2011年7月5日-6日

コレラ 米国 non-O1, non-O139
◎ 顎口条虫症 オーストラリア

● コレラ 米国
PRO/EDR> Cholera - USA (05): (NY) non-O1, non-O139 20110706.2046
 投稿者 Larry Lutwick MD, ProMED Bacterial Disease Moderator、2011年6月16日
問題の患者は、急性腎不全から完全に回復した。この患者以外に感染例は発生していない。the New York City および Centers for Disease Control and Prevention labs のいずれにおいても、コレラ菌 _Vibrio cholerae_ であることが確認された。non-O1, non-O139 であり、CDC で検査可能な O141 and O75 による、他の the other O antigen testing でも、凝集 agglutinate しなかった。PCR for the presence of cholera toxin gene (ctxA) による検査も行われたが陰性であることが確認され、non-toxigenic for the cholera toxin であった。
[Mod.LL- この患者は、10%以上の体重減少をきたし、臨床的にはコレラ感染であった。non-O1, non-O139 strains of _V. cholerae_ は、軽症の腸管疾患の原因となることがあり、菌血症を起こすが下痢を生じない場合もあるということになる。ほとんどのケースで non-O1, non-O139 _V. cholerae_ isolatesは、cholera toxin や the toxin-coregulated pilus (TCP) の遺伝子を有しないが、一部の菌が substantial diarrhea の原因となりうる。
The type III secretion system (TTSS) は、グラム陰性桿菌が、宿主細胞の細胞質に effector proteins を導入するメカニズムである。近年、動物モデルにおいて腸管の微小損傷や proinflammatory cytokines 産生を伴うような下痢を引き起こすためには、少なくとも一部の non-O1, non-O139 isolates において、functional TTSS が必要であることが報告されている。さらに、cholera toxin and TCP の存在下においても、TTSS は毒性に寄与することも示されている]
関連項目
Cholera - USA (04): (NY): RFI 20110616.1840

◎ 顎口条虫症 オーストラリア
PRO/AH/EDR> Gnathostomiasis - Australia: (VI) 1st rep 20110706.2044
 情報源 The Herald Sun、2011年7月5日
1st case of gnathostomiasis reported from Australia
ビクトリア Victoia 州の1組の夫婦が、歯を持つ小さな虫に身体を食いちぎられる目に悩まされていた。この寄生虫による、オーストラリアでは初めてのヒトの感染例となった。西オーストラリア WA [Western Australia] でのキャンプ中に捕獲した魚を食べて感染したと見られている。black bream と思われる魚を食べた際に、幼虫 the gnathostomiasis larvae を嚥下したと感染症医が述べた。"この虫は体長が 1-3 mmで鋭い歯 sharp little teeth を持ち(患者の)身体中のあらゆる部分に移動することができる" と説明されている。虫が死ぬか、免疫機能によって殺されるまで、人体内での移動が続くという。"皮下を移動して掻痒性腫瘤を形成し、感染に気づかれる -- 非常に診断が困難な場合もある"。感染したこの夫婦は、筋肉痛、発熱、嘔吐を経験し、皮膚がオレンジの皮のようになったが、抗生物質により治癒した。この寄生虫は15年間人体内にとどまり、慢性の症状の原因となることがある。脳、その他の臓器、脊髄に至る場合もあり、組織を食べてしまうという。この医師が治療を行った28人の患者はすべて海外で感染していた。同医師は、血液の検体をバンコク Bangkok に送付した。問題の魚は Derby の北の the Calder River で捕獲されたもので、the Australian Medical Journal で症例報告された。
[Mod.EP- the US CDC によると、Human gnathostomiasis は the genus _Gnathostoma_ の複数種の寄生虫 (nematodes) によって起きる。東南アジアで発見され、この地域で最も多く発生するが、アジア、中南米やアフリカの一部からも報告されている。生あるいは調理が不十分な淡水魚、ウナギ、カエル、鳥類、両生類の摂食により感染することが多い。最も多く見られる症状は、皮下の移動性腫脹と血液中の好酸球レベルの増加である。まれに臓器内に侵入することがあり、たとえば、肝臓、眼球(視力障害や失明を招く)、神経・脊髄・脳(神経痛、麻痺、昏睡および死亡の原因)などがある。
最近の Gnathostomiasis in humans のレビュー (Gnathostomiasis, another emerging imported disease. Clin Microbiol Rev. 2009; 22(3):484-92; )。
オーストラリアに最近になって導入されたのか、ヒトでの感染例が報告されていなかっただけなのか。fresh water biologists からのコメントが望まれる]

● 炭疽 ジョージア,カナダ・米国(2件)
PRO/AH/EDR> Anthrax, human, livestock - Georgia
Archive Number: 20110706.2047
 情報源 Georgia online、2011年6月28日
グルジアで、炭疽 Anthrax 感染の症状により2人が入院して治療を受けている。病院側の発表では、皮膚感染であるにも関わらず、患者の状態は深刻だとされている。2人は別々の地域で感染し、病気の動物との接触があり、処分に関わったとされている。外科的処置が必要だったと述べられている。
[Mod.MHJ- 最近、ヒトの炭疽感染例には積極的治療を行い、適切な抗生物質投与とともに、貯留した the toxic fluids を排出することが必要であることが明らかになりつつある]

PRO/AH> Anthrax, livestock - Canada, USA: vaccine advice 20110706.2042
[1] カナダ - Saskatchewan
Livestock producers should be cautious of anthrax this year

 情報源 CTV Saskatoon、2011年6月29日。
2011年の湿潤気候が、自然発生し、急速に家畜を死に至らしめる炭疽感染の助長を招いている
[2] 米国-South Dakota
Anthrax vaccination reminder

 情報源 South Dakota Animal Industry Board、2011年7月5日。
州獣医師は、家畜生産農家に、家畜への炭疽ワクチン接種を勧めている。州内各地の洪水発生により、炭疽感染発生の好適条件が産み出されている

● C 型肝炎 米国
PRO/EDR> Hepatitis C - USA: (WI), increase
Archive Number: 20110705.2041
 情報源 wausaudailyherald.com 、2011年7月5日
Hepatitis C cases in region on the rise

政府、州、地方の各保健当局者らは、6 central and northern Wisconsin counties において、C 型肝炎 Hepatitis C 感染例が増えている理由について、調査を開始した。Wood, Portage, Marathon, Langlade, Lincoln, and Oneida counties では、30才未満の C 型肝炎の感染患者が、2009年と2010年に2倍以上になった理由の解明を急いでいる。2004年から2008年までは年間12.2例であったのに対し、2009年と2010年はそれぞれ年間27例だった

● チクングニア熱 ニューカレドニア
PRO/EDR> Chikungunya (15): New Caledonia 20110705.2039
 情報源 ABC (Australian Broadcasting Corporation) Radio Australia、2011年7月5日
New Caledonia chikungunya outbreak linked to Indonesia
2011年のこれまでに警告を行ってきた、蚊族媒介性のチクングニア熱 Chikungunya の感染拡大を、保健当局は防止した。3月、太平洋地域で初めて発生した感染例が、ヌーメア Noumea で確認された。このほかに、現在までに32人の感染が確認されている

● 大腸菌 O104 欧州
PRO/AH/EDR> E. coli O104 - EU (29): update, fenugreek susp 20110705.2038
[1] ECDC Update since 1 Jul、 Update since 4 Jul 2011
 情報源 European Center for Disease Control (ECDC)、2011年7月5日
[2] Egyptian fenugreek seeds in Sweden
 情報源 The Local (Sweden) 、2011年7月4日
ドイツ及びフランスにおける the EHEC infection の感染源とされる fenugreek seeds(ハーブの一種)の出荷品がスウェーデンに持ち込まれていたことが確認された、と the Swedish National Food Administration により明らかにされた ... Fenugreek は主に curry mixes に使用され、この出荷品を使った製品が全国に流通している。しかし、2011年に 6277 bags を販売しているが、業者 wholesaler Econova に対する健康被害の報告はなかった。
[3] CIDRAP follow up
 情報源 CIDRAP (Center for Infectious Disease Research & Policy) News、2011年7月1日
The European Centre for Disease Prevention and Control [ECDC] は、フランスで最近おきた大腸菌感染の集団発生のリスク評価アセスメント報告から、風評被害を避けるため、ドイツの種子輸入業者1社 AGA SAAT GMBH of Dusseldorf, Germany をはずすこととした 
[4] エジプト政府声明
 情報源 Xinhua News Agency、2011年7月1日
エジプト農業省は1日、(エジプトが)欧州各国で発生した大腸菌の感染源であるとの報道を否定した

● デング熱/デング出血熱
PRO/EDR> Dengue/DHF update 2011 (27) 20110705.2035
[1] カンボジア
 情報源 Xinhua News Agency、2011年6月25日
カンボジアでは、2011年初以降、1793人の重症のデング Dengue 出血熱患者が治療を受け、うち11人が死亡した。Kantha Bopha Children's Hospitals がまとめた報告によると、20日までに、1793人の severe cases of dengue fever が報告されており、547 in Siem Reap Province, 1247 in Phnom Penh の各病院に入院した
[2] シンガポール . 26 Jun 2011. A rarely-seen type of dengue [virus] -- DEN-3 -- has hit the Marsiling area with more than 60 cases
[3] モルジブ . 28 Jun 2011. A 9-month-old baby receiving treatment at Indira Gandhi Memorial Hospital (IGMH) for dengue fever died、the 3rd to die this year from dengue. 
[4] サウジアラビア (Jeddah). 4 Jul 2011. The number of dengue fever cases in Jeddah requiring hospital attention has risen to about 130 a week
[5] メキシコ (Jalisco state in Spanish). 28 Jun 2011. 2011年の州全体で、66 [dengue] infections が確認されたが、2010年の同期の患者は600人だった
[6] ブラジル in Portuguese
 - (Volta Redonda)). 28 Jun 2011. デング熱による死亡としては市内で3人目となる、35才の女性の死亡を確認
 - (Sorocaba, Sao Paulo state). 27 Jun 2011. 低い気温にも関わらず、Sorocaba ではデング熱の患者発生が続いている。6月25日までの市内で発生した患者数は 1714 dengue cases
[7] ペルー Peru (Amazonas). 21 Jun 2011. Loreto, Madre de Dios, San Martin and Amazonas, に注意報

● A 群連鎖球菌、猩紅熱 中国
PRO/EDR> Streptococcus group A, scarlet fever - China (10): (HK,MO) 20110705.2033
 情報源 RTHK.HK English News、2011年7月4日
衛生部当局者が、香港における猩紅熱患者数は依然として多く、1日あたり10から20人に上ることを明らかにした。2011年9月まで流行が続くとの見通しであると述べた。

● ヘンドラウイルス オーストラリア(2件)
PRO/AH/EDR> Hendra virus, equine - Australia (07): (QL,NS) 20110706.2045
[1] Another horse confirmed with Hendra in another area in south east QLD
 情報源 Queensland Government, Primary Industries and Fisheries、2011年7月5日
新たに Park Ridge in Logan City のウマ1頭が、検査の結果、Hendra virus により死亡していたことが判明した
[2] Hendra claims 6th horse near Brisbane
 情報源 The Sydney Morning Herald, Australian Associated Press (AAP) report、2011年7月5日
ブリスベン Brisbane 近郊で4日死亡したウマ1頭が、検査の結果、6頭目の the Hendra virus による犠牲馬であることが分かった 

PRO/AH/EDR> Hendra virus, equine - Australia (06): (QL,NS) human exposure 20110705.2036
 情報源 The Australian、2011年7月4日
バイオセキュリティ当局は、週末 [2-3 Jul 2011] にようやくヘンドラウイルス Hendra virus が確認されるまでの間に、クイーンズランド州南東部の1か所の農場から感染が拡大した恐れがあることを明らかにした。当局 Biosecurity Queensland は、ブリスベン Brisbane の南西50kmの、Mount Alford にあるこの農場を隔離している。同農場では、クイーンズランド Queensland 州および ニューサウスウェールズ州北部 northern NSW [New South Wales] で起きた、2週間足らずで3件目の、コウモリが媒介するこの感染症の流行の発生が確認された。合計23人について、ヒトでの致死率が57%である同ウイルスに感染した可能性が判明するまで、数週間待たなければならない。このうち、最も感染リスクが高いのは、6月20日にウマを安楽死させるために呼び出され、診断を間違った獣医師である
[Mod.TG- 現在、3件のヘンドラウイルス感染流行が確認されている]

● バナナの病気,Black sigatoka エクアドル
PRO/PL> Black sigatoka, banana - Ecuador: (MN) alert 20110706.2043
 情報源 FreshPlaza, Eldiario report、2011年7月4日
Sigatoka affects banana production
Black Sigatoka が、El Carmen [Manabi province] のバナナ生産に深刻な被害を発生させており、生産組合 president of the national federation of banana producers (FENAPROPE) から注意が呼びかけられた ...
[Mod.DHA- Black sigatoka (BS; also called black leaf streak) は、真菌の _Mycosphaerella fijiensis_ を原因とし、species of _Musa_ のみが感染する。世界中の parts of the Americas, China, South East Asia, and parts of Africa で発生が見られるが、オーストラリアは排除に成功した]

● 口蹄疫 イスラエル
PRO/AH> Foot & mouth disease - Israel (12): (HZ) RFI 20110705.2034
 情報源 Circular of Director Field Veterinary Services No. 13/2011/FMD [in Hebrew]、2011年7月3日
Foot & mouth disease in Kibbutz Shamir
1. 6月29日、Kiryat Shmona 市の南東約 9km の Kibbutz Shamir (Northern Galilee) で口蹄疫の疑われる症例が報告された。about 600 bull-calves of various breeds and ages が飼育されている