2011年1月14日-15日

◎ Ackee 中毒 ジャマイカ

◎ Ackee 中毒 ジャマイカ
PRO/EDR> Ackee poisoning - Jamaica: alert 20110115.0176
 情報源 Jamaica Observer 、2011年1月14日
Warning over eating unopened ackees
保健省は市民に対し unfit and unopened ackees を食べないよう注意を呼びかけている。
同省サーベイランス部は2010年12月1日から2011年1月12日までの間に35人の ackee poisoning の患者を確認している。同相は、特別対策チームに市民への周知と十分な調査を指示し、市民には fit and well opened ackees だけを食べるよう注意を促した。また、種やピンクもしくは赤い膜を十分に除去し、調理前によく洗う事も中毒防止には必要で、特に熟していない果実には高濃度のトキシンが含まれていると説明した。さらに salted fish などとは別に、Ackees だけで調理すべきとも述べられている。樹上で自然に完全に開くまで取ったり食べたりしてはいけない、というのはくり返し言われてきた。Ackees を茹でた湯はすぐに捨て、他の料理に使っては行けないと述べた。
十分に熟していない ackee には、高濃度の hypoglycin と呼ばれる toxin が含まれ、食べると死亡することもある。中毒症状として、嘔吐、腹痛、めまい、下痢、発汗などが知られている。このような症状がでた場合、 sweet drink を摂取しながら直ちに病院を受診すること。中毒患者はすべて自宅で調理した場合に限られていて、缶入りの ackee では中毒は起きていない。
[Mod.TG- ジャマイカでは主食(staple)とも言える ackee fruit (_Blighia sapida_) は、 "Jamaican vomiting sickness" or "Jamaican vomiting sickness syndrome " (どちらも JVS と呼ばれる) という疾患の原因となっている。激しい嘔吐と極度の低血糖が起きる。
The ackee fruit は、熟してはじけ種が露出するようになれば食用になる(edible)。 黒い種のまわりの The yellowish aril という果肉部分を食用にしている。熟すと、brilliant red or red-orange color となる。食べるときに、果肉の中に赤い部分が混じっていてはいけない。The red peel(果皮) には、high levels of hypoglycin A and hypoglycin B が含まれている ... 
2種類の水溶性有毒物質が検出されており、The 1st toxin, hypoglycin A は、 L-(alpha)-amino-(beta) -[methylene cyclopropyl] propionic acid であり、Hypoglycin B は a (gamma) -L-glutamyl derivative(誘導体) of hypoglycin A で、 hypoglycin A より毒性が弱い。Hypoglycin A は、the aril(種皮)にも含まれるが、B は含まれない。熟していない果実は、The unripe fruit には、the ripe aril のおよそ20倍の高濃度の hypoglycin A が含まれている。A,B ともに、種子の中にも含まれているため、種の入っている the seeds and the membrane はどちらも有毒である。
現在 Hypoglycin A は単に hypoglycin と呼ばれているが、transamination and oxidative decarboxylation によって methylene cyclopropyl acetic acid (MCPA) に代謝される。MCPA は nonmetabolizable carnitine and coenzyme A (CoA) esters を形成し、これら cofactors の組織レベルを低下させ、他の生化学反応に利用されにくくする。CoA と carnitine はともに長鎖脂肪酸酸化過程の必須 cofactors であり、また、この酸化が糖新生活性に不可欠であることから、結果として低血糖が生じる。
このほかMCPA は、butyryl CoA, glutaryl CoA, and isovaleryl CoA などの several acyl-CoA dehydrogenases の脱水作用を抑制し、the inhibition of butyryl CoA dehydrogenase によって hexanoyl CoA and butyryl CoA のレベルで長鎖脂肪酸の酸化が停止する。この結果、nicotinamide adenine dinucleotide (NADH)と acetyl CoA の産生が低下する。NADH and acetyl CoA はそれぞれ、a cofactor of 3-phosphoglyceraldehyde phosphate dehydrogenase および an activator of pyruvate carboxylase であり、濃度が低下すれば糖新生 gluconeogenesis 抑制につながる。The inhibition of glutaryl CoA dehydrogenase によって glutaryl CoA が蓄積し、糖新生初期の律速段階であるtransmitochondrial malate transport が阻害されることで、糖新生が抑制される。hypoglycin action による低血糖には血中インスリン濃度の変化は関与しない。
Jamaican vomiting sickness は、突然発症する嘔吐を特徴とし、ackee を含む食事摂取から2-6時間後にはじまる全般的な上腹部不快が先行する。一旦発症すると、急速に進行し、多量の発汗、頻脈、頻呼吸、頭痛、全身衰弱の症状が認められる。最大18時間の衰弱期の後、第2波の嘔吐が開始し、治療されない場合、痙攣、昏睡、死亡につながる。患者の25%にけいれん Tonic-clonic convulsions がおきる。死亡患者の85%に痙攣がみられる。Reye syndrome 類似の肝臓の脂肪壊死がおきることもある。死亡するまでの期間は平均12.5時間で、発熱や下痢はおこらない]
Portions of this comment の出典

● ウエストナイルウイルス ルーマニア
PRO/AH/EDR> West Nile virus - Eurasia: Romania
Archive Number: 20110115.0180
Outbreak of West Nile virus infection in humans, Romania, Jul to Oct 2010
 情報源 Eurosurveillance 2011; 16(2)、2011年1月13日
要約 
2010年7月から10月までの間に、ルーマニア国内で57人のウエストナイルウイルス感染 West Nile virus (WNV) infections (54 with neuroinvasive infection and 3 with fever) が確認された。平均年齢は53.4歳で、60歳代の患者が最も多かった。致死率は8.8%だった。発生地域は、南部、西部、中部、東部の19の地域に分散していた。分子学的調査により、lineage 2 West Nile virus であり、the Volgograd 2007 strain に関連していた。

● チクングニア熱 レユニオン
PRO/EDR> Chikungunya: Reunion, follow-up 20110115.0178
 情報源 7th Space、2011年1月14日
原著 Perceived morbidity and community burden after a Chikungunya outbreak: the TELECHIK survey, a population-based cohort study. BMC Medicine 9:5.
(2006年夏の outbreak of Chikungunya [CHIK] virus の18か月後のサーベイランスを行った)感染から2年後、感染患者の43-75%が CHIKV の関与が高いと見られる prolonged or late-onset symptoms を訴えた。

● インフルエンザ(3件)
PRO> Influenza (06): Europe, comment 20110115.0175
 投稿者 イスラエル、Eran Kopel, MD、2011年1月15日
A comment re: Influenza (04): Europe 20110114.0163
"All three 20th century pandemics caused excess mortality in multiple waves over several years.":数年の経過で徐々に繰り返されて、死亡率などの超過が認められるようになる 。

PRO/EDR> Influenza (05): WHO update 125 20110115.0171
Influenza update 125 (14 Jan 2011) -- summary
 情報源 WHO Global Alert and Response (GAR) 、2011年1月14日

PRO/EDR> Influenza (04): Europe
Archive Number: 20110114.0163
 情報源 WHO Regional Office for Europe, EuroFlu: Weekly Electronic Bulletin、2011年1月14日
Current situation -- week 1/2011 [3-9 Jan 2011]
influenza-like illness (ILI) and acute respiratory infection (ARI) の受診率 (Consultation rates) は、報告した41か国中20か国で増加している。罹患する年齢層は国ごとに異なっているが、およそ半数の国で全年齢層に渡ってる。

● 狂犬病 フィリピン
PRO/AH/EDR> Rabies - Philippines: (I0) Iloilo, canine, human 20110115.0174
 情報源 Panay News 、2011年1月15日
Rabies kills victim who denied having rabies
Brgy の38歳の3児の母親1人が、2010年6月に子犬の咬傷を受けたあと、狂犬病ワクチンの接種を受けなかったために、6日狂犬病 Rabies を発症し、2011年初めての狂犬病患者として死亡した。同時に咬まれた女性の姉妹は、曝露後接種を受けていた。

● レジオネラ症 オーストラリア
PRO/EDR> Legionellosis - Australia: (WA, VI) ex Indonesia (Bali) 20110115.0173
[1] re: _Legionella pneumophila_ serogroup 1 infections in Bali travelers - same hotel
 投稿者 Government of Western Australia、Dr Gary Dowse、2011年1月13日
2010年8月から12月にかけて、インドネシア・バリ島から帰国したオーストラリア国民10人が、_Legionella pneumophila_ serogroup 1 infection によるレジオネラ症と確定診断されている。Western Australia および Victoria 州の計5人は、2010年12月後半にバリ島で休暇を過ごした後、同月16日から1月1日までに発病した。10人の年齢は41歳から82歳までで、ほとんどの患者が重症肺炎となり、ICU への入院を必要とした。全てではないが、ほとんどの患者が、喫煙、糖尿病、免疫不全などのリスク因子を有していた。いずれの患者も現在生存しているが、バリ島で、原因不明の肺炎で死亡した11人目の患者も感染が疑われている。確定診断された10人のうち、9人が the central area of Kuta の同じホテルに宿泊していた。
関連情報 FORTH
[2] 情報源 The Sydney Morning Herald, Australian Associated Press (AAP) report 、2011年1月14日
The West Australian [WA] government は、2010年12月にバリ島から帰国した5人がレジオネラ症を発症したことを発表した。同年8月以降、バリ島中部 Kuta area に関係する、10人のオーストラリア人のレジオネラ症感染例が確認されている。

● マラリア インド
PRO> Malaria - India (03): (Mumbai) comment 20110115.0172
 投稿者 印・National Inst of Epidemiology (ICMR)、Yuvaraj Jayaraman MD、2011年1月13日
Malaria in Mumbai: comment
流行によるものだけでなく、軽度の原虫血症で無症候性である移民らにより持ち込まれている可能性がある。

● ハンタウイルス ブラジル
PRO/AH/EDR> Hantavirus update 2011 - Americas (03): Brazil (MG) 20110115.0170
 情報源 Jornal da Manha [in Portuguese]、2011年1月13日
The Regional Directorate of Health (GRS) 当局では、the region [Minas Gerais state] のうち、管轄する 27 municipalities in the greater Triangulo Sur region において、ハンタウイルス感染症例の増加が確認されている。Uberaba では、流行地域とはされていないにもかかわらず、回復の見られない1例 [死亡?] が確認されている。2009年の報告では、この地域で報告された患者は、死者2名を含む6例だった ... 2010年の患者数は14例で、致死率は50%だった ...
[Mod.TY- ブラジル国内には、多くの種類のハンタウイルスが存在し、Minas Gerais 州内の死亡の原因となりうる。今回の記事には、ウイルスの種類が特定されていない。2008年の20080223.07412 では、Mato Grosso 州内で、Laguna Negra(the _Calomys callosus_ rodent host)and Castelo dos Sonhos(previously been found in Para state but without a known host there)の感染循環が報告されている; Field research では、the rodent _Oligoryzomys moojeni_ が the host of the Castelo dos Sonhos virus であることが分かっている。20080702.2020 では、Anajatuba virus が possible etiological agent of HPS (hantavirus pulmonary syndrome) in Brazil と述べられている。 rodent host は _Oligoryzomys fornesi_ である。Araraquara virus infection もまた、ブラジルの HPS の原因となり、rodent host は _Necromys [Bolomys] lasiurus_ である。northern Brazil の HPS の原因となる新たなハンタウイルスが確認されている: partial genetic characterization of viruses and serologic implication of likely reservoirs (Vector Borne Zoonotic Dis 5(1): 11-9; abstract ]

● ムンプス 英国
PRO/EDR> Mumps - UK: (Scotland) young people 20110115.0169
 情報源 BBC News Scotland 、2011年1月13日
Mumps outbreak hits young people in Oban, Argyl
Oban の若年者らに対し、ムンプス Mumps ワクチン接種を確認するよう呼びかけられている。 NHS [National Health Service] Highland 当局によると、ティーンエイジャー及び20歳代前半の若者らを中心とした、50人の患者がこれまでに確認されている。帰省の学生らや、数多く行われている the festive period 期間中のイベントなどが、ウイルス感染拡大の要因と見られている。

● 原因不明の大量死、ウシ 米国
PRO/AH> Undiagnosed die-off, bovine - USA (WI Wisconsin), susp resp dis 20110115.0182
 情報源 JS online 、2011年1月14日
200 dead cows found in Portage County field
the Town of Stockton の field で、200頭のウシが死亡しているのが発見され、調査が行われている。the infectious bovine rhinotracheitis/bovine viral diarrhea (IBR/BVD) virus が原因と見られている。現在、検体が採取されて Madison に送られている。ヒトおよび他の動物への影響はない。

● B型肝炎、C型肝炎、HIV 院内感染 米国
PRO> Hepatitis B & C, HIV, nosocomial - USA (02): (CA California) 20110114.0162  
 投稿者 米・Los Angeles County Department of Public Health、David E Dassey MD, MPH、2011年1月13日

● 口蹄疫 韓国
PRO/AH> Foot & mouth disease - S Korea (04): update, RFI 20110115.0181
[1] Update
Additional FMD case discovered in S Korea's south eastern region
 情報源 Yonhapnews 、2011年1月15日
新たな感染流行発生阻止のためのワクチンと検疫対策を実施される中、韓国政府当局は15日、国内南東部で新たな foot and mouth disease (FMD 口蹄疫)感染流行が確認されたと発表した。 ソウル Seoul の南東285km の Cheongsong での新たな感染流行が発生し、2010年11月の感染開始以降確認された流行は119件となった...
[2] Water contamination?
Foot and mouth disease [FMD] -- will mass animal burials contaminate water in South Korea?
 情報源 Circle of Blue 、2011年1月14日
感染動物の土中への埋葬処分による地下水汚染の懸念など、 ...原文参照願います
[3] Vaccination plans, regaining FMD-free status
 情報源 Yonhapnews 、2011年1月14日

● アワビウイルス性 ganglioneuritis オーストラリア 
PRO/AH> Abalone viral ganglioneuritis - Australia: (TS) 20110115.0179
 情報源 ABC.net.au、2011年1月15日
Abalone farm closed after virus outbreak
タスマニア Tasmania 州東海岸のアワビ養殖場1か所で行われた abalone virus [abalones are edible sea snails] の検査が陽性となった。神経系に影響を与え、衰弱や死亡の原因となる。触ったり食べたりしても、ヒトの健康への影響はない。

● Cache Valley virus、ヒツジ 米国
PRO/AH> Cache Valley virus, ovine - USA: (ND) 20110115.0177
 情報源 KFGO.com 、2011年1月14日
North Dakota ノースダコタ州中部で発生したヒツジの流産の原因が、The Cache Valley virus である可能性がある。North Dakota State University's (NDSU) Veterinary Diagnostic Laboratory 当局が暫定的検査結果として明らかにした。
[Mod.TG- Cache Valley virus (CVV) is similar to Akabane virus. CVV is a mosquitoborne member of the Bunyviradae family. The disease is currently considered endemic in the United States...]

● 原因不明の致死性疾患、ラクダ パキスタン
PRO/AH> Undiagnosed lethal disease, camel - Pakistan (03): RFI 20110114.0160
 情報源 The News International (Pakistan) 、2011年1月11日
Cold weather hits livestock in coastal areas
このところの寒波により、シンド Sindh 州の家畜業者は深刻な影響を受けている。多くの世帯が全面的にラクダや家畜に頼る、沿岸地域への影響が大きい。牧民や獣医学当局の話では、寒波による種々の疾患への感染により動物の子どもらが死亡した。

● 外来ニューカッスル病、鳥類 米国
PRO/AH> Exotic Newcastle disease, avian - USA: (FL) cormorant 20110114.0159
 情報源 The Poultry Site、2011年1月13日
ニューカッスル病 Exotic Newcastle disease (END) による Pinellas County の野鳥の死亡が,the Suncoast Seabird Sanctuary により確認された。同保護区職員が7日に飛来した野鳥のウ cormorants が弱っているのところを発見した。フロリダ Florida 州在来の cormorants は小型の黒色のトリで、水中に潜ったり羽を乾かしているところを見かける。

● ボツリヌス症、鳥類 ニュージーランド
PRO/AH> Botulism, avian - New Zealand: duck 20110114.0156
 情報源 Stuff.co.nz 、2011年1月13日
Botulism outbreak killing ducks
Waitakere's waterways で、過去2週間に数十羽のボツリヌス毒素により死亡したカモが発見された。

● 狂犬病 ホンジュラス
PRO/AH> Rabies, canine - Honduras 20110114.0155
 情報源 LaPresena [In Spanish]、2011年1月12日
Honduras: rabies detected in Progress
El Progreso, Yoro で狂犬病が1例確認されたことを受け、the Health Region of the Department of Cortez No.5 の当局は、ワクチン接種活動をさらに市周辺地域のイヌに広げることを決定した。