2010年12月28日

リーシュマニア症-オーストリア、新たなベクター
◎ ダニ麻痺症-オーストラリア

● 鳥インフルエンザ、ヒト(69)-エジプト
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (69): Egypt, 116th case
Archive Number: 20101228.4577
116th human case of avian influenza A/(H5N1) influenza
 情報源 Youm7.com [in Arabic]、2010年12月28日。
エジプト保健省は、新たな鳥インフルエンザ bird flu [avian influenza A/(H5N1) virus infection] の感染者について発表した。東部 Sharqia 県在住の56歳の女性で、2006年のエジプトでの発生以来 116人目の患者となった。現在、高熱、咳、呼吸困難のため、 Sharqia governorate の病院に入院中で、鳥インフルエンザウイルスに感染していたと見られる家禽と接触があった。感染が疑われた時点で Tamiflu が開始され、検査のための throat swabs が送付されている。肺炎を併発しているものの状態は安定しており、カイロ Cairo の病院に転送されたと当局者は述べた。
[Mod.CP- 検査機関での確定診断がなされたかどうか、はっきりしない]
地図 the governorates of Egypt, showing Sharqia to the north of Cairo

● 日本脳炎など-インド
PRO/AH/EDR> Japanese encephalitis and other - India (27): (UP) 20101228.4576
 情報源 Yahoo News, Press Trust of India (PTI) report、2010年12月28日。
Gorakhpur で入院中の2人が脳炎により死亡し、Uttar Pradesh 州東部で2010年に the deadly brain fever により死亡した人の数は 541人となった。保健当局は28日 the Baba Raghav Das Medical College Hospital から2日間で新たに 6人もの acute encephalitis syndrome (AES) 患者が報告されたことを明らかにした。死亡したのは Kushinagar および Gorakhpur districts の患者であった ... Gorakhpur, Mahrajganj, Deoria, Kushinagar, Basti, Sant Kabir Nagar, and Siddharthanagar の各地の複数の病院で治療が行われている。2010年の脳炎による入院患者は合計3754人で、このうち541人が死亡している。一方で the Japanese encephalitis vaccination drive が7 districts of eastern Uttar Pradesh で無事終了した。
[Mod.TY- ... the non-JE virus(es) については、何ヶ月も経過して未だに不明のままである]

● 原因不明の疾患-ウガンダ (09): 黄熱ワクチン接種
PRO/AH/EDR> Undiagnosed disease - Uganda (09): yellow fever vaccination 20101228.4572
Yellow fever: ring vaccination(包囲接種) not enough
 情報源 The New Vision (Uganda) 、2010年12月28日。
今週末[25-26日]までに死者45人、感染者178人を記録している黄熱 yellow fever 感染流行対策として、ウガンダ北部で少なくとも250万人にワクチンの接種が必要と考えられている。致死率15から50%の黄熱は、WHO によれば1人でも患者が確認されれば感染流行と考えなければならないほど重大な疾患である。保健省は封じ込め策を策定したが、ring-vaccination ではなく、mass がより効果的な対策と考えられる。
[Mod.CP- 検査による黄熱の確定が必要]
関連項目
Undiagnosed disease - Uganda (08): yellow fever susp. 20101224.4531

● リーシュマニア症-オーストラリア、皮膚 : 新たなベクター
PRO/AH/EDR> Leishmaniasis, cutaneous - Australia: new vector 20101228.4571
 情報源 Xinhua News Agency 、2010年12月22日。
豪の研究者らが 22日、致死性の寄生虫性疾患であるリーシュマニア症 Leishmaniasis が、複数の昆虫により伝播されることを発見し、今後多くの命が救われることにつながることが期待されている。この病気により皮膚に大きな潰瘍ができる。Menzies School of Health の研究者によると、7年前にオーストラリアでリーシュマニア原虫が発見されて以来、オーストアリア国内では患者報告がなかった。この寄生虫は豪国内ではカンガルーとワラビーにしか感染しない。これまで専門家の間では、この病気を伝播するのはサシチョウバエ sandfly のみであると考えられていたが、今回 biting midges(ヌカカ)もベクターとなる可能性があることが明らかにされた。リーシュマニア症により、世界中で数万人が感染し、毎年数千人が死亡している。sandfly 以外のベクターが報告されるのは世界でこれが初めてだと、22日に報じられている。(sandfly 以外の)他の昆虫が関係する可能性もあることが示され、そのことがこれまでの感染対策が十分な効果を上げられなかった理由かも知れないとした上で、世界中に sandfly 以外のベクターが存在する場所がある可能性もあると指摘している。
[Mod.EP- この記事の元となった研究結果は、今のところ唯一 the Australian Department of Agriculture and Fisheries website で見ることができる。midges については "day feeding midges of the _Lasiohelea_ spp.であり、最大 15%の未知の新種を含んでいる” と記載されている。Biting midges は Diptera 目に属する小型の flies で、この他の biting midges の中には vectors of bluetongue and African horse sickness も含まれている]
原著 New reports of Australian cutaneous leishmaniasis in Northern Australian macropods. Epidemiol Infect. 2009; 137(10): 1516-20; abstract

◎ ダニ麻痺症、ペット-オーストラリア
PRO/AH/EDR> Tick paralysis, pet - Australia, alert 20101228.4570
 情報源 The Canberra Times 、2010年12月27日。
2010年、Canberra では深刻な paralysis ticks の流行が発生しているため、住民らは休日のペットの散歩に二の足を踏まなければならなくなっている。季節はずれの humid weather がダニの生育に格好の条件を与え、獣医らはペットの迅速な治療に追われている。シドニー Sydney のクリニックでは、anti-venom serums(抗毒素血清)が不足に陥っている。
[ModTG- Tick paralysis (ダニ麻痺症)の原因となるダニの種類は、世界中で40種を超えていて (5 in North America, including the deer tick)、ダニのいる地域ならどこでも発生する可能性がある。世界の他の地域では、ウシやヒツジを中心に多数の動物が死亡している。ペットや家畜にとって深刻な問題となっている tick paralysis だが、ヒトの患者はまれで、ほとんどが10歳未満の小児に発生する。Tick paralysis は、an engorged and gravid (egg-laden 抱卵した) female tick が、唾液腺内に産生した神経毒 neurotoxin を、吸血時に host に注入することで発症する。実験的に、ダニが host に付着してから 5-7日目に toxin が最大量となる(重症度を増す)ことが示唆されているが、ダニの種類によりばらつきがある。攻撃したダニが(host から)離れてからも、長期間増殖や移動を続ける、Lyme disease, ehrlichiosis, and babesiosis などとは異なり、tick paralysis の症状は化学的に誘引されたもので、ダニが付着する期間に限定され、ダニが除去されればすぐに症状は消失する。ただし、一部の症例では profound paralysis に進展したり、ダニの存在に気づかれないまま死に至る場合もある。ダニ麻痺症の症状は、ダニの付着後5-7日の間に現れ、倦怠感、足のしびれ、筋肉痛などから始まる。麻痺は、下もしくは背側から、上もしくは腹側の四肢へと急速に拡大し、ダニが除去されない場合、舌や顔面の麻痺に至る。最も重篤な合併症には、痙攣、呼吸不全などがあり、無治療の患者の最大12%が死亡する。ヒトでの症状もおよそこれと同じである。現在診断用の検査はなく、動物の臨床所見などによるほかはない。治療のほとんどが呼吸器装着などの支持療法となるが、ダニを除去することが最も重要である。複数のダニが付着していることが多い。毛足の長い動物では特に、くり返し身体中のダニを探索することが必要となる。ダニは頭部や頸部で見つかることが多いが、身体中どこにでも付着する。ダニ除去の前に駆除剤でダニを殺しておく獣医師もいる ... オーストラリアのダニ _I. holocyclus_ に対する特異治療法である Canine tick hyperimmune serum(also called tick antiserum (TAS))、実際の動物の治療法など]
Additional information including photos of _Ixodes holocyclus_

● 口蹄疫-韓国
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - S. Korea (24): spread, vaccination, RFI 20101228.4575
 情報源 Yonhap News Agency 、2010年12月28日。
1か月間にわたる検疫措置にもかかわらず、韓国では新たに 4件の口蹄疫 foot-and-mouth disease (FMD) 感染流行が確認された。The Ministry for Food, Agriculture, Forestry and Fisheries によると、東部 Gangwon のウシ農場 3か所と、North Gyeongsang Province の養豚場 1か所が、検査の結果陽性と判明した。ウシ農場があるのは、ソウル Seoul の北東約80-100kmの Chuncheon および Hongcheon 市と、同じく 140 km 東の Hoengseong 市の農場である。ソウルから約230kmの Yeongju 市の養豚場には 13 000 animals が飼育されており、11月に最初の流行が確認された場所に比較的近い。この4か所の農場はいずれも、一部の飼育動物の過剰な流涎、食欲低下、舌や蹄の水疱の出現が認められた27日の時点で隔離されていた。