2011年1月5日

黄熱 コートジボワール

● 黄熱 コートジボワール
PRO/AH/EDR> Yellow fever - Africa (03): Cote d'Ivoire, central 20110105.0048
 情報源 IRIN 、2011年1月5日
コートジボワール Cote d'Ivoire's の大統領選後の政情不安により、全国的な発生が見られる黄熱 yellow fever [YF] に対する、全国ワクチン接種活動が妨げられている。2010年12月に、中北部の Seguela, Katiola, and Beoumi の各地で 11人が死亡し、このうち 2人の感染が確定診断されており、ほか 21人の感染が疑われる患者が、これらの地域及び近郊の Mankono で確認されていると、WHO と現地保健当局が報告した。一部の患者はデング熱の可能性もあるため、引き続き調査が行われている。黄熱へのワクチン接種活動は当初、 WHO と UNICEF のイニシャティブの一環として、2010年11月末に実施される予定であったが、現在の政治状況により2度延期されている...
[Mod.JW- 他国では過去に、流行対策としての一斉予防接種のための、内戦の一時停戦を調整するなどしてきた経験もある]
[Mod.TY- これより前の 2010年7月に、今回の患者が報告された国内中部からはるか南のアビジャン Abidjan で、最新の YF outbreak が報告されている]
地図 Seguela, Katiola, and Beoumi on the map of Cote d'Ivoire in West Africa 

● 麻疹 カナダ
PRO/EDR> Measles - Canada: (ON Ontario) ex Philippines 20110105.0050
 情報源 The Ottawa Sun 、2011年1月5日
オタワ Ottawa 市内の麻疹 Measles 感染患者数が 5人に増えた。公衆衛生当局者は、ワクチンが接種されていない人は、なるべく早く受けるよう呼びかけている。5人の感染が確定診断され、さらに 1人についても現在検査が行われている。確定診断された患者のうちの多くは、フィリピンを旅行した 1家族内での発生である。1970年以降に生まれ、1歳になってから 2回の麻疹ワクチンを済ませていない場合は、麻疹に感染する可能性があると、当局者は説明した
[Mod.CP- 2010年12月前半の初めての報告にあったように、Ottawa の公衆衛生当局は、フィリピン滞在中に麻疹に感染した1人の中年女性に関連して、地域の全医師らに注意喚起を行っている(20101219.4475)。そのあと、同月17日に 2人目の患者の麻疹感染が確認された。今回の患者発生以前に、Ottawa で麻疹が発生したのは 2002年のことで、地域内で感染伝播が起きたのは 15年ぶりのことである]
地図 Ontario showing the location of Ottawa

● 原因不明の致死性疾患、ラクダ パキスタン
PRO/AH/EDR> Undiagnosed lethal disease, camels - Pakistan: Cholistan, RFI 20110105.0051
 情報源 The Express Tribune (Karachi) 、2011年1月5日
the Cholistan desert で過去 2か月間に Rs 2.2 billion [USD 25 638 038] 相当のラクダが死亡している。地域住民らは、 the Rahim Yar Khan, Bahawalpur and Bahawalnagar districts で、120000 頭以上のラクダを死亡させたウイルスに、大きな不安を隠せないでいる。30 万頭以上のラクダがこのウイルスに感染し、住民らは、ワクチンを配布しない獣医学当局に原因があると主張している。
[Mod.AS- OIE's data によれば、2009年のパキスタン国内のラクダの頭数は全部で 93万頭となっている。上記の記事では、"over 300 000 camels がウイルスに感染し、 of which 120 000 died." となっている。もしこれが正しければ、とてつもなく強毒性の病原体によることになる。ワクチンやウイルスとは、何を指すのか? 2010年11月にも、The Cholistan Desert に連なる、the Thar Desert の先の the Pakistani Punjab province で、Thar Camels に大きな被害が発生し、この時は、CCHF ウイルスが疑われている(20101117.4170); 不確かな情報で、情報提供を求めているが、未だに回答は得られていない。OIE は、2008年にパリで、ラクダの病気についての専門家からなる特別なグループの会合を開いている。その中で以下の有用な報告が示された:
"a. Knowledge of camelid diseases is limited; ...
1. ウイルス性疾患: bluetongue, African horse sickness, Rift Valley fever(RVF), bovine viral diarrhoea (BVD), West Nile fever, herpesvirus
infection, CCHF.
2. 細菌性疾患: pasteurellosis, leptospirosis, Q fever, chlamydiosis.
3. 寄生虫性疾患: toxoplasmosis, sarcosporidiosis, trypanosomes.
4. 多因子疾患: neonatal diarrhoea, respiratory syndrome, abortion, unknown mortalities.
b. Camelid susceptibility and epidemiological investigations should be carried out for the following diseases: bluetongue, RVF, West Nile fever, BVD, pasteurellosis, leptospirosis, Q fever, toxoplasmosis."
メディアの報告内容から推定される bronchopneumonia が主な原因だとすると、リストにある疾患のうち、次の 3つが候補に上げられる : bluetongue, pasteurellosis and respiratory syndrome]

● 口蹄疫 ブルガリア
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - Bulgaria: (Burgas), wild boar, RFI 20110105.0046
 情報源 Novinite.com (Sofia News Agency) 、2011年1月5日
ブルガリアとしては12年ぶりとなる、 口蹄疫 foot-and-mouth disease (FMD) の感染流行が、5日発生した。南東部のブルガス Burgas 市で殺された1頭の野生のイノシシが、FMD に感染していた。半径 10km 圏内で感染対策がとられている...
[ModAS 注-最も可能性の高い感染源は、隣国トルコの Thrace territory である。トルコでは、 FMDV serotypes O (topotype ME-SA, strain PanAsia-2) and A (topotype Asia, strain Iran-05) の感染循環があることと、WRLFMD data で示されている]
関連項目 20070517.1571 and 20090222.0734 
野生のイノシシの分布図 

● 狂犬病 バングラデシュ
PRO/AH/EDR> Rabies - Bangladesh: canine, human exposure 20110105.0052
 情報源 Reuters AlerNet/IRIN 、2011年1月5日
人口あたりの狂犬病による死者数が最も多いバングラデシュで、政府当局と NGO が協力して、国内初のイヌの統計調査を開始し、一斉ワクチン接種と去勢活動の準備を進めている。政府の発表した数字によると、2009年にイヌによる咬傷を受けたヒトの数は 10万人近くに上り、2000人以上が狂犬病に感染して死亡し、致死率は2%になる。死者の65%は、15歳未満の小児である。南アジアで毎年 25000人が狂犬病で死亡し、そのうち65%がイヌの咬傷が原因となっている。バングラディシュでは、野犬が主なウイルス感染動物であり、秋の終わりの繁殖期のあと、野犬で感染が広がり、ヒトを襲うと説明されている...長文。
[Mod.CP- 狂犬病対策で、野犬の処分はあまり効果がないことを再度指摘しておく。インドのように、大都市では、短期的には狂犬病患者が減少するだろう。国全体で長期的なキャンペーンを行うのは、かなりの困難を伴う。baited vaccine も選択肢の1つに加わるかも知れない]

●  ダイオキシンによる飼料汚染 ドイツ
PRO/AH/EDR> Dioxin feed contamination - Germany: swine & poultry farms 20110105.0053
 情報源 Pig Progress 、2011年1月4日
ドイツ北部のおよそ 100か所の家禽及びブタ飼育農場が、飼料のダイオキシンによる汚染の疑いがあるとして、一時隔離されている。少なくとも 1か所、最大で 9か所の飼料生産業者が関与すると見られている。 Lower Saxony 州だけで、約 1000 farms (layer hens, broilers or pigs) に対し、予防措置として検疫体制が取られている。業者には出荷停止措置が課せられている。ヒトでの発がん性が認められている、The dioxin が、鶏卵や poultry meat を通じて、the food chain に入ったことが確認された。North Rhine Westphalia 州でも、約 8000 layer hens が処分された。州農業当局による検査で高濃度のダイオキシンが検出されたためで、中には許容量の4倍を超える例もあった..これらの卵は Soest の町の複数の農場からのもので、隣接する Steinfurt の別の農場の卵の検査の結果はまだ出ていない。これらのダイオキシンは、industrial fats ( 産業油類 )により汚染された飼料に由来するものと見られている。当局は、これらの油分が、飼料生成過程のどこかで、植物油と置き換わったのではないかと見ている。ドイツの飼料生産業者の Harles & Jentzsch がはじめに、飼料中のダイオキシン濃度について当局に報告を行った。この業者は、Petrotec というバイオディーゼルメーカーの責任だとしていたが、同社はこれを否定している。Petrotec 社の主張によると、同社は飼料メーカーに raw materials を卸していただけであり、これらの材料は、工業製品の製造目的 technical purposes ( 石鹸など ) だけに使用されるもので、飼料や食品の成分として使用されることはない、としている。 一旦自然界に放出されると、ほとんど消失しないダイオキシン含有の油類を含んだものの配送が、複数の動物用飼料生産業者向けに行われていた。Lower Saxony、Saxony-Anhalt and Hamburg 各州の 9箇所のメーカーに関係する可能性がある ... ドイツ国内の 5州の生産者に配送された、the feed fats の発見が重要であると、 North Rhine Westphalia の消費者局長が述べた。ダイオキシンに汚染された卵が店頭に並ぶかもしれないとも述べた。ドイツ政府当局は、隣国オランダへの汚染飼料の移送はないとしているが、市場に汚染された卵が流通しているかについては、不透明である。
[Mod.TG- 今回の記事では、どれぐらいの濃度で、どれくらいの期間にわたり、汚染飼料が動物に与えられていたのかが不明である。先週、 eggs and poultry meat が食品として流通したとだけ伝えている。 dose exposure makes the toxin であるから、濃度だけでなく時間についても、動物での汚染レベルを評価するうえで重要となることが理解されよう。用量やダイオキシンについては、動物飼料やヒトが食べる食品に関し、秀逸な研究論文があり、ごく微量では発がん性がないとの証拠が増えている 。環境中のダイオキシンや、その危険性と有用性との比較、については、さまざまな議論がある。この論争は1970年代前半から始まり、現在も続けられているようである。ダイオキシンが存在するところでは、PCBs (polychlorinated biphenyls ポリ塩化ビフェニル) の測定も必要となる。
DIOXINS とは: 6員環の炭疽原子2個が酸素に置換しとものの総称で、この共通構造から、すべて酸素置換のある6員環をもつ、多数の関連合成物質が生じる。このため、このグループの化学物質は、ダイオキシン類似活性を持つ。これらの化学物質としては、
-- 2,3,7,8-Tetrachlorodibenzodioxin (2,37,8-TCDD).
-- Polychlorinated biphenyls (PCB).
-- Polychlorinated dibenzodioxins (PCDD) and Polychlorinated dibenzofurans (PCDF)
-- Dibenzofurans 各物質の説明省略、原文参照願います。
宇宙の中で、Dioxins の存在は比較的 omnipresent (偏在性を持っている) である。very persistent chemicals ( 分解されにくい物質 )であり、誰もが、この種の化合物あるいは毒物をいくらかは持っている(some minor level or a background level)。最もヒトが暴露することが多いのは、食品を通じてであり、動物やヒトの脂肪組織に蓄積するため、肉、卵、乳製品、魚類や海産物により、ヒトは暴露する。ダイオキシンは非常に毒性が強く、生殖や発達に影響し、免疫システムを障害し、ホルモン作用に干渉し、発がん性もある。胎児発生期にも影響し、発達障害の原因となる...]

● 慢性消耗性疾患、シカ 米国
PRO/AH/EDR> Chronic wasting disease, cervid - USA: (WY) 20110105.0054
 情報源 Wyoming Game and Fish Department 、2010年12月27日
Lysite の北約23マイルの hunt area 39 near Bull Mountain で射殺された、1頭の mule deer buck が chronic wasting disease (CWD 慢性消耗性疾患) の検査の結果、陽性であることが判明した。hunt area 39 でこの疾患が発見されるのは初めてのことである

● 原因不明の大量死、鳥類 米国
PRO/AH/EDR> Undiagnosed die-off, avian - USA (02): (AR, LA) 20110105.0055
[1] Arkansas
 情報源 CNN 、2011年1月4日
大晦日の深夜にアーカンソー ARKANSAS 州の上空から数千羽のトリが落下した原因は、多発外傷 massive trauma による死亡が原因であるとの見方が、3日に発表された予備報告で明らかにされた。この red-winged blackbirds and starlings  は、 Little Rock の北東約40マイルにある、Beebe の1マイルの範囲の地域で、ほとんどが死亡した状態で発見されたと、州当局が発表した。当局者によると、胸部組織にキズがあり、体腔内の血塊やない出血が認められたという。重要臓器はすべて異常なかった...当日早くに州内を移動した strong storm system や、新年で騒ぐ人々があげた花火などが、鳥類に深刻なストレスを与えた可能性があるとの見方も示している [Mod.TG- 花火説は意味がない。もし花火が方向性を失わせたことが原因なら、そこら中でトリが死んでいるはずで、花火が上がるときにはいつもトリが死ぬことになる。天候の方が、もう少し意味がある]。 
Blackbirds は通常夜間は飛行しないため、なぜ夜間に飛行したのかは明らかではない。トリの落下直前に、何度か大きな音 Loud noises がしたという報告もある [おそらく夜間に飛行させたのは、花火が原因だろう ]。 トリたちは非常に強い力で何かぶつかり、出血していた、と説明された。少数の死鳥について行った初期検査でわかったことは外傷であり、地面に激突してできた傷か、何かにぶつかってできたかは今のところ分からない。
[Mod.TG- ちょうどこの日、expansion of a natural gas waste processing plant (天然ガス廃棄物処理施設の拡張)に関する、環境集会が開かれていた。住民らは、施設から排出されるガス fumes による健康被害を訴え、拡張に怒りの声を上げていた。鳥類は、一部の fumes and airborne toxins に対しては、ヒトに比べて、より感受性が高い。この施設は、トリが落下したのと同じ地域にある。有毒ガスの吸入を検出することは、非常に困難もしくは不可能に近い。ガスによりトリが窒息し、地面に落下したのだが、解剖では外傷しか判明しないということもある。air quality testing in the area of the natural gas plant も行われるのかもしれない]
The article regarding the gas plant and the odors 
地図 Arkansas with counties 
[2] Louisiana:2 The Advocate、2011年1月4日
Pointe Coupee Parish で3日、1/4マイルの範囲の高速道路に、数百羽のトリの死体が撒き散らされているのを、通りかかったドライバーが発見した。Pointe Coupee Central High School からの道路と交わる La. 1 [Louisiana Route 1] に、およそ500羽の red-winged blackbirds and starlings が死亡しており、州生物学専門家らが原因を調査している。死亡していたトリの中には、グループとして固まってうつ伏せに死んでいるトリや、羽根を広げ硬直した足を上方に突き上げて仰向けに死んでいるトリもいた。AR 州の事件からわずか3日後に発生した...
[3] Louisiana:The Christian Science Monitor、2011年1月4日
The United States Geological Survey によると、過去30年間に一度に1000羽以上のが死亡する事例が、16 incidents があったが、多くの場合 悪天候の中を tightly-packed flocks flying した結果と考えられてきた。全米で毎年、50億羽以上の鳥類が、自然要因により死亡している... black birds は、農家にとっては厄介ものであるため、合法的な駆除により大量死が発生した可能性もある。Pest control experts は、さまざまな方法で blackbird roosts を撤去するが、その中には、水をスプレーして低体温にさせる方法や legal poisons の使用などがある。poisons は即効性のものが多いが、うまくいかなかった場合に、巣から飛び立った後、近くで死亡する可能性もある..[2] と同内容、原文参照願います。
地図 Louisiana with parishes