2011年3月3日-4日

B 型肝炎、C 型肝炎 米国
マラリア タンザニア

● B 型肝炎、C 型肝炎 米国(2件)
PRO/EDR> Hepatitis B & C, nosocomial - USA (03): (OH)
Archive Number: 20110303.0698
 情報源 Dayton Daily News、2011年3月3日
the Dayton VA Medical Center で歯科治療を受けた患者のうち、少なくとも 9人が、予備検査で Hepatitis B and Hepatitis C 陽性であることが、1日発表された。病院は2月8日以降、患者ごとの手袋の交換と器具の消毒を怠っていた歯科医師1名の診察を受けた、535人の患者のうちの527人と連絡をとった。これまでに検査を終えた 375人の患者のうち、7 hepatitis C cases, 2 hepatitis B cases and no cases of HIV が確認されている。いずれもこれまでに感染を指摘されたことはなく、さらに詳しい検査が行われている ...

PRO> Hepatitis B & C, nosocomial - USA (04): (OH) 20110304.0711
 投稿者 独・Transfusionsmedizin、Priv.-Doz. Dr. med. habil. Gregor Caspari、2011年3月4日
A Comment on Hepatitis B & C, nosocomial - USA (03): (OH) 20110303.0698
HCV and active HBV infection の Infection chains の可能性の決定は、the variable parts of the genome の遺伝子塩基配列解析とその結果の比較によって可能となる。感染のあった 1人の患者から、後に治療を受けた別の患者に感染することもあるので、この歯科医師の感染状況 (発症ではなく) はそれほど重要ではない。

● マラリア タンザニア
PRO/EDR> Malaria - Tanzania: (MB) climate change 20110303.0696
 情報源 AlertNet、2011年3月3日
タンザニア南部の高地は長年、冷涼で雨の多い季節に起きる肺炎などの呼吸器疾患に苦しめられて来た。しかし、気候変動によって起きたこの地域の気温上昇で、住民らは新たな健康上の脅威 マラリア Malaria に晒されている。マラウイやザンビアとの国境地帯のムベヤ Mbeya 南西部の高地 Rungwe では、咳、発熱、肺炎などに代わり、マラリアが地域の最重要の健康問題となっている。海抜 1000m 以上の場所にあり、従来はタンザニア国内のマラリア発生地域から外れていたこの地域の住民らにとって驚きであった。2009年 Rungwe district 保健当局は10万0966人のマラリア患者を報告しているが、これは2006年の数字と比較して 25%の増加であった。ダルエスサラーム Dar es Salaam の南西約 940km に位置する同地区では、マラリアが最も大きな公衆衛生上の脅威となっている ... 長文です
[Mod.EP- タンザニアは high burden country for malaria であり、全人口 100 percent of the population にマラリア感染のリスクがあるとされている。 (World Malaria Report 2010, WMR2010)殺虫処理済の蚊帳 insecticide-treated nets (ITNs) で寝ることができている子どもは25%である。タンザニア国内全体としては、この 6 ないし 8年間にマラリアによる死亡を90%減少させることができている (Fig. 6.10; WMR2010)。]

● ハンタウイルス チリ
PRO/AH/EDR> Hantavirus update 2011 - Americas (09): Chile, susp.
Archive Number: 20110304.0715
 情報源 Radio Santa Maria [in Spanish]、2011年3月3日
1日、新たにハンタウイルス Hantavirus 感染が疑われる患者 1名が確認された。反対ウイルス心肺症候群 hantavirus cardiopulmonary syndrome に一致する症状を発症し、the Cochrane Hospital に入院となった20歳ぐらいの学生1名である。その後、the Coyhaique Regional Hospital に移送された。Osorno 在住のこの学生は、今も呼吸器を装着されて集中治療が行われる厳しい状態であるが、改善の兆しが見られている。学生が感染した Guadal で感染源調査が行われる予定である。この夏 2例目のハンタウイルス感染例であると述べた。
[Mod.TY- 検査による確定診断が行われたとの記載がない。2010年 12月に発生した患者と同じ地域で発生している (see 20101223.4517)]

● B型肝炎 ウガンダ
PRO/EDR> Hepatitis B - Uganda: (MO), RFI 20110304.0714
 情報源 Daily Monitor、2011年3月4日
Hepatitis B continues to kill people in Moyo
Moyo District で昨年発生した B型肝炎  Hepatitis B の感染流行は、当局が、感染拡大防止の監視を行っているにも関わらず、感染による死者の数が増え続けている。2010年から、感染した74人中 4人が死亡した ...
[Mod.CP- Moyo District of Uganda における、血液感染による B型肝炎の感染流行については、これまで ProMED-mail で報告されたことはなかった。一方、水系/糞口感染の E 型肝炎についてはしばしば報告されている]
地図 Moyo District in northern Uganda

● レジオネラ症 米国(2件)
PRO/EDR> Legionellosis - USA (02): (CA) conference, susp. 20110304.0713
[1] 情報源 Los Angeles Times、2011年2月15日
the Playboy Mansion で行われた 4日間の会議に出席後発病した患者数が200人に達した。Los Angeles County health officials が 15日に明らかにした。当局は the Playboy event が原因と見て調査を続けている。the DOMAINfest Global Conference の出席者に、発熱、悪寒、倦怠感と咳を主症状とする、レジオネラ症 legionellosis, or Pontiac fever と見られる感染流行が発生した。この会議には30か国から700人以上が出席した
[2] 情報源 Los Angeles Times、2011年3月1日。
Los Angeles County public health officials は、調査の結果、the Playboy Mansion in Los Angeles の a water source でレジオネラ菌 _Legionella_ bacteria が検出された事を明らかにした

PRO/EDR> Legionellosis, nosocomial - USA: (OH) 20110303.0692
[1] 病院内の水道が原因
 情報源 Dayton Business Journal、2011年2月23日
4人の患者がレジオネラ肺炎 legionnaires' disease と診断され、Miami Valley Hospital [MVH] 病院内の水道システムで菌が検出された。病院側は、2010年12月28日にオープンした南東拡張部分のみでの発生と見ている。22日からこの拡張部分での水利用が制限されている。オープン以来127人の患者が入院しているが、感染した患者らはそれぞれ、2月 3,17.19.20日に、尿検査の結果レジオネラ菌陽性であることが確認されている ...
[2] 感染リスクのある患者81人に検査が行われた
 情報源 Dayton Business Journal、2011年3月1日
Miami Valley Hospital で新たに2人のレジオネラ肺炎の患者が入院となり、合計患者数は6人となった。入院中の4人がレジオネラ症と診断されたことを受け、2月22日から its new 12-story patient tower の水利用が制限されていた。州及び政府当局によりタワーの水利用は安全と判断され、同25日に制限が解除されている。初発患者のうちの1人とともに、新たに診断された2人も2月26日の週末から入院中である。感染の可能性のある 127人の患者のうち81人に対し、レジオネラ菌検査が行われた。
関連情報 20090102.0011
病院情報 Miami Valley Hospital (848床) 

● 狂犬病 インドネシア
PRO/AH/EDR> Rabies - Indonesia: (NT), canine, human 20110304.0712
 情報源 The Jakarta Post, National New、2011年3月4日
Hundreds in E. Nusa Tenggara treated for rabies
Sikka, East Nusa Tenggara において242人以上が狂犬病 Rabies ウイルスに感染し、集中治療を受けている。現地当局が明らかにした。この住民らは1月から 2月にかけて狂犬病の動物による咬傷を受けた。"狂犬病のイヌの咬傷を受けた患者が何百人もいる”と、衛生局長が述べた。管理 husbandry の問題で、衛生局は事後処理しか関わることができない。the husbandry agency が予防措置を実施することが大事だと述べた。この地域には現在169本のワクチンしかなく3月中旬で尽きてしまう。戦略として、狂犬病のイヌに対し選択的に処分とワクチン接種を行うことだと述べた。
[Mod.CP- 242人に対する the intensive care の内容が記載されていない。post-exposure vaccination も含んだ数字であることを願うが、さもなくば恐ろしい光景である。州内の衛生当局と獣医学当局との協調がうまくいっていないのは残念である。]
地図 East Nusa Tenggara

● インフルエンザ  欧州
PRO/EDR> Influenza (19): Europe update 20110304.0709
 情報源 WHO Regional Office for Europe, EuroFlu: Weekly Electronic Bulletin 、2011年3月4日
Influenza activity continues, but declines in many countries in the WHO European Region
要約
 - Clinical influenza-like illness (ILI) and acute respiratory infection (ARI) activity は、圏内53か国中24か国で、減少傾向が続いている
 - 重症急性呼吸器感染 severe acute respiratory infection (SARI) も減少傾向にあるが、依然として pre-season levels を上回っている
 - Pandemic influenza A(H1N1) 2009 and influenza B continue to co-circulate in the Region.
以下、Current situation -- week 8/2011 [21-27 Feb 2011]、Virological situation - week 8/2011 [21-27 Feb 2011]、Cumulative virological update - weeks 40/2010 - 8/2011 [4 Oct 2010-27 Feb 2011]、Comment など。
[Mod.CP- まとめると: 5か国で high-intensity influenza activity が報告されているが、前週は9か国だった。北欧と西欧では pandemic influenza A(H1N1) 2009 and influenza B are currently co-dominant だが、中央と東欧では pandemic influenza A(H1N1) 2009 が the dominant virus となっている。pandemic influenza A(H1N1) 2009 の大部分が3 distinct clades の1つであったが、例外的に 34 isolates が最近イングランドで新興した S185T substitution in HA を特徴とする subgroup に属していた]

● 鳥インフルエンザ、ヒト インドネシア
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (18): Indonesia (WJ West Java), WHO 20110303.0691
 情報源 WHO Global Alert and Response (GAR)、2011年3月2日 FORTH
Avian influenza situation in Indonesia
インドネシア保健省は、新たに1人の鳥インフルエンザA(H5N1)の人感染確定症例を公表した。西ジャワ州 (West Java Province)カラワン県(Karawan district) の26歳の女性が、1月30日に症状をきたし、2月3日に入院した。オセルタミビルによる治療を受けたが、2月8日に死亡した。初期調査によって、この患者は昔風の市場で家禽の肉を買い、購入後に市場でニワトリを屠殺して肉にしてもらい、家に持ち帰ったことが判明した。インドネシアではこれまで172例のヒトの鳥インフルエンザ感染が確認されており、142例が死亡した。
[Mod.CP- WHO による、20110302.0682 の公式確認情報である。オセルタミビルによる治療を受けていた点が唯一付け加えられている。2011年のインドネシアにおける、the 1st confirmed human case (and fatality) of avian A/(H5N1) virus infection である]

● 麻疹感染後脳炎 インド
PRO/EDR> Post-measles encephalitis - India: (UP) 20110303.0700
 情報源 Times of India, Varanasi、2011年3月2日
ワクチン接種、麻疹感染後脳炎 post-measles encephalitis (PME) など。
[Mod.CP- インドの麻疹ワクチン接種率 (a mononvaalent vaccine at 9 months of age) は高い。にもかかわらず、今も一部の地域で多数の麻疹の発生がある ... the International Journal of Infectious Disease (25 Jan 2010) によると、the children of western Uttar Pradesh.のウイルス性脳炎 viral encephalitis (VE) の原因として最も多かったのは、 enterovirus 71 (42.1 percent), 以下 麻疹 measles (21.1 percent), 水痘 varicella zoster virus (15.8 percent), ヘルペス herpes simplex virus (10.5 percent), and ムンプス mumps (10.5 percent). の順だった。日本脳炎ウイルスは確認されなかった。enterovirus 71 感染では、約 50%が死亡する。12月に最も多く発生した。このことから、麻疹ワクチンの接種率改善により、VE in Uttar Pradesh は減少したが、皆無にすることはできないといえる]

● 鳥インフルエンザ インドネシア,パレスチナ自治区(2件)
PRO/AH/EDR> Avian influenza (23): Indonesia (NS), poultry 20110304.0710
 情報源 Waspada Online (Indonesia) [in Indonesian]、2011年2月24日
North Sumatra bird flu alert
鳥インフルエンザ bird flu [HPAI H5N1] の脅威が続いている。2011年1月から2月にかけての調査によると、North Sumatra の4つの地域 Serdang Bedagai Regency, Deli Serdang, South Tapanuli, and the city Tebing Tinggi で、多数の鳥類の突然死が発生している。現在のところ、家禽の感染に限られており、ヒトには感染していない ...
[Mod.AS- The communicator はさらに " まもなく、North Sumatra で鳥インフルエンザ感染患者についての報告があるのではないかと思われる .... 4つの地域のうちの1つは、合計 400万人の人口を抱える大都会 suburb (Pancur Batu) of Medan で発生した ” と続けている。2006年 North Sumatra で HPAI H5N1 の感染拡大があり、Medan から a cluster of "up to 8 members of a family" が報告され; 後に affecting "3 generations" として議論が巻き起こっている (see 20060518.1393 and 20100722.2463 ) ]
地図 North Sumatra (Sumatra Utara) 

PRO/AH/EDR> Avian influenza (22): Palestinian Authority, West Bank, RFI 20110303.0695
 情報源 SMS message, distributed by Israel's Avian Health Network [in Hebrew]、2011年3月3日
the village Silat al Harithiyah, West Bank, Palestinian Territories において1群のシチメンチョウの群れで、高病原性鳥インフルエンザ outbreak of HPAI H5N1 が確認された。75日齢の群れで高率に死亡している。PCR により検査が行われた。

● 小麦の病気,Stripe rust 英国
PRO/PL> Stripe rust, wheat - UK: (England), Claire strain 20110304.0705
 情報源 Farming UK、2011年2月18日
Yellow rust detected in Essex
Harlow Agricultural Merchants は this [2010/11] season 初めての yellow rust が確認されたことを報告した: " 2011年は Yellow rust が問題となる。栽培農家の多くが今も yellow rust susceptible の品種を中心に使っている
[Mod.DHA-  Stripe rust (also called yellow rust) of cereals は、真菌の _Puccinia striiformis_ var. _striiformis_ を原因とし、yellow leaf stripes and stunting of plants により、yield losses of 40 to 100 percent をもたらせる。小麦、一部品種の大麦、ライ麦 triticale などに感染する]

● ウエストナイルウイルス 米国
PRO/EDR> West Nile virus, mosquitoes - USA: (LA Louisiana)
Archive Number: 20110303.0703
 情報源 Nola.com (Times-Picayune online) 2月28日
A case [sic] of West Nile virus has been found in a mosquito sample tested in January [2011], 
The virus was found in the mosquito _Culiseta inornata_, a species normally active in the winter and early spring.

● アフリカ馬疫 南アフリカ
PRO/AH/EDR> African horse sickness - South Africa: (WC) RFI 20110303.0702
 情報源 Eye witness news、2011年3月3日
The Western Cape government は2日、国内各地でアフリカ馬疫 African horse sickness [AHSV] の感染流行発生が報告されていることを受け、州内でウマの移動を禁止する措置をとった。90頭以上の感染が確認されており、このうち50頭以上が死亡しているが、州内では1例も報告されていない。

● 口蹄疫 韓国,南アフリカ(2件)
PRO/AH> Foot & mouth disease - S. Korea (12): future vaccination 20110303.0701
 情報源 Chosun.com、2011年3月3日
政府当局は、今後3から5年間は、全ての家畜に対し、定期的に、 6か月ごとの口蹄疫 foot-and-mouth disease [FMD] ワクチン接種を継続し、新たな感染流行の発生を防止することを検討している

PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - South Africa: (NL) 20110303.0697
 情報源 Times Live、2011年3月3日
2月28日、KwaZulu-Natal 州北部で、口蹄疫 FMD と見られる感染流行が確認されたと、農業相が発表した

● エキノコッカス 多包条虫 スウェーデン
PRO/AH> Echinococcus multilocularis, fox - Sweden (04): comments 20110303.0699
[1] 投稿者 スウェーデン ・ National Veterinary Institute、Ann Lindberg, DVM, Assoc. Prof., Dipl. ECVPH、2011年2月20日
20110219.0543 にある、"げっ歯類もしくはキツネが、トラックの荷台に乗った密航者として、デンマークから国境を超えてスウェーデンに入国した可能性がある" の部分は、スウェーデンの当局の見解と異なっている。頻繁な国境を超えるイヌの移動や海峡 the sound 周辺の地形を考えれば、法的に入国前の寄生虫駆除が義務付けられているとは言え、イヌによって持ち込まれた可能性が最も高い。スウェーデンや英国の両国にとっての the risk of introducing _E. multilocularis_ の評価では、いずれもイヌの移動に焦点が当てられている。さらなる証拠として2003年に同国沖の the Isle of Sydkoster への _Angiostrongylus vasorum_ 導入された例がある。
[2] 投稿者 独・Ulm University Hospital 、Peter Kern MD, FIDSA、2011年2月20日。
the Swiss Institute of Parasitology, Zurich: のマップでは、Herein, Denmark の一部で、非常にまれながらキツネに _Echinococcus multilocularis_ が確認されるとある。したがって Denmark は an "endemic" area for _Echinococcus multilocularis_ とまでは言えないと思う

● 腺疫 英国
PRO/AH/EDR> Strangles, equine - UK: (Guernsey) 20110303.0693
 情報源 Horse Mart、2011年2月28日
[The original website has a photo of the effects of strangles on a horse. ]
Guernsey 島内で腺疫 horse strangles の疑われる症例が確認されたため、ウマの所有者らに対し、必要な対策を講じるよう、注意が呼びかけられた

● 慢性消耗性疾患 米国
PRO/AH/EDR> Chronic wasting disease, cervid - USA (07): (NE) update 20110303.0689
 情報源 NebraskaLand Magazine、2011年3月1日
ネブラスカ州当局 the Nebraska Game and Parks Commission によると、2010年に州内で慢性消耗性疾患 chronic wasting disease (CWD) 検査が陽性となったシカの数が、 51例と増加するとともに、発生地域の拡大も起きている ... The counties with the highest number of positives were: Sioux, 11; Sheridan, 7; Dawes, 6; Garden, 6; Box Butte, 4; Scotts Bluff, 4; and Morrill, 3. 以下、少数例の発生地域、 2 positives each in Banner and Hitchcock counties and 1 each in Hooker, Keith, Lincoln, Loup, Cherry, and Hall counties. 初めて確認された地域: Hitchcock, Hooker, Lincoln, and Loup. 2010年、エルクの感染は確認されていない。