2011年3月24日

◎ 類鼻疽 オーストラリア

◎ 類鼻疽 オーストラリア、ラクダ科
PRO/AH/EDR> Melioidosis, camelids - Australia: (QL) 20110324.0926
 情報源 ABC News (Australian Broadcasting Corporation) 、2011年3月22日
Deadly disease found in alpacas
クイーンズランドの当局 Biosecurity Queensland は、中部において多数のアルパカが致死性の類鼻疽 melioidosis に感染していることを確認した。土壌から感染するこの細菌性感染症は、通常、ヤギ、アルパカ、ヒツジなどで確認されるが、ブタなど他の動物に感染する可能性もあり、ヒトを死亡させたこともある。同局の獣医師は、ワクチンはないため,農場の所有者は衛生管理に努めなければならないと述べている。
[Mod.TG- Whitmore's Disease または melioidosis, あるいは Nightcliff gardener's disease と呼ばれ、_Pseudomonas pseudomallei_ から、現在は Burkholderia pseudomallei_ と名称が変更された類鼻疽菌による細菌感染症である。
ヒトも動物も、汚染のある水や土などの環境との直接の接触により感染する。感染動物からキズや粘膜を通じてヒトに感染する可能性もあるが、まれである。すべての動物に、嚥下吸入創傷の3つの感染経路がある。感染動物のキズからの滲出物内に細菌が排出され、感染部位によっては鼻水、ミルク、糞尿にも排出されることがある。ヤギ、ブタ、クモザルの経胎盤感染が報告されている。ある獣医院で4匹のネコの院内感染が報告されたが、複数への注射用液の汚染が原因と見られている。
蚊族 (_Aedes aegypti_) やノミ rat fleas (_Xenopsylla cheopsis_) を介したベクター媒介性感染も報告されているが、昆虫の刺咬の果たす役割についてはよく判っていない。
類鼻疽は、東南アジア、中国、インド亜大陸と、オーストラリアの一部に常在する。カリブ海地方、中東、南米、シンガポール、台湾からも報告されている。過去にアフリカから弧発例が報告されているが多くない。しかし、一部の国では検査による診断が皆無または弱いことから、類鼻疽の診断がつけられていない可能性もある。
この細菌が生物学的兵器として使用されることへの懸念がある。特に鼻疽 glanders の原因菌である鼻疽菌 _Burkholderia mallei_ と似ている点や、感染動物からヒトに感染する点が懸念されている。
正しく診断されない場合は死亡するおそれがある; 原因菌の _Burkholderia pseudomallei_ が感受性を示す抗生物質は限られている。
常在地域では、類鼻疽がヒト及び動物の主要な死亡原因となっている。さらに輸入動物の問題も深刻化している。1975年、パリ動物園に類鼻疽を持ち込み、重大な感染流行を発生させたのは1頭のパンダであったと見られている。 この感染流行は、パリ市内やミュルーズ Mulhouse の他の動物、さらにはフランス全国の乗馬クラブ equestrian clubs にも拡大した。複数の動物種がいなくなり、少なくとも2人の死者が発生した。
自然感染した場合の潜伏期間は(高用量の曝露後の) 1日以内から、数か月または数年に及ぶこともあるが、2か月以上であることが多い。少数例ではあるが、29年間まったく症状が認められなかった例も報告されている。さらに、62年経って発症したと見られる1例が報告されている。生物兵器としてのエアロゾルによる感染では、潜伏期間が10-14日と見られている。
菌の侵入部位 the site of inoculation に急性限局性病変が認められることがある。皮膚病変は灰色または白色で、硬い結節もしくは潰瘍病変となる。結節は乾酪性で、周囲は炎症性となることが多い。所属リンパ節腫脹やリンパ管炎も見られる。その他の急性限局性病変としては、化膿性耳下腺炎/耳下腺膿瘍、角膜損傷に続いて起きる破壊性角膜潰瘍、蜂か織炎などがある。壊死性筋膜炎様の感染となることもある。泌尿生殖器感染として前立腺膿瘍がある。限局性感染病巣が播種する可能性もあるが、常に全身感染に先立って局所感染症状が認められるとは限らない。皮膚及び皮下感染症が、他の部位から血行性に波及しておきることもある。類鼻疽では肺型が最も多く見られる。一次性病変として菌血症の一部としても起こりうる。症状としては、発熱、咳、胸膜性胸痛が常に認められ、一部の症例で吐血を認める。鼻内の潰瘍性病変や結節性病変から、鼻中隔穿孔をきたすことがある。著明な体重減少が認められることもある。肺症状は、突然発症する場合も、頭痛、食欲不振、全身性筋肉痛などの前駆症状の後に発症する場合もある。合併症には、気胸、膿胸、心膜炎などがある。治療が行われない場合は、しばしば、最重症型の敗血症に進展する可能性がある。糖尿病、がん、腎不全のような持病がある場合に、最も起こり易い。通常は急性発症し、発熱、悪寒 rigors、その他の敗血症に特徴的な症状が見られる。しかしながら、一部の敗血症の患者では、多くは体重減少を伴う弛張熱の後に、より緩徐に敗血症に至ることもある。
敗血症性類鼻疽 septicemic melioidosis の最も多く見られる症状として、発熱、激しい頭痛、見当識障害、咽頭炎、上腹部痛、下痢、黄疸、著しい筋肉の圧痛などがある。通常、呼吸困難などの肺症状も見られ、関節炎や髄膜炎が起きることもある。一部の患者で、所属リンパ節腫脹、蜂巣炎、リンパ管炎を伴った、播種性膿疱性発疹を見る。肺血性ショックが起こり、一旦発症すると死に至ることが多い。
慢性類鼻疽は、膿疱や化膿性病変を特徴とし、様々な臓器に発生する。肝臓、脾臓、骨格筋、前立腺が冒されることが多いが、皮膚、肺、心筋、骨、関節、リンパ節、睾丸など、どのような臓器にも発生する。真菌性動脈瘤 Mycotic aneurysms が発生することもある。まれに、類鼻疽による脳膿瘍、脳脊髄炎 (弛緩性麻痺を伴うこと多し)または髄膜炎が発生することがある。慢性類鼻疽では、発熱は、あることもないこともある。感染した患者の一部は、数年間にわたって無症候性のままとなる。このような慢性キャリアでも、最終的に臨床症状を発症する可能性があり、典型的には、他の疾患により免疫状態が低下した場合に起こる。
過去には多剤併用による治療が行われていたが、複数の新しい種類の抗生物質単剤による治療により、同等の効果が得られている。時に、肺切除や膿瘍のドレナージが必要となることもある。治療が成功したと考えられる場合でも、常に再発の可能性があり、一生を通じて経過観察することが勧められている。
ヤギ、ヒツジ、ラクダ科、ブタに感染が多い理由を知りたいと思うかもしれない。それは、これらの動物が、地面に (顔を) 近づけて、草を食んだり、嗅いだり、地面を掘ったりして、類鼻疽菌を含む土壌の粒子を嚥下したり、吸入したりするためである 出典

● 結核、薬剤耐性 フィンランド
PRO> Tuberculosis, drug resistance - Finland: (SK)
Archive Number: 20110324.0935
 情報源 Helsingin Sanomat International Edition - Home、2011年3月23日。
the province of Southern Karelia で、薬剤に耐性の結核 Tuberculosis 菌が問題となっている。2010年に発生したこの最も治療困難な結核の患者はわずか2人であったものの、これらの患者が極めて手ごわい extraordinarily tenacious 症例であったと病院の医師が述べた。いずれの患者もロシアに由来する結核感染であった。患者のうちの1人は、診断され治療が開始されるまで、数か月間も感染力を持ったままにされていた。通常の結核の治療期間は6か月であるが、今回の症例に使用された薬剤は、効果が限定的であった上に多くの副反応があり、2年間にわたって治療が続けられている。幸い、治療困難なこの型の結核は、感染伝播が起こりにくい ... EU の東端をまたいで、感染症の分布状況に大きな違いが見られることから、Southern Karelia では現在、ロシアで発生する感染症の発生状況に、特別の注意が払われている。

● インフルエンザ ベネズエラ
PRO/EDR> Influenza (23): Venezuela 20110324.0933
 情報源 El Universal [in Spanish]、2011年3月24日。
ベネズエラ政府公衆衛生当局は、累積で 124例の cases of influenza A/H1N1 virus infection を確認している

● 異型肺炎 メキシコ
PRO/EDR> Atypical pneumonia - Mexico: (CH Chihuahua) RFI 20110324.0932
 情報源 Excelsior [in Spanish]、2011年3月23日。
Ciudad Juarez の複数の市交通警察でまれなウイルス性疾患が発生し、1人が死亡し、3人に同じ症状が認められている。commander の 1人が重体で、あとの2人の agents も同じ疾患により入院観察となっている。記者会見で主治医は、原因や疾患の性状が不明であると述べた。医師らは異型肺炎 atypical pneumonia の1種であるとしている ...
[Mod.CP- Atypical pneumonia とは、標準的な抗生物質による治療に反応しない肺炎を指す。マイコプラズマ _Mycoplasma pneumoniae_, クラミジア _Chlamydia pneumoniae_, レジオネラ _Legionella pneumophila_ and 百日咳 _Bordatella pertussis_ などの細菌感染による可能性もある。また、インフルエンザ influenza virus などのウイルス、もしくは他の呼吸器の病原体による場合もありうる]

● 口蹄疫 韓国,ブルガリア,台湾(3件)
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - S. Korea (13): update 20110324.0934
 情報源 Korea JoongAng Daily、2011年3月25日。
韓国政府当局は24日、国内史上最悪となった口蹄疫感染流行 foot-and-mouth [FMD] outbreak の終息を宣言し、ウシやブタを飼育する農場の運営を許可制とする、新しい畜産業監視強化策を、2012年より実施する旨を発表した
 
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - Bulgaria (18): (BR) new outbreak 20110324.0931
 情報源 Novinite.com, Sofia News Agency、2011年3月24日。
Granichar 村, in the Burgas district で、新たな口蹄疫感染流行 foot-and-mouth disease (FMD) が確認された、と24日に当局の専門家発表した。村内の全130頭の定期検査で、6件の検体の FMD 検査が陽性となった ...

PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - Taiwan: (PH) serotype O, porcine, OIE 20110324.0930
Foot-and-mouth disease, Chinese Taipei immediate notification

 情報源 OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2011; 24(12)、2011年3月23日。
感染開始時期 2011年3月22日
前回流行時期 2010年2月25日
原因ウイルス  Foot and mouth disease virus Serotype O
新たな感染流行
発生地 1  Makung City, [Penghu]
感染した種 ブタ Swine
Susceptible: 30
Cases: 30
Deaths: 0
Destroyed: 30
Slaughtered: 0
Affected population: a slaughterhouse 動物処分場
発生地 2 Makung City, [Penghu] 農場
感染した種 ブタ Swine
Susceptible: 969
Cases: 110
Deaths: 0
Destroyed: 969
Slaughtered: 0
疫学的コメント
Penghu Island の1か所の農場から食肉処理場に持ち込まれた 30頭のブタに水疱性病変が認められた。直ちに検査と処分が行われ、当該農場で110頭の感染が確認された ...

● インフルエンザ Influenza A (H1N1) 2009 米国、動物園
PRO/AH/EDR> Influenza A (H1N1) 2009, zoo animals - USA: (CA) 20110324.0925
 情報源 CIDRAP (Center for Infectious Disease Research & Policy) News、2011年3月22日。
出典 Emerging Infectious Diseases (EID)
2009年秋、サンディエゴ動物園 the San Diego Zoo で、異なる3種類の動物の The [influenza A (H1N1) 2009] virus 感染が見つかった。ウイルスの感染が確認されたのは、アナグマ 12-year-old American badger, ピントロング a 19-year-old Bornean binturong, and フェレット a 7-year-old black-footed ferret だった。アナグマとビントロングは、重い肺炎のため安楽死処分となったが、フェレットは軽症であったため、抗生物質と輸液で回復した。特定されていないものの、感染源はヒトと見られている。フェレットがインフルエンザに感染することは知られていたが、アナグマとビントロングについては、これまでに報告されたことはない ...

● 原因不明の疾患、イヌ 米国
PRO/AH/EDR> Undiagnosed illness, canine - USA: (CO) RFI 20110324.0924
 情報源 KASA.com、2011年3月21日。
the Durango area で、数十頭のイヌの、原因不明の呼吸器の病気が流行し、獣医師らは、さらに感染するイヌが増えるものと見ている。動物病院の獣医師 Riverview Animal Hospital veterinarian は、地域内全体のイヌに原因不明のウイルス感染が広がっていると話している。勤務する動物病院を、ここ数週間に40頭の症例が受診した。いずれも、咳、喘鳴やあえぎ呼吸などが認められたと説明した。初めての症例が報告されたのは2月のことで、地域全体でおそらく100頭が感染しているだろうと述べた。強力な2種類の抗生物質の治療が行われ、ある程度の効果が見られたが、ウイルスが強力であるため、一部は入院して集中治療が必要だったと話している。通常、1年間に肺炎となるイヌは1-2頭であるが、この病院では、数週間で8頭が肺炎で受診した ...
[Mod.TG- 大抵の獣医師は canine influenza virus について知っており、もしそうなら、すでに診断がついているはず]