2011年3月1日-2日

ロスリバーウイルス オーストラリア
原因不明の疾患 イエメン

● ロスリバーウイルス オーストラリア
PRO/EDR> Ross River virus - Australia
Archive Number: 20110302.0687
 情報源 Top News、2011年3月1日
オーストラリアでロスリバーウイルス Ross River virus 感染患者数が増加している。蚊族が媒介するウイルスによるこの病気は、the South West, the Peel region で最も多く発生している。バース Perth metropolitan area では150人以上の感染が確定診断された。衛生当局は、高潮 high tides の結果、ロスリバーウイルスを保有する蚊族 salt marsh mosquitoes の個体数増加したと説明している。全国からも患者数の増加が報告されていて、Western Australia では7か月間で、昨年 (2010年) と比べおよそ2倍の408例が報告されている。the South West では160例が確認されているが、2010年の患者数は82例だった。Ross River virus 感染症の症状として、関節の痛みや腫脹、筋肉痛、発疹、発熱、疲労、頭痛などが上げられる。
[Mod.TY- 2011年のこれまでに ProMED-mail で報告された Ross River virus circulation に関する 4件の投稿は、South Australia および Victoria states からだった。
今回は、2011年の Western Australia からの報告である。政府保健当局や医学昆虫学者などが予想していた異常多湿気候の影響が表れており、ベクターである蚊族の個体数の増加と、ウイルス感染循環の活発化が起きている。Murray Valley encephalitis (MVE) and Barmah Forest virus transmission については、どのようになっているのか知りたい。2月に Victoria state の sentinel chickens の MVE virus transmission が報告されていた (20110223.0595)。The most recent human cases of Murray Valley encephalitis (MVE) in humans in Australia は、2009年に the Western state and Northern Territories において発生している]

● 原因不明の疾患 イエメン
PRO/AH/EDR> Undiagnosed disease - Yemen: (HU) RFI 20110302.0685
 情報源 Arab News、2011年3月1日
イエメン西部沿岸の Hodeidah 州で少なくとも 65人の死亡が報告されている。原因はチクングニア熱と考えられているが、一部の当局者はこれを否定している。チクングニア熱の症状は、腎不全、高熱、下痢、嘔吐である [これは正確な情報ではない。The US CDC の情報は、"chikungunya virus infection は、衰弱性疾患 debilitating をきたし、多くの患者で、発熱、頭痛、疲労感、嘔吐、筋肉痛、発疹、関節痛が認められる ... さらに、一部の患者では、運動障害性の関節痛 incapacitating joint pain や関節炎 が数週間から数か月続くこともある ... 死亡することはまれ." と記載されている]。大統領は、この病気拡大に対する監視委員会を設置した。Jazan の保健局長は、サウジアラビア政府当局が国境付近での感染拡大を注視していることを明らかにした。現時点でサウジ側での発生は確認されていないとされている ... 保健省疫学サーベイランス担当者は、患者の45%はチクングニア熱、10%がマラリア、残りはデング熱と説明している。また死亡した 61人の多くが非常に高齢で、ほとんどの患者は検査による診断が行われていないことを明らかにした。しかし the Hodeidah doctors' syndicate の医師は、チクングニア熱でこれほど多くの死者が出ることはなく、2010年の最後の 3か月間は流行したが、それ以後は発生していないと述べている。この医師によると患者の症状は、発熱、下痢、腎不全と、白血球と顆粒球の増加とされている。われわれの知る限りでは、65人が死亡し、250人が入院となっており、出血熱の 1つと考えられると述べた。州衛生当局は、保健省の調査が完了するまでコメントを控えるとしている。
[Mod.TY- 2010年 11月の 20101125.4246 からの継続なのか、新規の流行発生なのか、判断に迷う。The November 2010 outbreak では、関節炎があって致死率が低い、チクングニアウイルス感染により一致する症状だった。The current outbreak は mixed etiologies によるものかもしれないが、chikungunya virus infection によるものとしては死者が極めて多い。エジプトで検査で確定診断された患者は死亡例なのか、それとも発熱のみの患者だったのか、どちらだろう [* ? 記事の中にこのような内容は見当たらない ]。チクングニア熱の主症状である関節炎に関する記載がまったくないのは不思議である。チクングニア熱の診断は血清学的検査によるものであって、過去の感染を示しているだけかもしれない]

● C 型肝炎 ウクライナ(2件)
PRO/EDR> Hepatitis C - Ukraine 20110302.0679
 情報源 UA-Reporter, TCH (Telegraph) report [in Russian]、2011年2月28日
Hepatitis C epidemic in Ukraine
ウクライナにおける C 型肝炎 Hepatitis の治療費は高額であるが、HIV [human immunodeficiency virus] にも感染している場合は無料となる。ウクライナ人 Ukrainian の 30人に 1人が C 型肝炎ウイルスを保有していると言われ、これは国内人口のおよそ 3 から 10% に当たる数字となる。公衆衛生の専門家によると、ウクライナ国内の C 型肝炎の蔓延率 the prevalence は HIV の 10倍高く、欧州の中で最高である。治療費は 10から 19000米ドルの範囲で、このほかに毎月約 200米ドルの検査費用がかかる。HIV/hepatitis C co-infection のあるウクライナ人の患者に限り、無料で抗ウイルス薬が提供される。
[Mod.NR- C 型肝炎の増加はウクライナ国内の HIV 感染の増加に関係している。C 型肝炎の感染経路は、HIV の感染ルートと同じく、性行為、経静脈、輸血による。C 型肝炎に対するワクチンはない]
[Mod.CP- HIV and hepatitis C virus infections among hanka injection drug users in central Ukraine: a cross-sectional survey. In Harm Reduct J 2009 Aug 23; 6(1): 23 によれば、1990年代以降ウクライナ国内では、注射による薬物常用者が増加しており、その結果、C 型肝炎と HIV の感染患者が増加した]

PRO> Hepatitis C - Ukraine (02) 20110302.0683
 投稿者 米・Frank Rhame、2011年3月2日
boceprevir と telaprevir (低分子プロテアーゼインヒビター small molecule protease inhibitors) がまもなく認可され、標準治療薬の1つとなると考えられ、C 型肝炎の治療費はさらにずっと高くなる。また、WHO が生物学的製剤のジェネリック医薬品によるプロトコールを一切認めてこなかったことから、ジェネリックの peginterferon も、いずれ問題となるだろう。

● 鳥インフルエンザ、ヒト インドネシア,エジプト(2件)
インドネシア
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (17): Indonesia (WJ) 20110302.0682
 情報源 Bird Flu Information Corner、2011年3月2日
2011年2月、新たな鳥インフルエンザ [avian influenza A/H5N1 virus infection] の患者1名が確認された。Kabupaten Karawang, West Java province 在住の 26歳の男性 [WHO の HP では女性となっている] で、11日に the Biomedical and Pharmaceutical Research Center Laboratory of the Ministry of Health によって感染が確認された。1月 30日の発症時には、次の症状が認められた: 発熱、咳、呼吸困難、嘔気、嘔吐、倦怠感。1月 30日にクリニックを受診した後、2月 3日から病院で治療を受けたが、状態が悪化し重症肺炎となった。同 4日、West Java Bandung の鳥インフルエンザ専門病院 bird flu referral hospital に移送されたが、同 8日に死亡した。リスクファクター: 1月 25日と 27日に、Karawang market でニワトリを購入し、調理し摂取していた。また、鳥インフルエンザの常在地域である Kabupaten Subang の両親の家をたびたび訪れていた。患者の接触者(家族、近所、勤務先)に、インフルエンザ様疾患患者 influenza-like illness (ILI) は確認されていない。
関連情報 FORTH
[Mod.CP- 2011年のインドネシアで初めての、avian A/(H5N1) virus infection の確定診断を受けた患者(死亡患者)である]

エジプト
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (16): Egypt, WHO 20110301.0672
 情報源 WHO Global Alert and Response (GAR)、2011年2月28日 FORTH
Avian influenza situation in Egypt - update 44
エジプト保健省は、3人の鳥インフルエンザ A (H5N1) ウイルス感染の確定例を公表した。第1の症例は Dakahlia 県の 26歳の女性。1月 18日に症状がみられ始め、1月 23日に入院後、回復し 2月 7日に退院した。第2例は Menofia 県の 45歳の男性で、1月 20日に症状が出現し、1月 26日に入院し、2月 5日に死亡した。第3例は Damiata 県の 4歳の男児で、2月14日に症状が出現し、2月16日に入院した。状態は安定している。感染源の調査により、これらの症例は鳥インフルエンザにかかっていたことが疑われる家禽への暴露を受けていたことがわかった。国立インフルエンザセンターである、エジプト中央公衆衛生試験所で確定された。エジプトで確認された 125例の患者の内、41例が致死的だった。
[Mod.CP- 死亡した Menofia Governorate の患者については、20110210.0462 で報告されている。Dakahlia と Damiata governorates の患者が新たに加わり、2011年に入ってから 2か月間で 6人 ( うち1人死亡 ) の患者が発生し、エジプト国内で発生した鳥インフルエンザの合計患者数は、125人 ( うち 41人死亡 ) となった。いずれの患者の間にも関連性は認められず、感染パターン-- 感染した家禽との接触による -- に変化はない ]
地図 

● 麻疹 米国、台湾、オーストラリア、ザンビア
PRO/EDR> Measles update 2011 (02)
Archive Number: 20110301.0677
[1] 米国: 複数の州、英国から、注意喚起
Measles Outbreak: Tens of Thousands Exposed?

 情報源 News Talk 670KBOI、2011年2月27日
若い女性 1名が今週、麻疹 Measles の感染力を有した状態で、3つの空港を通過したことが分かり、Federal health officials は、大規模な麻疹感染拡大を防止するための対応を開始した。麻疹の検査で陽性であることが判明した、この 27歳の女性は、英国を出発後、 22日に airports in Washington, DC, Denver, and Albuquerque を通過し、数万人の利用客らを、麻疹ウイルスに曝露させた可能性がある ... 米国内で CDC に報告される麻疹患者数は、毎年 約 60人程度にすぎない。
[2] 台湾 Taiwan reports 1st case of indigenous measles this year
 情報源 Taiwan News, Central News Agency、2011年2月27日
20歳の大学生が、2011年の台湾における、麻疹感染患者第1号となったと、 26日に the Center for Disease Control (CDC) から発表された。台北 Taipei 市の学校に通うこの学生は、18日に発疹を伴なって発病した。1歳時に 1度だけ、麻疹ワクチンを接種されていたが、小学校入学時の接種記録はなかった。発疹の 2日前に、 the sky lantern festival のために Pingsi Township を訪れ、Shifenliao area in New Taipei City にも行っていたことが分かった。
[3] オーストラリア、NSW Measles outbreak hits Mt Druitt area
 情報源 Mount Druitt Standard、2011年3月1日
the Mt Druitt, St Marys and Rooty Hill の住民らは、麻疹感染流行に特に注意する必要がある。New South Wales (NSW) Health 当局は、2月に 8人の麻疹感染が確認されたことから、今週はじめに、このような注意を呼びかけた。
[4] ザンビア Serenji measles contained
 情報源 Zambia Daily Mail、2011年2月28日
Serenji District Hospital では、2010年 9月以来、371人の麻疹感染患者が治療を受け、回復している。現在も 30人の患者の治療が行われている。この 371人に、地方の医療センターで治療を受けた患者は含まれていない。




● 口蹄疫 中国,ブルガリア(2件)
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - China: (XJ) porcine, OIE 20110302.0686
 情報源 OIE-WAHID interface、2011年2月28日
Follow-up report No. 17
感染開始時期 2010年2月22日
原因ウイルス Foot and mouth disease virus Serotype: O
新たな感染流行
発生地 Qia'erbagexiang, Kuerle, Bazhou, XINJIANG
Date of start of the outbreak: 19 Feb 2011
Epidemiological unit: Village
Affected animals
種/ 頭数 / 感染 / 死亡 / Destroyed / Slaughtered
ブタ Swine / 3941 / 275 / 0 / 3941 / 0

PRO/AH> Foot & mouth disease - Bulgaria (14): control measures relaxed
Archive Number: 20110302.0680
[1] OIE follow-up report: Foot-and-mouth disease, Bulgaria
 情報源 OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2011; 24(2) 2月25日
Start date: 4 Jan 2011
Reason for notification: reoccurrence of a listed disease
Date of previous occurrence: October 1996
Causal agent: Foot and mouth disease virus
Serotype: O
[2] EC control measures
FMD in Bulgaria: EC partly lifts protection measures after successful
implementation of EU rules
 情報源 FOCUS News Agency 3月2日

● アブラナの病気,Blackleg 英国
PRO/PL> Blackleg, oilseed rape - UK: (England), alert 20110302.0678
 情報源 Farmers Guardian、2011年2月25日
Phoma set to threaten yields in 2011
栽培されるアブラナ oilseed rape crops の中に、1月中旬から フォーマによる斑点 phoma leaf spot が見られる割合が増し、イングランド各地 southern, eastern, and central England では、100%に達するところも出ている。the 2010/11 season は、phoma 大発生の年となる可能性がある ...
[Mod.DHA- Blackleg (also called phoma stem canker or leaf spot) は真菌の _Leptosphaeria maculans_ を原因とする、アブラナ oilseed rape にとって最も深刻な被害が発生する病気である]

● 鳥インフルエンザ インドネシア
PRO/AH/EDR> Avian influenza (21): Indonesia (WJ), poultry 20110301.0673
 情報源 The Jakarta Post、2011年3月1日
西ジャワ州内 West Java's 26 cities and regencies のうちの 11か所で、新たな鳥インフルエンザ [avian (A/(H5N1) influenza virus infection] 感染が確認されている。家禽取り扱い時の清潔操作の重要性に対する、市民の意識の欠如と、気候の変化が原因だと、専門家は指摘している。1月4日以来、インドネシアでは、33929羽のニワトリがウイルスに感染して死亡し、 41人の鳥インフルエンザ感染が報告されている。West Java Animal Husbandry Office の責任者は 28日、予測不可能な天候が、ウイルス感染を拡大させていると述べた。 Sukabumi のある養鶏場において、最大規模のニワトリの死亡が発生し、3万羽が死亡した。降雨と乾燥が繰り返される中、市民の注意が散漫になったときに、ウイルスの感染力が高まると説明した。新たな鳥インフルエンザの感染流行が確認された 11の地域は、Bekasi, West Bandung, Purwakarta, Majalengka, Sukabumi, Kuningan, Indramayu, Garut, Depok, Bogor, and Sumedang であった。最新の流行発生があったのは Garut で、1月12日以降、住民宅の庭で飼育されていた 1000羽のニワトリが、同ウイルスの感染により死亡している ...
[Mod.AS- FAO's most recent monthly bulletin on avian influenza, FAOAIDE News (Situation Update 74, 09 Feb 2011) より
"The Participatory Disease Surveillance & Response (PDSR) programme through 33 Local Disease Control Centres は、全国の 33州のうちの 29州内にある、Indonesia's 448 districts and municipalities の 85%にあたる 71 547 villages をカバーする。2010年12月にPDSR は、1662 villages (2.3 percent) でサーベイランスを実施した。高病原性鳥インフルエンザの粗発生率 The overall HPAI incidence は、1.2 infected villages per 1000 villages under surveillance という結果だった" ]

● 慢性消耗性疾患 米国、シカ科
PRO/AH/EDR> Chronic wasting disease, cervid - USA (06): (SD South Dakota), summary 20110301.0671
 情報源 South Dakota Game Fish and Parks、2011年2月28日
Latest chronic wasting disease [CWD] testing results
2010年7月1日から1月31日までの、the South Dakota CWD Surveillance period 期間中に、合計 1650件の検体について CWD の検査が実施され、このほか、North Dakota hunters から提出された 71検体についても、検査が行われた。
Breakdown of the SD sampling is as follows:
- 243 elk sampled: 236 results returned as NOT positive; 4 results pending; 3 positive
- 332 mule deer sampled: 324 results returned as NOT positive; 8 positive
- 1075 white-tailed deer: 1061 results returned as NOT positive; 14 positive

● ウシ結核 米国
PRO/AH/EDR> PRO/GREEN>Bovine tuberculosis, bovine - USA: (IN Indiana) 20110301.0670
 情報源 Indiana Board of Animal Health official release、2011年2月28日
Bovine TB case traced to Indiana farm
Indiana State Board of Animal Health (BOAH) 当局により、Southeastern Indiana の肉用牛の1群で、ウシ結核 bovine tuberculosis ( 一般名 "bovine TB," 正式名 _Mycobacterium bovis_) の感染が確認された。ミシガン Michigan 州の精肉施設で処分された際に行われた、通常検査で分かった