[1] ハイチ : 最新状況
情報源 Fox News、2010年12月14日
当局は13日、10月中旬以来ハイチ全体に広がっているコレラ Cholera 感染流行により、死者合計2323人、患者104614人が発生していることを明らかにした。 the Public Health and Population Ministry からの数字によると、過去3日間に、全国で130人がコレラ感染により死亡した。感染流行の開始以来、首都で178人、初めての患者が報告された北部の Artibonite 州では748人が死亡している...また、最も致死率が高いのは、南部の Grand'Anse 州で、確定患者391人中129人が死亡していることが分かった。
情報源 Agence France-Presse、2010年12月13日
ドミニカ共和国内のコレラ感染者数は32人となったが、これまでのところ死者は報告されていないと、13日に報じられた[確定されていないが、1名の感染によると見られる死者が発生している]。ハイチの大統領と共同で対策に当たることを確認した。ハイチとドミニカ共和国はおよそ376kmにわたり往来の容易な国境を共有している。(首都)The Santo Domingo government 当局は、島内のあらゆる地域をを流域に持ち その大部分が the Dominican-Haitian border に沿って流れる the Artibonite River からの取水を禁止した。
[3] ワクチン使用の可能性 Potential vaccination program
情報源 National Public Radio (NPR) 、2010年12月10日
第一線で活躍する公衆衛生担当者や研究者らに対し、ハイチ及び周辺各国でのコレラ感染対策としての一斉ワクチン接種計画についての会合への出席が呼びかけられた。出席者らから、コレラ菌対策としてワクチンは必要との意見が出された。この、ハイチ国内の広い範囲で発生し、ドミニカ共和国にも影響が及び始めたコレラ菌について、研究者らは、より致死性の高い型であるとしている。これまで、専門家らの間では、有効なコレラワクチンは存在しないと見られ、大勢のコレラ患者の治療法として、ワクチン接種は遠ざけられる傾向にあった。しかし、今すぐワクチンを接種するとの考えで一致した。このような変化の裏にはある要因があった : The Pan American Health Organization (PAHO 汎米保健機関) により、予想をはるかに上回るワクチンがストックされていることが判明したのである。同機関の医師は、100万人分を上回る数のワクチンが manufacturers' storehouses に存在したと述べた。両国ともワクチン接種を検討している。しかし、同氏は、ワクチンの利用は Hispaniola だけにとどめるのではなく、the poorer countries of the Caribbean、Central America 全体に使用すべきとの考えを示した。もう1つの要因として、新たな研究結果により当初考えられていた以上にハイチの菌株の致死性が高いことが判明したことがある。死亡した患者の半数は病院到着前に死亡しており、コレラの初発症状からわずか2時間で死亡していたと、Dr. Thomas Frieden, director of the Centers for Disease Control and Prevention (CDC) は述べている。ハイチの死亡率は Peru in 1991 の12倍に上るとされている。当時 the Western Hemisphere の多くの国々に感染流行が広がったものの、the Caribbean には広がらなかった。ハイチの死亡率は減少しつつあるが、この新たな研究の中で、今後数年間はハイチ国内のコレラ感染流行が継続するとの厳しい見方が示されている。また Harvard researchers らは9日、医学雑誌 the New England Journal of Medicine の中で the entire genetic code of the Haitian strain(ハイチ株の全遺伝子コード)の完全な解読結果を発表した。この中でさらに、このコレラ菌株 this strain of Vibrio cholera が産生する毒素 toxins が,4-5年前にインドで突如現れた特別な致死力を有するコレラ菌の毒素と同じ遺伝子の特徴を有していることも判明したとしている。Brigham and Women's Hospital の医師である指導研究者は、このことで the Haitian bug can kill so fast を説明できるとしている。The Haiti strain には the Indian strain と同じ位置の a string of genetic material の欠失も見つかっており "A very strong fingerprint" と述べられている。
[Mod.LL- The more virulent East Asia strain とされているのは Matlab variant と呼ばれるコレラ菌で、the El Tor strain と the Classical biotype(生物型)の両方の表現型の特徴を同時に有し、より強い病原性を示す。生物型としてこれまでに biotypes of _Vibrio cholerae_, classical と El Tor の2種類が知られており、ヒツジ赤血球溶血、ニワトリ赤血球凝集、the Voges-Proskauer 反応、polymyxin B や biotype-specific viral bacteriophages への感受性などの多数の phenotypic properties により鑑別可能であった。Hybrid biotypes である so-called Matlab variants についても報告されている。(感染予防対策には)ワクチン接種以外にも、単純ろ過システム simple filtration system (4つ折または8つ折のサリーの布 a sari cloth folded 4 to 8 times) を使用することで、2 logs 以上のコレラ菌 _V. cholerae_ bacilli を除去することができ、コントロールと比較してコレラの発生が48%減少したことが示されている。自然環境中のコレラ菌は、この方法によりろ過できる water zooplankton(水生プランクトン) に接着していることから、有用な方法である]
参考文献
1. New variants of _Vibrio cholerae_ O1 biotype El Tor with attributes of the classical biotype from hospitalized patients with acute diarrhea in Bangladesh. J Clin Microbiol 2002; 40: 3296-9.
2. Colwell RR, Huq A, Sirajul Islam M, et al: Reduction of cholera in Bangladeshi villages by simple filtration. Proc Natl Acad Sci 2003;100: 1051-1055.
PRO/AH/EDR> Cysticercosis - Argentina 20101214.4435
情報源 Diario El Chubut [trans.]、2010年12月12日
4 例の嚢虫症 cysticercosis の症例が確認された。この寄生虫疾患は地域には常在していない。ほかにも感染が疑われる患者が存在し、市民に対して生のフルーツや野菜を摂取する際には十分注意するよう呼びかけられている。患者の1人は Puerto Madryn の住民であり、ほかの3人は Virch の住民だった。いずれの患者もほぼ1か月前に the Infectious Diseases, Neurology Pediatrics Service(in Adolfo Margara Local Hospital in Trelew)で確認された後、central Public Health authorities に報告された。現在感染が確認されているのは成人 2人と 8歳児 2人で、全員が foreign-born(外国人)である。女児の 1人は、けいれんを発症したため入院となり、CT 検査で脳内に寄生虫性のう胞が発見された。治療中の医師は、少なくとも1人が中枢神経系に病変が及ぶ最も深刻な合併症の 1つである "neurocysticercosis" であると説明した。さらに、患者らが農村部で野菜やフルーツを栽培していた農家の家族であることを懸念している。この地域 the valley では洪水による灌漑を利用した農法が採用されているが、地表や野菜に虫卵が広がることで感染状況の悪化を招く可能性があるとしている。寄生虫卵は抵抗力が強く、長期間生存する可能性がある。アルゼンチン国内では、同症の治療薬である Albendazol も Praziquantel も入手できない点も指摘しておかなければならない。この寄生虫による病気 (taeniasis 条虫症) は、加熱の不十分な豚肉の摂取により罹患するが、その幼虫による病気 the larval form (cysticercosis 嚢虫症) は _Taenia solium_ (also known as solitary worm) の虫卵を摂取した場合に罹患する。虫卵は感染した患者の便中に排泄され、糞口感染経路でヒトに感染する。この地域で取れた生のフルーツや野菜を食べるときにはとくに注意が必要で、水10Lに対して洗剤10ccの割合で希釈した液の中に20分間浸水させた後、よくすすいでから食用にする。加熱調理した場合には、高温で卵は死滅するため感染のリスクはない。
[Mod.EP- Argentina から A few cases of cysticercosis について報告されている(Neurocysticercosis in a hospital of the city of Buenos Aires: study of 11 cases Arq Neuropsiquiatr. 1993;51:333-6) 。この論文では11人の患者が報告されおり、うち 8人はボリビアでの感染であった。今回の報告では少なくとも1人 [* all of them ?] の患者が "foreign born" とされており、アルゼンチン以外での感染の可能性もある。Cysticercosis は侵襲型の _Taenia solium_ (swine tapeworm) 感染で、汚染された豚肉を食べ、その中の条虫が(ヒトの体内で)産卵した虫卵によって感染する場合と、自然界のブタやヒトの便中に排泄された embryonated eggs を摂取して感染する場合とがある。もしこの患者らが地域内で感染したとすれば、地域内で飼育されているブタの調査や、住民らの便の虫卵検査を行うことで、感染リスクを評価することができる]
生活環
画像 Infected brain
● ギラン・バレー症候群 メキシコ
PRO/EDR> Guillain Barre syndrome - Mexico: (VE) RFI 20101214.4434
情報源 Google News Espanol、2010年12月14日
メキシコの Veracruz 州当局は14日、 死者 2人を含む 30人の Guillain-Barre syndrome ギラン・バレー症候群の集団発生を確認した。州知事によると、WHO の専門家らが患者調査に当たっており、米 CDC で検査が行われている。同氏によると、死亡した患者らには持病があり、この病気への感受性が高かった一方、残りの患者らは the Instituto Mexicano del Seguro Social de Orizaba Veracruz and Rio Blanco の各病院で治療中であるが、回復して退院したものもいると言う。病気の原因は分かっていないとし、患者の年齢は生後 4か月から 70歳以上までが含まれていると述べた。ギラン・バレー症候群自体の症状は、四肢に始まる弛緩性麻痺の症状で、脊髄に病変が及ぶと髄鞘が失われる。専門家にも原因は分かっていないが、感染に対する免疫システムの異常反応と考えられていると、スペインの研究者らは説明している。the group Guillain Barre Syndrome Support によると、患者の半数はウイルス性の呼吸器もしくは消化器感染の症状で発症するが、感染や手術が propagators(きっかけ?)となる例も報告されている。The institution "Iberian" は、まれではあるが予防接種者での発症例もあり、狂犬病や豚インフルエンザワクチンの接種などでは注意が必要としている。
[Mod.EP- ProMED ではこれまでに a few clusters of Guillain Barre Syndome (GBS)を報告している。GBS は感染を誘因とする異常な免疫反応と考えられており、まれな例として予防接種でも起きる。以前の研究結果では GBS と campylobacter 感染との関連が示されている。しかし、ほぼ同じ時と場所で30人の患者が発生したことから、患者の多くに感染症があったはずだが、上記報告には GBS であったこと以外の情報としては上気道感染症状に触れられているだけである。the pandemic H1N1 vaccine 接種後の The risk of GBS after influenza vaccination は接種100万回あたり 0.8 で、集団発生の理由 (原因) とはならない]
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - S. Korea (18): (KB, KG), OIE follow-up 20101215.4446
Follow-up report No. 4
情報源 OIE, WAHID weekly Disease Information 23 (50), 2010 、2010年12月15日。
感染開始時期 2010年11月26日
前回流行時期 2010年6月19日
原因ウイルス Foot and mouth disease virus Serotype: O [see comment 3]
新たな感染流行
発生地 3か所
情報源 The Korea Times、2010年12月15日。
韓国政府当局は、ソウルの北にある養豚場で、新たに2件の口蹄疫 foot-and-mouth disease (FMD) の流行が発生したことを報告した。新たに感染の発生が確認されたのは、次の 2箇所の養豚場である: Yangju and Yeoncheon
情報源 International Society for Plant Pathology (ISPP) Newsletter 40(11) 、2010年12月
広西自治区西部の山岳地方に位置する Leye County は、キウィフルーツ _Actinidia_ (kiwi fruit/Chinese gooseberry) の一大生産地の1つとなっているが、近年 root rot の蔓延による深刻な収穫量の減少が起きている。原因として土壌中の病原体 ( _Phytophthora cinnamomi_, _Armillaria mellea_ や _Fusarium_ spp. など) の複合感染の可能性が高いと見られている。
[Mod.DHA- root and crown rots of kiwifruit (_Actinidia_ species) の原因として、複数種の _Phytophthora_, _Pythium_, _Armillaria_ and _Sclerotium_ T が関与している。これらの菌に感染した植物は、水分や養分を利用することができなくなる]