2011年2月21日

狂犬病 インドネシア,ペルー
◎ トリパノソーマ症、先天性 ボリビア

● 狂犬病 インドネシア,ペルー(2件)
インドネシア
PRO/AH/EDR> Rabies - Indonesia (05): (BA) susp.
Archive Number: 20110221.0575
 情報源 The Jakarta Post、2011年2月21日
バリ Bali で20日に死亡した2人について、狂犬病 Rabies が疑われている。1人は、2年も前にイヌの咬傷を受け、イヌは翌日に死亡していた。この2人はそれぞれ Klungkung と Bangli の出身で、デンパサール Denpasar の病院で死亡した。いずれも、入院時にすでに重体となっていた。患者の1人の家族は3か月前にイヌの咬傷を受けたがワクチンを接種されていなかったと述べた

ペルー
PRO/AH/EDR> Rabies, vampire bat - Peru (03): (AM) 20110221.0570
 情報源 El Comercio [in Spanish]、2011年2月17日
Bagua で6 children が狂犬病により死亡している。この病気は吸血コウモリ the bite of infected vampire bats により伝播される。Imaza district, Bagua province, Amazonas region in Peru の San Ramon and Yupicusa native communities では、6人目の狂犬病による死者が発生した。15日、Yupicusa native community の25人の子どもらが、発熱、筋肉痛、けいれん、咳、嘔吐、意識消失、発語障害などの狂犬病に一致する症状を発症した。
[Mod.TY- 20110219.0550 では死者は7人とされていた。(今回の報告が) 最新の正確な報告であるのかどうか怪しい。また前回の報告では、患者らが伝統医療者に流れるため把握されにくい点が指摘されていた。南米の吸血コウモリには3種類があり、最も多く、狂犬病に関連する可能性が高いのは _Desmodus rotundus _である]
地図 Bagua province

◎ トリパノソーマ症 ボリビア
PRO/EDR> Trypanosomiasis, congenital - Bolivia 20110221.0565
 情報源 Los Tiempos (Bolivia) [in Spanish]、2011年2月19日
先天性シャーガス病 Congenital Chagas disease は治療可能な疾患である。ボリビア国内で、この感染症の治療ができるようになってからこれまでの7年間に118人の小児がシャーガス病の治療を受けたと保健省が発表した。母子感染が起きる確率は平均3%であるが、治療開始当時の症例数と比較して50%減少している。すなわち、2004年に5%であったものが、2010年には2.5%にまで低下している。the National Chagas Disease Program の責任者の医師は、7年間に先天性シャーガス病と診断された1328人の小児のうち治療が受けられたのは859人だけで、しかも全員が治療を完了できたわけではなく、この治療法により完治したのは118人だけであったと述べた。2010年に報告された先天性シャーガス病患者数は、首都ラパス La Paz だけで79例で、治癒したのは15人のみであったと説明されている。専門家は、早期に診断されるほど治療は効果的だと指摘している。1年未満の乳児の有効率(治癒率)は100%とされる。シャーガス病の病原体である寄生虫の _Trypanosoma cruzi_ は、感染性のサシガメ triatomine ("vinchuca" or "chirimacha" in Spanish) の刺咬によりヒトに伝播されるため、この寄生虫の検査が妊娠女性に対して行われるようになっている。これらの検査は SUMI (Spanish initials for Bolivian Mother and Child Health Insurance) が無料で実施している。一部の妊婦は常在地への渡航がないために感染を否定するが、この寄生虫は気づかれないままに、祖母から母親を通じて胎児に感染する可能性もあると説明されている。市民の間にこの疾患の啓蒙を行うことが重要だという。妊娠中の検査が陽性となった場合、妊婦は分娩まで経過観察が行われる。検査の結果は24時間以内に判明する。一方、新生児については2通りのシャーガス病検査がある。1つは分娩時に臍帯血を採取する方法で、もう1つは新生児の足底から採血する方法である。第2の方法では、生後2か月目に寄生虫感染の有無を調べるために採血が行われる。治療は無料で行われ、生後6か月目から開始される。
追加データ
2004年に先天性シャーガス病の積極的な検出が開始となり、その年は1728検体が採取され、うち28件が陽性だった。2009年は14946検体中300検体が陽性で、2010年は11334検体中230件が陽性だった。Endemic areas for Chagas disease は、 Cochabamba, Chiquisaca, Potosi, Santa Cruz, La Paz, and Tarija.である。
[Mod.EP- 特異的な治療法については記載されていない。_Trypanosoma cruzi_ causing Chagas disease に対する治療薬には2種類ある: すなわち、nifurtimox と benznidazole である。治療期間は60日間から90日間である。この報告によれば the incidence of congenital Chagas disease (発生率) は、スクリーニング及び治療が開始される以前は5%であったが、その後ボリビアで出生する新生児全体の2.5から3%まで減少したとされている。それでも高率ではある。シャーガス病の母児感染が常在地域の主な感染経路であり、このことがはっきりとした感染リスクのない人に感染が確認されることの理由だと説明されている]

● 麻疹 台湾
PRO/EDR> Measles - Taiwan (02) 20110221.0574
 投稿者 台湾 CDC、Angela Song-En Huang, MD MPH、2011年2月14日
20110212.0483 に関するコメント
台湾においては、麻疹 Measles の国内感染は極めてまれであり、多くは輸入感染例との接触に続いて発生する。今回の患者について、麻疹は鑑別診断の上位にはなかったとも考えられ、およそ24時間隔離されずに救急室に置かれた。さらに3日は "Spring Festival" の2日目で、ほとんどの患者が直接病院を受診したため、救急室が患者であふれていた。隔離の遅れと、救急室の受診患者の増加が、多数の患者の曝露につながった。台湾では入学時の MMR ワクチンの接種カバー率が95%を超えている。

● クリミア・コンゴ出血熱 インド
PRO/AH/EDR> Crimean-Congo hem. fever - India (03): (MP) susp. 20110221.0573
 投稿者 Dr. Dinesh Jain、2011年2月17日
クリミア・コンゴ出血熱 Crimean-Congo hemorrhagic fever (CCHF) virus infection が疑われる患者を診察した。10日に the People's Hospital in Bhopal に入院となった患者で、発熱、消化管出血、精神症状、心血管系変化 cardiovascular changes など CCHF に類似する症状が認められた。感染力が強いことに加え、患者の居住地が the High Security Animal Disease Laboratory in Bhopal に近いことを懸念している。診断方法などについて、アドバイスが得られれば幸いである。
[Mod.CP- CCHF の感染流行については、最近隣のインド北部グジャラート Gujarat 州から報告されている。CCHF の診断検査は high biosafety level laboratory で行う必要があり、第6病日までに enzyme-linked immunoassay によって血清中抗 IgG and IgM 抗体が検出される可能性がある。IgM antibodies は最大4か月後まで確認できる。これに対し IgG antibodies は減少しながらも最大5年間検出可能である。患者には動物との接触や動物性食品の製造などとの関連性が認められることが多い]
* Bhopal is the capital of the Indian state of Madhya Pradesh and is the administrative headquarters of Bhopal District and Bhopal Division.

● エムポックス(サル痘)コンゴ民主共和国
PRO/AH/EDR> Monkeypox - Congo DR (02): (ET Equateur) 20110221.0569
 投稿者 米・Global Viral Forecasting Initiative、Karen Saylors, Ph.D.、2011年2月14日
20110113.0148 について
the Global Viral Forecasting and UCLA's field presence in Democratic Republic of Congo through the USAID Emerging Pandemic Threats (EPT) PREDICT initiative のデータによると、死者5人を含む114人のエムポックス患者の報告は大げさだと思われる。キンシャサ Kinshasa を除く Equateur Province など各地の M 痘の確定診断能力は限られていて、2010年にも全国で2000例の感染疑いが報告されているが,INRB (National Institute for Biomedical Research) in Kinshasa に検体が送付されたのはわずか120件で、このうちで M 痘陽性が確認されたのは 20 件に過ぎなかった。さらに monkeypox symptoms はよく chickenpox 水痘と間違えられる

● ロスリバーウイルス-オーストラリア
PRO/AH/EDR> Ross River virus - Australia: (VI) 20110221.0564
 情報源 The Geelong Advertiser、2011年2月15日
ロスリバーウイルス熱 Ross River fever [virus infections] の患者急増の事態を受け、Geelong residents に対し保健当局は、蚊族による刺咬を回避するよう呼びかけている。2011年のこれまでに the Barwon south western region の当局には15人の Ross River fever 患者が報告されている。2010年の1年間の患者総数と同数である。Ross River fever は蚊族媒介性のウイルス感染症で、関節痛などのインフルエンザ様症状を起こすことがある。Barwon Health department of infectious diseases の担当者が14日、Geelong residents はロスリバー熱やデング熱など蚊族が媒介するウイルスに備えるべきだと述べた。northern New South Wales and Queensland ではもっとありふれているが、ビクトリア Victoria 州では Ross River virus はさほど多くなく (多くなかった)、豪雨と蚊族個体数増加が関連していると述べた。

● ペスト マダガスカル
PRO/AH/EDR> Plague, pneumonic - Madagascar (02): (AS) Institut Pasteur report 20110221.0563
 投稿者 Institut Pasteur de Madagascar Dr. Jean-Michel Heraud、2011年2月14日
20110220.0555 について
10日、非常に感染力の強い疾患により14人が死亡したと,パスツール研究所 Institut Pasteur from Madagascar (IPM) に報告された。現地保健職員は肺ペストの症状に類似すると述べている。得られた情報によると、7件の喀痰検体のうち rapid test strips 迅速塗抹標本検査で陽性となったのは2件のみである。初発患者は Ambilobe ( 国内北部 Sava 地方 [Antsiranana province] ) から45kmの農村で発生し、他の感染が疑われる患者らは Ambilobe 周辺の各村から報告された。11日、最初の患者が報告された地域の南にある Ambaja 市でも腺ペストが疑われる複数の患者が報告されている。マダガスカルはペストの常在地域であるが、the Central Highlands で発生することが多い。今回の発生地域はペストの常在地域ではない。今のところ、初発患者が常在地域から潜伏期間中に移動し、(この地域で) 発症した患者なのかどうか判っていない。昨年 the regions of Ambaja and Ambilobe に多数の gem seekers が流入した。実際、Ambaja から Ambilobe にかけての地域でサファイアが見つかっている。IPM は13日、検体採取のために空路で職員を派遣した。
地図 the regions of Madagascar

● 炭疽 インドネシア
PRO/AH/EDR> Anthrax, human, livestock - Indonesia: (CV) susp. 20110221.0572
 情報源 The Jakarta Post、2011年2月21日
Boyolali, Central Java.における、the virus [sic] 発生の確認検査の結果を待ちながら、政府当局は炭疽ワクチンの準備を進めている。

● 狂犬病 米国
PRO/AH/EDR> Rabies update - USA (01): December 2010, January 2011 20110221.0571
[1] アライグマ Raccoon, canine exposure - South Carolina
Colleton County residents advised to stay away from wild animals; vaccinate pets against rabies
 情報源 Count on 2 News 、2010年12月16日
[2] Rabies biologics - Michigan
 情報源 Natural Unseen Hazards blog、2010年12月19日
[3] アライグマ Raccoon, canine exposure - North Carolina
13th rabies case identified in New Hanover County
 情報源 WWAY-TV、2010年12月20日
[4] アライグマ Raccoon, canine exposure - North Carolina
 情報源 WCHL News、2010年12月23日
[5] スカンク Skunk, human exposure - Pennsylvania
情報源 Times Leader、2010年12月26日
[6] イヌ Canine, human exposure - California
Dog tests positive for rabies near Bridgeville
 情報源 The Times-Standard 、2010年12月29日
[7] コヨーテ Canine (coyote), human exposure, suspected - Minnesota
 情報源 Natural Unseen Hazards blog、2010年12月26日
[8] ウシ Bovine, possible human exposure - Ohio
 情報源 Natural Unseen Hazards blog、2011年1月9日
[9] アライグマ Raccoon, canine - Virginia
Raccoon found in Norfolk tests positive for rabies
 情報源 The Virginian-Pilot、2011年1月8日
[10] スカンク Skunk, canine - Virginia
 情報源 Natural Unseen Hazards blog 、2011年1月6日
[11] ウシ Bovine exposure - Virginia
Botetourt Co. dairy farms under observation for rabies
 情報源 WSLS-TV、2011年1月11日
[12] アライグマ ネコ Raccoon, feline - Virginia
Cat, raccoon test positive for rabies
 情報源 WAVY、2011年1月12日

● 原因不明の疾患、ウシ トルコ
PRO/AH/EDR> Undiagnosed disease, bovine- Turkey: imported animals, RFI 20110221.0568
[1] Turkey bans import of Austrian cattle on bluetongue suspicion
 情報源 Hurriyet Daily News & Economic Review, Bloomberg report 、2011年2月20日
トルコ政府当局は先週、オーストリアから輸入された一部のウシに、ウシやヤギのウイルス感染症である、ブルータング bluetongue [BT] が確認されたとして、輸入を禁止する手続きをとった ... オーストリアの雑誌 Profil が、取材源を明らかにせずに20日に伝えたところによると、オーストリアから輸入されたウシ5頭がトルコ国内で死亡し、妊娠中のウシ15頭が流産したことから、検査が行われたという。オーストリアでは、2008年以降ブルータングの発生は報告されておらず、この間に行われた132000件の検査はいずれも陰性である。
[2] Bluetongue disease: cattle tested positive
 情報源 Noe.ORF Austria (TV) [in German]、2011年2月19日
"Profil"によると、トルコの検査機関で、Lower Austria から輸入されたウシの一部が、bluetongue-positive であることが確認された。トルコ政府は、当面はオーストリアからのウシの輸入を禁止する措置を取る。オーストリアの当局は、現在も生存するこのウシから検体を採取するためトルコを訪れた。この検体の検査結果は陰性であったと、オーストリア側は述べている。

● ポテトの病気,Pale cyst nematode ロシア
PRO/PL> Pale cyst nematode, potato - Russia: interception 20110221.0567
 情報源 PortNews [in Russian]、2011年2月11日
サンクトペテルスブルグ St Petersburg とレニングラード Leningrad regions の Rosselkhoznadzor [Federal Service for Veterinary and Phytosanitary Surveillance] 当局は、フランス及びベルギーから2つの船で到着した、ポテト440トンの一部に pale potato nematode.の感染があったことを確認した。 Both complete cargoes は送付され、検疫当局において、 この検疫対象微生物 the quarantine organism を死滅させる作業 (using bleach) が行われる。
[Mod.DHA- golden (_Globodera rostochiensis_, with at least 5 races) and pale (_G. pallida_) potato cyst nematodes (PCNs) cause serious crop losses in potato.]

● 鳥インフルエンザ 日本
PRO/AH/EDR> Avian influenza (18): Japan (MZ, ME) poultry 20110221.0566
[1] 宮崎 OIE
Highly pathogenic avian influenza, Japan follow up report no. 8
 情報源 OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2011; 24(7)。2011年2月17日
感染開始時期 2010年11月27日
前回流行時期 2009年4月1日
原因ウイルス  Highly pathogenic avian influenza virus Serotype: H5N1
新たな感染流行 合計3件
1. Tsuno-cho, Koyu-gun
2. Kadokawa-cho, Higashiusuki-gun
3. Takaoka-cho, Miyazaki city.
感染した種 Species / 個体数 / 症例数 / 死亡 / 廃棄 / Slaughtered
鳥類 / 159 000 / 424 / 424 / 158 576 / 0
疫学的コメント
1. Tsuno-cho, Koyu-gun, Miyazaki:
5日, poultry was tested positive for influenza A with rapid test at a farm in Tsuno-cho. ...
2. Kadokawa-cho, Higashiusuki-gun, Miyazaki:
5日, poultry was tested positive for influenza A with rapid test at a farm in Kadokawa-cho...
3. Takaoka-cho, Koyu-gun, Miyazaki:
6日, poultry was tested positive for influenza A with rapid test at a farm in Takaoka-cho. ...
The outbreak in Takachiho-cho [Miyazaki] reported in follow-up report
no. 7 was confirmed on 9 Feb 2011 as due to H5N1 virus.
[2] 三重
Japan confirms another bird flu outbreak, 67 000 chickens to be culled
 情報源 Xinhua News Agency 、2011年2月16日
県当局者が16日、新たな鳥インフルエンザの感染流行を確認した。三重県紀宝町の養鶏場1か所で160羽のニワトリが死亡した。遺伝子検査で、死亡した一部のトリから、強毒性の H5 亜型ウイルスが確認されたことを明らかにした。
[Mod.AS- 三重県で新たな感染流行が確認され、日本国内の商業用家禽で、2010年11月以降に起きた感染流行としては、17件目となる。家禽の流行と平行して、日本国内で報告されている野鳥での H5N1感染としては、2010年12月から2011年2月14日までの間に、17箇所で11種25羽が確認されている。
内訳
Cygnus olor_ (mute swans) - 4
_Grus monacha_ (hooded crane) - 2
_Aythya fuligula_ (tufted duck) - 5
_Cygnus cygnus_ (whooper swan) - 5
_Anas acuta_ (northern pintail) - 1
_Aythya genus_ (wild duck) - 1
_Larus ridibundus_ (black-headed gull) - 1
_Aythya ferina_ (common pochard) - 1
_Tachybaptus ruficollis_ (little grebe) - 1
_Aix galericulata_ (mandarin duck) - 3
_Falco peregrinus_ (peregrine falcon) - 1
日本以外にも、現在、バングラデシュ、カンボジア、香港、インド、韓国、ミャンマー、ベトナムで、H5N1 高病原性鳥インフルエンザが確認されている。香港でもウイルスが確認されている点を考慮すれば、中国本土でも H5N1 の感染循環があるものと考えられるが、ワクチン接種によりマスクされているものと思われる。エジプトとインドネシアでは、今も地方病感染の状態が続き、最近もヒトの感染が報告されている]