2010年12月17日-19日

◎ 有機塩素中毒、死亡 ナイジェリア

◎ 有機塩素中毒、死亡 ナイジェリア
PRO/EDR> Organochlorine poisoning, fatal - Nigeria: not cholera
Archive Number: 20101219.4477
 情報源 Vanguard Online 、2010年12月17日
Gammalin 20, not cholera, caused mass killing in Adamawa, says government
Adamawa state Government 当局が,州北部地域 the northern senatorial district で 300人以上が死亡しコレラ感染が疑われていた流行の調査を進めたところ、コレラではなく、Gammalin 20 の関係する水による病気であることが判明したと、17日に州保健当局者の医師が発表した。all the 5 local Governments を流域に持つ河川を、漁師や saboteurs (妨害工作員?)らが Gammalin 20 によって汚染した結果、小児や高齢者を中心に多数の死者が発生した。この河川を飲料水の水源とする地域に、代替の水源を提供することを約束するとしている。The councils 地域 ?: Michika, Madagali, Mubi North, Mubi South and Maiha.
[Mod.TG- Gammalin 20 は一般名 lindane の有機塩素化学合成物質の商品名である。Hexachlorocyclohexane gamma-, also known as HCH gamma- or lindane は白色の固形物で空気中で蒸散する。release されると無色となり musty odor カビのにおいがする。 HCH gamma- は人工の化学物質で8 different forms が存在する。植物、肉、乳製品などに混入した形で摂取し暴露する可能性もある。HCH gamma- を製造もしくは使用する作業場の大気中に暴露することもある。飲料水、経皮(シラミや疥癬退治用のシャンプーや石鹸に含まれる)、経母乳の暴露様式など。殺虫剤の製造作業場での暴露では、肺刺激、心機能・血液の異常、頭痛、けいれん、性ホルモンによる変化などが認められる。大量に摂取した場合は死亡する。high doses of HCH gamma- を摂取した場合、けいれんがみられ、一部の患者は死亡したとの複数の報告がある。摂取された HCH gamma は直ちに尿中に排泄される。Lindane は、ヒトや動物用の scabies(疥癬) の治療薬であるが、有機塩素が神経伝達物質の GABA を阻止する作用があり、neurotoxin の1種であることが判ってきた。また大量または長期の使用で、肝臓、腎臓、神経機能などへの障害が発生する。大量の長期使用による影響についての報告はない。有機塩素中毒の症状とコレラ感染の症状はあまり似ていないことから、この化学物質の流出は偶然の一致で、実際にはこの地域でコレラ感染が発生している可能性はないのだろうか。水中でどのような形で発見され、濃度がどれくらいだったのだろうか。コレラ感染が間違いであった可能性もあるが、まだ納得できない(it seems a stretch to me)]

● 麻疹 カナダ,ドイツ
カナダ
PRO/EDR> Measles - Canada (06): (ON Ontario) ex Philippines 20101219.4475
 情報源 Ottawa Sun 、2010年12月17日
Another measles case in Ottawa 
オタワ Ottawa で 2例目の麻疹 Measles 患者が 11月に確認された。1例目の患者と違い、地域内で感染伝播した患者である。12月はじめにフィリピン滞在中に麻疹に感染した中年女性1名の発生を受け、Ottawa 公衆衛生当局は地元医師らに注意を促していた。新たな患者は、初発患者と接触のあった若年成人1名である。いずれの麻疹患者もワクチンを受けていなかった。同市では2002年以降麻疹患者の発生はなかった。地域内での感染は15年ぶりのことである。

ドイツ
PRO/EDR> Measles - Germany ex France: mass gathering 20101217.4459
 情報源 Eurosurveillance, Volume 15, Issue 50 、2010年12月16日
Measles outbreak among travellers returning from a mass gathering, Germany, September to October 2010
要約 
2010年9月および10月に、ドイツ国内 11地区で9歳から32歳までのワクチンの接種を受けていなかった 13人の麻疹感染の一次患者が確認されている。どの患者もフランス Taize の集会に参加していた。international mass gatherings に伴う outbreak の長距離拡散リスクと、non-immune adolescents and young adults へのワクチン接種による immunisation gaps against measles 解消の重要性を再認識させる結果となった。
* the Taize Community(a village in the Burgundy region of France)

● インフルエンザ エジプト,各国(2件)
エジプト
PRO/AH/EDR> Influenza (21): Egypt (NS) H1N1 fatal
Archive Number: 20101218.4467
 情報源 Al-Masry Al-Youm 、2010年12月16日
North Sinai Governorate 在住の 40歳の女性 1名が、15日に H1N1 ウイルス感染 [一般的に swine flu とも呼ばれている] により Ismailia General Hospital で死亡した。医療関係者からの情報でわかった。長期間の重症肺感染症のため、同院に搬送されたという。病院から、女性の血液検体が保健省に送付され、H1N1 感染であることが分かった。隔離室に移された数時間後に、まもなく死亡した。院内にはこのほかにもう1名の H1N1ウイルスの感染患者があり、この 35歳の女性患者も現在治療中であると報じられている。
[Mod.CP- the North Sinai governorate of Egypt の女性が、influenza A/(H1N1) 2009 virus infection の結果死亡し、another confirmed case も確認されている。イスラエルとイエメンの患者に続く報告である。欧州各地同様、中東でもthe winter influenza epidemic が本番を迎えている。翻って、 cases of avian A/(H5N1) influenza virus infection in Egypt は 1年間を通じて散発的に発生しており、家禽からの感染によるもので、ヒトからヒトへの感染は起きていないと見られている。The most recent human avian influenza case occurred in Gharbia governorate and was recorded on 2 Dec 2010.]
地図 the governorates of Egypt showing the location of North Sinai in the northeast (at 18)

PRO/EDR> Influenza (20): WHO, Europe, UK 20101217.4463
[1] WHO statement
 情報源 WHO Global Alert and Response 、2010年12月15日
英国保健保護局 The Health Protection Agency of the United Kingdom は、この 3週間を中心とする全国の influenza H1N1 (2009) virus 感染による重症患者数を発表した。現状から判断すると、英国はこの冬のインフルエンザ流行のまっただ中といえる well underway 。現在も調査は進行中であるが、英国内のデータの暫定的な解析結果から H1N1 (2009) virus 感染の重症例に関する疫学的・臨床的・ウイルス学的特徴は、the influenza H1N1 2009 pandemic の世界中で見られた特徴と一致している。とりわけ、ウイルスの抗原性の特徴に変化はなく、現行ワクチンを接種することで感染防護が得られる点に変わりはない。英国内では、 他のインフルエンザウイルス、特に B 型インフルエンザが、H1N1 (2009) virus と共存して感染循環している。欧州内の他国も、サーベイランスにより、the early stages of the winter influenza season にあることがわかった。
[2] HPA statement
 情報源 HPA, Health Protection Report ,Volume 4, No 50、2010年12月17日
Influenza activity is increasing ...
The headline influenza indicators in the 16 Dec 2010 edition :
...
- severe illness due to influenza infection including admissions and deaths increased in the last few weeks (since week 36, 17 deaths)
- influenza A H1N1 (2009) and influenza B are the predominant circulating viruses ; well matched to the current influenza vaccine and very little antiviral resistance

● ムンプス ドイツ
PRO/EDR> Mumps, young adults - Germany: (BY) 20101217.4464
 情報源 Eurosurveillance, Volume 15, Issue 50、2010年12月16日
Ongoing outbreak of mumps affecting adolescents and young adults in Bavaria (BY), Germany
要約 
the 2-dose MMR vaccination regime が導入されて以降、ムンプス Mumps ウイルス感染症(おたふくかぜ、流行性耳下腺炎)の症例発生は次第に減少していた。しかし、最近複数の国からムンプスの感染流行が報告されている。今回、ドイツ国内で発生したアウトブレイクについて報告する。6月1日から10月31日までに115人の患者の感染が、検査により確定診断されている。報告されている合併症としては、髄膜炎が1例、精巣炎 orchitis が21例と、高率に合併症が発生している。われわれは北部 Bavaria 地方の若年成人を対象としたワクチン接種キャンペーンを実施することで、重症のムンプス感染症を減少させることが可能だと考える。

● 嚢虫症 アルゼンチン
PRO/AH/EDR> Cysticercosis - Argentina (02): background 20101217.4461
 投稿者: Arve Lee Willingham、2010年12月16日
Cysticercosis recognized as a major neglected tropical disease
Cysticercosis は現在、WHO's Department of Control of Neglected Tropical Diseases (NTD) に入れられている(the recently released 1st WHO report on Neglected Tropical Diseases and Summary - see page 2]。
the NTD report a new map showing areas of the world at risk of cysticercosis infection:Argentina to be non-endemic with only imported cases.

● リフトバレー熱 モーリタニア
PRO/AH/EDR> Rift Valley fever, livestock - Mauritania (02): OIE 20101219.4478
 情報源 OIE WAHID (World Animal Health Information Database) Disease Information 2010; 23(49) 、2010年12月16日
Rift Valley fever, Mauritania
感染開始時期 2010年10月25日
前回流行時期 2008年
原因ウイルス Phlebovirus
新たな感染流行(3件)
発生地 
Village of Meddah, Erdeime, Aoujeft, Aoujeft
Village of Tawaz, Agjatt, Atar, Atar
Village of Akjoujt, Tourarine, Akjoujt, Akjoujt
感染した種 ヤギ、ラクダ、ヒツジ

● イヌジステンパー、野生動物 米国
PRO/AH/EDR> Canine distemper, wildlife - USA (06): (NY New York) fox 20101219.4476
 情報源 WRGB CBS channel 6 Albany, NY 、2010年12月17日
18 canine distemper cases reported in Troy in past 20 days
動物監視当局によると Toroy 市内のキツネの間で、過去20日間に16例の canine distemper が確認されており、家畜やペットなどの飼育動物への影響が懸念されている。ヒトへの直接の影響はないが、イヌやネコなどがdistemper に感染すると、ほとんどの場合死に至るとされている。キツネ、アライグマ、オポッサム、コヨーテなどは、特にこの病気に感染しやすい動物であり、感染すると異常行動をとり、飼育動物に近づいて攻撃的になる可能性があるという。

● Carbofuran(殺虫剤)中毒、ハゲワシ ケニア
PRO/AH/EDR> Carbofuran poisoning, vultures - Kenya 20101219.4472
 情報源 BBC Earth News 、2010年12月17日
Poisoning drives vulture decline in Masai Mara, Kenya
アフリカで最も貴重な野生動物保護区域の1つである Kenya's Masai Mara のハゲワシ vultures の頭数が、中毒により 60%減少していることが、米国の Peregrine Fund により明らかにされた。同団体によると、 農家ではしばしばウシやヤギの死体に furadan [Furadan is a carbamate pesticide ] と呼ばれる有毒性の殺虫剤を用い、家畜を襲う肉食動物対策に使っている。しかし(有毒殺虫剤の混じった)1体の死骸により150頭のハゲワシが中毒を起こす場合もあるという。
写真 the African White-backed vulture (_Gyps africanus_) 

● 狂犬病 イスラエル
PRO/AH/EDR> Rabies, animal - Israel (06): bovine, canine origin 20101218.4469
 情報源 Arutz Sheva - Israel National News、2010年12月16日
Rabies at Gilboa Kibbutz
Health Ministry laboratory tests [sic; 国立狂犬病研究所は the Ministry of Agriculture's Kimron Veterinary Institute (KVI) にあるはずだが] により、Kibbutz Merav(the Gilboa area)の飼育小屋で死亡したウシ1頭の狂犬病 Rabies 感染が確認された。このウシと接触のあった全ての人々や、地域内の野犬と接触した可能性のある動物の所有者らに対し、the Afula health office もしくは the nearest health office に連絡し、早めに医療機関を受診するよう呼びかけられている。
[Mod.AS- 2010年初以来、イスラエル国内で 48例目の検査で確定診断された狂犬病症例である。2009年同時期の症例数は 55例であったが、2008年はわずか 12例だった。いずれの症例も the Syrian and Jordanian borders に近い北東部からの報告であり;2009年も同地域からの報告だった。2010年に狂犬病感染の報告のあった動物は、21 dogs, 11 jackals, 8 cattle, 2 sheep, 2 goats, 2 cats, 1 wolf and 1 fox であった。狂犬病の疫学状況は2009年以降劇的に変化しており、north-east Israel においてイヌが関係する狂犬病が急増している .. 対策など ... 1950年代より Israel 政府はイヌの強制的な登録義務とワクチン接種を科している。A computerised national dog registry system ("Dog Center") と compulsory electronic dog identification system が数年前から稼働している]

● 口蹄疫 韓国
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - S. Korea (19): (KB, KG), update 20101217.4460
[1] Prevention is the best policy
 情報源 : Korea JoongAng Daily 、2010年12月17日
11月に North Gyeongsang(慶尚道)に初めて発生し急速に拡大を続ける口蹄疫 foot-and-mouth disease [FMD] が、新たに Paju, Gyeonggi (京畿道) でも発生し、ウシの飼育農家らの悩ませている。
[2] FMD spreading faster than expected
 情報源 Korea Times 、2010年12月16日
多数のブタやウシの農場で、この2日間にウイルス感染によって多くの死亡が発生している北部 Gyeonggi Province の畜産農家は、FMD に対して厳戒体制で臨んでいる。北慶尚道 North Gyeongsang Province ["Gyeongsangbuk"; see Number 14 in the administrative map, URL above] では過去数週間に、Andong をはじめ複数の都市の農家に甚大な被害を生じた後、ソウルSeoul 周辺地域に広がっている..15日には、Yangju and Yeoncheon,京畿道 Gyeonggi Province ["Gyenonggi-do", Number 8 in the map] で、2か所の養豚場における FMD 感染流行の発生が確認された...
[Mod.AS -16日現在、韓国国内で発生したFMD outbreaks は OIE への報告によれば 37件となっている。the 37th outbreak(detected on a dairy cattle farm in Bugok-ri, Paju-eup, Paju city, Gyeonggi-Do)について報告されており、南北朝鮮国境から 20-40kmの、北西部にある同道としては the 3rd outbreak である]

● 訃報: Jean Blancou (1936-2010)
PRO/AH/EDR> Obituary: Jean Blancou 20101218.4468
 投稿者 Arnon Shimshony、2010年12月18日
Jean Blancou, former Director General of the World Organisation for Animal Health (OIE) from 1991 to 2000 ...