2011年8月9日

◎ 原因不明の疾患-ウガンダ (02)  HUS
髄膜炎菌性髄膜炎-オーストラリア

◎ 原因不明の疾患-ウガンダ (02)  HUS
PRO/EDR> Undiagnosed illness - Uganda (02): child, ex Wales, HUS
Archive Number: 20110809.2419
 情報源 Daily Mail online 、2011年8月9日。
charity bike race に参加した父親についてアフリカを旅行した4歳の男児が、すべての臓器が機能しなくなる(shut down all his organs)まれな病気に感染して死亡した。the Kisiizi Hospital,(Kabale, Uganda)病院への資金を集める目的で行われた531kmのバイクレースに参加する父親を見るため、母親とともに旅行していた。しかし、寄付先の病院で治療を受けたが、溶血性尿毒症症候群 haemolytic uraemic syndrome [HUS] を発症し、搬送先のケニアのナイロビの病院で7月25日に死亡した。
[Mod.CP- 溶血性尿毒症症候群 Haemolytic uraemic syndrome (HUS) は、微小血管性溶血性貧血、血小板減少、急性腎不全の3徴候を示す。小児の急性腎不全の原因として最も多く、世界中で発生件数が増加する傾向にある。典型的(感染を誘因とする)HUS は大腸菌 _Escherichia coli_ with somatic (O) antigen 157 and flagellar (H) antigen 7 -- すなわち O157:H7. の感染に伴なって起きることが多い。Shiga toxin or verotoxin と呼ばれる毒素を産生するため Shiga toxin-producing _E. coli_ (STEC) or verotoxin-producing _E. coli_ (VTEC) とも呼ばれている。体内を循環するトキシンが、腎臓・消化管・中枢神経系などの血管内皮レセプターに結合することで生じる障害によって、全身性疾患の病態を呈する。微小血管系 the microvasculature にトロンビン Thrombin やフィブリン fibrin が沈着する。これらの現象は、HUS 発症前の病初期から起きており、抗生物質の効果が見られないことを原因と考えられている。赤血球は閉塞した微小血管を通過する際に破損し溶血が生じる。 血小板は減る sequestered が disseminated intravascular coagulation (DIC) 同様、凝固因子のカスケードを介さない。HUS を引き起こす他の因子としては、肺炎球菌 _Streptococcus pneumoniae_ と赤痢菌 _Shigella dysenteriae_ type 13 あるいは HIV human immunodeficiency virus やコクサッキーウイルス coxsackieviruses などが挙げられる。薬剤(シクロスポリン、タクロリムス),補体経路 the complement pathway 4 の遺伝子変異、ループス・がん・妊娠などの全身性変化などによっても、Atypical HUS を発症することがある。Haemolytic uraemic syndrome (HUS) の年間の発生率は、5才未満の小児10万人対 6.1 cases とまれである (ちなみに全年齢 an overall incidence は 1 to 2 cases per 100 000) 。小児の感染例の90%以上が感染に続発する。O157:H7 は出血性腸炎を起こすが、HUS を発症するのは患者の約 3-15 %のみである。散発性の発生か、大規模流行中の発生となる。イングランドで起きた The largest documented outbreak として1999年の Cumbria の流行があり、pasteurised milk が関係し114 people が発病した。HUS cases の約10%は非典型例であり、Shiga toxin-producing bacteria or streptococci. に関係しない。感染のはっきりしない患者では complement gene mutations などを中心にしっかりと精査すべきである。HUSは世界中で発生しているが、医療環境の整っていない国での報告はそれほど多くない (出典 Patient.co.uk)]
[Mod.LM- ウガンダのこの地域ではエボラ出血熱発生の兆候はないとの情報を得ている。同病院内でほかに、HUSの患者は報告されていない]
関連項目 20110806.2377

● ムンプス-カナダ
PRO/EDR> Mumps - Canada (04): (ON)
Archive Number: 20110809.2418
 投稿者 加・Toronto Public Health 、Effie Gournis、2011年8月8日。
トロント公衆衛生局 Toronto Public Health は7月20日以降,11例のムンプス症例 cases of mumps (10 confirmed and 1 probable) を報告している。this cluster の発端となった患者は、6月3日に バンクーバー Vancouver (Whistler において a mumps outbreak が発生していた) から Toronto に旅行し、同9日に発病した。当初の感染伝播は、この発端患者が勤務していた the Toronto financial district restaurant の従業員らにとどまっていたが、現在では範囲が拡大している。今のところ、確定患者全員が (職場、会議、その他の活動などにおいて) the downtown financial core of Toronto. と何らかのつながりがあること認められている ... the 11 cases の平均年齢は34歳で、24歳から47歳までの範囲にある。1人は、 2 doses of mumps-containing vaccine, を接種されていた。3人は、1回だけ接種を受けていた ... 流行発生前に報告のあったVancouver を旅行していた別の確定患者1名からの感染伝播は報告されていない。

● 狂犬病-ボリビア
PRO/AH/EDR> Rabies - Bolivia (05): canine, human 20110809.2417
 情報源 El Deber [in Spanish]、2011年8月8日。
Santa Cruz はボリビア国内で最も狂犬病 Rabies 感染患者数の多い the department [state or province equivalent] であるが、Cochabamba で2人がこの病気で死亡した。保健省のデータによると、2011年に国内で報告された狂犬病121例のうち、49例が Santa Cruz から報告されている。2010年にこの地域で発生した患者数は28例だった。Santa Cruz に次いで多いのは順に Cochabamba with 40, followed by Sucre with 21, La Paz and Beni with 4, Potosi with 2, and Tarija with one となっている。これらの事態を受け当局は、市内のイヌとネコへのワクチン接種率を、これまでの80%から、90%に高める目標を設定した
地図 the Departments of Bolivia

● 炭疽-ベトナム
PRO/AH/EDR> Anthrax, human, buffalo - Viet Nam (03) 20110809.2415
Mountainous provinces in northern Viet Nam warned of anthrax outbreak

 情報源 Thanh Nien News、2011年8月8日。
予防医学当局 The Viet Nam Administration of Preventive Medicine は7日、北部山岳地帯の Lai Chau, Dien Bien, and Ha Giang の各省で、ヒトの炭疽 Anthrax 感染流行に注意するよう呼びかけている。これらの地域では、6月以降、炭疽感染例の報告が続いており、最も多い Lai Chau 省では死者1名を含め12人がが感染した。現地住民の不衛生な食習慣が原因だとされている。Dien Bien Province では、炭疽感染により死亡したバッファロー2頭を処分した少数民族の1人が初発感染例となった。このあと、他の住民らを招き問題の肉を摂取した。その他9頭の病気のバッファローの肉を売ったと述べている

● 大腸菌 O157 -米国,イチゴ
PRO/AH/EDR> E. coli O157 - USA (03): (OR) strawberry 20110809.2413
 情報源 Oregon Live, The Oregonian、2011年8月8日。
夏の訪れを告げ昔から州の誇りとなっている象徴的な果物 iconic crop である、オレゴンのイチゴ Oregon strawberries が、米国内ではじめてフルーツが原因となった大腸菌感染流行 the nation's 1st _Escherichia coli_ [O157:H7] outbreak の犯人であり、女性1名が死亡し、16人を発病させていることが分かった。保健当局は8日、Jaquith Strawberry Farm(rural Washington County)が感染流行に関係するとの結論に至った。この耕地面積 14haの中規模イチゴ栽培農家が、問題のイチゴを卸業者に販売し、その後 Multnomah, Washington, Clackamas, Yamhill, and Clatsop counties などの道路わきの路面店や野菜マーケットなどで売られていた。8月1日まで販売されており、当局は、各家庭のフリーザーや加熱されないジャムなどとして残っていないか、警戒している

● 髄膜炎菌性髄膜炎-オーストラリア
PRO/EDR> Meningitis, meningococcal - Australia (02): (QL) fatal 20110809.2412
[1] もう1人の大学生に回復の兆し
 情報源 News.com.au, Australian Associated Press (AAP) report、2011年8月1日。
North Queensland の大学生1名がキャンパス内で髄膜炎菌 meningococcal に感染したが、回復の兆しが見えてきた。7月27日に、Townsville の the Catholic College at James Cook University の18歳の医学生が、自室で死亡しているのが発見された後の出来事である。the college の同じ階に住む友人の1人も、同じ病気の症状を発症し、同29日に入院となっていた。Queensland Health 当局は、これら2人の学生との接触者に対し、clearance antibiotics(予防内服)の服用を勧めた。
[2] 生後17ヶ月の感染
 情報源 ABC News (Australian Broadcasting Corporation)/Australian Associated Press (AAP)、2011年8月8日。
7月27日に大学生が死亡したのに続き、Queensland's north で新たに生後17ヶ月の男児が髄膜炎菌による感染症に罹患した。当局によると、同菌の検査陽性が確認されたが、入院中のこの幼児の状態は落ち着いている。north and far north Queensland ではこの数週間に6人の患者が確認されており、このうち18歳の大学生が先週、James Cook University's Townsville campus で死亡した状態で発見されている。ケアンズ軍病院 Cairns Base Hospital では19歳の女性1名が回復しつつあるが、Magnetic Island での休暇中に感染した高齢女性1名は、今も深刻な状態にあるが安定している。このほかには、もう1人の 2nd JCU [James Cook University] student と Townsville の幼児の感染が確認されている。さらに、あと2人の Cairns の患者は、初期検査が陰性となった後の細菌検査の結果を待っている。患者らの間に関連性は見出されていない、と当局の医師は説明している。 "感染力はそれほど高くないため、市民の感染リスクはきわめて低い。通常は、緊密で長時間の接触、たとえば家庭内のような状況でないと、感染伝播は起こらない" と述べた。
[Mod.ML- 2人の医学生の間に関連性がないとするのは、正しくない。人口約15万人の Townsville で3ヶ月足らずの間に3例の髄膜炎菌性疾患患者が確認され,それらの間に関連が見出されなかったことになる; しかし the primary disease attack rate は10万人対10人未満であり、10人以上の場合が a community-based outbreak of meningococcal disease と定義されている]
参考項目 20100625.2115

● ポリオ-世界各国 (10) コメント
PRO> Poliomyelitis - worldwide (10): comment 20110809.2416
20110808.2402 に関し。
 情報源 GIDEON (Global Infectious Disease & Epidemiology Network)、2011年8月8日。
ナイジェリアとパキスタンの絶対数の増加と言うよりは、インドの発生数減少が、全世界に対する両国のポリオ発生数の増大に反映されている

● ウエストナイルウイルス、ウマ-ブラジル
PRO/AH> West Nile virus, equine - Brazil: (MS) 1st rep 20110809.2410
 情報源 Estadao [in Portuguese]、2011年8月8日。
Pantanal のウマの間で、ウエストナイルウイルス West Nile virus [WNV] に対する抗体が確認されていることが、大学や研究機関 the Instituto Oswaldo Cruz [IOC] and the USP [Universidade de Sao Paulo].から報告された。最重症型のWNV 感染では、中枢神経系が影響を受けるが、ブラジル国内のヒトでの感染例は報告されたことはない。5頭のウマでウイルスに対する抗体陽性が確認され、以前に感染があったことが証明された。1999年の米国において、南北アメリカへの到達が確認されて以降、コロンビアやアルゼンチンのウマと鳥類でも感染が確認されている。The IOC researchers は、the Nhecolandia region, (Mato Grosso do Sul [state].) のウマ 168 horses とワニ 30 alligators [caimans? ] のほか、蚊族 (1204 mosquitoes of 10 different species) についても調査を行った。 5 頭のウマで検査陽性となったが、the alligators. や the mosquitoes のウイルス感染は確認されなかった ...
[Mod.LJS- The Pantanal region は渡り鳥の中継地で、アルゼンチンで WNV が確認されており (in horses [and in one human case] (20061228.3642) 、北米では感染が定着した。渡りのルート上の他の地点でウイルスが確認されることのは、時間の問題である]
[Mod.TY- 特にフラビウイルスの血清学的検査では、同じ科のウイルス同士の交差反応に注意しなければならない]