ウエストナイルウイルス-イスラエル
◎ 発疹熱-オーストラリア
● A 群連鎖球菌、猩紅熱-中国 (02) (03)
PRO/EDR> Streptococcus group A, scarlet fever - China (03): (HK,MO)
PRO/EDR> Streptococcus group A, scarlet fever - China (03): (HK,MO)
Archive Number: 20110623.1923
情報源 The Standard、2011年6月23日。
22日までに小児2名が死亡し、500人近い患者が発生している猩紅熱 scarlet fever の集団発生について、The World Health Organization (WHO) が直ちに調査に着手した。しかし WHO の医官は、今のところ感染拡大の徴候は認められていないとコメントした。香港政府当局は世界保健機関に対し、猩紅熱の症例数の増加を報告しリスクアセスメントが行われた。 "WHO は、中国本土とマカオ Macau と協力し調査を行ったが、国土が広いため、それ以上の詳しい報告は上がってきていない," と医官は説明した。衛生防護中心 The Centre for Health Protection は22日、水痘に感染した5歳の男児1名が、21日に猩紅熱により死亡したことを確認した、と発表した。5月29日に、A 群化膿性連鎖球菌 Group A _Streptococcus pyogenes_.によるこの感染症で死亡した、7歳の女児に続く死亡例となった。いずれも死因はトキシックショック症候群 toxic shock syndrome -- 細菌からの毒素が血管を侵襲する--であった。男児の、7歳と13歳の兄弟についての検査の結果は、まだ分かっていない。当局によると、 "scarlet fever cases の多くは、疫学的な関連性を持たない、弧発例. "とされている。1歳から10歳までの男児11人と女児17人の28人の小児が、この24時間に猩紅熱と診断され、2011年のこれまでの患者数が494人となった。Yan Chai Hospital Tung Pak Ying Kindergarten in Kwai Tsing で発生した新たな感染流行で、小児2名が感染した。これまでに閉鎖されたのは、死亡した男児が通っていた幼稚園のみである。感染症専門医は、水痘に感染したことで免疫力が低下し、感染しやすくなったのではないかと述べている。水痘では小さな水疱ができ、"for streptococcus invasion."の標的になりやすい。保健当局は、適時の適切な抗生物質による治療を呼びかけている。地域内の猩紅熱に対してエリスロマイシン erythromycin が無効であったとの報告があることから、医師や保護者らが抗生物質を誤用 abuse しないよう、注意を呼びかけている。ペニシリンもしくは第一世代セファロスポリンの使用が必要と説明されている。死亡した男児は、初期治療で間違った抗生物質が使われており、手当たり次第に抗生物質を使用することは、有用ではない、と説明した。今も大学の集中治療室に入院中の患児から、変異株の菌 variant strain が発見されており、これが2011年に患者数が異常に多いことの原因である可能性もある。
情報源 The Standard、2011年6月23日。
22日までに小児2名が死亡し、500人近い患者が発生している猩紅熱 scarlet fever の集団発生について、The World Health Organization (WHO) が直ちに調査に着手した。しかし WHO の医官は、今のところ感染拡大の徴候は認められていないとコメントした。香港政府当局は世界保健機関に対し、猩紅熱の症例数の増加を報告しリスクアセスメントが行われた。 "WHO は、中国本土とマカオ Macau と協力し調査を行ったが、国土が広いため、それ以上の詳しい報告は上がってきていない," と医官は説明した。衛生防護中心 The Centre for Health Protection は22日、水痘に感染した5歳の男児1名が、21日に猩紅熱により死亡したことを確認した、と発表した。5月29日に、A 群化膿性連鎖球菌 Group A _Streptococcus pyogenes_.によるこの感染症で死亡した、7歳の女児に続く死亡例となった。いずれも死因はトキシックショック症候群 toxic shock syndrome -- 細菌からの毒素が血管を侵襲する--であった。男児の、7歳と13歳の兄弟についての検査の結果は、まだ分かっていない。当局によると、 "scarlet fever cases の多くは、疫学的な関連性を持たない、弧発例. "とされている。1歳から10歳までの男児11人と女児17人の28人の小児が、この24時間に猩紅熱と診断され、2011年のこれまでの患者数が494人となった。Yan Chai Hospital Tung Pak Ying Kindergarten in Kwai Tsing で発生した新たな感染流行で、小児2名が感染した。これまでに閉鎖されたのは、死亡した男児が通っていた幼稚園のみである。感染症専門医は、水痘に感染したことで免疫力が低下し、感染しやすくなったのではないかと述べている。水痘では小さな水疱ができ、"for streptococcus invasion."の標的になりやすい。保健当局は、適時の適切な抗生物質による治療を呼びかけている。地域内の猩紅熱に対してエリスロマイシン erythromycin が無効であったとの報告があることから、医師や保護者らが抗生物質を誤用 abuse しないよう、注意を呼びかけている。ペニシリンもしくは第一世代セファロスポリンの使用が必要と説明されている。死亡した男児は、初期治療で間違った抗生物質が使われており、手当たり次第に抗生物質を使用することは、有用ではない、と説明した。今も大学の集中治療室に入院中の患児から、変異株の菌 variant strain が発見されており、これが2011年に患者数が異常に多いことの原因である可能性もある。
PRO/EDR> Streptococcus group A, scarlet fever - China (02): (HK, MO) 20110623.1918
[1] 政府当局 Hong Kong government press release
情報源 Hong Kong Government press release 、2011年6月21日。
衛生防護中心 The Centre for Health Protection (CHP) of the Department of Health は、猩紅熱により死亡したと見られる5歳男児の患者について調査を行っている。6月15日に発熱し、急激に状態が悪化したため、同19日に Princess Margaret Hospital に入院となった。トキシックショック症候群を発症し、21日に死亡した。両親によると、それ以前に水痘感染のため、一般医の診察を受けていた。猩紅熱 scarlet fever およびトキシックショック症候群 toxic shock syndrome.と臨床診断されている。男児の血液検体から、グラム陽性球菌が検出されており、診断確定のためにさらに詳しい検査が行われている。The Public Health Laboratory Centre under the CHP においても、すべての分離菌に対する検査が行われる予定である。男児が通っていた SA Tin Ka Ping Kindergarten の他の園児に猩紅熱の患者は確認されていないが、5月4日以降、3歳から5歳までの11人が水痘に集団感染していた ...21日より the CHP はオンライン上で、毎日猩紅熱に関する情報を更新している。広報担当者は、”猩紅熱はA 群連鎖球菌による感染症で、適切な抗生物質により治療可能であり、通常は10歳未満の小児に発症し、発熱、咽頭痛、発疹などが見られる”と説明し、感染が疑われる場合は医師に相談するよう呼びかけている。
[2] 背景
情報源 GIDEON (Global Infectious Disease & Epidemiology Network)、2011年6月22日。
香港では、1970年代以降、猩紅熱の発生が大きく減少していた。しかし、この10年間は増加しつつあった。1946年から2006年までの間の死者はわずか6人で、最後に死亡患者が発生したのは1970年である。マカオと香港の発生数は連動している。
[3] マカオ
情報源 The Macau Daily Times、2011年6月22日。
香港で、猩紅熱感染流行が宣言されていることが、21日に政府当局から発表された。マカオの保健当局 Macau's Health Bureau (SSM) も、患者数の増加を確認しており、状況を注意深く見守っている ... The bureau [? Macau's Health Bureau or SSM] は、これまでに男児7人と女児2人が入院となったが、死者は報告されていないことを明らかにしている 関連項目 20110622.1906
● ウエストナイルウイルス-イスラエル 2005-2010年
PRO/AH/EDR> West Nile virus - Israel: 2005-2010 20110623.1922
Surveillance of West Nile virus disease, Tel Aviv district, Israel, 2005 to 2010
情報源 Eurosurveillance edition 2011; 16(25)、2011年6月23日。
導入
ウエストナイルウイルス West Nile virus (WNV) は、フラビウイルス科の蚊族媒介性アルボウイルスで、多くの種類の鳥類が増殖宿主となっている。この中には、毎秋イスラエル全国に飛来する the white storks などの渡り鳥や、イエスズメなどの都会の在来種なども含まれている。ヒトへの感染伝播は主に、the genus _Culex_ を中心とする蚊族ベクターを介して行われ、その活動時期は、例年盛夏から初秋にかけての期間である。過去20年間に、WNV は、東半球と西半球のいずれにおいても急速に拡大している。イスラエルで、検査により確定診断されたヒトのウエストナイル熱 Human West Nile fever, が初めて報告されたのは、1950年代前半で、それから10年間は数回の流行が発生し、1980年にも新たな流行が確認されている。イスラエルで最も大きな human WNV infection 流行 (439 serologically-confirmed cases with 29 deaths) があったのは 2000 年で、入院患者の 73% が侵襲性神経疾患と診断された ... サーベイランスシステムの開始など。
要約
テルアビブにおける、ヒトのウエストナイルウイルス感染についての6年間のサーベイランス a 6-year surveillance period (2005-2010) of human West Nile virus (WNV) infection in Tel Aviv district, Israel で、104 patients, 79 with WNV neuroinvasive and 25 with WNV non-neuroinvasive disease が報告された、 neuroinvasive disease の平均年齢は 74 歳 (range: 15-95 歳) で、脳炎が53人、急性弛緩性麻痺が14人、髄膜炎が12人だった。コレラの患者の致死率は8%。年平均の neuroinvasive disease 発生率は、人口10万人対1.08。2005年から2009年にかけて、発生率は86%減少したが、2010年に6倍に増えた。合計25人を数える65歳以上の高齢男性であることが、WNV 脳炎のハイリスクだった。
● インフルエンザ (42) WHO
Surveillance of West Nile virus disease, Tel Aviv district, Israel, 2005 to 2010
情報源 Eurosurveillance edition 2011; 16(25)、2011年6月23日。
導入
ウエストナイルウイルス West Nile virus (WNV) は、フラビウイルス科の蚊族媒介性アルボウイルスで、多くの種類の鳥類が増殖宿主となっている。この中には、毎秋イスラエル全国に飛来する the white storks などの渡り鳥や、イエスズメなどの都会の在来種なども含まれている。ヒトへの感染伝播は主に、the genus _Culex_ を中心とする蚊族ベクターを介して行われ、その活動時期は、例年盛夏から初秋にかけての期間である。過去20年間に、WNV は、東半球と西半球のいずれにおいても急速に拡大している。イスラエルで、検査により確定診断されたヒトのウエストナイル熱 Human West Nile fever, が初めて報告されたのは、1950年代前半で、それから10年間は数回の流行が発生し、1980年にも新たな流行が確認されている。イスラエルで最も大きな human WNV infection 流行 (439 serologically-confirmed cases with 29 deaths) があったのは 2000 年で、入院患者の 73% が侵襲性神経疾患と診断された ... サーベイランスシステムの開始など。
要約
テルアビブにおける、ヒトのウエストナイルウイルス感染についての6年間のサーベイランス a 6-year surveillance period (2005-2010) of human West Nile virus (WNV) infection in Tel Aviv district, Israel で、104 patients, 79 with WNV neuroinvasive and 25 with WNV non-neuroinvasive disease が報告された、 neuroinvasive disease の平均年齢は 74 歳 (range: 15-95 歳) で、脳炎が53人、急性弛緩性麻痺が14人、髄膜炎が12人だった。コレラの患者の致死率は8%。年平均の neuroinvasive disease 発生率は、人口10万人対1.08。2005年から2009年にかけて、発生率は86%減少したが、2010年に6倍に増えた。合計25人を数える65歳以上の高齢男性であることが、WNV 脳炎のハイリスクだった。
● インフルエンザ (42) WHO
PRO/EDR> Influenza (42): WHO update 20110623.1921
Influenza update 136 [17 Jun 2011]
情報源 WHO Global Alert and Response (GAR), influenza update、2011年6月17日。
要約
- 北半球の温帯地域では The influenza season has finished
- 熱帯地域の感染伝播は低調で、サハラ以南のアフリカ西部および東部地域と南米の北部に限局
- 南アフリカではインフルエンザ様疾患 influenza-like illness (ILI) と重症急性呼吸器感染 severe acute respiratory infection (SARI) が急増し、基本的に influenza A(H1N1)2009.
- 南半球の温帯地域の Influenza activity は低調のまま
● 日本脳炎-インド
PRO/EDR> Japanese encephalitis - India: (BH) (02) susp, RFI 20110623.1920
情報源 Rediff News、2011年6月22日。
Bihar 州で、先週1週間で36人の小児が死亡した原因は、蚊族媒介性の脳炎であると見られているが、州政府当局は今も特定できていない。いずれも Muzaffarpur にある Sri Krishna Medical College Hospital で20人、次いで Kejriwal Hospital でも10人が死亡している ... 当局は、DDT の噴霧を指示している。州保健局長は4日前には、死因は心臓発作 heat-stroke だと説明していた ... 国立ウイルス学研究所などの専門家が、現地入りして調査を開始する。
[Mod.TY- outbreak による死者数が、20日の26人から、36人に増えた。20110621.1896 の中で、JE ウイルス感染症が疑われると書かれた後で、日本脳炎と確認されたと記載されていた。おそらく、20110619.1879 の4人の患者の血清検査での結果を指すと考えられる。The 23 Jun 2011 edition of The Times of India には、調査に当たる専門家の話として、"脳炎に間違いなく、あとはウイルスの種類を特定するだけだ." との発言が引用されている。初期の熱中症の診断は棄却されたようだ。記事の中で、医師の1人が脳炎を否定しながら、DDT 噴霧は実施されており、診断がついていないにもかかわらず、蚊族媒介性疾患であることを示唆している。DDT は特定の対象に対する殺虫剤ではなく、安定性があり生体内蓄積性を持つ有機塩素成分で、環境への悪影響の可能性もあるので、診断がついていない状況での使用には疑問が残る。もし Japanese encephalitis outbreak であるのなら、イエカ the _Culex_ mosquito vectors がそこら中にいるはずであり、殺虫剤を撒いたところでコントロールは困難だろう。医師が行うというワクチンについても何のワクチンか分からない(おそらくは、日本脳炎ウイルスワクチンか?)]
Influenza update 136 [17 Jun 2011]
情報源 WHO Global Alert and Response (GAR), influenza update、2011年6月17日。
要約
- 北半球の温帯地域では The influenza season has finished
- 熱帯地域の感染伝播は低調で、サハラ以南のアフリカ西部および東部地域と南米の北部に限局
- 南アフリカではインフルエンザ様疾患 influenza-like illness (ILI) と重症急性呼吸器感染 severe acute respiratory infection (SARI) が急増し、基本的に influenza A(H1N1)2009.
- 南半球の温帯地域の Influenza activity は低調のまま
● 日本脳炎-インド
PRO/EDR> Japanese encephalitis - India: (BH) (02) susp, RFI 20110623.1920
情報源 Rediff News、2011年6月22日。
Bihar 州で、先週1週間で36人の小児が死亡した原因は、蚊族媒介性の脳炎であると見られているが、州政府当局は今も特定できていない。いずれも Muzaffarpur にある Sri Krishna Medical College Hospital で20人、次いで Kejriwal Hospital でも10人が死亡している ... 当局は、DDT の噴霧を指示している。州保健局長は4日前には、死因は心臓発作 heat-stroke だと説明していた ... 国立ウイルス学研究所などの専門家が、現地入りして調査を開始する。
[Mod.TY- outbreak による死者数が、20日の26人から、36人に増えた。20110621.1896 の中で、JE ウイルス感染症が疑われると書かれた後で、日本脳炎と確認されたと記載されていた。おそらく、20110619.1879 の4人の患者の血清検査での結果を指すと考えられる。The 23 Jun 2011 edition of The Times of India には、調査に当たる専門家の話として、"脳炎に間違いなく、あとはウイルスの種類を特定するだけだ." との発言が引用されている。初期の熱中症の診断は棄却されたようだ。記事の中で、医師の1人が脳炎を否定しながら、DDT 噴霧は実施されており、診断がついていないにもかかわらず、蚊族媒介性疾患であることを示唆している。DDT は特定の対象に対する殺虫剤ではなく、安定性があり生体内蓄積性を持つ有機塩素成分で、環境への悪影響の可能性もあるので、診断がついていない状況での使用には疑問が残る。もし Japanese encephalitis outbreak であるのなら、イエカ the _Culex_ mosquito vectors がそこら中にいるはずであり、殺虫剤を撒いたところでコントロールは困難だろう。医師が行うというワクチンについても何のワクチンか分からない(おそらくは、日本脳炎ウイルスワクチンか?)]
◎ 発疹熱-オーストラリア
PRO/AH/EDR> Murine typhus - Australia: (NS) 20110623.1919
情報源 The Medical Observer、2011年6月20日。
ニューサウスウェールズ New South Wales (NSW) 州で、1940年代以降初めての発疹熱 murine typhus の患者が発生した。ペットのネズミ rat との接触により発病した、農村部の20歳男性の感染が報告された。神経内科医によると、オーストラリア国内の発疹熱患者で、頭蓋内圧亢進を伴う髄膜脳炎だけが唯一の症状であった isolated meningoencephalitis with raised intracranial pressure 症例は初めての事例という。NSW 北中部沿岸地域に住むこの男性は、抗生物質による17日間の入院治療を受け回復した。 [Med J Australia 2011;194(12): 652-4] 報告の中で著者は、頭蓋内圧亢進を伴う場合も伴わない場合も含め、無菌性髄膜炎あるいは髄膜脳炎 'aseptic' meningitis or meningoencephalitis 患者を見た時には、発疹熱も鑑別診断に入れるべきと述べている。発疹熱の症例の多くが、西オーストラリア Western Australia 州南西部で確認されているが、クイーンズランド Queensland 州南東部から感染流行発生が報告されたこともあり、7年前にはビクトリア Victoria 州内初の発疹熱患者が報告されている [Med J Australia 2004; 180(9): 482] 。しかし、専門家によると、中枢神経系の合併症はまれとされる。
[Mod.ML- _Rickettsia_ は小型偏性細胞内寄生虫 obligate intracellular parasites で、動物と節足動物の保有宿主との間で感染が維持され(ダニ、ノミ、シラミ、ダニ; ticks, fleas, lice, or mites などの)節足動物ベクターによってヒトに感染が伝播される。発疹熱 Murine typhus は世界中で発生するノミが媒介するリケッチア感染症で、the _Rickettsia typhi_ を原因菌とする。ネズミ Rats が基本保有動物である; しかし、放し飼いのイヌ,ネコやオポッサムなどの他の哺乳動物と,そのノミによって、ネズミやそのノミがいない地域でも感染が保持されている (Flea-borne rickettsioses: ecologic considerations. Emerg Infect Dis 1997; 3(3): 319-27) 。ヒトは通常、感染性ノミの糞との接触により感染し、刺咬部位の表皮剥離部分からの注入であったり、吸入であったり、嚥下であったりする。症状としては、発熱、頭痛、悪寒、嘔吐、嘔気、筋肉痛、発疹などがある。通常は治療されない場合でも3週間以内に自然治癒する。一部の患者は重症化して集中治療を要することがあるが、感染により死亡するのは最大でも入院患者の4%までである。治療にはドキシサイクリン doxycycline が用いられる。予防対策として flea vectors and animal reservoirs への対策が挙げられる。発疹熱において神経学的合併症はまれ [J Neurol.] と考えられていて、その中には髄膜炎/脳炎がある 。脳脊髄液の解析では軽度のリンパ球増多症および蛋白増加症と、正常範囲のグルコース濃度の所見が得られる。[Eur J Clin Microbiol Infect Dis]
以下は、subscriber の先生からの情報です。転載させていただきます。
「発疹チフス」は、日本の感染症法において四類感染症に指定されており、R.prowazekii がコロモジラミによって媒介されるリケッチア症で、世界的にも稀な疾患となっていますが、「発疹熱」に比較して重篤度や伝播力が高く注意が必要です。一方、Promed で取り上げられた murine typhus 「発疹熱」は主にケオプスネズミノミによって媒介されるリケッチア症で、世界中に報告されており、近年国内発生はないものの、しばしば輸入症例が確認されています。
しかし発疹チフス epidemic typhus の患者ではしばしば神経学的症状が認められる。[EID] _Rickettsia prowazekii_ を原因菌とする発疹チフス Epidemic typhus は重症急性発熱疾患で、しばしば生命に関わる状態となる。発疹チフスはヒトのシラミ the human body louse、_Pediculis humanus_ がヒトからヒトへの感染に関与し、途上国で流行が発生してきた。先進国での流行発生はまれで、オーストラリアでは流行したことがない。[Med J Aust] 一方、米国ではリス the eastern flying squirrel, _Glaucomys volans_ が _R. prowazekii_ を保有しており、米国内での散発性の感染にはリスの外部寄生虫 ectoparasites や糞が、ヒトへの感染に関与するとされている。[CID] 発疹熱と発疹チフスは、治療法も臨床症状も同じで、非常に近い関係にあって、血清検査でも交差反応を示す。[CID] この2つの病原体を、厳密に区別するためには DNA sequencing of PCR products の方法が用いられている。[Clin Diagn Lab Immunol.] ]
ニューサウスウェールズ New South Wales (NSW) 州で、1940年代以降初めての発疹熱 murine typhus の患者が発生した。ペットのネズミ rat との接触により発病した、農村部の20歳男性の感染が報告された。神経内科医によると、オーストラリア国内の発疹熱患者で、頭蓋内圧亢進を伴う髄膜脳炎だけが唯一の症状であった isolated meningoencephalitis with raised intracranial pressure 症例は初めての事例という。NSW 北中部沿岸地域に住むこの男性は、抗生物質による17日間の入院治療を受け回復した。 [Med J Australia 2011;194(12): 652-4] 報告の中で著者は、頭蓋内圧亢進を伴う場合も伴わない場合も含め、無菌性髄膜炎あるいは髄膜脳炎 'aseptic' meningitis or meningoencephalitis 患者を見た時には、発疹熱も鑑別診断に入れるべきと述べている。発疹熱の症例の多くが、西オーストラリア Western Australia 州南西部で確認されているが、クイーンズランド Queensland 州南東部から感染流行発生が報告されたこともあり、7年前にはビクトリア Victoria 州内初の発疹熱患者が報告されている [Med J Australia 2004; 180(9): 482] 。しかし、専門家によると、中枢神経系の合併症はまれとされる。
[Mod.ML- _Rickettsia_ は小型偏性細胞内寄生虫 obligate intracellular parasites で、動物と節足動物の保有宿主との間で感染が維持され(ダニ、ノミ、シラミ、ダニ; ticks, fleas, lice, or mites などの)節足動物ベクターによってヒトに感染が伝播される。発疹熱 Murine typhus は世界中で発生するノミが媒介するリケッチア感染症で、the _Rickettsia typhi_ を原因菌とする。ネズミ Rats が基本保有動物である; しかし、放し飼いのイヌ,ネコやオポッサムなどの他の哺乳動物と,そのノミによって、ネズミやそのノミがいない地域でも感染が保持されている (Flea-borne rickettsioses: ecologic considerations. Emerg Infect Dis 1997; 3(3): 319-27) 。ヒトは通常、感染性ノミの糞との接触により感染し、刺咬部位の表皮剥離部分からの注入であったり、吸入であったり、嚥下であったりする。症状としては、発熱、頭痛、悪寒、嘔吐、嘔気、筋肉痛、発疹などがある。通常は治療されない場合でも3週間以内に自然治癒する。一部の患者は重症化して集中治療を要することがあるが、感染により死亡するのは最大でも入院患者の4%までである。治療にはドキシサイクリン doxycycline が用いられる。予防対策として flea vectors and animal reservoirs への対策が挙げられる。発疹熱において神経学的合併症はまれ [J Neurol.] と考えられていて、その中には髄膜炎/脳炎がある 。脳脊髄液の解析では軽度のリンパ球増多症および蛋白増加症と、正常範囲のグルコース濃度の所見が得られる。[Eur J Clin Microbiol Infect Dis]
以下は、subscriber の先生からの情報です。転載させていただきます。
「発疹チフス」は、日本の感染症法において四類感染症に指定されており、R.prowazekii がコロモジラミによって媒介されるリケッチア症で、世界的にも稀な疾患となっていますが、「発疹熱」に比較して重篤度や伝播力が高く注意が必要です。一方、Promed で取り上げられた murine typhus 「発疹熱」は主にケオプスネズミノミによって媒介されるリケッチア症で、世界中に報告されており、近年国内発生はないものの、しばしば輸入症例が確認されています。
しかし発疹チフス epidemic typhus の患者ではしばしば神経学的症状が認められる。[EID] _Rickettsia prowazekii_ を原因菌とする発疹チフス Epidemic typhus は重症急性発熱疾患で、しばしば生命に関わる状態となる。発疹チフスはヒトのシラミ the human body louse、_Pediculis humanus_ がヒトからヒトへの感染に関与し、途上国で流行が発生してきた。先進国での流行発生はまれで、オーストラリアでは流行したことがない。[Med J Aust] 一方、米国ではリス the eastern flying squirrel, _Glaucomys volans_ が _R. prowazekii_ を保有しており、米国内での散発性の感染にはリスの外部寄生虫 ectoparasites や糞が、ヒトへの感染に関与するとされている。[CID] 発疹熱と発疹チフスは、治療法も臨床症状も同じで、非常に近い関係にあって、血清検査でも交差反応を示す。[CID] この2つの病原体を、厳密に区別するためには DNA sequencing of PCR products の方法が用いられている。[Clin Diagn Lab Immunol.] ]
● マラリア-インド
PRO/EDR> Malaria - India (14): (AP) 20110623.1915
Malaria in Hyderabad: additional data
Malaria in Hyderabad: additional data
情報源 National Vector Borne Disease Control Programme (NVBDCP)、2011年6月23日。
2007
検体数 Blood slide examinations: 8 896 110
マラリア患者数 Malaria cases: 27 803
熱帯熱マラリア Plasmodium falciparum: 16 996
死者 Fatalities: 2
2008
Blood slide examinations: 8 964 918 Malaria cases: 26 424 P. falciparum: 15 947
Fatalities: 0
2009
Blood slide examinations: 9 189 256 Malaria cases: 25 152 P. falciparum: 14 841
Fatalities: 3
2010 (provisional)
Blood slide examinations: 8 907 903 Malaria cases: 33 217 P. falciparum: 22 688
Fatalities: 20
2011 (to April)
Blood slide examinations: 2 535 158 Malaria cases: 8555 P. falciparum: 6237
Fatalities: 0
● 炭疽-セルビア OIE
2007
検体数 Blood slide examinations: 8 896 110
マラリア患者数 Malaria cases: 27 803
熱帯熱マラリア Plasmodium falciparum: 16 996
死者 Fatalities: 2
2008
Blood slide examinations: 8 964 918 Malaria cases: 26 424 P. falciparum: 15 947
Fatalities: 0
2009
Blood slide examinations: 9 189 256 Malaria cases: 25 152 P. falciparum: 14 841
Fatalities: 3
2010 (provisional)
Blood slide examinations: 8 907 903 Malaria cases: 33 217 P. falciparum: 22 688
Fatalities: 20
2011 (to April)
Blood slide examinations: 2 535 158 Malaria cases: 8555 P. falciparum: 6237
Fatalities: 0
● 炭疽-セルビア OIE
PRO/AH> Anthrax, bovine - Serbia (03): (VO) equine OIE 20110623.1924
Anthrax, Serbia、immediate notification
情報源 OIE, WAHID、2011年6月23日。
感染開始時期 2011年6月7日
前回流行時期 2008年6月
原因菌 _Bacillus anthracis_
新たな感染流行
発生地 Bocar, Novi Becej municipality, Srednje banatski, Vojvodina 農場
感染した種/頭数/感染数/死亡 Destroyed / Slaughtered
ウシ Cattle / 19 / 1 / 1 / 0 / 0
ウマ Equidae / 1 / 1 / 1 / 0 / 0
情報源 OIE, WAHID、2011年6月23日。
感染開始時期 2011年6月7日
前回流行時期 2008年6月
原因菌 _Bacillus anthracis_
新たな感染流行
発生地 Bocar, Novi Becej municipality, Srednje banatski, Vojvodina 農場
感染した種/頭数/感染数/死亡 Destroyed / Slaughtered
ウシ Cattle / 19 / 1 / 1 / 0 / 0
ウマ Equidae / 1 / 1 / 1 / 0 / 0
● Microsporidiosis、エビ-ベトナム
PRO/AH> Microsporidiosis, shrimp - Viet Nam (02) 20110623.1917
情報源 Viet Nam News (VNS)、2011年6月10日。
[以前報告された the microsporidia ではないかもしれない (perhaps not so stuck on the microsporidia)]
the Cuu Long (Mekong) Delta の沿岸部地域のエビ養殖を行う漁民らによって、かつてない規模の感染流行による資源減少が確認されている。当局 the Ministry of Agriculture and Rural Development's Animal Health Department によると、7 Cuu Long (Mekong) Delta provinces -- Soc Trang, Bac Lieu, Ca Mau, Tien Giang, Ben Tre, Tra Vinh, and Kien Giang -- のエビ養殖業者らにより、原因不明の肝臓疾患 an unidentified liver disease による、大量のエビの死滅が目撃されている ... 水系感染する疾患が原因と推定されている ...
[Mod.TG- Microsporidia は横紋筋を冒す傾向がある。この記事の中では、エビの肝臓について触れられている。microsporidia ではない、別の疾患である可能性がある。(検体が送付される予定の)the lab in Arizona による解明が待たれる]