリビアで感染したと考えるのが妥当である。トルコでの感染も完全には否定できないが、疫学上非常に可能性が低く、潜伏期間も極端に長くなってしまう。同様に、セネガル、ニジェール、マリについても、9か月前にマリを出発した彼女の血中に抑制量の薬物が残留していることはなく、熱帯熱マラリアが relapsing malaria を起こすこともない。リビアは WHO により公式に malaria free に指定されているものの、サーベイランスは完全ではないと考えられている。WHO のデータによると、2000年に小規模の国内流行が起き、2005年に12例の輸入感染例が報告されている。患者の渡航先であるリビア南西部の the Fezzan region には、南や西の他国から Tuaregs などの遊牧民が頻繁に訪れている。リビア各地には少なくとも 7 species of competent _Anopheles_(マラリア感染能力のあるハマダラカ) が生息している。 原虫の genotyping のため、血液検体が米 CDC に送付されている。

● Fusarium root rot、バニラ-マダガスカル
PRO/PL> Fusarium root rot, vanilla - Madagascar 20101210.4399
Madagascar vanilla output may fall
 情報源 Bloomberg 、2010年12月7日。
世界第 2位の生産国であるマダガスカルのバニラ収穫量は、2010年に 29%にまで低下する可能性がある。その要因は、価格急落による栽培面積の縮小と、病気の発生および低い作付けサイクルにある。生産高は 1000 metric tons に落ち、2011年に入ってもそのレベルにとどまると見られている。2008年の生産高は 2000トンだった ... 周囲の土壌も汚染する fusarium による、定植の減少もあり、栽培が制限されている。バニラは、マダガスカルの輸出高の 4.2%を占めている。
[Mod.DHA-Root and/or stem rot of vanilla (_Vanilla_ species) の原因となる、 _Fusarium oxysporum_ f.sp. _vanillae_ は、世界中の vanilla production にとって、最も重要な疾患である]