2011年7月26日-27日

Aichi virus ヒトに対する病原性 EID
狂犬病 ワクチン不全
結核 潜在性感染,予防内服

● Aichi virus
PRO/EDR> Aichi virus, human pathogenicity 20110727.2261
 情報源 CIDRAP (Center for Infectious Disease Research & Policy) News、2011年7月26日
Group says Aichi virus an authentic human pathogen
原著タイトル Aichi virus shedding in high concentrations in patients with acute diarrhea. Emerg Infect Dis [EID serial on the Internet]. 2011 [date cited].
ドイツとロシアでの研究により、胃腸炎症状のある患者で,他の細菌やウイルスを伴わない Aichi virus (AiV) だけの排出 human shedding が確認され、同ウイルスの病原性が証明されたと online report from Emerging Infectious Diseases (EID) で報告された。genus _Kobuvirus_ の新型のヒトピコルナウイルスである AiV は、1991年に初めて報告され、ヒトにおける単独の食品関連下痢症の原因と関連付けられ、汚染された水からも検出されていたが、ウイルス排泄を定量的に調べたデータはこれまで存在しなかった。胃腸炎症状のある外来患者の便検体に対して、同ウイルスの特異部分をターゲットとした高感度 real-time reverse-transcription polymerase chain reaction (RT-PCR) 検査が行われ、499人の胃腸炎患者のうち10人の患者で、病原体として AiV のみが検出された。39人の対照患者や、食中毒感染流行の118人の患者では AiV 検査は陽性とはならなかった。AiV 感染患者はすべて、腹痛下痢嘔気の症状があり、食中毒、社会的リスクファクター、動物との接触歴は認められなかった。検体採取は2004年の1年間を通じて行ったが、AiV の患者発生はすべて10月から12月までで地域も限定されていた。筆者は " locally and temporally restricted circulation of AiV with human-to-human transmission" が示唆されると述べている。
[Mod.CP- 原著要約:... ピコルナウイルス科には12種類のウイルス属が知られており、ヒトで確認されている代表的な5種類のウイルスは、_Enterovirus_, _Hepatovirus_, _Parechovirus_, _Cardiovirus_, and _Kobuvirus_ である。このうち、ヒトに対する病原性が確かめられているのはエンテロウイルス(ポリオも含む)、A 型肝炎ウイルス、パレコウイルスのみである。この数年間に、未分類のピコルナウイルスがヒトで確認されており、これらのウイルスは cosavirus, klassevirus, and salivirus と命名されている。胃腸炎の病原ウイルスとして、便中ウイルス量のデータによって確認されたとしても,消化管内では増殖しない、食品中の嚥下されたウイルスは除外される ... _Aichi virus_ (AiV; genus _Kobuvirus_) と命名された新型ヒトピコルナウイルスについては、1991年に初めて記載され、食品によるヒトの下痢症との疫学的関連性が示唆された。最近、下水の混入した水質中からも発見されているが、AiV の排泄量的データは確認されていなかった。おそらくは、high genomic GC [guanine-cytosine] content (約 60 %) と strong RNA secondary structures のため、 sequence information が得られず、より正確な分子の同定 more precise molecular detection が困難となっていることが原因と見られる ... highly sensitive real-time reverse transcription PCR (RT-PCR) により、患者の便検体で high AiV shedding が確認された"。
著者は、ウイルスの排泄量と患者の重症度は一致せず、臨床症状は一般的に軽症となる。これまでのフランスとチュニジアからの報告とは異なり、今回の研究で食品との関連は確認できなかったと述べている]

● 狂犬病 インド
PRO/AH/EDR> Rabies - India (15): (AP), human, vaccine failure
Archive Number: 20110726.2256
 情報源 The Hindu 、2011年7月22日
Tribal boy dies of rabies
the district headquarters で部族民の少年1名が狂犬病 Rabies により死亡した。 この9才の少年は Bhagavathveedu Tanda in Kusumanchi mandal [sub-division] の先住民である。ハイデラバード Hyderabad-based school の学校の生徒で、6月5日に帰郷した際に野犬の咬傷を受けた。翌日 Dilsukhnagar の市立病院で治療を受けた。その後、IPM at Narayanguda in Hyderabad において抗狂犬病ワクチン anti-rabies vaccine を受けていたと報告されている。帰省中の7月21日に発症し、急いで両親は病院を受診させたが、数時間後に死亡した。免疫グロブリンもワクチンも受けていたが、狂犬病を発病し死亡した、と医師は説明した。
[Mod.CP- Merrit Clifton は以下のようにコメントしている: 
"今回のケースの一般的な理解 Popular perception としては、保管中のコールドチェーンの不備によるワクチン不全 the post-exposure vaccine failed ということだろう。しかし、この患者は顔面に咬傷を受けている。脳につながる神経にウイルスが直接感染した場合、post-exposure vaccination が効果を発現するまでの猶予は非常に短くなる。Elkin (A Course in Epidemiology, Pergamon Press,1961) は、狂犬病となった咬傷のうち 6.2%が頭部に咬傷のある患者で、頭部に咬傷のあった患者の24.9%が死亡したと報告している。中枢神経とウイルス侵入部位との距離が近いほど潜伏期間が短くなる。ニューロン内のウイルスの移動速度1日15-100mmで、ウイルスが速やかに末梢神経から CNS に至ることを意味する。能動的な脳感染 Active cerebral infection に続いて、ウイルスの受動的な末梢神経への遠心性拡散がおこるとされている。 (Western Regional Disease Diagnostic Laboratory, Pune) したがって今回の患者の場合、抗狂犬病免疫グロブリンの注射の遅れが、ウイルスの中枢神経への到達を許し、ワクチンの効果を減弱させてしまった可能性がある]
地図 Kusumanchi is a mandal in Khammam District of Andhra Pradesh. 

● 結核 不正確な血液検査
PRO> Tuberculosis, inaccurate blood tests, WHO statement (03) 20110726.2255
 投稿者 John P Maher, MD, MPH、2011年7月25日
20110724.2233 に関し。
BCG が偽陽性につながるとのモデレータのコメントについて: 
過去、様々な状況で CDC representatives より、BCG vaccination の18か月後にツベルクリン反応が陽性 a positive TST [tuberculin skin test] となった場合は、潜在性感染 LTBI [latent TB infection] と判断し、予防内服が勧められるべき、と言われている

● 日本脳炎など インド
PRO/AH/EDR> Japanese encephalitis and other - India (07): (AS)
Archive Number: 20110727.2263
 情報源 The Telegraph、2011年7月27日
Kamrup (metro) では、23人の acute encephalitis syndrome (AES) が確認され、このうち検査で日本脳炎 Japanese encephalitis(JE) が検査で確認されているのは 3人のみである。 the Kamrup district の AES と JE と診断された患者はそれぞれ15人と9人である ...
[Mod.TY- 不思議なことに、20110725.2245 では Assam state の患者全員が Japanese encephalitis (JE) virus infection と確認され、原因不明の the "acute encephalitis syndrome" (AES) については触れられていなかった。今回の報告では the Assam encephalitis cases のうち、JE virus infection が原因であった割合は小さい。the AES cases の原因は依然として不明のままである]

● 風疹 フィジー
PRO/EDR> Rubella - Fiji 20110727.2262
 情報源 The Fiji Times online、2011年7月27日
the greater Suva area で3例の風疹 Rubella 感染が報告されている。19才から24才までの the Fiji School of Nursing の女性2人と男性1人の感染が報告されている。Samabula などの他の地域でも、感染が疑われる症例が報告されている、と当局者が述べた

● レジオネラ症 スペイン
PRO/EDR> Legionellosis - Spain: (VC) 20110727.2258
 情報源 Typically Spanish 、2011年7月25日
22日、10人のレジオネラ肺炎 legionnaire's disease 患者が確認されたことを受け、地域の保健当局者は、Alcasser(Valencia province, 南部) の噴水1基の使用を停止すると発表した。10人のうち5人が入院となったが、ただ1人の集中治療室への入院患者も現在は一般病棟に移されている。the Doctor Peset Hospital (Valencia City)の医師は、すべての患者が快方に向かっていると述べた。とりあえず噴水が停止されているが、他の感染源の可能性も含め、現在調査が続けられている。
参考項目  20101115.4142

● コレラ ハイチ、ドミニカ共和国
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update 2011 (23): Haiti, DR 20110726.2253
[1] ハイチ:UPI (United Press International) report 、2011年7月24日
ハイチの医療当局者は、雨期の再来で、連日1000人以上のコレラ Cholera 患者が新たに発生している、と述べた。2010年10月以来、コレラ感染流行による死者は6000人近くに上る
[2] ドミニカ共和国:The Times of India, Agence France-Presse (AFP) report、2011年7月23日
コレラ感染流行によるドミニカ共和国内の死者が、37人に達した。13000人以上の感染が疑われている。22日、当局が発表した
[3] EU warning for tourists to Dominican Republic
 情報源 Caribbean360、2011年7月25日
European Union (EU) health officials は、人気の観光地であるドミニカ共和国とハイチへの旅行による、コレラ感染リスクに関する注意喚起を行った。The European Centre for Disease Prevention and Control (ECDC) は、ドミニカ共和国内でコレラ感染が定着したと報告している

● 肺炎、ラクダ科 ボリビア
PRO/AH/EDR> Pneumonia, camelids - Bolivia: (PO) llama 20110727.2259
 情報源 FM Bolivia.net [in Spanish]、2011年7月24日
Potosi の当局は、7月初旬の降雪により、ラマを中心として、87000頭以上の家畜が発病したと報告した。動物のえさにも影響が出ている。報告によると、ラマの病気として最も多いのは肺炎で体重の減少につながっているという。このため、関係当局からの、大麦、アルファルファ、ふすま、ミネラル塩、強壮剤 tonic、抗生物質などの送付が望まれるとしている 
[Mod.TG- 肺炎の原因について、記載されていない ... ラマ、アルパカ、ラクダはすべてラクダ科の動物で、これらの動物は、他の反芻動物が4室の胃を持っているのに対し、3室に分かれた胃を持っている点が特徴的であるが、やはり反芻動物に分類されている]

● ヘンドラウイルス オーストラリア 
PRO/AH/EDR> Hendra virus, equine - Australia (18): (QL) canine 20110727.2257
[1] 1頭のイヌのヘンドラウイルス感染陽性が判明した
 情報源 Biosecurity Queensland news 、2011年7月26日
Geelong の動物衛生研究所 The Australian Animal Health Laboratory (AAHL) で、1頭のイヌのヘンドラウイルス感染陽性が判明した。クイーンズランド Queensland 州主任獣医師は、予想外の出来事と述べている ... "問題となっているイヌは,Hendra virus infection の発生が確認され現在は隔離された状態となっている農場のイヌで,Biosecurity Queensland's policy では、ウマの感染が発生した農場ではネコやイヌの検査が行われることになっていた " と説明された。このイヌについては2 negative results だったが,AAHL で行った別の検査により抗体が確認されたとされている
[2] 牧羊犬は、検査陽性であることが判明した
 情報源 Brisbane Times、2011年7月26日
初めて1頭のイヌが the potentially fatal Hendra virus に対する検査で陽性となった。この牧羊犬は25日に検査陽性であることが判明した.Beaudesert, in south-east Queensland 付近のウマ1頭のウイルス感染確認後、すでに隔離されていた場所で飼育されていた
[3] イヌからのヒトへの感染の可能性などが懸念されている
 情報源 goldcoast.com.au, Australian Associated Press (AAP) report、2011年7月26日
The 1st dog to contract the Hendra virus が確認されたことについて、科学者らの間で、別のルートによるウイルス感染もしくはイヌからのヒトへの感染の可能性などが懸念されている

● 炭疽 スウェーデン
PRO/AH/EDR> Anthrax, bovine - Sweden (02): (OR) OIE 20110726.2254
 情報源 OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2011; 24(30)、2011年7月22日
Anthrax, Sweden immediate notification
感染開始時期 2011年7月22日
前回流行時期 1981年
病原菌 _Bacillus anthracis_
新た感染流行
発生地  Hammar, Orebro, Orebro, [Orebro County] 農場
感染した種/ 頭数 / 症例数 / 死亡 / 廃棄 / 処分
ウシ Cattle / 96 / 19 / 19 / 0 / 0

● 原因不明の大量死、家禽 マーシャル諸島
PRO/AH/EDR> Undiagnosed die-off, poultry - Marshall Islands 20110726.2252
 情報源 Marianas Variety (Mariana Islands, Micronesia)、2011年7月22日
the Marshall Islands の米軍ミサイル実験場横の小さな島で、ニワトリとダックの大量死が発生し、当局は頭を悩ませている。自給自足が中心の人口200人足らずの Enibooj Island で、100羽近くのニワトリが、突然死亡し原因が分かっていない
地図 Enibooj (Ennubuj) Islet in Kwajalein Atoll