2011年2月23日

◎ ラッサ熱 ナイジェリア

◎ ラッサ熱 ナイジェリア
PRO/AH/EDR> Lassa fever - Nigeria: (EI) 20110223.0599
 情報源 The Compass Newspaper、2011年2月23日
Abakaliki, the Ebonyi State capital において、ラッサ熱 Lassa fever と呼ばれる出血性ウイルス感染症の流行により少なくとも1人が死亡した。未確認情報ではあるが、このほかに the military cantonment (野営地) に住んでいたと見られる3人も、同感染症により死亡したと報告されている。政府当局は状況を把握していると述べた。国内で初めて報告されたのは2008年で、医師2名と医療関係者らを含む数人が死亡した。新たな感染者らは、Abakaliki 近郊の Nkwegu にある the Military Cantonment に住んでおり、ほかにも同じ cantonment の女性1名が the Ebonyi State University Teaching Hospital で治療を受けているとの情報をつかんでいる ...
[Mod.CP- Lassa haemorrhagic fever は西アフリカに発生する1-4週間の病悩期間を生じる急性疾患である。1950年代にはすでに報告されていたが、ウイルスが確認されたのは1969年になってからのことである。アレナウイルス科 family _Arenaviridae の single-stranded RNA virus である。Lassa fever が endemic とされているのは、ギニア、リベリア、シエラレオネ、ナイジェリアの一部で、おそらく他の西アフリカ諸国にも存在すると見られている。感染者の約 80%は無症候性で: 残りの患者らはウイルスが感染する部位である肝臓、脾臓、腎臓などの多臓器疾患を発症する。潜伏期間は6-21日間である。Lassa fever は人獣共通感染症で、保有動物宿主はげっ歯類マストミス rodent of the genus _Mastomys_ で, 一般に the "multimammate rat" と呼ばれている。Lassa virus に感染してもマストミスは発病することなくウイルスを排泄物内に排出する。すべての年齢層のヒトが感染する。感染のリスクが高いのは _Mastomys_ が頻繁に出没する農村部の住民で、特に今回のような military encampments のように衛生状況が悪く密集して起居する環境ではなおさらである。airborne spread between humans は疫学的に証明されていないが、both community and health care settings ではヒト-ヒト感染 person-to-person transmission が発生している。ナイジェリア北部の Lassa で1969年に患者が確認されたことから命名され、西アフリカの決まった地域で毎年200万から300万人が感染し、約1万人に1人の割合で死亡が発生する。ナイジェリア国内で発生する the endemic zoonoses の1つであり、多くの問題を抱える医療現場では院内感染が起きる可能性も高い。ラッサ熱には治療薬が存在するものの、ほとんどのナイジェリアの医療施設において早期に診断することは難しい (For a recent review, see, V. Idemyor, Lassa virus infection in Nigeria: clinical perspective overview. J Natl Med Assoc 102(12):1243-6, 2010).]
地図 Ebonyi state

● Q 熱 ドイツ
PRO/AH/EDR> Q fever - Germany: (NW, HE) human, animal
Archive Number: 20110223.0604
 情報源 Official web-site/citizen Service of Hochsauerlandkreis, Germany [trans.]、2011年2月21日
Hallenberg (Germany) とその周辺都市、ならびに Bromskirchen in Hesse において、この4か月間に複数の Q 熱患者が確認されている。合計約40人が感染し、その半数が Arnsberg (HSK) and in the district Waldeck-Frankenberg の住民であった。これまでの調査で感染源はヒツジの群れで、Q 熱の病原菌が確認された。いずれの "Lander" (Hesse and North Rhine-Westphalia) のヒツジからも菌が確認され、直接または汚染のある埃によって、ヒトに感染が伝播された。the Arnsberg と the Waldeck-Frankenberg の当局が、ヒトでのQ 熱患者数の増加を感知した後すぐに、政府当局が関与を始めた ... 当局の対応、Q 熱の解説など
関連項目 the abstracts on the recent Dutch Q fever epizootic/epidemic 20110213.0490
地図 administrative map of Germany

● 炭疽 米国、ペルー(2件)
PRO/AH> Anthrax, human, 
001 - USA (02): ongoing questions 20110223.0601
[1] FBI の科学的根拠に疑問
 情報源 The Frederick News Post、2011年2月20日
5人が死亡、17人が感染した、2001年の炭疽 Anthrax 感染流行は,Fort Detrick researcher Bruce Ivins が唯一の犯人とする92ページの要旨が出され、1年前に the Department of Justice は閉廷されている。先週、National Research Council committee は、the FBI が捜査で採用した the science 科学的根拠に疑問を投げかける報告を行った。これにより、the Justice Department には多くの人々が裁判を維持できないと考える状況証拠だけが残される形となる
[2] 情報源 The Washington Post、2011年2月16日
[3] 情報源 Representative Rush Holt、2011年2月15日

ペルー
PRO/AH/EDR> Anthrax, human, ovine - Peru: (LB) 20110223.0597
 情報源 RPP Noticias [in Spanish]、2011年2月21日
[首都リマ Lima から北に483km離れた沿岸部] Lambayeque の辺境地 Motupe で、皮膚炭疽の患者1名が報告された。Motupe から1km離れた Palacios community で発生した。theNational Agricultural Sanitation Service (SENASA, according to its Spanish initials) に勤務する獣医師で、感染したヒツジの処分中に感染した。シプロキサシン ciprofloxacin による治療で完治した
[Mod.MHJ- ペルー政府当局は、散発的な発生例と捉えている可能性があるが、時に相当な数に達するヒトの感染者数 -- 58 in 2005, 31 in 2006 with one death, 25 in 2008 and one death -- を考慮すると、十分な注意が払われていないようである。5/10 coastal departments で発生が確認されているが、過去10年間に家畜の感染例が報告されているのは Ancash, Cajamarca, Pasco, Huanuco, Ica, La Libertad, Lambayeque, Lima, Moquegua, Piura, Tacna, and Tumbes である。ヒトでの感染例と連動することが多いことから、特にヒツジやヤギの感染が見逃されている可能性が高い]

● 麻疹 米国
PRO/EDR> Measles - USA (03): (PA)
Archive Number: 20110223.0600
 情報源 Examiner.com, Harrisburg 2月22日
2週間前に Perry County において5例の麻疹感染例 cases of measles が確認され,ペンシルバニア州保健当局 the Pennsylvania Department of Health は周辺地域 surrounding counties, including the city of Harrisburg にアウトブレイクの発生の可能性があるとして注意を呼びかけている

● 鳥インフルエンザ、ヒト カンボジア
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (13): Cambodia (BM) conf. 20110223.0598
 情報源 Bangkok Post、2011年2月23日
2月にカンボジア国内で3人が鳥インフルエンザ [avian A/(H5N1) influenza virus infection] で死亡した。最も新しい患者は母親と生後11か月の息子であったと、23日に当局者が発表した。12日に19歳の女性が死亡し、その5日後に彼女の子どもも死亡したことが、保健省及び WHO からの共同声明で明らかにされた。検査により両者が H5N1 鳥インフルエンザウイルスに感染していたことが確認された。2月にはこれ以前に、首都プノンペン [Phnom Penh] で起きた5歳の女児の感染による死亡がおよそ1年ぶりに報告されていた。この新たな患者は北西部 Banteay Meanchey province の住民で、南東部の Prey Veng province の親戚を訪れた際に病気の家禽の摂食し、その後に発生した高熱と咳のため、病院に入院していた。
地図 the provinces of Cambodia, showing Banteay Meanchey province (北西端)

● 狂犬病 インドネシア
PRO/AH/EDR> Rabies - Indonesia (06): (Bali) Nusa Penida 20110223.0596
[1] イヌ咬傷から3か月後に死亡
 情報源 Malay Peninsula Standard (In Malayan]、2011年2月22日
Banjar Kalang Sari, Nusa Penida 在住の66歳の男性が、3か月前に、イヌによる右の脛骨 shinbone への咬傷を受けたのがもとで狂犬病 Rabies を発症し、集中治療を受けたにもかかわらず、20日病院で死亡した。
[2] 狂犬病清浄地域はどこにもない
 情報源 The Sydney Morning Herald、2011年2月22日
バリ島内の狂犬病感染流行による死者は増加し続けており、インドネシア政府当局は、狂犬病清浄地域はどこにもないことを認めている。2011年のこれまでに、バリ島で少なくとも5人が狂犬病で死亡している。2008年11月からの累積の死亡数は119人である

● マレーバレー脳炎 オーストラリア
PRO/AH/EDR> Murray Valley encephalitis - Australia: (VI) 20110223.0595
 情報源 The Age、2011年2月23日
37年間ビクトリア Victoria 州で確認されたことがなかった、マレーバレー脳炎 Murray Valley encephalitis [MVE] virus がニワトリ ''sentinel chickens'' に感染していたことが、検査の結果確認された。22日に当局者が明らかにした。ニワトリで確認されたのはこれが2回目で、これらのニワトリは,1974年にビクトリア州でこのまれな疾患の感染流行が発生してから州内全域に計画的に配置されている。the 1974 epidemic の後、州内でヒトの感染は確認されていない。当局者によると、今週ウイルスの感染が確認されたのは Mildura, Robinvale, Kerang, Barmah, and Tooleybuc のニワトリで、Swan Hill 近郊の New South Wales 州との境を超えた(州内に入った)地域である。the Murray River 沿いの住民に対し、蚊族対策を徹底するよう呼びかけられている ...
[Mod.TY- 豪国内で最も新しい Murray Valley encephalitis (MVE) の感染患者は、2009年に the Western state and Northern Territories で報告されているが、いずれもビクトリア州から遠く離れている。37年間、ヒトでの感染が発生しなかった MVE virus transmission 検出のために、active sentinel chicken surveillance effort が続けられていたのには驚いた。MVE virus は the common banded mosquito (_Culex annulirostris_) によって伝播され、この蚊族はオーストラリア全土に生息し、日没後1-2時間に刺咬する。MVE virus infection 対策は、蚊族による刺咬を避けること以外になく、commercially available vaccine はない]
関連項目 20100417.1251

● 口蹄疫 北朝鮮
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - North Korea (05): OIE, follow-up 20110223.0603
 情報源 OIE WAHID Interface、2011年2月23日
Foot and mouth disease, Korea (Dem. People's Rep.) Follow-up report No. 1
感染開始時期 2010年12月18日
前回流行時期 2007年3月7日
原因ウイルス  Foot and mouth disease virus Serotype: O
新たな感染流行  Total outbreaks: 89
Total animals affected
Species / Susceptible / Cases / Deaths / Destroyed / Slaughtered
ウシ Cattle / 1983 / 789 / 24 / 0 / 0
ヤギ Goats / 181 / 165 / 0 / 0 / 0
ブタ Swine / 8088 / 5463 / 4164 / 0 / 0

● 柑橘類の病気,Huanglongbing カンキツグリーニング病 コスタリカ
PRO/PL> Huanglongbing, citrus - Costa Rica: 1st rep 20110223.0593
 情報源 La Estrella [in Spanish]、2011年2月21日
'Yellow dragon' diseases detected in Costa Rica
パナマの北隣の、コスタリカ政府当局は21日、柑橘類に最も深刻な被害を与える病気の、 huanglongbing (HLB) ( "yellow shoot disease (黄龍病) " in Chinese, from the yellow colour of leaves) が発見されたことを明らかにした。国内北部で発見されたが、今のところ限局していると、The State Phytosanitation Service (SFE) は報告している。ニカラグアとの国境に近い、Alajuela の北で、4本の柑橘類の樹木に、この病気の病原体が感染していることが確認された ...
[Mod.DHA- Huanglongbing (HLB), or citrus greening は、偏好性 phloem (篩部) -inhabiting bacterium _Candidatus_ Liberibacter asiaticus を原因菌とし、アジアのほとんどの地域で発生が認められている。南北アメリカで初めて報告があったのは、2004年のブラジル (20040723.2012) と、2005年の米国 (20050910.2683) だった。ベクターは、 the Asian citrus psyllid (_Diaphorina citri_) である]

● ココヤシの病気,Lethal yellowing パプアニューギニア、メキシコ: new phytoplasmas
PRO/PL> Lethal yellowing, coconut palm - Papua NG, Mexico: new phytoplasmas 20110223.0592
[1] パプアニューギニア Papua New Guinea: 初報告
 情報源 British Society for Plant Pathology, New Disease Reports、2011年2月
原著 First report of a phytoplasma identified in coconut palms (_Cocos nucifera_) with lethal yellowing-like symptoms in Papua New Guinea. New Disease Reports (2011) 23, 9; [DOI:10.5197/j.2044-0588.2011.023.009
[2] メキシコ: reservoir species (保有種)
 情報源 Plant Disease 、2011年3月 (Abstract, full paper by subscription only)
原著 Occurrence of a 16SrIV group phytoplasma not previously associated with palm species in Yucatan, Mexico. Plant Disease (2011); 95: 256-62; DOI: 10.1094/PDIS-02-10-0150

● 牡蠣ヘルペスウイルス ニュージーランド
PRO/AH/EDR> Oyster herpesvirus - New Zealand 20110223.0591
 情報源 Stuff.co.nz, The Nelson Mail report、2011年2月21日
North Island oyster farms で養殖されている Pacific oysters のおよそ半数がウイルスにより死滅し、2009年中期に鳴り物入りでオープンした the Cawthron Institute's hatchery at The Glen が感染流行の発端となった可能性が示唆されている ... 稚貝の死滅が始まったのは、2010年末からで、検査の結果、フランスやオーストラリアでも被害が発生しているヘルペスウイルスの1種であることが確認された ...
[Mod.TG- A new strain named _Ostreid herpesvirus- 1 (OsHV-1) mew-var_, は、水温が16℃を超えるまで休眠状態にあり、英国では真夏の水温に相当する。おそらく New Zealand waters がこの温度になる時期も同じだろう。_Ostreid_ herpes viruses は、oysters だけでなく、clams ハマグリ/アサリ, scallops ホタテ, and other mollusks 軟体動物 などにも感染する。_OsHV-1 mew-var_ は、精子や卵子を作るためにすべてのエネルギーが費やされ免疫能が維持できなくなる、繁殖期 の young oysters に感染する。しかし _OsHV-1 mew-var_ は "more virulent than strains we identified before" であると説明されている]