2011年8月23日

ムンプス-バーミューダ,チェコ
ダニ媒介性回帰熱-米国 
インフルエンザ (49) -中国、ナルコレプシー

● ムンプス-バーミューダ,チェコ
バーミューダ
PRO/EDR> Mumps - Bermuda
Archive Number: 20110823.2568
Bermuda Health Department: Several Cases Of Mumps Reported
 情報源 Bernews、2011年8月22日。
保健省 The Department of Health は22日、8月に医療機関から複数のムンプス Mumps 感染患者が報告されていることを明らかにした。重症疾患であるが、現在では非常にまれな病気となっている。この10年間に、島内で確認されたムンプス患者はわずか8人であった。高い予防接種率であるにもかかわらず、2011年に報告された患者数が多いことが懸念されている ... Bermuda では 1983年に予防接種に組み込まれ、6歳までにほとんど小児が接種 (15 months and a booster is given between the ages of 4 to 6 years.) を完了する ...
[Mod.CP- Bermuda における近年の MMR vaccine coverage が、最適ではなかった (下回っていた) 可能性がある。ムンプス患者が、ワクチンを受けていなかったかどうかについては書かれていないが、3価の the triple MMR vaccine のうち、ムンプスの成分による protectinon が他の2成分に比べて劣るということが、はっきりと示されたことはなく、ワクチン接種を受けてたとしても、ごく少数は感染するリスクが残されている]

PRO> Mumps - Czech Republic (02): background 20110823.2569
 投稿者 Steve Berger、2011年8月23日。
northern Bohemia で現在流行が発生しているものの、チェコ共和国は、米国並みにムンプス発生率を抑えることに成功していた。

● コレラ ハイチ、ドミニカ共和国
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update 2011 (25): Haiti, DR  20110823.2567
[1] ハイチ/ドミニカ共和国での流行の感染源
Population genetics of Vibrio cholerae from Nepal in 2010: evidence on the origin of the Haitian outbreak.
 情報源 American Society of Microbiology (ASM) journal、mBio 2(4) July/August 2011 Volume 2 Issue 4 e00157-11, doi:10.1128/mBio.00157-11.、2011年8月23日。
[Mod.LL- 同報告では the relationship of the Nepalese peacekeepers(ネパール平和維持軍)and the epidemic on Hispaniola の関連があったとされている]
要約
ハイチでのコレラ感染流行が確認された後、国連平和維持軍に従事するネパール人兵士大隊が感染源であるとの噂が流れた。この可能性について調査が行われたことはなかった。whole-genome sequence typing (WGST), pulsed-field gel electrophoresis (PFGE), および抗生物質感受性試験により、ネパールで検出されているコレラ菌 24 recent _Vibrio cholerae_ isolates の特徴を明らかにし、the Haitian outbreak との疫学的関連性について検討した。2010年7月30日から同年11月1日までの期間の、ネパール国内の 5か所の地域からの分離菌の the 24 genomes と、すでに塩基配列が解析されている、 3 from the Haitian outbreak (began July 2010).を含む 10件のコレラ菌 _V. cholerae_ isolates との比較を行った。 抗生物質感受性試験と PFGE patterns から、ネパールとハイチで分離された菌に、epidemiological link があるものとして矛盾はなかった。WGST では、ネパールで分離された全コレラ菌 all 24 _V. cholerae_ isolates が a single monophyletic group に属していた上、バングラディシュとハイチの分離菌も同じグループだった。ネパールの isolates は 4 closely related clusters.に分類される。 One cluster には 3 Nepalese isolates と 3 Haitian isolates が属しており、わずか 1- or 2-bp の違いを除き、ほとんど同一だった。今回の結果から、the origin of the Haitian outbreak はネパールと考えられる
[2] ドミニカ共和国
 情報源 Dominican Today、2011年8月20日。
ドミニカ共和国内のコレラ感染流行による死者の数が109人となり、感染が疑われる患者は15876人に達したことが、19日、保健当局による明らかになった。保健省の声明によると、6週間前より減少傾向が続いているものの、首都を含む the region of Gran Santo Domingo は依然深刻な流行に直面している

● サルモネラ感染症-スペイン
PRO/AH/EDR> Salmonellosis - Spain: (CN) poss. restaurant source 20110823.2566
 情報源 La Opinion [in Spanish]、2011年8月19日。
カナリア諸島保健当局 The Health Department of the Canary Islands は今週、18人のサルモネラ症 Salmonellosis 患者が発生し、今も Tenerife の複数の病院に7人が入院中であると報告した。当局は近郊にある人気カフェテリアと感染の関係を示唆しており、当局者が立ち入り調査を行っている。これまでのところ、いずれの検査でもこの施設が感染流行の原因であることを特定する結果は得られていない。患者の1人は、患者の一部が鶏肉を使った a la carte dish を食べたと証言している。12日夜に摂取された後、翌日に激しい腹痛、発熱、下痢、嘔吐が発生した

● ダニ媒介性回帰熱-米国
PRO/AH/EDR> Tick-borne relapsing fever - USA: (CO) youth camp, alert 20110823.2564
 投稿者 米・Colorado Department of Public Health and Environment、Elisabeth W. Lawaczeck DVM、2011年8月19日。
コロラド州および郡保健当局 The Colorado Department of Public Health and Environment (CDPHE) and the Chaffee County Public Health Department は、7-8月にコロラド Colorado 州中部の a youth camp でボランティア活動を行っていた1人のダニ媒介性回帰熱 tick-borne relapsing fever (TBRF) 患者に関する調査を行っている。発熱、発汗、体力低下、意識障害 confusion、頭痛、筋肉痛、関節痛、嘔気などの症状を発症し、初期症状 the initial TBRF episode は適切に治療されたものの、再発したため再入院となっている。現在行われている調査により、このボランティアはキャンプでの活動中に TBRF に感染したものと見られ、患者が使用していた the cabin の environmental assessment で、TBRF exposure を説明しうる significant rodent infestation が確認されている。各州および各国からのおよそ 625 名の campers and volunteers が夏季の1週間を過ごした ... 最近、Colorado 州山間部の rustic cabin に寝泊りした人や、州中部のユースキャンプ利用者の中で、initial or recurrent fever とともに、全身痛、頭痛、悪寒、発汗のある患者は、通常の血液塗抹検査を受け、TBRF について調べることを勧める。発熱があり抗生物質を使用する前に Smear evaluation が行われれば、スピロヘータ spirochetes がもっとも見つかりやすい
[Mod.LL- 他州や他国からの campers and volunteers であるので、アメリカ西部の the endemic areas 以外(で発症した場合) であっても、この感染症についての検討が必要である。Relapsing fever は the _Borrelia_ genus のスピロヘータを原因とする。ベクターの _Ornithodoros_ tick は、ロッキー山紅斑熱やライム病の the typical "hard ticks" よりもずっと短い時間で吸血する "soft tick" であるため発見されにくい。診断は、発熱中の末梢血の Wright's stain 染色標本により容易である。他の spirochetes と違い the Wright stain ですばやく 染まる: The typical peripheral blood smear 。病原体の外側蛋白抗原 the outer protein antigens の変化により The relapses が生じる。アフリカで見られるシラミ媒介性回帰熱 Louse-borne relapsing fever は、ダニ媒介性 tick-borne に比べ、より重症 less benign である]
参考文献1. Relapsing fever. A clinical and microbiological review. Medicine 1969; 48(2): 129-49.
参考文献2. Borreliae, human relapsing fever and parasite-vector-host relationships. Bacteriol Rev 1965; 29(1):46-74

● 大腸菌 O157 -カナダ
PRO/AH/EDR> E. coli O157 - Canada (03): (ON) RFI 20110823.2563
 情報源 The Sun Times, Owen Sound (ON)、2011年8月23日。
Grey-Bruce の公衆衛生当局は、ここ数週間に8人が確認された、遺伝学的に類似する大腸菌 E. coli  O157 に感染した患者の間の関連性について、調査を行っている。食品や渡航歴、活動などについて聴取しているが、現在のところ、特定されていないと述べた ... 13-14日の週末以降、新たな患者は報告されていない。最初の患者が報告されたのは、7月初旬だった

 ● 炭疽-バングラデシュ
PRO/AH/EDR> Anthrax, human, livestock - Bangladesh (10): (RS) 20110823.2562
 情報源 Gulf Times、2011年8月22日。
Khirshin Tikar village(Paba sub-district of northwestern Rajshahi district)において、女性4人を含む16人が感染したウシの肉を食べて炭疽 Anthrax に感染した。3日に the Rajshahi city 近郊の市場で購入した2頭のウシの肉を食べ感染したことが分かった。男女全員が解体から調理までの作業に関わり、皮膚炭疽に感染した。およそ10人が治療を受けている

● インフルエンザ (49) -中国、ナルコレプシー
PRO/EDR> Influenza (49): China, narcolepsy 20110823.2561
Swine flu, not vaccine, may trigger narcolepsy
 情報源 New Scientist、2011年8月22日。
昨年 [2010]、北京 Beijing の ナルコレプシー narcolepsy cases は3倍に増加した。冬の豚インフルエンザの流行 the swine flu [A/H1N1 2009 virus] pandemic of the previous winter と関係があると思われた。それ以前にも、同じようなナルコレプシー患者 cases of narcolepsy -- 不意に眠気が襲う異常 -- の増加と、ワクチン swine flu vaccine との関連性が指摘されていた。原因はワクチンに含まれる免疫反応を増強するための添加物アジュバント adjuvants と考えられている。ワクチン接種の機会が少なく、またアジュバントなしのワクチンを接種されていた中国でも、同時期にナルコレプシーが増えたことが研究者らを悩ませている。インフルエンザそのものが患者増の原因ではないのか。この点を明らかにするため、北京大学病院 [and collaborators in California and Ohio] が1998年以降の narcolepsy による受診者 906 人の the medical profiles を分析した結果、2009年10月にワクチンが導入される数年前から、ナルコレプシーの患者数には季節性変動 a seasonal pattern があり、11月ごろに有意に減少し、4月に大きく増えていた。このピークが the swine flu pandemic 後の春には例年より大きかった。
[Mod.CP- the Medical Products Agency (MPA) in Sweden は2009-2010年のスウェーデンにおいて行った患者リスト a case inventory の結果を報告している。この研究結果では、the Pandemrix influenza vaccine の接種と小児及び19歳以下の青年の narcolepsy との間に因果関係があるとされている (Eurosurveillance, 30 Jun 2011; 16(26))。
今回引用された Narcolepsy onset is seasonal and increased following the 2009 H1N1 pandemic in China. Annals of Neurology の the Abstract の部分を示す:
"Narcolepsy の原因は視床下部の hypocretin/orexin neurons の喪失であり、これは自己免疫反応の結果と考えられている。近年北欧ではワクチン H1N1 vaccination 接種後の narcolepsy に関する報告が出された。今回、中国・北京 Beijing, China (1998-2010) で診断された narcolepsy の症例に関する retrospective analysis を行った。自己申告による発症の時期 (年月) が得られたのは629 patients (86 percent children) だった ... 2009年10月以降に narcolepsy を発症した 182人のワクチン接種歴を聴取した。narcolepsy の発症には季節性があり、least frequent in November and most frequent in April の傾向があり、最低と最高の間に 6.7-fold increase の開きがある。年毎の比較では、the 2009 H1N1 winter influenza pandemic 後に3倍の増加が認められた。この増加は H1N1 vaccination を接種したと答えた患者がわずか 8 of 142 (5.6 percent) patients であったことから、ワクチン接種により増加した可能性は低いと考えられた。Cross-correlation では influenza/cold or H1N1 infections のピーク時とナルコレプシーの発症のピークに、5から 7ヶ月もの遅れが生じていた。以上より、中国国内において、narcolepsy onset は毎年認められる H1N1 influenza を含む季節性上気道感染症と強い相関があると結論付けられた。 2010年の the peak seasonal onset of narcolepsy は winter H1N1 infections から 6ヶ月遅れで始まり、調査対象の大部分で H1N1 vaccination から独立していた(関係が認められなかった)"。narcolepsy が immune system responses を契機に発症するとすれば、virus infection によるとしても vaccination の結果誘導されるとしても、いずれも合理性はある]

● ヘンドラウイルス、ウマ-オーストラリア
PRO/AH/EDR> Hendra virus, equine - Australia (24): (QL) 20110823.2570
Gold Coast horse dies from hendra virus
 情報源 ABC.net au、2011年8月23日。
クイーンズランド Queensland 州で、新たに1頭のヘンドラウイルス Hendra virus 感染が確認された。 the Currumbin Valley (the Gold Coast hinterland) の飼育場のウマ1頭のヘンドラウイルス感染が確認され、その後死亡した。Biosecurity Queensland は23頭について検査を実施し、そのうち1頭の陽性が確認された。獣医師と農場主の2人が曝露した疑いがある ... Gold Coast Councillor は the Gold Coast のすべての the flying foxes の巣 colony について、ウイルスのチェックを行うよう、改めて指示した
[Mod.TG-  the risk of testing flying foxes はその検査を行うヒトへの感染リスクを上回るメリットがあるのだろうか。コウモリの専門家ではないが、コウモリのコロニーの検査や駆除によって、よりウイルスが拡散する可能性があるのではないだろうか。the flying foxes がなぜウイルスを排泄するかを理解するに足る研究結果が存在するのかを知らない。つねにウイルスを排泄し続けているのだとすれば、常にヘンドラウイルスに関連する死亡や疾病が発生しているはずである。しかしそうではない。つまり、何らかの要因があって、コウモリからウイルスが排泄されるに違いない。ウマの所有者らは the flying foxes が果樹や果実におびき寄せられることを知っておかなければならない。the equine paddocks の果樹は撤去するか、果実がなっている期間は、果樹のある場所からウマを遠ざけることが、ウマとそして所有者自身を守ることにつながる。These flying foxes は非常に食べ方が汚く extremely messy eaters, 多量のよだれを流し、近くで草を食んでいるウマがウイルスに曝露する。長年開発研究されている the new vaccine が今試すことができれば]

● 口蹄疫-カザフスタン OIE
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - Kazakhstan (04): (EK) bovine, OIE 20110823.2560
Foot-and-mouth disease, Kazakhstan immediate notification
 情報源 OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2011; 24(34)、2011年8月22日。
感染開始時期 2011年8月11日
前回流行時期 2011年7月26日
原因ウイルス Foot and mouth disease virus Serotype: O 
新たな感染流行
発生地  Karashilik, Kurchumskiy, East Kazakhstan 農村
感染した種 ウシ cattle
Susceptible: 770
Cases: 33
Deaths: 0
Destroyed: 69
Slaughtered: 0
ヒツジ 2337頭中 0頭