2010年12月23日

結核 英国
狂犬病 中国

● 結核 英国
PRO/EDR> Tuberculosis - UK: resurgence
Archive Number: 20101223.4522
 情報源 The Guardian 、2010年12月17日
結核 Tuberculosis TB,  the "white plague" がロンドン London で再び流行している。1990年代にニューヨーク New York やカリフォルニア California で起きたような深刻な感染流行が発生する危険性があると、17日の医学雑誌 the Lancet 上で警告が出された。欧州内の他の国で TB rates が上昇し続けている国はないと、ロンドン医科大学の医師は述べている。
英国内では過去15年間発生率が徐々に増加し、2009年には英国内で9000人以上の患者が報告され、このうち40%近くはロンドンで発生しており、欧州の他国で減少していることから考えると注目すべき傾向だと述べた。Victorian Britain において TB は the white plague と呼ばれ、これはサナトリウムに隔離されてやがて死を迎える患者が青白く見える  the pallor of the patients ことに由来する。1980年代前半までは、結核は制圧されたと考えられていた。抗生物質や、医療の進歩、BCG ワクチンが完全に封じ込めていたからだ。
しかし近年、免疫を破壊する HIV の蔓延をきっかけに再び増加し始め、世界中でおよそ170万人が TB により死亡している。a 6-month regime of antibiotic treatment が完遂されないこと、strains of TB bacteria (結核菌)が通常の薬剤に耐性を持ったこと、などが原因とされている。ロンドンにおいてもこの10年間に drug-resistant TB が増えており、172 TB cases が標準治療薬である isoniazid に耐性を示し、さらに 58 cases は2種類以上の薬剤に耐性だった。

● 狂犬病 中国
PRO/AH/EDR> Rabies, human - China: (GG Guangdong) 20101223.4512
 情報源 Southern Daily [in Chinese]、2010年12月17日
33 People Died of Rabies in Guangdong Province
Bureau 広東省衛生局は16日、感染症の発生状況についての発表を行い、省内で11月に発生した狂犬病 Rabies による死者が合計33名であったと報告した。専門家らは、イヌやネコによる咬傷を避け、咬傷があった場合には直ちに医療機関に相談するよう呼びかけている。11月の Category A and Category B infectious diseases の患者は合計 21236人で、このうち 133人が死亡している。Category B infectious diseases のうち報告患者数が多かったのは順に : 結核、梅毒、B 型肝炎、淋病、C 型肝炎だった。死亡患者が最も多い3つの疾患は、AIDS(死者 80人)、狂犬病(同 33人)、 結核 (同 14人)で、上位 3疾患で死亡患者の 95.49%を占めていた。11月の省内の Category C infectious diseases の患者数は 40411人で、死者は 2人、発生数が多いものは、感染性下痢、手足口病、ムンプス( 流行性耳下腺炎 )だった。
[Mod.CP- 広東省の感染症死の原因の第2位が狂犬病だった。AIDS に次いで 2番目に多い数字であったという驚きの統計結果から、動物へのワクチン接種と、暴露後接種の機会提供の改善の重要性が改めて浮き彫りになった]
地図 the provinces of China, showing the location of Guangdong in the south 

● インフルエンザ 米国、エジプト、スリランカ
PRO/AH/EDR> Influenza (23): USA, Egypt, Sri Lanka 20101223.4519
[1] 米国
 情報源 MMWR Weekly 59(50);1651-1655、2010年12月24日
10月3日から12月11日までの、米国内でのインフルエンザ発生状況は概ね低調であり、今シーズンのこれまでのウイルスに対し、、the 2010/11 influenza vaccine に含まれる株は十分マッチしている ... 以下、ウイルスのサーベイランス状況、抗原性の特徴、分離ウイルスの抗ウイルス薬耐性、新型インフルエンザAウイルス、インフルエンザ様疾患患者発生状況、肺炎及びインフルエンザ関連死亡、同小児死亡、編集部注など。
[2] エジプト及びスリランカ
 情報源 CIDRAP News 、2010年12月21日
先週、エジプト保健省に報告のあったinfluenza A/(H1N1) virus infection の症例数は 218例で、10月以来の合計患者数は 533例、死者は 33人となったと、21日に報じられた。保健省広報担当者は、季節性インフルエンザの発生率は平年並み normal で、外気温の低下とともに増加が見込まれるとの調査結果を発表した。エジプト国内の the 2009 H1N1 activity は、 the World Health Organization (WHO) が、the post-pandemic phase に予測した周期的な outbreak の1例となっている。イングランドでも 2009 H1N1 infections が確認されており、302人が集中治療室での治療を受けている。スリランカ保健省は20日、妊娠女性、医療従事者、運輸(輸送)関係者、兵士、警察関係者らに、the 2009 H1N1 virus ワクチン接種を勧める呼びかけを行った。WHO の最新報告の中で、インフルエンザ活動を報告した熱帯の数か国のうちで、スリランカが最近 2009 H1N1 activity のピークに入ったことを明らかにしている。同国内では、WHO が供与した40万人分の 2009 H1N1 ワクチンの配布が終了し、さらに100万人分が必要と、同省関係者が述べた。

● ハンタウイルス チリ 
PRO/AH/EDR> Hantavirus update 2010 - Americas (39): Chile 20101223.4517
 情報源 Radio Santa Maria [in Spanish]、2010年12月23日
ハンタウイルス Hantavirus 感染症の症状で、14日から the Aysen Regional Hospital に入院中だった 59歳男性が、23日に確定診断された。the Public Health Institute (サンチアゴ Santiago)で行われていた採血検体の検査が終了し、感染陽性との結果が現地に報告された。2010年に入って 3例目のハンタウイルス感染例であり、春/夏シーズンになってから初めての発生である。同地域内では、quila [チリとアルゼンチンの the humid temperate forests に自生する perennial (多年生) bamboo] の開花時期に、感染リスクが高くなる ... 患者に、心肺腎の合併症が見られることなど...
[Mod.TY- 今回の患者は、春夏シーズンに入ってからの 3例目の患者と思われる。なぜなら、2010年のチリでは、11月12日の時点ですでに、全国で 50例以上のハンタウイルス患者と 17人の死者が発生している(20101113.4120)]
[Mod.LJS- Coyhaique はチリ国内最南端の the Magallanes region にある。チリにおいて Hantavirus infections は emerging disease ではなく endemic であり、rodent reservoirs をもつ zoonoses はすべてそうであるように、発生数の経時的な消長が見られる。この傾向はげっ歯類の個体数や行動に多大な影響を与える気候条件に左右される ]
[Mod.TY- この地域で hantavirus pulmonary syndrome (HPS) の原因となるのは間違いなく Andes virus である。チリでは2010年の January-May を中心にハンタウイルス感染が続いていた。その後、発生報告が少なくなっていたが、ふたたび the season for transmission が訪れている。22日付 LaDiscusion.cl (in Spanish) は、2010年全国で 59例の hantavirus pulmonary syndrome 患者が報告され、うち 20人が死亡し、致死率は 34%であると報じている。予想を上回る発生数であるが the epidemic years of 2001 and 2002 には及ばない]
地図 Chile showing the location of Coylhaque (Coihaique) Patagonia, Chile

● 鳥インフルエンザ、ヒト エジプト
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (67): Egypt, 115th case 20101223.4515
 情報源 EGYnews.net [machine translation]、2010年12月23日
115th human case of avian influenza
現地報道によると、エジプト保健省は、the 115th case of bird flu [avian influenza A/(H5N1) virus infection] in Egypt を確認したと発表した。同省報道官が、新たな鳥インフルエンザ感染患者についての発表を行った。患者は Luxor governorate 在住の 11歳の小児で、2006年の同国内での感染流行発生以来115例目の患者となったと述べた。この女児は、高熱を主訴に Luxor governorate 内の病院に入院となり、高熱、咳、呼吸困難、肺炎などの症状がある。鳥インフルエンザに感染していたと見られる鳥類との接触があった。直ちに Tamiflu treatment が開始され、人工呼吸器が装着されているが、現在危険な状態にある。

● サルモネラ感染症 米国
PRO/AH/EDR> Salmonellosis, (Serotype I 4,5,12,i-), sprouts - USA: (IL)  20101223.4511
[1] ほとんどの患者がスプラウトを食べたと申告、との当局の調査結果に反論
 情報源 The Packer 、2010年12月22日
保健当局が、サルモネラ症感染流行の原因として、イリノイ州 Illinois の Jimmy John's Gourmet Sandwiches で出されたアルファルファのスプラウトとの関連性があるとしたにもかかわらず、同社の所有者は、患者のすべてがスプラウトを食べたと申告したわけではないと主張している。21日の加盟店への連絡の中で、当局の聞き取り調査に対して同氏は、40人のサルモネラ症患者のうち、同社の店で食事をしたと答えたのは28人で、スプラウトを食べたと答えたのは25人だったと述べている。 州公衆衛生局は、43人のサルモネラ症患者を確認しており、多くの患者が、Jimmy John's restaurants in 10 Illinois counties: Adams, Champaign, Cook, DuPage, Kankakee, Macon, McHenry, McLean, Peoria and Will でスプラウトを食べたと申告した、と報告している...
[2] Salmonella Outbreak Investigation
Dozens of illnesses being linked to alfalfa sprouts

 情報源 Illinois Department of Health Press Release、2010年12月17日。
イリノイ州保健当局は、CDC などの協力を得て、 Salmonella outbreak (Serotype I 4,5,12,i-) の調査を進めている。発病した患者の多くが、 alfalfa sprouts at Jimmy John's restaurants (in 9 counties in Illinois - Adams, Champaign, Cook, Kankakee, McHenry, McLean, Peoria, Will and Winnebago) の摂取を申告している。 The Department has received reports of 46 Illinois resident becoming ill with this serotype of Salmonella since [1 Nov 2010]

● 口蹄疫 ザンビア
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - Zambia (02): (NO Northern) susp. RFI 20101223.4521
 情報源 Lusaka Times 、2010年12月14日
Mpulungu の畜産担当者が、地域内で口蹄疫 foot-and-mouth disease [FMD] が発生した疑いがあるとして、調査を開始した。最近、2頭のウシが死亡し、検査の結果、FMD 発生の疑いがあると、当局者が述べた。
[Mod.AS- 2010年11月に、 Mpulungu と 同じ地域の Chizombwe, Mbala Central, Mbala(Northern Province; ザンビアとの国境に接し、タンガニーカ湖 Lake Tanganyika 南岸にある)で、FMD serotype O in Zambian cattle の発生が報告されている。11月24日には、OIE にも報告されている(20101125.4245)]

● Herpesvirus OsHV-1, V. splendidus、カキ フランス
PRO/AH/EDR> Herpesvirus OsHV-1, V. splendidus, oysters - France: susp 20101223.4520
 情報源 The Telegraph 、2010年12月22日
フランスでは、2011年のクリスマスイブ用のカキが供給されない恐れがある。カキに発生した病気のため、The traditional French Christmas and New Year's Eve supper of oysters が危機にさらされている ... 今年のクリスマスに使われるのは 3-year adults で、2008年春に、Brittany の北部沿岸地方から地中海までの養殖地で発生が始まった、稚貝のカキを死滅させる疫病の生き残りである。

● 連鎖球菌 Streptococcus zooepidemicus、ウマ アイスランド
PRO/AH/EDR> Streptococcus zooepidemicus, equine - Iceland 20101223.4518
[1] 輸入時の検疫条項を解除
 情報源 Horsetalk.co.nz 、2010年12月23日
アイスランド政府当局は、ウマの間で、上気道感染が蔓延していることを理由に行ってきた the formal home-quarantine export requirement for horses の適用の撤回を決めた。今後再燃しない限り、2011年1月1日を持って Food and Veterinary Authority (MAST) はこの制限を解除すると発表した。hestapest [Icelandic for "Horse sickness"] と名づけられた原因不明のこの病気は、調査の結果 the native Icelandic horses(免疫のないアイスランド馬)の streptococcal strain of bacteria 感染症であることが判明した。
[2] 発生当時の報道
 情報源 Horsetalk.co.nz 、2010年9月28日

● バナナの病気,Panama disease インド
PRO/PL> Panama disease, banana - India: (TN Tamil Nadu), new strain 20101223.4510
[1] India gets ready for banana war
 情報源 Down To Earth 、2010年12月
人気の高い Cavendish bananas に被害をもたらせる真菌が、インド国内に入ってきた。インドからの輸出先を拡大しようと努力する矢先、専門家から懸念の声が上がった : 真菌の_Fusarium oxysporum_ f.sp. _cubense_ が、国内のキャベンディッシュ種に発生している。the Cumbum region of Tamil Nadu のバナナ栽培農家らは、4年前から the wilt disease の発生にしばしば悩まされてきた。調査の結果、_F. oxysporum_ が the Cavendish に感染していることがわかった。
[2] First report on the occurrence of a virulent strain of fusarium wilt pathogen
 情報源 Plant Disease 、2010年11月
原著 First report on the occurrence of a virulent strain of fusarium wilt pathogen (Race-1) infecting Cavendish (AAA) group of bananas in India. Pl Dis 84, 1379, 2010; DOI: 10.1094/PDIS-05-10-0330
[Mod.DHA- Panama disease of banana (PD, also called fungal or fusarium wilt) は、土壌内の真菌 _Fusarium oxysporum_ f.sp. _cubense_ を原因として発生し、 yellowing, wilting, and streaking of pseudostem などの症状を発生させ、植物を直ちに死滅させる。infected planting material, mechanical means, soil and water などにより感染が拡大される]