2011年9月15日-17日

クリミア・コンゴ出血熱 パキスタン,執刀医の感染
類鼻疽 台湾

● クリミア・コンゴ出血熱 パキスタン アフガニスタンから
PRO/AH/EDR> Crimean-Congo hem. fever - Pakistan ex Afghanistan, nosocomial 20110917.2833
 情報源 Pakistan today、2011年9月17日。
Surgeon among 4 down with CCHF virus in Quetta
アフガニスタンから手術を受けるために Quetta の Fatima Jinnah Hospital 病院に移送された、クリミア・コンゴ出血熱 Congo virus [Crimean-Congo haemorrhagic fever virus (CCHF) infection] の患者1名の手術に立ち会った外科医1名と医療技師1名を含む、合計4人の CCHF 感染が確認されている。感染した医師は治療のために直ちにカラチ Karachi の隔離病棟に搬送され、一方、技師は同病院内で隔離された。このほか、アフガン難民1名と Kuchlak の若年患者1名も、同ウイルス感染のため入院していた ... この病院では、過去4年間、職員へのワクチン接種を行っていなかった [ヒトに使用できるワクチンはない]。
[Mod.CP- 2010年にもパキスタンの病院内での院内感染が報告されている。CCHF は地中海地方全域と中国北西部、中央アジア、アフリカ、中東、インド亜大陸で発生が確認されている。_Hyalomma_ を中心とするダニ Ixodid ticks が CCHF virus の保有宿主 reservoir であるとともにベクター vector でもある。多くの野生動物や家畜、例えばウシ、ヤギ、ヒツジ、ウサギなどが増殖宿主 amplifying hosts となっている。ヒトへの感染は、感染動物の血液およびダニとの接触により成立する。感染のある患者の血液や体液により、他の患者に感染が伝播される可能性がある。病院内の医療器具の消毒が不十分な場合、注射針の再使用、医療機器の汚染などによっても CCHF は発生する。CCHF の発症は突然で、初期の症状には、頭痛、高熱、背部痛、関節痛、胃痛、嘔吐などがある。眼の充血、顔面紅潮、咽頭発赤、口蓋の点状出血の症状がみられることも多い。進行するとおよそ4病日から2週間程度続く、大きな皮下出血、重度の鼻出血、注射部位からの出血の止血困難などが認められる。記録のある outbreaks of CCHF における入院患者の致死率は 9-50%に及ぶ。endemic areas の家畜飼育、家畜業者、食肉処理場(の労働者)などに感染のリスクがある。常在地域の医療従事者は予防措置を行わずに患者の血液や体液に接触することによる感染リスクがある。CCHF の治療は基本的に支持療法で in vitro では抗ウイルス薬 ribavirin に対するウイルスの感受性が認められ,CCHF patients への使用により一定の効果が認められたとの報告がある。マウス脳由来の不活化 CCHF ワクチンが開発され、東欧で小規模ながら使用されている。しかし、ヒトでの使用が一般的な、安全で有効なワクチンは存在しない]

● 類鼻疽 台湾
PRO/EDR> Melioidosis, fatal - Taiwan: (KH, PT) 20110916.2822
 情報源 Focus Taiwan, Central News Agency (CNA) report、2011年9月15日
台湾南部高雄 Kaohsiung で2011年初の類鼻疽 Melioidosis による死亡患者が報告されたことが、15日に当局 the Centers for Disease Control (CDC) から発表された。市民に対し、環境整備と汚染土壌や汚染水との直接の接触回避が呼びかけられている。 15日現在、全国で15人の感染が確定診断され、9人の感染が疑われている。患者の多くが Kaohsiung City [Kaohsiung Special Municipality] および Pingtung County [Taiwan Province] での感染例であると説明されている。類鼻疽により死亡した2人のうちの1人は Zuoying District in Kaohsiung 在住の69歳の糖尿病患者で、もう1人は Nanzih District の61歳の慢性疾患の患者で、やはり類鼻疽による死亡が疑われている。土壌や水中から原因菌が確認されている、と当局者が述べた。ヒトからヒトへの感染は非常にまれである。潜伏期間は2日から数年に及ぶこともあり、皮膚潰瘍、肺炎、菌血症などの症状が見られると説明した。
[Mod.LL- Melioidosis は土や水に直接触れる人々に感染することが多く、糖尿病(主要なリスク因子)、腎臓病、肝硬変、サラセミア thalassemia、アルコール依存症、免疫療法患者、慢性閉塞性肺疾患、膿疱性線維症、kava (慢性肝疾患に関係する、the pepper family の薬草の1種) の過剰摂取者などの基礎疾患を持つものが多い。ただし HIV infection が重症化するとの明確な証拠はない。すべての年齢に発生するが、40-50歳代での発生が最も多く、女性より男性に多い]

● ツツガムシ病 インド
PRO/AH/EDR> Scrub typhus - India (02): (NL)
Archive Number: 20110917.2834
 情報源 The Morung Express、2011年9月16日
保健家族福祉局 The Department of Health and Family Welfare に12日、Poilwa village (Peren District) における死者3人が発生した原因不明の発熱性疾患流行の電話連絡が入ったことが明らかにされた。ナガランド Nagaland 州当局 the State Rapid Response Team (RRT) of Integrated Disease Surveillance Project (IDSP) は直ちに、同村に調査に向かい、疑いのある患者3人から検体を採取したところ、全員がツツガムシ病 scrub typhus の検査で陽性だった。ツツガムシ病は  _Orientia tsutsugamushi_と呼ばれるリケッチアによる病気で,_Leptotrombidium deliense_と呼ばれるダニ mite の刺咬により伝播される。Nagaland 州では以前にも、Longsa village Mokokchung in 2006, and in Porba village of Phek District in 2007 で確認されている ... 症状の説明 ... 
最も多く用いられる診断検査は Weil-Felix test で、State IDSP laboratory, Kohima で実施可能である。より特異的な検査として IgM 免疫グロブリン M 抗体検査が実施されることもある。最も信頼できる検査 the gold standard は間接免疫蛍光抗体アッセイ IFA [indirect immunofluorescence antibody assay] である。ドキシサイクリン doxycycline やクロラムフェニコール chloramphenicol の抗生物質による治療によく反応し、耐性例ではリファンピシン rifampicin が使用されることもある。小児と妊娠女性にはアジスロマイシン azithromycin が選択される。スルフォンアミド系薬剤 Sulfonamide group of drugs は禁忌である。ツツガムシは限定された地域 (typhus islands) での確認にとどまっている為、地面や植生 the ground and vegetation への残留性殺虫剤の使用、げっ歯類駆除、限局的な植生の伐採 (除去) などの対策が実施可能である。発生地域 infested terrains では、着衣による予防、露出する皮膚へのダニ忌避剤の使用、予防内服なども考慮すべきである。有効なワクチンは開発されていない ...
地図 the districts of Nagaland

● HIV インド
PRO/EDR> HIV - India: (GJ), children, blood transfusion 20110917.2832
 情報源 The Washington Post, Associated Press report、2011年9月12日
Children get HIV from blood transfusions
まれな遺伝的血液異常 thalassemia の小児23人が、インド西部で問題があったと見られる血液による輸血を受けた後に HIV [human immunodeficiency virus] infection 陽性であることが検査で判明した、と12日当局者が述べた。グジャラート Gujarat 州 the Junagadh district のある政府系病院で1月から8月までの間に輸血されていたと、病院の責任者が述べた。州政府報道官の話として、感染のあった小児らは複数の病院で輸血されていたと報道されているが、別の新聞報道で保護者らは輸血を受けたのはこの病院だけだったと述べている。

● 発疹熱 米国
PRO/AH/EDR> Murine typhus - USA (03): (CA) 20110917.2831
 情報源 The Orange County Register、2011年9月14日
Orange County [O.C.] において、3か月間で18歳未満の1名を含め合計5人が、ノミ媒介性チフス flea-borne typhus と診断されたことが、14日保健当局により明らかにされた。発熱、頭痛、筋肉痛、胸・背中・四肢などの発疹の症状が認められた。抗生物質により治療可能であるが、未治療の場合は死亡することもある。endemic typhus とも呼ばれるこの疾患がヒトからヒトに感染することはない。ノミの刺咬により感染し、この数年間に発生した同郡内の患者らはペットのネコからの感染であったが、ネズミ、オポッサム、アライグマなどのノミを保有する他の動物から感染する可能性もある。1994年から2005年までの期間、郡内での発生は報告されていなかったが、1 in 2006, 6 in 2007, 15 in 2008, and 6 cases each in 2009 and 2010 が報告されるようになった。2011年はこれまでに8例が報告されており、いずれも North County の患者であったが、他の地域でも感染動物が確認されている。
参考項目 20110607.1734

● B 型肝炎ウイルス ウガンダ
PRO/EDR> Hepatitis B virus - Uganda: (TG, GL)  20110916.2826
 情報源 The New Vision (Uganda)、2011年9月15日
Hepatitis B hits Kitgum and Gulu
危険なタイプの肝炎が Kitgum and Gulu で蔓延していることが議会で取り上げられた。Kitgum district の議員は St. Joseph's Hospital, Lacor で12人の B 型肝炎患者 hepatitis B が確認されており、患者らが Kitgum town council, Muchuni and Adelang の住民であると述べた ... 同議員は Acholi, Karamoja and Lango で発生していると見られると発言した ... Guluでも7人が死亡していると報告された。

● ハンタウイルス チリ
PRO/AH/EDR> Hantavirus update 2011 - Americas (40): Chile 20110916.2825
[1] チリ (Aysen)
 情報源 Diario el Divisadero [in Spanish]、2011年9月15日
Santiago の公衆衛生局は、先週末 [10-11 Sep 2011] に死亡した the Lago Verde の33歳の女性1名の検体が、ハンタウイルス Hantavirus 感染の検査で陽性だったと発表した。北部での家族との休暇から戻ったこの女性は、現地でハンタウイルスに感染した。the Aysen region で8人目の患者で、7月の注意喚起の後3人目の死者となったと当局は述べた。
[Mod.TY- The 15 Sep 2011 edition of Radio Santa Maria では、この女性が休暇中留守だった自宅の清掃中に感染したと見られると伝えている。おそらく Andes virus が関係しているだろう]
[2] チリ (Los Lagos)
 情報源 Radio Bio-Bio [in Spanish]、2011年9月5日
現地保健当局 The Los Lagos health SEREMI の関係者は、the Cochamo community において新たに1例のハンタウイルス感染例が確認され、ここ数ヶ月間の鼠族の個体数増加が関係すると見られると述べた。the Valle El Frio area of the Cochamo community の63歳のこの男性は、ハンタウイルス感染による呼吸困難のため the Hospital Base of Puerto Montt 病院の集中治療室に入院となった。予断は許さない状態であるが、病状は安定している。検査により診断が確定されている。周辺地域では8例のハンタウイルス感染例が確認されている。
関連項目 20110822.2551

● インフルエンザ 米国、小児の死亡
PRO/EDR> Influenza (55): USA, pediatric deaths 20110915.2818
 情報源 MMWR Weekly 60(36);1233-1238、2011年9月16日
Influenza-Associated Pediatric Deaths - United States, September 2010 to August 2011
インフルエンザ Influenza に関連する小児の死亡は,2004年10月以降全米で届け出ることになっている。from 1 Sep 2010 to 31 Aug 2011 の期間に CDC に報告された33の州で発生した the 115 cases of influenza-associated pediatric mortality について要約する。
死亡患者の半数近く (46%) が 5才未満の小児で、49%には予防接種諮問委員会 Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP) が定めたハイリスクの健康状態は認められず、35%が自宅もしくは救急外来で死亡した。記録のある生後 6ヶ月以上のワクチンを接種されていた74人のうち、17人 (23 percent) が勧告どおり毎年ワクチン接種を受けていた。以上より、インフルエンザウイルス感染とそれに伴う重症合併症から子どもを守るために、ワクチンを接種することが重要である点が改めて確認されると共に、医療提供者らには小児のワクチン接種率向上のために包括的な戦略が必要とされる

● レジオネラ症 イタリア(2件)
PRO> Legionellosis - Italy (03): (VR) travelers, background 20110915.2821
 情報源 GIDEON (Global Infectious Disease & Epidemiology Network)、2011年9月15日
20110914.2802 に関し。
イタリア及び周辺各国で、2000年以降、レジオネラ症の発生率が急速に上昇する中、イタリア国内での旅行関連の患者数がおよそ3倍に増えた

PRO/EDR> Legionellosis - Italy (02): (VR) travelers 20110915.2817
 情報源 Flutrackers, European Centre for Disease Prevention and Control (ECDC) report、2011年9月6日
原著 Epi update on Legionnaires' disease outbreak in Lazise, Italy, July-August 2011. European Centre for Disease Prevention and Control, ECDC
1か月間に合計 11 cases の渡航関連レジオネラ症 travel-associated Legionnaires' disease (TALD) が、Lazise , Italy の4か所宿泊施設に関係して発生し、1箇所の感染源から起こった a community outbreak であることが示唆された。イタリア国内で感染源究明のための集中的環境調査が行われている。レジオネラ症がヒトからヒトに感染することはないため、欧州連合内での感染リスクはこの地域への旅行者と住民らに限定される。患者は、オーストリア、デンマーク、ドイツ、イタリア、オランダの各国からの旅行者だった
地図 Lazise is a town along the eastern shores of Lake Garda in the Province of Verona in the Veneto region, with a population of 6213 in 2004. It is located about 120 km (75 mi) west of Venice and about 20 km (12 mi) northwest of Verona

● 腸炎ビブリオ 米国
PRO/AH/EDR> Vibrio parahaemolyticus, oysters - USA (03): (WA) alert 20110915.2820
 情報源 Bellingham (WA) Herald、2011年9月7日
ワシントン州保健局 The Washington State Department of Health は、生ガキを食べた4人が腸炎ビブリオと呼ばれる細菌感染症に罹患したことから Samish Bay での商業用のカキの採取を差し止めた。Clark Creek から 北へ Cummings Point まで続く Hood Canal 5 と呼ばれる地域にも適応される。2日からの措置で30日まで続けられる予定である。Samish Bay には約7箇所の商業的採取地点 commercial operations があり、Skagit County との境界をわずかに越えた場所に当たる。この細菌は沿岸部海水に自然発生する腸炎ビブリオ _Vibrio parahaemolyticus_ と呼ばれる菌で消化管の病気の原因となる。少数であればヒトにとって問題となることはないが、水温の症状に伴い菌の数が急速に増加する

● 大腸菌 O157 米国
PRO/AH/EDR> E. coli O157 - USA (07): (WI) 20110915.2819
 情報源 Milwaukee (WI) Journal Sentinel、2011年9月14日
ウィスコンシン Wisconsin 州南西部で発生した大腸菌感染流行で、Green County の住民1名が死亡した。11日にMadison の病院 UW Children's Hospital で生後20ヶ月の幼児1名が死亡したと14日に報じられた。当局は Green County の9例の大腸菌 O157:H7 の感染について調査を行っている。共通する曝露源についてはまだ確認されていない。便検査により、同じ the same DNA fingerprint 大腸菌であることが確認されていると当局者が述べた。

● A型肝炎 エストニア
PRO> Hepatitis A - Estonia (03): (VD) comment 20110915.2809
 投稿者 英・London School of Hygiene and Tropical Medicine、Professor Norman Noah MB; FRCP; FFPH、2011年9月14日
まさに personal contact [ヒト-ヒト感染] による A型肝炎アウトブレイク outbreak of hepatitis A である。汚染された食品 contaminated foodstuff が継続的な感染源である可能性はきわめて低い far less likely。患者の発症日や地理的分布などからも明らかである。何が起こったかといえば、感染を拡げるものの症状が明らかでない患者が多数存在したのである。そのため、患者間のはっきりとした関連性がほとんど確認できず、通常なら1つの地域に限定されるはずが、見かけ上ばらばらに患者が出現したように見えた。さらに、今回の流行では、コミュニティや国の中で、貧しい地域だけに発生している。Good personal hygiene が流行阻止の鍵だが、実行される可能性はほとんどない。発生地域が特定できれば、ワクチンの集団接種が唯一の選択肢となる。

● 原因不明の死亡、ヤギ ブルンジ
PRO/AH/EDR> Undiagnosed disease, caprine - Burundi: goat pox susp., RFI 20110917.2830
[1] Burundi: A new disease is decimating the goats in the north
 情報源 Xinhua via Afriquinfos.com [in French]、2011年9月16日
北部の町 Bwambarangwe, Kirundo で2週間で140頭のヤギが死亡したことが,16日に現地獣医師の話として伝えられた。感染したヤギは次第に毛が少なくなり、鼻口部 the muzzle などのあらゆる所に傷ができ、遂には草を食べることができなくなって餓死すると説明されている。また、特定されていないウイルスに感染したヤギには悪臭が伴なっているとも述べた。難民の復帰のために政府当局 the Ministry of National Solidarity, Human Rights が分配したすべてのヤギが処分されている。合計140頭のヤギが、1家族あたり2頭ずつ、70家族に対して分配されていた ...
[2] Giteranyi: goat population threatened by an epidemic
 情報源 Iwacu-Burundi [in French]、2011年8月31日
the community of Giteranyi のヤギに原因不明の病気が発生した恐れがある。少なくとも248頭のヤギが罹患し、そのうち75頭がすでに死亡している。この病気の特徴は、ヤギの身体に腫瘤ができ、口にできた傷のため草を食べられなくなり、発熱が認められることである。最も深刻な感染状況にあるのは、Giteranyi and Mugano である ...
[Mod.AS- 1ヶ月前から疫病が続いているようである。[2]では全身の nodules について記載されており、OIE のリストにあるヤギ痘 goat pox の典型的な症状と見られる。人獣共通感染症ではない。ブルンジが最後に annual report to the OIE を提出したのは2009年にまで遡らなければならない。同年ヒツジ痘とヤギ痘は無いと報告されている。最後の発生年は不明となっている。ブルンジなどの常在地域に輸入されるヤギは、ヤギ痘と小反芻獣疫 PPR (peste des petits ruminants) に対するワクチンを接種しなければならない。消毒作業から3ヵ月後までの感染発生農場に、感受性のある動物を再導入する場合は、前もって家畜へのワクチン接種が求められる。ヤギ痘に対する有効な弱毒生ワクチンは、ずっと以前からアフリカ諸国で広く使用され、優秀な結果を残している]

● 狂犬病 ノルウェー・スバールバル
PRO/AH/EDR> Rabies, arctic fox - Norway (02): Svalbard 20110916.2828
 情報源 Press release, Norwegian Food Safety Authority [Norwegian machine-transl.]、2011年9月16日
Rabies found in foxes in Svalbard
スバールバル Svalbard [12-16 Sep 2011] でイヌに殺された1頭のホッキョクギツネ arctic fox が、狂犬病 Rabies に感染していたことを、国立獣医学研究所 The National Veterinary Institute が確認した。このキツネには行動異常が見られたため検査が行われた。別の1頭のキツネとトナカイ reindeer 1頭の検査も行われている。スバールバルで動物の狂犬病が確認されるようになったのは1980年以降のことで、最も新しい事例は2011年の1月である。ノルウェー本土には狂犬病の発生は無く、ペットと旅行する際のワクチン接種は重要である。狂犬病は、動物からヒトに感染する人獣共通感染症で、北極圏ではときおりキツネの感染が発生する。すべての哺乳類に感染の可能性があるが、その頻度は種により異なる。感染した動物の唾液や死体に大量のウイルスが含まれていて、皮膚、粘膜のキズや摂食により感染する。動物の種によって症状が異なるが、行動の異常が見られることが多い。野生動物では行動が大胆になり less shy、家畜は攻撃性を増すことがある。後にマヒ状態となる。

● Usutu ウイルス ドイツ,鳥類
PRO/AH/EDR> Usutu virus - Germany (02): birds, conf. 20110916.2827
 情報源 Ministerial press release, State of Baden-Wurttemberg, Germany [in German]、2011年9月15日
Usutu virus in 4 dead blackbirds from the Mannheim area confirmed
" Baden-Wuerttemberg 初の Usutu virus 感染が,マンハイム Mannheim 市と Dossenheim in the Rhein-Neckar-Kreisin で死亡して発見された4 羽の鳥類 blackbirds で確定診断された" と当局 the department of Animal Health Ministry responsible for Rural Affairs and Consumer Protection and the Ministry of Labour and Social Order, Family, Women and Senior citizens が5日公表した。the Friedrich-Loeffler-Institute on the island of Riems において、4 of the Baden-Wuerttemberg samples からウイルスが検出された。2010年に the Rhine-Neckar region の蚊族からウイルスが確認されたばかりだった。"このウイルスが環境中に存在することが明らかになったが、これまで欧州においてはヒトの感染例は only sporadic cases であり、症状も軽微であったことから、過度に心配する必要は無い" と説明されている。The Usutu virus (USUV) は蚊族媒介性の熱帯のウイルスの1種で、基本的に blackbirds などの野鳥に感染する。2001 年に初めてオーストリアで発生が確認された時には鳥類が大量に死亡した。その後はアフリカだけで確認されている。オーストリアでの発生後、野鳥の間でウイルスへの免疫が成立したことが知られている。今回の発見は14日に the Hessian Birkenau で死亡して発見された1羽の dead blackbird からである。
[Mod.AS- アフリカ以外で初めてUSUV が確認されたのは2001年のウィーン Vienna で、 blackbirds (_Turdus merula_) および great gray owls (_Strix nebulosa_) が死亡した。2002年にもオーストリア国内で USUV の感染循環が続き、中欧内のトリ-蚊族感染サイクル内で越冬したことが示された。より最近では、ハンガリー、スイス、イタリア、スペインの鳥類や蚊族の USUV-specific RNA もしくは抗原が確認されている。2009年夏に、イタリアの2人の免疫不全患者の USUV-related illness が報告された。2002年には、英国内の野鳥で抗体が確認されている]
関連項目
Usutu virus - Germany: mosquito isolate, birds susp. 20110913.2792

● ニンジンの病気,Purple lea スペイン
PRO/PL> Purple leaf, carrot - Europe: 1st rep, (Spain) 20110916.2824
 情報源 European Plant Protection Organisation (EPPO) Reporting Service 8/2011/177、2011年8月
New data on quarantine pests and pests of the EPPO Alert List 
2008年及び2009年、スペイン各地 (Alicante, Segovia, and Valladolid) の商業用ニンジン carrots (_Daucus carota_) 栽培地域で、 _Spiroplasma citri_ の発生が確認された。感染した植物は、葉が巻いて黄色や紫色に変色し、芽の成長が止まり stunting of shoots 、 tap root, and formation of bunchy, fibrous secondary roots などの症状が認められる。米国ワシントン Washington 州から 'carrot purple leaf' が報告されていたが、欧州内のニンジンで _S. citri_ が確認されたのは今回が初めて。
[Mod.DHA- _Spiroplasma citri_ は、南北アメリカ、ニュージーランド、地中海の一部で citrus stubborn disease (CSD; also called little leaf) の原因として報告されていた。CSD の症状には stunting of trees, misshapen fruit, rosetting and distortion of leaves, off-season flowering などがあり、深刻な損失の危険性がある。このほかの作物でも carrot purple leaf and horseradish brittle root diseases などの被害を発生させる]

● 野兎病、ネコ科 米国
PRO/AH/EDR> Tularemia, feline - USA: (IL) 20110916.2823
 情報源 The News-Gazette、2011年9月14日
Savoy の2軒で飼われていた3匹のネコが、検査の結果野兎病 "rabbit fever" 陽性であることが判明した。イリノイ Illinoi 州ではこれまであまり確認されたことがなかった。現地当局 The Champaign-Urbana Public Health District によると、これらのネコの感染がイリノイ獣医医大学で確認されたのは7月と9月であった

● ウエストナイルウイルス イタリア OIE
PRO/AH/EDR> West Nile virus, equine - Italy, Spain: OIE 20110915.2816 
[1] イタリア (Fruili-Venezia Giulia)West Nile fever, Italy immediate notification
 情報源 OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2011; 24(37)、2011年9月15日
感染開始時期 2011年8月22日前回流行時期 2009年10月
原因ウイルス  West Nile virus
新たな感染流行
発生地 Sesto al Reghena, Pordenone, Friuli-Venezia Giulia 農場
感染した種 Equidae ウマ
Susceptible: 11
Cases: 1
Deaths: 0
Destroyed: 0
Slaughtered: 0
[2] スペイン (Andalusia)
West Nile fever, Spain immediate notification
 情報源 OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2011; 24(37)、2011年9月9日
感染開始時期 2011年9月3日前回流行時期 2010年10月28日
新たな感染流行
発生地 Barbate, La Janda, Cadiz, Andalusia 農場
感染した種 Equidae ウマ
Susceptible: 31
Cases: 1
Deaths: 0
Destroyed: 0
Slaughtered: 0

● 小反芻獣疫 イスラエル
PRO/AH/EDR> Peste des petits ruminants - Israel (02): (HA) resolved 20110915.2814
 情報源 Israel Veterinary Services and Animal Health, Publications and Reports 、2011年9月15日
Peste des petits ruminants (PPR) in Israel: final report
Province: Haifa District: Hadera  Umm Al-Fahm 農場Start date: 28 Aug 2011
End date: 13 Sep 2011
Affected population:
種 / 頭数 / Cases / 死亡/ Destroyed / Slaughtered
ヒツジ Sheep / 54 / 13 / 5 / 49 / 0

● 東部ウマ脳炎 米国 
PRO/AH/EDR> Eastern equine encephalitis - USA (12): (MI) equine 20110915.2813
 情報源 Midland Daily News、2011年9月13日
the Beaverton/Edenville area in Midland County [Michigan ] のウマ1頭が、東部ウマ脳炎 eastern equine encephalitis (EEE) により死亡したことが、州立大学検査室 the Michigan State University Diagnostic Center for Population and Animal Health labsで確認された

● ポテトの病気,Zebra chip 米国、ニュージーランド
PRO/PL> Zebra chip, potato - USA, New Zealand: updates 20110915.2812
[1] 米国 Zebra chip hits Northwest
 情報源 Capital Press、2011年9月8日
毎年、米国南西部のポテト農家に多大な被害を与える病気 Zebra chip が、ワシントン Washington とオレゴン Oregon の両州で確認された ... Columbia Basin 南部の異なる5か所の畑の、5種類の品種 cultivars から検出された。アイダホ Idaho 州では確認されていない
[2] ニュージーランド Potato industry seeks help to survive crop disease
 情報源 Radio New Zealand News、2011年8月30日
Potatoes New Zealand [PNZ] は the tomato-potato psyllid 対策への政府補償の増額を求めている。2006年にニュージーランドで初めて確認された the insect pest により、約9800万米ドル相当の損害が発生していると述べた

● ブルセラ症 米国
PRO/AH/EDR> Brucellosis, bovine - USA (05): (MT) 20110915.2811
 情報源 Chron.com, Associated Press (AP) report、2011年9月13日
モンタナ Montana 州家畜当局者は13日、 Park County の1群のうちの6頭がブルセラ症 Brucellosis の検査で陽性となり、群れが検疫下にあると述べた

● 馬ヘルペスウイルス 北米
PRO/AH/EDR> Equine herpesvirus, equine - North America (13): (CA) 20110915.2810
 情報源 California Department of Food and Agriculture (CDFA)、2011年9月14日
 - Tuolumne County EHV-1 update 9月14日、新たに8頭で馬ヘルペスウイルス [of equine herpesvirus-1 (EHV-1)] 感染の症状が認められた
 - Sonoma County September 2011 outbreak 8月23日、a 15-year-old Oldenburg mare from Sonoma County のEHV-1 感染が確定された。

● 告示 Health status survey
PRO/ALL> Announcements (08): Health status survey 20110915.2815
 投稿者 University of Zurich、Dr Laurence Jacobs、2011年9月15日
the Center for Clinical Research of the University of Zurich Medical School のメンバーが、個人の健康スコアモデルの開発に取り組んでいる。体重やコレステロール値などの、biometric and anthropomorphic data を入れるだけのシンプルな方法で、健康状態が判るというものである。このモデルの開発にデータが必要なため、ProMED の許可を得て、以下のサイトからの協力をお願いする