2011年6月15日

肺線維症 韓国(03)
大腸菌 O104 -EU (19)

● 肺線維症 韓国(03)
PRO/EDR> Pulmonary fibrosis - South Korea (03): Seoul
Archive Number: 20110615.1829
[1] 初めての家族内発生と見られる症例
 情報源 Yonhap News Agency 、2011年6月12日。
韓国政府疾患対策当局が5日、現在も原因不明の重症急性肺疾患による、初めての家族内発生と見られる症例を確認した、と発表した。32歳の女性と6歳の娘が、肺組織が硬化し呼吸困難を生じたため入院したことが、the [Korean] Center for Disease Control (CDC) により明らかにされた。現在、人工呼吸器を装着された状態の母娘は、肺移植を待っている。CDC は、患者から採取された組織について、検査を行っている。2011年5月以降、3人の妊婦の死亡に関係したと見られる、原因不明のこのウイルスの感染拡大への不安が広がっている。36歳の女性が、5月初旬に原因不明のウイルス感染によって、ソウル市内の病院で死亡したのが最初の症例となった。この女性は、4月から結核で入院しており、当時、妊娠中であった。
[2] 原因は不明のまま
 情報源 JoongAng Daily、2011年6月3日。
妊娠女性が罹患し、3人が死亡した原因不明の肺の病気の発生について、1か月にわたる疫学調査が行われた結果、the Korea Centers for Disease Control and Prevention は2日、原因はウイルスや感染症、あるいは新たな疾患 a new phenomenon のいずれでもない、との結論に至った。しかし、依然として原因は不明のままであり、妊娠女性に発生した理由も分かっていない
[3] 肺移植後、死亡
 情報源 YTN [in Korean]、2011年6月14日。
肺疾患の治療中であった36歳の母親や死亡し、この家族内で4人目の死亡となった。分娩誘発後、症状は悪化し、片肺の移植が行われたが、急性拒絶反応が発生し、出血などの合併症のため死亡した。肺疾患が疑われているこの家族は、26歳の母親と生後23か月の息子が5月に発病し、当局が調査を行っていた。しかし、広範囲の肺障害以外の手がかりはつかめていない。気管支には激しい炎症が認められたが、肺胞は比較的保たれていた。
[4] 死者は4人
 情報源 KBS News [in Korean]、2011年6月15日。
ソウルの大病院において、4月に肺疾患の治療を受けていた妊娠女性1名が、6月14日死亡し、原因不明の重症肺疾患による死者は4人となった ...
[5] 26歳の妊娠女性と生後23か月の息子の肺線維症
 情報源 KBS News [in Korean]、2011年6月13日。
突然肺が硬くなる原因不明の病気について12日、家族内での発生が確認された。5月後半に呼吸器症状のためソウルの病院に入院となり、その後大学病院で肺移植の手術を受けた、26歳の妊娠女性と生後23か月の息子が、肺線維症であることが判明した。他の患者の家族の中にも同様の例がないか、再度確認が行われることとなった。12日、ある母親と2人の娘の同じ家族内での、急性重症肺疾患が報告された ... これまで、3人の妊娠女性にこの肺疾患が発生し、死亡したが、非妊娠成人や小児の、家族発生例もあることが分かってきた。過去5年間で、妊娠女性や小児を除いて、472人がこの病気で死亡している。
[6] 32歳の男性と6歳の娘
 情報源 YTN [in Korean]、2011年6月12日。
ソウル在住の32歳の男性と6歳の娘が息切れを経験し、ソウルの病院に入院後に症状が悪化した、と大学が発表した。患者の1歳の娘にも同じ症状が認められ、釜山 Busan の病院に入院となった ...
[Mod.TY- the popular Korean press.に報道されているが、正確な患者数、死者、発生した場所や日時がまちまちである。ある報告ではウイルスとされているが、CDC はこれを否定している]
関連項目 20110526.1614

● RS ウイルス-オーストラリア
PRO/EDR> Respiratory syncytial virus, fatal - Australia: (NS), elderly 20110615.1827
 情報源 Yahoo!7 News、2011年6月15日。
Westmead, Sydney の老人ホームで、5人の高齢者が死亡した原因は、感染力の強い呼吸器ウイルスの感染とされている。the Mayflower Nursing Home の50人が、重症肺感染症に似た (? akin to) 症状の、RS ウイルス respiratory syncytial virus [infection; RSV] に感染し、かぜのようにホーム内に感染が広がった。調査に当たった当局 NSW [New South Wales state] Health は、手順や衛生面で、特に問題はなかったことを確認している ... 今回の感染症は、訪問客により持ち込まれたとの見方が強い。
[Mod.TY- ProMED-mail において、成人の施設に関連する RSV 感染症が報告されたのは、今回が初めてである。The USA CDC には; "RSV は上気道感染(感冒など)の原因にも、下気道感染(気管支炎、肺炎)の原因にもなることがある。1歳未満の乳児では、RSV は最も重要な気管支炎の原因である。ほとんどすべての小児は、2歳の誕生日を迎えるまでに RSV infection を経験している。乳幼児や小児がはじめて RSV に曝露すると、25-40 per cent に bronchiolitis または pneumonia の症状が認められ、0.5-2 per cent は入院を必要とする。入院を必要とする RSV infection のほとんどは、生後6か月未満の乳児である。乳幼児や小児は、RSV の感染から4-6日以内に発症し、1-2週間以内に回復する。しかし、回復した後も、小さい乳幼児 very young infants や免疫力の低下した小児から、1-3週間にわたってウイルスが排出され続ける。何歳であっても新たな RSV infection を経験する可能性があるが、年齢が上がってからの感染は通常あまり重症にはならない。高齢者、慢性の心・肺疾患、免疫力の低下した患者については、再感染による重症化する危険性が高い."]

● マラリア-インド、コメント
PRO> Malaria - India (12): Mumbai, comment 20110615.1824
 投稿者 Michael J. Bangs, PhD, MSPH、2011年6月15日。
"なぜいつも、たった1か所の建設現場が感染源となるのか、なぜ slum areas で高率に感染伝播されるのかについて議論されないのか” とのコメントに対し。
建設現場はインドおよび南アジアにおける the primary urban/peridomestic vector である _An. stephensi_ が最も多く発生する場所 prime locations であることは、認識され報告もされている。一般的に、建設現場には水溜り excessive standing water (ground pools, seepages) や水がたまる人工物が多く、この種の蚊族の発生場所となる。_An. stephensi_ は、この点で the anopheline equivalent to _Aedes aegypti_ と考えてよい。多数の文献もある。Slum areas も同じ状況にあることは、疑いない

● 大腸菌 O104 -EU (19)
PRO/AH/EDR> E. coli O104 - EU (19): case update, organism description 20110615.1823
[1] ECDC update
 情報源 ECDC、2011年6月15日  FORTH より
EUおよびEEA加盟国内では、24例の死亡例を含む821例のHUS感染と、13例の死亡例を含む2,530例の非HUS症例が報告されている ...
[2] WHO update
 情報源 WHO、2011年6月15日 FORTH より
証拠が提示され、新たな勧告が出された。
6月10日、ロベルト・コッホ研究所、連邦リスクアセスメント研究所 (BfR) および連邦消費者保護食品安全事務局 (BVL) は共同で、これまでに明らかとなった疫学的調査結果および食品の移動経路の調査結果から、豆および芽野菜 (コロハ種子 (fenugreek)、緑豆 (mung beans)、レンズ豆 (lentils)、アズキ (adzuki beans) および アルファルファ (alfalfa) を含む) がドイツ国内における特殊な腸管凝集性ベロ毒素産生性大腸菌 (EAggEC VTEC) O104:H4 のアウトブレイクを媒介したことを発表した。
 ・ドイツ国内に在住する人は産地に関わらず生の豆および芽野菜を食べないよう同当局は勧告した。
 ・上記に加え、BfRは、自宅で栽培した芽野菜および種子を生のまま食べないよう勧告している。
 ・ドイツ北部においてキュウリ、トマトおよび葉野菜サラダを食べないことを旨とする勧告は取り下げられた。
 ・同当局は、感染源とされた豆および芽野菜を生産したニーダーザクセン州の特定の農家の全ての農産物を市場から撤去することを勧告した。
 ・感染源とされた農場から豆および芽野菜がドイツ国外へ輸出されたという証拠は見つかっていない。
 ・同当局は、食品を取り扱うとき、便所を使用した後や医療従事者が患者に接触したときは、一般的な衛生手技を徹底することを勧告している ... 
[3] Eurosurveillance: EaggEC VTEC O104:H4: further description
Characteristics of the enteroaggregative Shiga toxin/verotoxin-producing _E. coli_ O104:H4 strain causing the outbreak of HUS in Germany, May to June 2011
 情報源 Eurosurveillance E-alert Volume 16, Issue 24, 16 Jun 2011、2011年6月14日。
[4] Eurosurveillance: EaggEC VTEC O104:H4: discussion
EAggEC STEC/VTEC O104:H4 outbreak: new microbiological findings boost
coordinated investigations by European public health laboratories
 情報源 Eurosurveillance Volume 16, Issue 24, 16 Jun 2011、2011年6月14日。

● ジフテリア-パラグアイ,背景
PRO> Diphtheria - Paraguay (02): background 20110615.1822
20110614.1814 に関して。
 情報源 GIDEON (Global Infectious Disease & Epidemiology Network)、2011年7月15日。
1980年代以降、パラグアイ及び周辺諸国のジフテリアは概ねコントロールされている

● ダックウイルス性腸炎-英国 (03) 訂正
PRO/AH/EDR> Duck viral enteritis - UK (03): corr. 20110615.1825
 投稿者 International Zoo Veterinary Group ・ Mark Stidworthy MA VetMB PhD FRCPath MRCVS、2011年6月15日。
あひるウイルス性腸炎 Duck viral enteritis (DVE) は the 2011 OIE listed diseases には入っていない。リストにあるのは、肝炎 duck viral hepatitis (DVHV) である。DVE (also known as duck plague) は、ヘルペスウイルス herpesvirus の1つである ...

● アフリカ豚熱(豚コレラ)-ロシア FAO
PRO/AH/EDR> African swine fever - Russia (11): (TV), FAO 20110615.1821
[1] Rosselkhoznadzor Outbreak of African swine fever [ASF] in Tver Oblast
 情報源 Rosselkhoznadzor (Federal Service for Veterinary and Phytosanitary Surveillance) News release、2011年6月10日。
アフリカ豚熱 ASF virus [ASFV] の遺伝物質が、Danilovskoe village, the Kalininsky Rayon, Tver Oblast [region] の庭先 the backyard で飼育されていたブタ1頭から検出された ...
[2] FAO
Concerted international effort urged on African swine fever spreading in Eurasia, seen as global threat
 情報源 UN Food & Agriculture Organisation (FAO) news release、2011年5月26日。
the Caucasus region and Russian Federation において、致死性のブタの病気-アフリカ豚熱-の発生が急増する恐れがあるとして、FAO は26日、感染発生国に対して予防対策の強化を求めるとともに、北半球全体への拡大を防止するために各国が共同で取り組むよう、呼びかけた ... African swine fever (ASF) は、2006年後半に、アフリカ南部から、黒海の港 Poti を経由してグルジアに導入された。同港では、船から出るゴミの集積場で、ブタがえさを漁っている。現在、 ASF(の発生地域) は毎年約350kmずつ北上している。はっきりとした季節性があり、最も感染が多く報告されるのは夏と秋である。しかし、the ASF wave は発生のパターンとは無関係に北上し、long-distance "jumps" も起きている