2011年3月18日-19日

◎ ツツガムシ病 インド
原因不明の死亡 タイ

◎ ツツガムシ病 インド
PRO/AH/EDR> Scrub typhus - India: (HP)
Archive Number: 20110319.0872
 情報源 The Times of India、2011年3月16日
Jogindernagar in Mandi district of Himachal Pradesh の各村で200人以上がツツガムシ病 Scrub typhus に罹患し、このうち何名かが重体となっていると当局者が述べた。周辺地域にはさらに多くの患者がいると思われるが、病院内で治療を受けられたのは40人ほどで、各村の primary health centers (PHC) にも少数名の入院患者がいる ...
関連情報 US CDC report: Scrub typhus, Republic of Palau. Emerg Infect Dis [serial on the Internet]. 2006 Feb
[Mod.ML- "Scrub typhus は _Orientia tsutsugamushi_ を原因とする人獣共通感染症で、ベクターでもあり宿主でもあるダニの幼虫による刺咬 the bite of larval mites (chiggers) of the _Trombiculidae_ family により感染する。trombiculid mites は、げっ歯類 Rodents of the family _Muridae_ (rats and mice) を共通の宿主とし、_O. tsutsugamushi_(の生存) をサポートすると考えられている。scrub typhus が集中して発生する地域は、ベクターのダニとげっ歯類の宿主の地理的分布と、それらとヒトとの関係で決定される。アジアおよび太平洋の島々の広い範囲で発生が報告されている。 disease-endemic regions としては、日本およびロシア東部から、南はオーストラリア、西はパキスタンとアフガニスタンまでの範囲が知られている。
"Scrub typhus は、典型的には原因が特定できない発熱として発症する; the strain of _O. tsutsugamushi_ の種類と患者の免疫状態、その他の因子によって重症度が左右される。発生が報告されていなかった地域や、検査による確定診断ができない地域での診断は難しい。6から12日間の潜伏期間後に発症し、刺し口 eschar が初発症状であることが多い。発熱、頭痛、[リンパ節腫脹]、筋肉痛などが見られ、斑状丘疹状発疹を伴うこともある。嘔気、嘔吐、下痢、下気道症状などが見られることもある。治療が遅れた場合には、肺炎、髄膜脳炎、黄疸、腎不全、心筋炎などの合併症が起きることがもある。 診断し早期に抗生物質による治療を行うことが重要で、治療が行われてない場合の致死率は1-30%に達する。
ドキシサイクリン doxycycline による治療が有効で、診断が疑われた時点で、検査結果の判明を待つことなく、直ちに治療を開始しなければならない。" 参考文献 6件
げっ歯類が保有宿主として働くほか、ダニの経卵感染も感染の持続 the dominant mechanism for maintenance of _O. tsutsugamushi_ に役立っている。
ヒトへの感染は、低木 low-lying scrub brush や植生移行帯に多い、the chigger-rodent cycle のある地域に、誤って侵入したときに発生する。感染すると、多臓器不全や出血を伴なった播種性血管内凝固を生じることもある]
地図 Joginder Nagar is a town in Mandi district in the northwest Indian state of Himachal Pradesh; a valley surrounded by mountains on all sides; it has an average elevation of 1010 metres (3314 feet) 

● 原因不明の死亡 タイ
PRO/EDR> Undiagnosed deaths - Thailand (02): (CM) 20110318.0866
 情報源 Phuketwan Tourism News、2011年3月14日
Young French Tourist's Death No. 6 in Chiang Mai
6人目の死者が発生していことが判明し、タイ政府当局 Thailand's Department of Disease Control の調査結果も明らかになったことで、Chiang Mai で起きた一連の原因不明の死亡に新たな展開が生まれている。体調が悪化していた 2人のうちの1人であるフランス人女性 1名が6人目の死者となったことが、当局から記者会見で明らかにされた。1月9日から 2月4日にかけて23歳から 33歳までの若い女性 6人が倒れ、このうち 3人が死亡したときの訴えが通常とは異なっている点に焦点が当てられている。メディアによると、ともに 23歳のフランス人女性とニュージーランド人女性と、33歳のアメリカ人女性の死亡が、2人の英国人年金受給者と47歳のタイ人ガイド 1名の死亡に関係があるとされている。当局の調査で、4人については心筋炎の臨床診断がついており、他の 2人は軽い症状しか認められなかった。これら 6人の患者は、3つのグループに分かれて1月9日から 2月4日までの期間に Chiang Mai・ Thailand を旅行しており、女性 6人のうち 5人が Chiang Mai 訪問中に発病し、1人は訪問から 3日後に発症した,と当局は説明している。しかし、3つのグループに共通する曝露因子は確認されていない。法医学解剖により、臨床的に診断されていた 4人の心筋炎が確定診断されたが、心筋の炎症以外の異常所見はなかったと説明されている ...
[Mod.CP- 心筋炎の原因は、多岐に渡る感染症 (主にウイルス感染),免疫疾患 (全身性ループスなど) 、妊娠、その他様々な病態が関係する。心筋炎の最も多い原因は心筋のウイルス感染で局所炎症を引き起こす。エンテロウイルス感染を原因とする心筋炎が最も多い。初期感染が治まった後も、免疫システムが心筋に炎症性障害を与え続け、心筋炎が持続する結果となる。特定のウイルスに起因すると決定することは困難である。エンテロウイルス感染は生活環境や衛生状態の悪い場所に蔓延している。the Chiang Mai incident はウイルス感染によるものとしてよさそうだが,(たまたま見つかった)法医学的所見 fortuitous coincidence という以外に積極的に支持する証拠はない]
[Mod.TG- 同じ町の同じホテルに、これほど大勢の死者が関係するのは釈然としない。この状況では食中毒の可能性は低い。同市で死亡した患者らがホテルと何らかの関係があったかについては明かにされていない。しかし、この地域ではよく使われているが、製造過程に問題のある、あるいは間違って毒草が使われたりする薬草調味料も考慮した方がよいのではないかと考える。植物や薬草の中には心臓に問題を起こすものがあるが、手術で直すのは奇妙である。さらに変なのは、これらの患者を死亡させるほどすぐに心筋炎が起きたことである。かなり強力な何かが関係していなければならない。_Nerium oleander_ のようなものが思い浮かび、調理の際の燃料、あるいは食材を刺すための串?(a stick to place the food on)として用意されていたのかもしれない ... ホテルとの関係では、空調内の化学物質やベッドなども気になる。患者のほとんどが女性である点も不思議である]
関連項目
Undiagnosed deaths - Thailand: (CM) RFI 20110312.0802

● マラリア インド
PRO/EDR> Malaria - India (06): (AP Andhra Pradesh) 20110319.0871
 情報源 The Siasat Daily、2011年3月18日
Malaria is fast spreading in agency areas
Bhadrachalam division の部族集落の間で、予防対策の欠如によりマラリア Malaria 感染が急速に広まっている。Kunavaram and VR Puram mandals でこれまでに2人がマラリアにより死亡した。数日前から VR Puram, Kunavaram, Chintur mandals の住民らにもマラリア感染が発生し始めている。Jeediguppa, Pedamittapalli and Pochavaram villages in VR Puram mandal で急速な感染拡大が確認されている。住民らは蚊族 (ボウフラ) 対策が十分でないことや、医師による定期的な巡回が行われていないことなどを訴えている。2011年1月に当局により行われた the agency area 内の血液検査 24144検体中、355検体でマラリアが陽性だったと報告されている。2月は25360検体中 311検体が陽性となった。1月と2月にそれぞれ、79 101 malaria positive cases が確認され、Tulasipaka village in VR Puram mandal は地区内で最も患者発生数が多かった。

● HIV 米国 臓器移植
PRO/EDR> HIV, organ transplantation - USA: (NY)
Archive Number: 20110318.0867
 情報源 Arizona Daily Star, Associated Press report、2011年3月17日
Transplant patient got AIDS from new kidney
生体腎移植を受けた患者1名が AIDS (acquired immunodeficiency syndrome) に感染し、1980年半ばから HIV [human immunodeficiency virus] のスクリーニングを続けた米国内では初めての感染例となった。HIV 検査で陰性とされてから2009年に摘出手術が行われるまでの11か月間に、この臓器提供者 the donor が予防策を行わない gay sex を行っていた事が判明した。17日の the New York City case の報告の中で the Centers for Disease Control and Prevention (CDC) は、手術の1週間前に再度 HIV test を行うことが望ましいとしている。...
出典 "HIV Transmitted from a Living Organ Donor --- New York City, 2009," MMWR Weekly, March 18, 2011 / 60(10);297-301

● インフルエンザ 欧州
PRO/EDR> Influenza (22): Europe update 20110318.0864
 情報源 WHO Regional Office for Europe, EuroFlu: Weekly Electronic Bulletin、2011年3月18日
Declining trends in influenza activity in WHO European Region
要約 
 - week 10/2011 [7-13 Mar 2011] by 47 [of the 53] Member States in the WHO European Region の報告をもとにしている
 - severe acute respiratory infection (SARI) are generally declining, but remain above pre-season levels in some countries.
 - Pandemic influenza A(H1N1) 2009 and influenza B continue to co-circulate in the Region.

● ペスト、肺ペスト マダガスカル
PRO/AH/EDR> Plague, pneumonic - Madagascar (03) 20110318.0858
[1] Antananarivo
 情報源 L'Express de Madagascar [in French]、2011年3月15日
15日現在、Ambohimangakely [Antananarivo] における、ペスト Plague による死者は3人となった。14日、8歳の女児が肺ペストで死亡した。家族は肺ペストであることを否定しているが、当局者によると、2回の検査により診断が確定されている
[2] Diana, Atsinanana
 情報源 Madagascar-Tribune [in French]、2011年2月23日
思いもよらないところでペストが発生した。Ambilobe [Diana region] の飛び地 the enclave district で15人が死亡した。the area of Brickaville [Atsinanana region] でも死亡が発生している。2011年初以来、マダガスカル国内で 45人のペスト感染が確認され、うち23人が死亡した。マダガスカルでは毎年ペストが発生しており、10月から4月にかけて流行する。この時期には雨期と乾期が相まって食料に影響し: 衛生状況の悪化と居住区へのネズミの侵入が起きる。
[Sr.Tech.Ed.MJ- An article from L'Express de Madagascar (in French) によると、2月22日現在、the district of Ambilobe (Diana region) から65kmはなれたある村で、肺ペストによる死者14人の報告があり、the district of Brickaville (Atsinanana region) からも3人の肺ペストによる死亡が報告されている。首都 (Antananarivo) 近郊の Ambohimangakely では10歳の女児1名が腺ペストにより死亡したとの報告もある]
関連項目
Plague, pneumonic - Madagascar (02): (AS) Institut Pasteur report
20110221.0563

● ダニ mits、ヒツジ カナダ 
PRO/AH/EDR> Mites, ovine - Canada: (bighorn sheep) 20110318.0870
 情報源 Global Toronto.com、2011年3月16日
Rare disease found in the Similkameen
皮膚を刺すダニ skin-boring mite の1種である Psoroptes が、Keremeos 近郊の bighorn sheep 1頭から検出された。1世紀近くの間カナダ国内では確認されていなかったこのまれな疾患は、Similkameen で発生した。野生動物の専門家は、この病気が蔓延する可能性があるとして the bighorn population への監視を強めている。Bighorn sheep は群れになって、the Okanagan からSimilkameen にかけての一帯を移動する。他の15頭とともに発見されたこの病気のヒツジは、やせて弱っており、身体中に痂皮を伴なっていた

● Rengue、paleta diseases、ウシ メキシコ
PRO/AH/EDR> Rengue, paleta diseases, bovine - Mexico: (VE) 20110318.0869
 情報源 Conexion Total. Mx [in Spanish]、2011年3月18日
Panuco において、rengue and paleta diseases により50頭のウシが死亡した。農業委員会長によると、感染が起きているのは Nuevo Panuco, Aquiles Serdan, and Jaboncillo communities である。ウシのワクチンが完了し、ウイルス感染流行が鎮静化したと述べた。Rengue disease により、ウシの股関節の脱力が生じ起立不能になる; paleta disease affects は筋肉の病気で肝臓や脳に障害が及ぶこともある; 感染すると、回復することはまれであり、ヒトにとっても肉の摂食は有害であるため、焼却処分が必要とされている。
[Mod.TG- ウイルスによる病気のようである。メキシコ各地の干ばつで、飼育密度が高くなり、家畜は飢餓状態にあるため、免疫機能の低下から、ウイルスへの感染がおきやすくなっている]

● 原因不明の疾患、ウシ、ヤギ、家禽 インド
PRO/AH/EDR> Undiagnosed disease, bovine, caprine, poultry-India: (AR Arunachal) RFI 20110318.0867
 情報源 IBN Live、2011年3月17日
Livestock die of epidemic in Arunachal
Poma, Rillo, and Jote villages で、原因不明の病気の流行によりウシをはじめとする多数の家畜が死亡した。獣医師による治療が行われたにも関わらず、多数のウシ、ヤギ、ニワトリなどの家畜が死亡している。最も懸念されているのは Arunachal Pradesh and North-East における the Indian buffalo の mithuns の死亡である。従来の治療法では動物を救命できないと当局者が述べている。住民らは the mithuns を投売りしている。放牧ウシの Mithun (_Bos frontalis_) は、North-East の牧畜の重要な構成要素となっていて、8000年以上前から家畜として飼育されてきた。肉食用が主で、部族民らの儀礼の際に特に好まれている。
[Mod.TG- ... a chemical in the grain が疑われる ... ]

● キャッサバの病気,Brown streak マラウイ
PRO/PL> Brown streak, cassava - Malawi: alert 20110318.0857
 情報源 OpEdNews (OEN), International Institute of Tropical Agriculture (IITA) report、2011年3月16日
国内外の研究者らが、the deadly cassava brown streak disease (CBSD) 対策のために召集されている。Lake Malawi 湖周辺地域で発生したにもかかわらず、ほとんど対策がとられていない ...
[Mod.DHA- Cassava brown streak (or root rot) disease は、_Cassava brown streak virus_ (CBSV; tentative member of genus _Ipomovirus_) を原因とし、アフリカのサハラ以南 sub-Saharan Africa 全域にとって、脅威となっている]

● アスペルギルス症、大量死 米国 ダック
PRO/AH/EDR> Aspergillosis, avian die-off - USA: (SD South Dakota) ducks 20110318.0856
 情報源 Rapid City Journal、2011年3月15日
Moldy corn suspected in duck die-off near Pierre
Pierre の小さな温水池 small warm-water ponds で、多数のダック mallard ducks が死亡しているのが発見され、moldy corn に曝露したことによる呼吸器疾患が原因と見られると15日に当局が述べた。Pierre の北西約 26kmで1月後半に、8000羽以上の mallards と少数の pintail ducks が、the state Game, Fish & Parks (GF&P) Department and the US Fish and Wildlife Service の職員らによって回収された。一部の鳥類について検査が行われ、真菌の芽胞の吸入による呼吸器感染症の、アスペルギルス症 Aspergillosis が原因との結論が出された