2011年9月17日

クリミアコンゴ出血熱-パキスタン アフガニスタンから
HIV-インド 小児、輸血

● ツツガムシ病-インド
PRO/AH/EDR> Scrub typhus - India (02): (NL)
Archive Number: 20110917.2834
 情報源 The Morung Express、2011年9月16日。
保健家族福祉局 The Department of Health and Family Welfare に12日、Poilwa village (Peren District) における死者3人が発生した原因不明の発熱性疾患流行の電話連絡が入ったことが明らかにされた。ナガランド Nagaland 州当局 the State Rapid Response Team (RRT) of Integrated Disease Surveillance Project (IDSP) は直ちに、同村に調査に向かい、疑いのある患者3人から検体を採取したところ、全員がツツガムシ病 scrub typhus の検査で陽性だった。ツツガムシ病は  _Orientia tsutsugamushi_と呼ばれるリケッチアによる病気で,_Leptotrombidium deliense_と呼ばれるダニ mite の刺咬により伝播される。Nagaland 州では以前にも、Longsa village Mokokchung in 2006, and in Porba village of Phek District in 2007 で確認されている ... 症状の説明 ... 最も多く用いられる診断検査は Weil-Felix test で、State IDSP laboratory, Kohima で実施可能である。より特異的な検査として IgM 免疫グロブリン M 抗体検査が実施されることもある。最も信頼できる検査 the gold standard は間接免疫蛍光抗体アッセイ IFA [indirect immunofluorescence antibody assay] である。ドキシサイクリン doxycycline やクロラムフェニコール chloramphenicol の抗生物質による治療によく反応し、耐性例ではリファンピシン rifampicin が使用されることもある。小児と妊娠女性にはアジスロマイシン azithromycin が選択される。スルフォンアミド系薬剤 Sulfonamide group of drugs は禁忌である。ツツガムシは限定された地域 (typhus islands) での確認にとどまっている為、地面や植生 the ground and vegetation への残留性殺虫剤の使用、げっ歯類駆除、限局的な植生の伐採 (除去) などの対策が実施可能である。発生地域 infested terrains では、着衣による予防、露出する皮膚へのダニ忌避剤の使用、予防内服なども考慮すべきである。有効なワクチンは開発されていない ...
地図 the districts of Nagaland

● クリミアコンゴ出血熱-パキスタン アフガニスタンから
PRO/AH/EDR> Crimean-Congo hem. fever - Pakistan ex Afghanistan, nosocomial 20110917.2833
Surgeon among 4 down with CCHF virus in Quetta

 情報源 Pakistan today、2011年9月17日。
アフガニスタンから手術を受けるために Quetta の Fatima Jinnah Hospital 病院に移送された、クリミアコンゴ出血熱 Congo virus [Crimean-Congo haemorrhagic fever virus (CCHF) infection] の患者1名の手術に立ち会った外科医1名と医療技師1名を含む、合計4人の CCHF 感染が確認されている。感染した医師は治療のために直ちにカラチ Karachi の隔離病棟に搬送され、一方、技師は同病院内で隔離された。このほか、アフガン難民1名と Kuchlak の若年患者1名も、同ウイルス感染のため入院していた ... この病院では、過去4年間、職員へのワクチン接種を行っていなかった [ヒトに使用できるワクチンはない]。
[Mod.CP- 2010年にもパキスタンの病院内での院内感染が報告されている。CCHF は地中海地方全域と中国北西部、中央アジア、アフリカ、中東、インド亜大陸で発生が確認されている。_Hyalomma_ を中心とするダニ Ixodid ticks が CCHF virus の保有宿主 reservoir であるとともにベクター vector でもある。多くの野生動物や家畜、例えばウシ、ヤギ、ヒツジ、ウサギなどが増殖宿主 amplifying hosts となっている。ヒトへの感染は、感染動物の血液およびダニとの接触により成立する。感染のある患者の血液や体液により、他の患者に感染が伝播される可能性がある。病院内の医療器具の消毒が不十分な場合、注射針の再使用、医療機器の汚染などによっても CCHF は発生する。CCHF の発症は突然で、初期の症状には、頭痛、高熱、背部痛、関節痛、胃痛、嘔吐などがある。眼の充血、顔面紅潮、咽頭発赤、口蓋の点状出血の症状がみられることも多い。進行するとおよそ4病日から2週間程度続く、大きな皮下出血、重度の鼻出血、注射部位からの出血の止血困難などが認められる。記録のある outbreaks of CCHF における入院患者の致死率は 9-50%に及ぶ。endemic areas の家畜飼育、家畜業者、食肉処理場(の労働者)などに感染のリスクがある。常在地域の医療従事者は予防措置を行わずに患者の血液や体液に接触することによる感染リスクがある。CCHF の治療は基本的に支持療法で in vitro では抗ウイルス薬 ribavirin に対するウイルスの感受性が認められ,CCHF patients への使用により一定の効果が認められたとの報告がある。マウス脳由来の不活化 CCHF ワクチンが開発され、東欧で小規模ながら使用されている。しかし、ヒトでの使用が一般的な、安全で有効なワクチンは存在しない]

● HIV-インド 小児、輸血
PRO/EDR> HIV - India: (GJ), children, blood transfusion 20110917.2832
Children get HIV from blood transfusions
 情報源 The Washington Post, Associated Press report、2011年9月12日。
まれな遺伝的血液異常 thalassemia の小児23人が、インド西部で問題があったと見られる血液による輸血を受けた後に HIV [human immunodeficiency virus] infection 陽性であることが検査で判明した、と12日当局者が述べた。グジャラート Gujarat 州 the Junagadh district のある政府系病院で1月から8月までの間に輸血されていたと、病院の責任者が述べた。州政府報道官の話として、感染のあった小児らは複数の病院で輸血されていたと報道されているが、別の新聞報道で保護者らは輸血を受けたのはこの病院だけだったと述べている。

● 発疹熱-米国
PRO/AH/EDR> Murine typhus - USA (03): (CA) 20110917.2831
 情報源 The Orange County Register、2011年9月14日。
Orange County [O.C.] において、3か月間で18歳未満の1名を含め合計5人が、ノミ媒介性チフス flea-borne typhus と診断されたことが、14日保健当局により明らかにされた。発熱、頭痛、筋肉痛、胸・背中・四肢などの発疹の症状が認められた。抗生物質により治療可能であるが、未治療の場合は死亡することもある。endemic typhus とも呼ばれるこの疾患がヒトからヒトに感染することはない。ノミの刺咬により感染し、この数年間に発生した同郡内の患者らはペットのネコからの感染であったが、ネズミ、オポッサム、アライグマなどのノミを保有する他の動物から感染する可能性もある。1994年から2005年までの期間、郡内での発生は報告されていなかったが、1 in 2006, 6 in 2007, 15 in 2008, and 6 cases each in 2009 and 2010 が報告されるようになった。2011年はこれまでに8例が報告されており、いずれも North County の患者であったが、他の地域でも感染動物が確認されている。
参考項目 20110607.1734

● 原因不明の死亡、ヤギ-ブルンジ
PRO/AH/EDR> Undiagnosed disease, caprine - Burundi: goat pox susp., RFI 20110917.2830
[1] Burundi: A new disease is decimating the goats in the north
 情報源 Xinhua via Afriquinfos.com [in French]、2011年9月16日。
北部の町 Bwambarangwe, Kirundo で2週間で140頭のヤギが死亡したことが,16日に現地獣医師の話として伝えられた。感染したヤギは次第に毛が少なくなり、鼻口部 the muzzle などのあらゆる所に傷ができ、遂には草を食べることができなくなって餓死すると説明されている。また、特定されていないウイルスに感染したヤギには悪臭が伴なっているとも述べた。難民の復帰のために政府当局 the Ministry of National Solidarity, Human Rights が分配したすべてのヤギが処分されている。合計140頭のヤギが、1家族あたり2頭ずつ、70家族に対して分配されていた ...
[2] Giteranyi: goat population threatened by an epidemic
 情報源 Iwacu-Burundi [in French]、2011年8月31日。
the community of Giteranyi のヤギに原因不明の病気が発生した恐れがある。少なくとも248頭のヤギが罹患し、そのうち75頭がすでに死亡している。この病気の特徴は、ヤギの身体に腫瘤ができ、口にできた傷のため草を食べられなくなり、発熱が認められることである。最も深刻な感染状況にあるのは、Giteranyi and Mugano である ...
[Mod.AS- 1ヶ月前から疫病が続いているようである。[2]では全身の nodules について記載されており、OIE のリストにあるヤギ痘 goat pox の典型的な症状と見られる。人獣共通感染症ではない。ブルンジが最後に annual report to the OIE を提出したのは2009年にまで遡らなければならない。同年ヒツジ痘とヤギ痘は無いと報告されている。最後の発生年は不明となっている。ブルンジなどの常在地域に輸入されるヤギは、ヤギ痘と小反芻獣疫 PPR (peste des petits ruminants) に対するワクチンを接種しなければならない。消毒作業から3ヵ月後までの感染発生農場に、感受性のある動物を再導入する場合は、前もって家畜へのワクチン接種が求められる。ヤギ痘に対する有効な弱毒生ワクチンは、ずっと以前からアフリカ諸国で広く使用され、優秀な結果を残している]