2011年6月17日-18日

大腸菌  O104 EU、VTEC フランス

● 大腸菌  O104 EU、VTEC フランス(2件)
EU
PRO/AH/EDR> E. coli O104 - EU (20): secondary cases 20110618.1862
[1] Query on secondary transmission
 投稿者 米・University of Maryland School of Medicine 、Michael S. Donnenberg, MD、2011年6月17日
今回の流行の起因菌 the current outbreak strain of EAEC/STEC serotype O104:H4 を原因とする、二次感染による下痢症、血性下痢症、溶血性尿毒症症候群 hemolytic-uremic syndrome (HUS) に関する記事をほとんど目にしていない。腸管出血性大腸菌 O157:H7 による下痢症患者で、濃厚接触者に二次感染が発生することは、この血清型の菌の特徴であり、少量の菌が接種されることで発症すると考えられている。このような例(二次感染)に関する報告は、非常に有用である。
[2] Food handler contamination
 情報源 Deutsche Presse-Agentur、2011年6月17日
ドイツの研究者らは、39人が死亡した大腸菌 O104 の感染流行について、新たに第2の要因があることを突き止めた; 調理場の従業員がきづかないまま、食品についた菌を拡散させていた。この結論は、統計および検査から、1か所の market garden の食用スプラウト edible sprouts (grown from lentils, radishes and beans) が主な感染源であることが証明されてから、1週間後に出された。 Hesse state 当局者によると、スプラウトから type O104:H4 enterohemorrhagic _E. coli_ (EHEC) に感染したが、発病していなかった女性1名が、手で食品を取り扱ったために、他の20人を感染させた。ただ、トイレ使用後にきちんと手を洗っていたのであれば、感染が起きる可能性はないとし、主にホームパーティー用に出荷するこの農場の、厨房の用具を介して、大腸菌が拡がったのかもしれないと述べた。この女性はその後、最も重症型の EHEC 感染症 hemolytic-uremic syndrome を発症している。

フランス
PRO/AH/EDR> E. coli VTEC - France: (NP), ground beef, alert, recall 20110617.1846
 情報源 Reuters、2011年6月16日
保健当局は16日、フランス国内北部でビーフハンバーガーを食べた小児8人が、大腸菌 E. coli に感染し入院したことを明らかにした。ドイツ北部の大腸菌感染流行との関連性は否定されている。ドイツのディスカウントチェーン Lidl は、フランスでの感染流行に関係するとされた冷凍のビーフパテの回収を行っている。
"Steaks Country" の商品名で販売されており、消費期限は2011年5月10日から12日までとなっていた。6月15日、生後20か月から8歳までの the Nord-Pas-de-Calais region の小児5人が、血性下痢症のため、Lille 市内の病院に搬送され、1人はすぐに回復したが、残りの4人は今も入院中のままである。3人には人工透析が行われた。16日にも小児3人が入院となり、うち1人は生命の危険のある状態である、と病院側が発表した ... 問題のビーフパテが見つかったのは、感染のあった小児の自宅で、箱のラベルに、ドイツ産のビーフ入りと表示されていた。

● ライム病 米国
PRO/AH/EDR> Lyme disease - USA (03): (WI Wisconsin), human, canine
Archive Number: 20110618.1867
 情報源 GazetteXtra.com、2011年5月22日
4歳のイヌ golden and Labrador retriever mix 1匹が、立ち上がれなくなり、獣医師は Lyme disease.と診断した。Rock County では、ヒトの間でも、ライム病 Lyme disease と診断される患者が増えている。動物病院の獣医師は、新規でライム病の検査を行った症例のおよそ5%が陽性になると述べた
写真 ダニと遊走性紅斑の病変 erythema migrans lesions

● 結核 パキスタン
PRO/AH> Tuberculosis - Pakistan: increased incidence 20110618.1866
 情報源 The Express Tribune、2011年5月26日
パキスタン国内35地区の政府系医療施設から、新たに10831人もの結核 tuberculosis (TB) 患者が報告された。とりわけパンジャブ the Punjab province の18地区から、報告患者数の86%を占める患者が報告された。2011年2月に報告されたこの結核患者数は、1ヶ月前の4910人から倍増した。
[Mod.ML- Pakistan ranks 6th among countries with the highest burden of TB in the world in 2010 。About 300 000 new tuberculosis cases are reported each year in Pakistan 。1995年にパキスタン政府は DOTS (Directly Observed Therapy, Short-course, the internationally recommended strategy for TB control) を開始したが、指定地域内の患者を含む多くの患者が DOTS にアクセスできなかった]

● 炭疽 バングラデシュ,キルギスタン(2件)
バングラデシュ
PRO/AH/EDR> Anthrax, human, livestock - Bangladesh (08): (PB, SR) 20110618.1865
[1] Pabna district:4 diagnosed with anthrax
 情報源 The Daily Star、2011年6月16日
15日、Kenai village in Faridpur upazila of the district で合計4人が炭疽 Anthrax と診断された。3日間の感染者数が14人に増えた。年齢は13歳から35歳までで、9日に処分された感染牛の生肉を取り扱った2日後に感染が確認された
[2] Sirajganj, Pabna districts:More infected with anthrax
 情報源 The Daily Star、2011年6月17日
Sirajganj and Pabna districts で新たに5人が、炭疽菌に感染した、と16日に当局者が述べた。Char Angor village under Shahjadpur upazila で4人が感染した ... これにより、炭疽感染者数は数日間で合計64人となった

キルギスタン
PRO/AH/EDR> Anthrax, human, bovine - Kyrgyzstan (Jalalabad) 20110618.1864
 情報源 24.kg News Agency、2011年6月16日
2 persons take (have) anthrax in Jalal-Abad province, S. Kyrgyzstan
Jalal-Abad province の2人について、炭疽感染が疑われていることが、非常事態省の広報から発表された。1人は、6日、Kolmon pasture において、現地獣医師の許可を得て、このウシの肉を出荷していた。これまでに、この肉を食べた人の人数が確認された。肉については、Jalal-Abad city の食品監視当局で、患者らの検体の検査は、Osh city.の公衆衛生検査所で行われる。
[Mod.MHJ- Southern Kyrgyzstan. で繰り返される発生の原因は、隣接する Uzbek province での対策が行われていないことと、the 2 provinces weak control programmes (Jala Abad and Osh) の対策が不十分なことにある]

● エボラ出血熱 ウガンダ
PRO/AH/EDR> Ebola hemorrhagic fever - Uganda (11): (LW)
Archive Number: 20110617.1856
 情報源 The New Vision, Uganda、2011年6月16日
Uganda Ebola free
保健省は、2011年6月17日に、国内で発生したエボラ感染 Ebola hemorrhagic fever 流行の終息 an end of the Ebola outbreak を宣言する準備に入った。17日で、感染流行の終結に必要とされる、42日間 (新たな患者が発生しないこと) が経過する。5月6日に、Zirobwe Sub County in Luwero district の12歳の女児1名が、Bombo Military Hospital.で死亡したことを受け、同12日に、エボラ感染流行が確認された。この症例が、今も唯一の the Sudan Ebola strain outbreak の感染例となっている。感染が疑われた患者はすべて、検査の結果陰性だった。 

● チクングニア熱 コンゴ共和国
PRO/EDR> Chikungunya - Africa (03): Republic of the Congo 20110617.1855
 投稿者 仏・Institut Pasteur Paris、Dr Marc Grandadam、2011年6月17日
6月に、南部 Brazzaville で、480例のチクングニアウイルス感染が報告された。 (20110613.1806)チクングニアウイルスの Positive markers が、地域検査機関 the regional reference laboratory で確認され、感染流行の原因が特定された

● サルモネラ感染症 チリ,米国(2件)
チリ
PRO/AH/EDR> Salmonellosis - Chile: (BI), mayonnaise 20110617.1854
Salmonella outbreak affects 47 people in the Bio Bio Region
 情報源 Emol.com [Trans.]、2011年6月17日
地域病院 the Guillermo Grant Benavente de Concepcion Hospital の救急部で、25人が食中毒の治療を受けた。自家製マヨネーズにより、47人のサルモネラ感染症 Salmonellosis の集団感染が発生した。

米国
PRO/AH/EDR> Salmonellosis, serotype Altona - USA: chicks, ducklings exposure 20110617.1847
 情報源 CDC, _Salmonella_ homepage、2011年6月9日
CDC は、関係各局と協力し、複数の州にまたがるサルモネラ菌感染流行 multistate outbreak of human _Salmonella [enterica_] serotype Altona infections の調査を行っている。8日現在、_S._ Altona に感染した患者は15州の39人である: Georgia (1), Indiana (1), Kentucky (4), Michigan (1), Maryland (3), Minnesota (1), North Carolina (6), New York (2), Ohio (8), Pennsylvania (4), Tennessee (2), Virginia (3), Vermont (1), Wisconsin (1), and West Virginia (1). 報告があった中で、患者の発生した時期は、2月25日から5月23日までの機関で、患者の年齢は、1歳未満から86歳までとなっている。(調査の結果) ... 25 (81 percent) of 31 ill persons に、生きた家禽 live poultry (chicks, chickens, ducks, ducklings, geese, and turkeys) との接触が認められ、購入先が確認できたものはいずれも、全米各地の Feed Store Chain A. で購入された、庭先飼育用の家禽もしくはペットであった

● 鳥インフルエンザ、ヒト インドネシア
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (49): Indonesia (WS) 20110617.1851
 情報源 Bird Flu Information Corner, Indonesia local newspaper Harian Haluan report、2011年6月17日
Jorong Koto Panjang Nagari Kapau, Kecamatan Tilatang Kamang, Agam の一家 [43歳男性1名と、14,9,5.5 歳の子ども] のニワトリが10日以降に突然死し、13日以降体調を崩している家族らに、H5N1鳥インフルエンザウイルスの感染の疑いが持たれている。死亡したニワトリの、鳥インフルエンザ Avian influenza 感染検査が陽性となった。
[Mod.TY- 病死したニワトリと直接接触したのでなければ、一家のうちの4人が同時に A/H5N1 infection を発症することは珍しい。ニワトリの鳥インフルエンザ検査が陽性とされているが、家族の検査は陽性だったのだろうか]

● コレラ アフガニスタン、カメルーン、ナイジェリア、ジンバブエ、ウガンダ、チャド
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update 2011 (15): Asia, Africa 20110617.1849
[1] コレラ-アフガニスタン (Kandahar)
 情報源 Voice of Russia、2011年6月17日
アフガニスタン南部で発生中のコレラ感染流行により、Kandahar Province で多数の感染が報告されている。患者の80%が5才未満の小児である。2か月間で12人が死亡している。
[2] コレラ-カメルーン
 情報源 Reuters、2011年6月10日
カメルーン国内のコレラによる死者及び感染者数が増え続けている。全10地区中9地区からおよそ7718人の感染と256人の死亡が伝えられている。
[3] コレラ-ナイジェリア (Adamawa)
 情報源 This Day Live、2011年6月9日
Mubi South and Maiha local government councils of Adamawa State で発生したコレラ感染流行により、女性や小児を中心に30人以上が死亡し、200人が入院となり危険な状態にある
[4] コレラ-ジンバブエ (Manicaland)
 情報源 UN (OCHA) ReliefWeb, The Zimbabwean report、2011年6月9日
ジンバブエ国内で発生した最も新たなコレラ感染流行の中心地は Chipinge であることが、WHO の疫学報告により分かった。2011年初以来の感染の約95%が、Manicaland province 東部で発生した。Chipinge では573人以上のコレラ感染が報告されており、全国で発生した936例の63%を占めている
[5] コレラ-ウガンダ (Hoima)
 情報源 The New Vision (Uganda)、2011年6月5日
Nkondo Parish, in Kabwoya sub-county in Hoima district で8例のコレラ感染疑い患者が報告されている。8人は、Sebigoro Health Centre III in Kabwoya sub-county. に入院となったが、死者は発生していない
[6] コレラ-チャド
 情報源 TopNews New Zeland、2011年6月3日
雨期の開始とともに、チャド国内でコレラ感染流行が報告され始めた。保健省当局者によると、これまでに102人がコレラ感染により死亡し、さらに増えると見込まれている。政府当局によると、自宅にトイレを保有しているのは全世帯の0.6%で、88%の世帯が空き地で用を済ませている

● 鳥インフルエンザ イラン
PRO/AH/EDR> Avian influenza (49): Iran, susp., RFI 20110618.1861
 情報源 Mehr News (Iran) via Trend News Agency (Azerbaijan)、2011年6月16日
Bird flu continues at Iranian poultry farms
イラン国内の複数の家禽飼育場で、鳥インフルエンザ Avian influenza 感染流行が続いていることが、15日に報じられた。飼育場の衛生管理が不十分なため、鳥インフルエンザを含む感染流行が広まった。3か月前に確認された飼育場 domestic poultry farms の鳥インフルエンザの感染源については、いまだ確認ができていない。
[Mod.AS- 4月15日、イランの非公式だが現地事情に詳しい情報筋 unofficial, well-versed source から、複数の地名を含む、イラン国内の広域の感染流行発生の情報が寄せられた (20110415.1181)。 ProMED-mail から2度にわたる情報提供の依頼には、未だ反応がない。Iranian News Agency からの今回の鳥インフルエンザ情報が、RFI の背景にある。最も新しい HPAI 感染流行の公式報告は、2007年12月に行われた (a single outbreak in a backyard chicken farm in Northern Iran, on the shores of the Caspian Sea、OIE)]

● 馬ヘルペスウイルス 北米
PRO/AH/EDR> Equine herpesvirus, equine - North America (08) 20110618.1859
 情報源 DVM 360、2011年6月15日
獣医師らは、ユタの大会 Utah cutting horse competition から始まった馬ヘルペス感染 the equine herpes virus (EHV-1) outbreak は鎮静化しつつあるとしているが、モンタナ Montana州初の感染例が11日に確認された

● エキノコッカス症 スウェーデン OIE(2件)
PRO/AH/EDR> Echinococcus multilocularis, fox - Sweden (06): (KO), OIE 20110618.1858
 情報源 OIE, WAHID、2011年6月17日
Echinococcosis/hydatidosis, Sweden、Immediate notification (Final report)
感染開始時期 2011年1月21日>終息
前回流行時期 2004年
病原体  Echinococcus multilocularis
新たな感染流行
発生地 Baggby, Borlange, Borlange, Dalarnas Lan
感染した種 Wild species、ハンティングで射殺された a wild fox (Vulpes vulpes)
Susceptible
Cases 1
Deaths 0
Destroyed 1
Slaughtered 0

PRO/AH/EDR> Echinococcus multilocularis, fox - Sweden (06): (KO), OIE, addendum 20110618.1860
[Mod.PC-  ... OIE によると、フィンランド及びロシアでは clinical and subclinical disease が報告されているが、ラトビア、リトアニア、エストニア、デンマークでは、2008年以降報告がない。他の多くの欧州各国は、過去数年間にわたって不定期的なペースで報告を行っている]

● ブタ繁殖呼吸器障害症候群 ミャンマー
PRO/AH/EDR> Porcine reprod. & resp. syndrome - Myanmar (02): (AY, MO) 20110617.1853
 情報源 Mizzima、2011年6月16日
Blue ear pig disease spreads
The blue ear pig virus の感染が続いている。国内南部の Irrawaddy Region から、南東部の Mon State にも広がっている。これまでに感染流行発生の報告があったのは6つの地域で Rangoon Region.へのブタや豚肉の移動が禁止されている。2月にthe Mandalay area で発生が確認された後、Naypyitaw, Magway, Pegu, Rangoon, Irrawaddy and Mon states.の各州に感染が拡大した

● リス痘 英国
PRO/AH/EDR> Squirrel pox, red squirrel - UK (02) : Northern Ireland 20110617.1852
 情報源 BBE News Northern Ireland、2011年6月17日
Red squirrels face 2nd outbreak of fatal pox
Glenarm Forest in County Antrim において、2件目の感染流行となる、赤リスの致死性疾患の発生が確認された。3か月前の County Down での発生確認に続くものとなった。この病気は、抵抗力を持つ外来種 the non-native grey squirrel により持ちこまれた。このウイルスに感染した赤リス red squirrels は、15日以内に死亡する。すでに、英国内全域で、在来種 native red squirrel populations に、壊滅的被害を与えている ...
関連項目 20070519.1594