2011年1月26日-27日

◎ 類鼻疽 オーストラリア
急性弛緩性麻痺 ハイチ PAHO
黄熱 コートジボワール

◎ 類鼻疽 オーストラリア
PRO> Melioidosis - Australia: (QL) 20110127.0319
 情報源 Northern Times 、2011年1月27日
Moreton Bay Regional Council のスタッフ2人が _Burkholderia pseudomallei_ と呼ばれる細菌を原因とする感染症 melioidosis 類鼻疽に感染したため、 Caboolture's Centenary Lakes での洪水の清掃作業現場を閉鎖した ... 細菌を含む水や土壌との接触により、ヒトや動物に感染する
[ModLL- オーストラリアの類鼻疽報告の大部分が the Northern Territory に起因するが、東側の Queensland でも地方感染している。通常雨期に発生し、降雨による洪水や、2005年のタイの津波などにより発生が増加する。生存者のうちの数名は、母国のフィンランドに帰国した後に診断された。_Burkholderia pseudomallei_ は(東南アジアやオーストラリア北部の熱帯の)常在地域の特に水田などの土壌や地表水中に environmental saprophyte として存在する。常在国では、ある地域に限定されている。自然環境中で、原虫などの他生物と相互作用を持ちながら、viable, non-cultivable (培養不可能) state で存在することもあり、 intracellular niche に適応可能な理由かも知れない。オーストラリアで起きた2件のアウトブレイクでは、地表水ではなく、飲料水が原因であったことが示唆されている。類鼻疽は常在地域の雨期に発生する病気で、患者の多くが、糖尿病や腎臓病、肝硬変、サラセミア、アルコール依存症、免疫抑制療法、慢性閉塞性疾患などの基礎疾患があり、土壌や水との直接の接触により感染する。どの年齢層にも発生が見られるものの、40から50歳代にピークがあり、女性より男性が多い。さらに、健康な人でも重症劇症型の感染が発生するが、リスクファクターのない患者では、死亡や重症化は非常に少ない。類鼻疽で最もよく知られている症状は、高熱・激しい筋肉痛、胸痛を伴う肺炎で、痰を伴なわない咳嗽ではあるが、呼吸器分泌物は膿性で大量であり、間欠的に新鮮血が混じる。肺感染症は、細菌血症やショックを伴い、急速な経過で死に至ることもあるが、緩徐な経過を辿る例もある。急性類鼻疽敗血症は、最も重症の合併症で、低血圧、高心拍出量、末梢抵抗低下といった、典型的な敗血症性ショックの症状を呈する。軟部組織や肺に原発巣があることが多い。リスクファクターを持つ患者に見られることが多いこの状態では、皮下組織、肺、肝、脾などに多発性の膿瘍を生じることを特徴とし、致死率は80-95%に上る。直ちに適切な治療を行うことで、致死率を40-50%に抑えることが可能である。類鼻疽菌は本質的に、多くの抗生物質に感受性を示さず、バイオテロ兵器として創り出される菌株は、さらに薬剤耐性が強化されている可能性もある。通常、 _B. pseudomallei_ は、tetracyclines, chloramphenicol, trimethoprim-sulfamethoxazole (SXT), antipseudomonal penicillins, carbapenems, ceftazidime, and amoxicillin/clavulanate or ampicillin/sulbactam により抑制される。Ceftriaxone and cefotaxime は in vitro activity は良いが臨床効果 efficacy は認められず; マウスモデルでは、cefepime は ceftazidime ほどの効果は見られない。まれに antimicrobial profile of resistance to colistin and polymyxin B and the aminoglycosides が認められる事があるが、sensitivity to amoxicillin/clavulanate は治療選択上有用なツールとなる。レビューにより、従来の標準治療 the formerlystandard therapy of chloramphenicol, doxycycline, and SXT combination は、ceftazidimeimipenem/cilastatin, or amoxicillin/clavulanate  (or ampicillin/sulbactam) による治療法より死亡率が高いことが示されている。ただし、The betalactam-betalactamase inhibitor therapy は、治療不成功に終わる確率が高い。(Bioterror: the weaponization of infectious diseases. TotowaNJ: Humana Press, 2008 pp 145-58. )]

● 急性弛緩性麻痺 ハイチ
PRO/EDR> Acute flaccid paralysis - Haiti (03): ODS, PAHO 20110127.0317
[1] PAHO/WHO news release 
PAHO/WHO investigating paralysis cases in Port-de-Paix, Haiti
 情報源 Pan American Health Organization (PAHO) press release、2011年1月26日
the Pan American Health Organization/World Health Organization (PAHO/WHO) は、ハイチ保健省及び CDC と共に、Port-de-Paix, Haiti においてコレラ感染からの回復期にあった患者4人に見られた麻痺について詳しく調べており、検査の結果は判明しておらず,また完全に否定されたわけではないが、ポリオ感染が原因ではないと見ている。
[2] 20110125.0307 に関して
 投稿者 Country Cooperation and Communication Unit (CCU), ECDC、Niklas Danielsson、2011年1月26日
まれであるが、よく知られている osmotic demyelination syndrome (ODS) ではないだろうか。致死率が高く、低ナトリウム血症の経静脈的な補正が関係する。2相性の臨床症状を特徴とし、初期には脱水と低ナトリウム血症の治療に良く反応するが、その後急速に状態が悪化する。従来から指摘されている症状としては、四肢麻痺、構語障害 dysarthria、嚥下障害、意識障害、仮性球麻痺などがある。低ナトリウム血症が ODS の共通因子であり、慢性アルコール依存症、肝疾患、低栄養、心因性多飲症、手術後などでも認められる。
関連項目
Acute flaccid paralysis - Haiti (02): ?post cholera, RFI
20110125.0307

● 黄熱 コートジボワール
PRO/AH/EDR> Yellow fever - Africa (09): Cote d'Ivoire (central, north), WHO
Archive Number: 20110126.0310
 情報源 WHO Global Alert and Response (GAR) 、2011年1月25日 FORTH
2011年1月3日にコ-トジボワール保健大臣が、同国北部の黄熱 Yellow fever アウトブレイクについて WHO に通知した。同17日の時点で、合計12例が Abidjan のパスツール研究所での ELISA 法による IgM が陽性となり、その後 Dakar のパスツール研究所によって、ELISA および PRNT 検査で黄熱陽性であることが確認された。これらの症例はコ-トジボワール中央部の Bandama Valley 地帯にある Béoumi および Katiola 県、また、北部の Worodougou 地帯にある Séguéla および Mankono 県の症例でである。このアウトブレイクに対応し行われた、保健省による Béoumi および Katiola 県での現地調査で、同10日から15 日の間に25例の死亡例を含む計64例の疑い患者が特定された。1月22日に緊急ワクチン接種キャンペーンが、Béoumi、Katiola、 Mankono、Séguéla の各県で、生後9カ月以上の84万人以上を対象に開始された ... この4県は、予防接種キャンペーンの対象とされたものの、政局の混乱のため接種が行われなかった61県の一部であった
地図 Seguela, Katiola, and Beoumi
関連項目 20110122.0275

● コレラ 米国,ベネズエラ(2件)
米国
PRO/EDR> Cholera - USA: (MA) ex Dominican Rep., banquet
Archive Number: 20110127.0326
 投稿者 米 ・ Massachusetts General Hospital、Edward T Ryan, MD, DTM&H、2011年1月27日
ボストン Boston, Massachusetts 在住の健康な30歳の男性1名が、結婚式に参加するために1月20-23日までドミニカ共和国のリゾートを訪れ、1月24日にボストンに戻った。24日に水様性下痢のために午前5時に目覚め、その後の36時間で12回の排便があった。発熱や便中の出血はなかった。ともに式に出席した妻は異常なかった。

ベネズエラ
PRO/EDR> Cholera - Venezuela: ex Dominican Rep., banquet 20110127.0325
 情報源 Globovision, Venezuelan news Agency (AVN) [in Spanish]、2011年1月26日
ベネズエラの保健相は26日、国内で21例のコレラ感染が発生していることを認めた。いずれの患者も、family celebration 祝い事のため、ドミニカ共和国に旅行したグループの1人だった。食品から感染した。

● 麻疹 オーストラリア
PRO/EDR> Measles - Australia: (QL) alert
Archive Number: 20110126.0314
 情報源 The Brisbane Times 1月26日
25日に麻疹 Measles と診断された男性が気づかないまま感染を拡げていたおそれがあるため,ブリスベン北部 Brisbane's north の住民らに対して麻疹 measles ワクチン接種を確認するよう呼びかけられている。クイーンズランド州保健当局者 Queensland's Chief Health Officer は,この21歳の男性患者が感染力を有していた19日に,混雑するショッピングセンター the busy Westfield Chermside Shopping Centre を訪れていたことに懸念を深めている
[Mod.CP- この 21歳の男性は、海外からブリスベンに到着したフライトで麻疹ウイルスに感染したとされている(関連項目20110122.0267)。26日の NZTV は、ブリスベンで降機した患者同様、この小児らも渡航中の感染と見て間違いないと、保健当局者が述べたことを伝えている。the in-fight transmission of measles virus infection は理論的リスクを越える危険性があることを表している]

● 口蹄疫 アジア
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - Asia: FAO, alert 20110127.0328
 情報源 UN News Centre、2011年1月27日
The United Nations Food and Agriculture Organization (FAO) は27日、韓国で大流行が発生している口蹄疫 foot-and-mouth disease [FMD] に関して、アジアの獣医学および国境管理当局に対し、感染症状のある家畜への監視するよう求めた

● 野兎病 米国
PRO/AH> Tularemia, wildlife - USA: (TX) feral hogs, alert 20110127.0327
 情報源 KWTX.COM 、2011年1月24日
テキサス州の Bell and Coryell [and Crosby -- see next para.] Counties の野生のブタ(イノシシ?)から tularemia [野兎病] の原因菌が見つかったことを受け、Texas Tech University's Institute of Environmental and Human Health の研究者らは、農家やハンターなどにこれらの動物の取り扱いに注意するよう呼びかけた

● 大量死、鳥類 米国
PRO/AH/EDR> Die off, avian - USA: (SD, CO) DRC-1339 poison 20110127.0323
[1] South Dakota: starlings
 情報源 Yankton Press & Dakotan 、2011年1月19日
18日、Yankton, [South Dakota] で発生した鳥類の大量死の原因について、当局者は、ヒトや動物には影響がない毒素の一種であることをの見方を示した。17日に、Yankton で300羽以上の starlings の死骸が発見されていた。wildlife biologist Ricky Woods の当局者は、Yankton の南16kmの Nebraska のウシ飼育場において DRC-1339 の撒布に関わったことを認めた ...
[2] Colorado: blackbirds, starlings
 情報源 CBS4 Denver、2011年1月20日

● バナナの病気,原因不明の細菌性疾患 スリランカ
PRO/PL> Undiagnosed bacterial disease, banana - Sri Lanka: (AP) 20110127.0318
 情報源 Daily News (Sri Lanka) 、2011年1月21日
the Sainthamaruthu area in Ampara district のバナナ農園に、細菌感染症の不安が広がっている。 yellowish leaves and fallen trunks といった症状を示している。
[Mod.DHA- アジアでの発生が知られている Bacterial pathogens of banana には、speciesand strains of _Ralstonia_ (wilts, gumming) and _Erwinia_ (rhizome rots) がある。インドネシアでは、Blood disease caused by members of the _R. solanacearum_species complex の発生が疑われている (see 20090727.2643)]

● 慢性消耗性疾患 米国
PRO/AH/EDR> Chronic wasting disease, cervid - USA (04): (MN) wild deer, 1st rep. 20110126.0311
 情報源 Minnesota Department of Natural Resources 、2011年1月25日
Pine Island in southeastern Minnesota で2010年11月にハンターによって射殺されたシカ1頭が、慢性消耗性疾患 chronic wasting disease (CWD) に感染していた事が確認された。シカ、エルク、ムースなどを死亡させるこの病気は、ヒトやウシには影響しない。1月25日に確定診断された。ミネソタ州内の野生のシカの間で、CWD が確認されたのはこれが初めて。

● ウマ脳炎 ホンジュラス
PRO/AH/EDR> Equine encephalitis - Honduras (Lempira): RFI 20110126.0308
 情報源 La Tribuna [in Spanish]、2011年1月23日
[Guarita, in the department of Lempira では] 1週間で20頭のウマが感染して死亡し、outbreak of equine encephalitis が農村部の住民らを悩ませている。当局は、ヒトへの感染の危険性があるとして、注意を呼びかけている ... 長文。
[Mod.JRT- ホンジュラス政府当局は脳炎の病原体を特定していない。Venezuelan equine encephalitis の感染循環が知られている地域であり、より最近では、エルサルバドルのウマで、ウエストナイルウイルスの流行が報告されている]
地図 the Guarita area in southwestern Honduras