2011年2月17日-18日

◎ A 群連鎖球菌、猩紅熱

◎ A 群連鎖球菌、猩紅熱 英国
PRO/EDR> Streptococcus, group A, scarlet fever - UK (Guernsey) 20110217.0521
[1] 学童3人の感染
 情報源 St Martin's AC Mini's Website、2011年2月7日。
7日、この2週間に Guernsey の学童3人の猩紅熱 scarlet fever 患者が確認されたとの報告があった。
[2] 6人の感染を確認
 情報源 Island FM、2011年2月15日。
Guernsey において、6例の猩紅熱患者が確認されているが、重症例はなく心配する必要はないと、当局者が述べた。潜伏期間は1-2日と短いと説明されている ...
[3] 患者およそ20人
 情報源 The Guernsey Press、2011年2月15日。
島内の数校で、およそ20人が猩紅熱の感染と確定されたり疑われたりしている。14日、教育当局者がこのように述べたが、ほとんどの学校では感染は確認されていない ...
[Mod.JWー Scarlet fever は、chains を形成するグラム陽性球菌で A 群連鎖球菌ともよばれる化膿性連鎖球球菌 _Streptococcus pyogenes_, also known as group A streptococcus (GAS) による感染症で、連鎖球菌性咽頭炎に併発して起きることが多いが、他の部位の連鎖球菌感染症に関係する場合もある。 _S. pyogenes_ が産生する  erythrogenic exotoxin の1種が特徴的な the red rash を引き起こす。咽頭炎の発生が最も多い年齢は5歳から15歳までの学童期の、冬から春にかけての時期であり、接触の多い密集環境で発生しやすい。患者の気道飛沫物による、Person-to-person spread による感染拡大が最も多い。まれではあるが、汚染された食品による感染拡例も存在する。(NEJM) GAS による咽頭痛や皮膚感染のある人は感染を伝播しやすく:無症候性の保菌者の感染力はこれより弱い。過去に the community 内で GAS sore throat or scarlet fever の発生があった場合には、感染の可能性が高くなる。曝露から発症するまでの潜伏期間は、通常1-2日と短い。典型的な症状としては、発熱、咽頭痛、と初期には白く見える舌病変で発症する。(舌は)赤く目立つ舌乳頭を伴う、光沢を帯びた赤色に変化した、苺舌 "strawberry" tongue と呼ばれる所見が認められるようになり、12-48時間後に発疹が出現する。発疹は最初、頚部や胸部に現れることが多く、次第に全身に広がり、皮膚の皺 skin folds の部分に強く見られ、 Pastia lines と呼ばれる。発疹は、触ると "sandpapery ( ザラザラしている )" と形容される。顔面は紅潮し、口周囲は蒼白となる。発疹は1週間以上持続することがあり、その後、手掌、指先、つま先、そけい部などの落屑が認められる。診断は臨床診断で行われる。血液培養が陽性となることはまれであるが、咽頭の培養または迅速検査で GAS が検出される。猩紅熱の合併症として、限局性咽頭感染の、周辺リンパ節、後咽頭組織、中耳、副鼻腔への拡大や、急性リウマチ熱 acute rheumatic fever (ARF) や連鎖球菌感染後糸球体腎炎 post-streptococcal glomerulonephritis などのように、免疫反応が関与するような疾患を発症することがある。まれではあるが、血中の GAS により、髄膜炎、化膿性関節炎、心内膜炎などが起こることもある。scarlet fever の治療は、咽頭炎 GAS pharyngitis の治療と変わりはなく、10日間の経口 penicillin, erythromycin, or clindamycin もしくは1回の penicillin G benzathine の筋肉内注射が用いられる。適切な抗生物質による治療が行われれば、合併症がおきることはほとんどない: GAS pharyngitis の 発症から9日以内 に penicillin therapy が開始されれば、ARF の発生率は減少する ; ARF と違い、antimicrobial therapy によって、acute post-streptococcal glomerulonephritis の発生は予防できない 。GAS による咽頭炎を早期に診断し治療することが、group A streptococcal infections の拡大防止策として重要である。抗生物質服用から24時間後には、患者は感染力を有しなくなっている]

● ニパ脳炎 バングラデシュ
PRO/AH/EDR> Nipah encephalitis, human - Bangladesh: (RP) (03)
Archive Number: 20110218.0539
 情報源 The Daily Star、2011年2月15日
Rangpur Medical College Hospital (RMCH) において14日、新たに2人がニパ(ウイルス)脳炎 Nipah encephalitis のため死亡した。死者は33人となった。Banshbari village in Lalmonirhat Sadar upazila の、8歳の少年と4歳児の2人が死亡した。この患者らは高熱のために12日に入院した。1月31日以降、Nipah による死者が確認されているのは7 districts -- Rangpur, Kurigram, Lalmonirhat, Nilphamari, Gaibandha, Dinajpur and Kushtia。
地図 Rangpur

● 狂犬病 ペルー
PRO/AH/EDR> Rabies, vampire bat, human - Peru (AM) 20110218.0534
 情報源 El Comercio, Agence France-Presse (AFP) report [in Spanish]、2011年2月16日
the Amazonas region of Peru の2つの部族集落で、吸血性の狂犬病 Rabies 感染のあるコウモリの咬傷によって、2月のこれまでに少なくとも6人の小児らが死亡したと、16日 the Ministry of Health (MINSA) 当局が発表した。リマ Lima から北に約1000 km 離れた、エクアドルとの国境に近い Bagua province の the San Ramon と Yupicusa の native communities に属する、1歳から14歳までの子どもらが犠牲となったと述べられた。この地域には、Guaruna, Awajun, and Wampi ethnic groups in the Amazonas region が住む ... 人口は1055人のこれら2か所の indigenous communities の中で、少なくとも200人の子どもらにコウモリによる咬傷を受けた経験があると報告されているという。熱帯雨林の中、15時間の川旅でようやくたどり着けるこの辺境の地へワクチン接種団が派遣された。2010年に the Amazonas region 内で吸血コウモリによる狂犬病で死亡した人の数は、成人と子ども含め、少なくとも20人である。
[Mod.TY- このような地域の住居はオープンであることが多く、吸血コウモリがより好みであるウシやウマなどがいないときに、容易に寝ているヒトから血を吸える環境となっている]

● インフルエンザ 欧州,米国(2件)
PRO/EDR> Influenza (16): Europe update 20110218.0533
 情報源 WHO Regional Office for Europe, EuroFlu: Weekly Electronic Bulletin、2011年2月18日
Influenza activity peaking in the WHO European Region
要約 
- week 6/2011 [7-13 Feb 2011] の 45 Member States in the WHO European Region からの報告を元に作られた
- 24 countries ofthe Region でピークを越えた
- 44 % of sentinel specimens with influenza-like illness (ILI) and/or acute respiratory infections (ARI), and 39 % of specimens from sentinel severe acute respiratory infection (SARI) patients were positive for influenza.
- 97 % of antigenically characterized viruses from the 2010/2011 influenza season are similar to the viruses included in the 2010/2011 northern hemisphere influenza vaccines.

米国
PRO/EDR> Influenza (15): USA update
Archive Number: 20110217.0523
 情報源 MMWR Weekly 2011 / 60(06);175-181、2011年2月18日
Update: Influenza Activity -- United States, 3 Oct 2010 to 5 Feb 2011
the beginning of the 2010-11 influenza season (3 Oct 2010) 以降の、米国内のインフルエンザ Influenza 活動性を要約する。2010年12月前半までは低調であったが、12月中旬から活動性が高まり、2月前半まで維持されている。Influenza B, 2009 influenza A (H1N1), and influenza A (H3N2) viruses の全てが検出されており、そのほとんどが、現行ワクチン the 2010-11 vaccine に含有されるウイルス株と、抗原性が同一 antigenically similar であった ... 
以下、ウイルス学的サーベイランス、外来患者の疾病サーベイランス、州ごとのインフルエンザ活動状況、インフルエンザ関連入院、肺炎とインフルエンザ関連死亡、同小児死亡、抗原性の特徴、新型インフルエンザ A ウイルス、抗ウイルス薬耐性、編集部注 にわけて記載。

● ポリオ インド
PRO/EDR> Poliomyelitis - worldwide: India (WB) 20110218.0532
 情報源 The Statesman、2011年2月14日
New polio case forces fresh drive in 5 districts
the state [West Bengal] で新たなポリオ Poliomyelitis 患者1名が確認され、ポリオワクチン接種活動を強化中の州当局は、コルカタ Kolkata など5つの地区を対象に polio immunisation drive を実施することとなった。Howrah [district] Panchla の生後18か月の小児1名が、1型ポリオウイルス poliovirus type 1 [infection] と診断されたことを受け、ポリオワクチン接種計画の実施が指示された。2008年にも、同じ地域で 3型 poliovirus type 3 に感染した小児1名が確認されている ...
[Mod.CP- 先週、上記の新たな感染例が報告された (WPV1 from Howrah district, West Bengal)。2011年にインド国内で感染が確認されたのはこれが初めてである。2010年の総数は、42例のままで変わりがない。この最新の感染患者は大都会のコルカタ Kolkata [Calcutta] のとなりの地区で発生した]
地図 Kolkata district

● 麻疹 オーストラリア
PRO/EDR> Measles - Australia: (VA) imported, alert 20110217.0522
 情報源 Herald Sun、201年2月17日
ビクトリア Victoria 州で再び、麻疹 Measles 患者数の発生があり、保健当局は市民にワクチンの接種状況を確認するよう呼びかけている。2011年のはじめの6週間で15人の麻疹患者が報告されている。半数以上が海外で感染した。8人が海外で感染してオーストラリアに帰国した患者で、ほか7人の患者はこれら帰国した感染者との接触があったとみられると、当局者が説明した。麻疹に感染した患者のうち、生後8か月から66歳までの6人が入院となった。
[Mod.CP- 今回の流行発生は、豪国内の MMR ワクチン接種の達成率が不十分であることを露呈した。オーストラリアから麻疹常在国への旅行者は、自分自身と帰国後に他者への感染を起こさないよう、しっかりとワクチン接種歴を確認する必要がある]
地図 the states of Australia

● ニューカッスル病 メキシコ
PRO/AH/EDR> Newcastle disease, poultry - Mexico: (BN Baja California, HI Hidalgo), OIE 20110218.0540
Newcastle disease, Mexico 
[1] Immediate notification
 情報源 OIE WAHID (World Animal Health Information Database) Disease Information 2011; 24(7)、2011年2月12日
感染開始時期 2011年1月26日
前回流行時期 1982年
原因ウイルス Newcastle disease virus, pathogenic strain
新たな感染流行
発生地  Tijuana, Baja California 農場
Species Birds
Susceptible 21 000
Cases 10 050
Deaths 10 000
Destroyed 10 050
Slaughtered 50
[2] Immediate notification
 情報源 OIE WAHID (World Animal Health Information Database) Disease Information 2011; 24(7)、2011年2月12日
感染開始時期 2011年1月31日
前回流行時期 2003年
原因ウイルス Newcastle disease virus, pathogenic strain
新たな感染流行
発生地 Nopala de Villagran, Hidalgo, Hidalgo 農場
Species Birds
Susceptible 500
Cases
Deaths 0
Destroyed 0
Slaughtered 0

● 馬ピロプラズマ症 オランダ
PRO/AH/EDR> Equine piroplasmosis - Netherlands: (ZE), OIE 20110218.0538
 情報源 OIE WAHID (World Animal Health Information Database) Disease Information 2011; 24(4)、2011年2月18日
Equine piroplasmosis, Netherlands Immediate notification (Final report)
感染開始時期 2010年8月29日
Date event resolved 09 Sep 2010
病原体  Equine piroplasmosis agent
新たな感染流行
発生地 Schouwen-Duiveland, Zeeland 農場
Species Equidae
Susceptible 300
Cases 7
Deaths 0
Destroyed 0
Slaughtered 0

● 口蹄疫 ベトナム,韓国(2件)
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - Viet Nam: (LA) 20110218.0537
 情報源 Viet Nam Department of Animal Health [transl.]、2011年2月17日
FMD outbreak confirmed in Long An
要約 : ベトナム動物衛生局の報告によると、 Long An Province で新たな口蹄疫 foot and mouth disease (FMD) の症例が確認されている。1月31日現在、Chau Thanh district の4 都市 (Phu Ngai Tri, An Luc Long, Hiep Thanh and Hoa Phu) で発生している。9日、Duc Tan commune, Tan Tru district の農場から、新たな感染が報告された。16日までに合計188頭のブタに感染し、 86頭が死亡した。

PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - S. Korea (10): update 20110218.0530
[1] 3月前半に制圧の見通し
 情報源 Yonhap News Agency、2011年2月18日
韓国史上最悪となっている口蹄疫 foot-and-mouth disease (FMD) outbreak は、全国的なワクチン接種による効果が見られ、3月前半には制圧される見通しであると、18日、農業相がインタビューで答えた ...
[2] All burial sites to be inspected over FMD contamination
 情報源 The Korea Times、2011年2月18日
死体からの悪臭が立ちこめる中、ブタとウシの死体の埋め立て地の上空を、多数のワシ eagles が飛び回っている。FMD 対策のための埋め立て地周辺の住民らは、水道水に血液が混じったり、腐敗臭がしたりすることを経験している。土壌や水質の大規模な汚染による、環境破壊が懸念されるこれらの地域から、最近このような報告がなされている ...
[3] 市内で発見されるイノシシ増加
 情報源 The Korea Times、2011年2月18日
各都市に出没する野生のイノシシの数が、この5年間で3倍に増えていると、18日にある議員が証言した。Members of the National 119 Rescue Service が、野生のイノシシの処分や回収に主導した回数は、2006年は103回だったが、2010年には384回に達していることを、与党の Grand National Party の議員が明らかにした。市内でゴミをあさるイノシシが増えていることから抜本的な対策が必要と述べた。最も報告が多かったのは、Gyeonggi Provinceの 227 件で、次いで South Gyeongsang Province の 175 件、North Gyeongsang Province with 148, and Seoul with 41 となっている。

● 結核、ゾウ フランス
PRO/AH/EDR> Tuberculosis, elephants - France: (Rhone)
Archive Number: 20110218.0536
 情報源 Le Progres [in French]、2011年2月14日
the Parc de la Tete d'Or [in Lyon, department of Rhone] で14日から、ゾウの Baby, Nepal, and Java の公開が中止されている ... 

● 原因不明の大量死、魚類 ケニア
PRO/AH/EDR> Undiagnosed die-off, fish - Kenya: (Mara River) 20110218.0535
 情報源 The Standard Mobile、2011年2月17日
公衆衛生省 The National Environmental Management Authority (NEMA) と野生動物局が、Mara River でおきた魚類の死亡について調査を行っている。環境保護主義者らは、7日の週から気づかれ始めたこの死亡が、農場から出た農薬が河川に流れ込んだことが原因ではないかとの疑いを持っている。Masai Mara Game Reserve のホテル経営者らは、河川から水を飲む動物が死ぬ可能性に不安を感じている ... 

● 真菌性疾患、穀類 オーストラリア
PRO/PL> Fungal diseases, cereals - Australia: (eastern, south) alert 20110218.0531
 情報源 Stock & Land、2011年2月17日
東部海岸線一帯と South Australia の一部を含む地域の穀物栽培農家らに対し、2011年の cereal crops について、真菌感染の発生に十分注意するよう呼びかけられている。DPI [Department of Primary Industries] Victoria の当局者によると、生産量を確保するためには、病気の管理が重要であり、夏の湿度が高かったことで、volunteer cereals ( 自生の穀類? )という 'green bridge' が病原菌の生存を助長したため、感染リスクが一気に高まったと述べている ... Stem rust、stripe rust、yellow leaf spot in wheat and scald in barley など

● 原因不明の疾患、ラクダ インド
PRO/AH/EDR> Undiagnosed disease, camel - India: (RJ) RFI 20110217.0524
 情報源 Downtoearth.org (Science and environment fortnightly, India)、2011年2月17日
2年前から village camel fair に参加していた、およそ60km 離れた Rajasthan 州 Bikaner から連れてこられた1頭のラクダが、肺炎、発熱、粘液性鼻汁による病気のため、参加できなくなった。この地域だけでなく、州全体にこの病気 contagious disease が発生している ...

● トマトの病気,Tomato chlorotic dwarf viroid 世界各国
PRO/PL> Tomato chlorotic dwarf viroid - multicountry: 1st reps 20110217.0519
[1] トマト-メキシコ (Mexico City)
1st report of _Tomato chlorotic dwarf viroid_ in Mexico

[2] トマト-フランス (Bretagne)
1st report of _Tomato chlorotic dwarf viroid_ in France

[3] ペチュニア Petunia -スロベニア
1st detection of _Tomato chlorotic dwarf viroid_ in Petunia in Slovenia

 情報源(共通) European Plant Protection Organisation (EPPO) Reporting Service 1/2011/008、2011年1月