2011年9月7日-9日

◎ リステリア症 耐熱性
◎ ヒストプラズマ症
◎ ボツリヌス症 創傷感染,治療
バベシア症 米国: 献血

◎ リステリア症 米国
PRO/EDR> Listeriosis, fatal - USA (02): (CO) 20110909.2746
 情報源 The Denver Post、2011年9月7日
週末 [3-5 Sep 2011] に3例のリステリア症 Listeriosis 患者が報告され、8月1日以降の患者数は合計 13人となった。Adams, Arapahoe, Boulder, Denver, Douglas,El Paso, Jefferson, Larimer, and Weld counties の各郡から報告されている。8月には2人が死亡した。先の6月の流行では2人が感染による死亡と診断されている。最新の流行の感染源は現在調査が行われており、患者間に明らかな関連性は見つかっていない。コロラド Colorado 州では年平均10人のリステリア症患者が発生する。州当局は調理が不十分なホットドック、肉のスプレッド、ソフトチーズ、スモークフィッシュなどの摂取の際は、十分注意するよう改めて呼びかけた。リステリア症の症状は、発熱、筋肉痛、下痢、頭痛、頸部項直、意識障害、痙攣などえ、妊娠女性で問題となることが多い。抗生物質により治療可能であるが、一部の患者は治療したにもかかわらず死に至る。免疫が低下した状態では、感染リスクが高くなり、健康人に感染することはまれである。this outbreak の患者の多くが30歳から90歳までで、特に高齢女性が多い。
[Mod.ML- the June 2011 outbreak of listeriosis in Colorado (20110605.1719) では、Hispanic or Latino heritage の3人の患者のうちの2人が死亡し、チーズ soft Mexican-style cheeses からの感染が疑われている。患者間の関連性が確認されないとされる現行の流行について genotyping of patient isolates が行われ、一致すれば共通の感染源が示唆される。
"リステリア症の原因菌 _Listeria monocytogenes_ は自然界に広く存在し,土壌、水中、貯蔵された牧草、生野菜、生肉、家禽、ミルク (殺菌済み[***]、生とも)、ソフトチーズ、台所と、多くの動物の消化管内から検出される。動物とは、ウシ、ヒツジ、ヒトや甲殻類 crustaceans、魚類、魚介類、ダニ、昆虫などである。ヒトの感染の多くが食品関連で発生するが、経胎盤もしくは経産道感染による母子垂直感染や、獣医師や農業従事者の皮膚感染も起きる。食品の汚染は、生野菜のように土壌や肥料からの汚染や、感染したウシの生のミルクなどのように、自然界で発生するほか、調理などで汚染されることもある。この病原体は、冷蔵庫内温度でも増殖可能であるため、冷蔵されていたミルクや肉、野菜によってリステリア症が発生しても、おかしくはない。生のミルクと生ミルクによるチーズ (such as, brie, camembert, and Mexican soft cheeses)、コールスロー、パテ pate、 deli meats、ホットドッグなどが感染源となってきた。分離されたリステリア菌 Listeria_ spp が DNA identification techniques で、感染源とされる食品の菌と一致すれば、犯人と分かる" *** 
_L. monocytogenes_ は熱に強いことが報告されており、殺菌処理の有効性への懸念が示されている (The effect of pasteurization on _Listeria monocytogenes_. Can J Microbiol 1958; 4(1): 55-61; abstract)。1983年の an outbreak of listeriosis では、pasteurized whole or 2 percent milk が感染源として示唆されている (Pasteurized milk as a vehicle of infection in an outbreak of listeriosis. N Engl J Med 1985; 312(7): 404-7)。ミルク製造工場での殺菌処理に落ち度はなかった上、全米700か所以上の製乳工場から殺菌処理済ミルクの 2% から、培養検査で_L. monocytogenes_ を中心とする、リステリア菌が検出されている。しかし、米国 CDC は数々の研究結果から、標準的なミルクの殺菌処理によりリステリア菌 _L. monocytogenes_ は不活化されるため、上記の報告にあるような殺菌処理済ミルクからの菌検出の原因は不適切な処理または処理後の汚染によるとしている (MMWR)]

◎ ヒストプラズマ症 英国,ウガンダから
PRO/EDR> Histoplasmosis, researchers - UK: ex Uganda, alert 20110908.2738
 投稿者 英・Royal Liverpool University Hospital、Dr Lucy Cottle、2011年9月7日
ウガンダでの生物学野外調査 biology field trip 後に、急性肺ヒストプラズマ症 acute pulmonary histoplasmosis と診断された英国在住の 22歳女性の患者について報告する。
患者は6月19日から 7月20日までの 1か月、コンゴとの国境に近いウガンダ西部 [Kabarole district] Fort Portal 近郊の熱帯雨林で、昆虫、霊長類およびコウモリについての調査を行っていた。最終週に一度だけ、同僚の学生とともにコウモリが多数生息する中空の樹木に登っている。
7月24日からのカナダ旅行中、8月1日にインフルエンザ様症状を発症し、乾いた咳や軽い労作性の息切れを感じるようになった。カナダで撮影された胸部 X 線検査で、び慢性粒状影 diffuse, miliary shadowing が認められた。誘発喀痰検査の AFB 染色は陰性だった。
8月22日に英国に帰国後も、労作性呼吸困難と胸痛は治まらなかった。Blackpool Victoria Hospital で再度診察を受けたところ、room air での酸素濃度が 93%、胸部レントゲン検査ではび慢性結節性陰影が残存し、右葉に壁の薄い空洞形成が疑われた。肺ヒストプラズマ症の疑いで Tropical and Infectious Disease Unit at the Royal Liverpool University Hospital に紹介され、血清学的検査で確定診断された。
ウガンダを訪れたこのグループの 24人のうち、ほか8人がそれぞれの国(英国でもう 1人と、オーストリア、スイス、オランダ、スウェーデン、ポーランド、南アフリカ、マダガスカルの各 1人) でヒストプラズマ症と診断された。8人はいずれも the bat-infested tree に登り、同じリスク因子への曝露を共有していた。この 9人以外に、このグループの 10人目の患者として、オランダ人 1名がケニアへの旅行中に粟粒結核と診断されている。報告した患者については the GeoSentinel Surveillance site への報告を行った。患者は治療を必要とせず自然に回復した。
[Mod.LL- Medscape より;
"_Histoplasma capsulatum_ は二形性真菌 dimorphic fungus の1種で、周囲の温度 ambient temperatures により菌糸状 mycelial のままとどまったり、哺乳類の体温で酵母 yeast として成長したりする。感染によりヒストプラズマ症 histoplasmosis が発生する。 histoplasmosis の病原真菌は世界中の温帯地方で確認されているが、米国内では the Ohio, Missouri, and Mississippi River valleys の各州に常在する。世界的に見ると北中米・東欧南欧・アフリカの一部地域・東アジア・オーストラリアなどの河川渓谷 river valleys に多く見られる。endemic for histoplasmosis の地域の土壌は、菌糸の生育に好適な、高濃度の有機物質を含む酸性湿性環境を与えている。コウモリや鳥類の生息する地域に近い場所で、高感染性土壌が確認される。
鳥類は真菌に感染することがあるが、感染伝播は起こらない: しかし、鳥類の排泄物が土壌に混じると菌糸の発育培地が富栄養化される。一方、コウモリは感染することもあり、また排泄物を介して histoplasmosis を感染伝播させることもできる。土壌の汚染により数年以上感染性が持続することもある。汚染土壌を掘り返す建設や再開発事業に伴ってアウトブレイク が発生してきた。
加えて常在地域への旅行でも、数百mも飛散する airborne spores による感染リスクがある。
感染した人の大部分 (約 90%) は無症状である。発病は免疫不全や大量に吸入した場合に多い。細胞性免疫に問題がある場合、治癒した肉芽腫 healed granulomas に潜伏し、再発することがある。 発病は曝露から3-14日後に発生し、発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、腹痛、悪寒などが多く見られる症状であり、大抵は自然治癒する。大量に曝露した場合、び慢性肺病変により重症呼吸困難をきたすことがある。
患者の5-6%関節痛と皮膚病変を認めるが女性に多い。5-10%に肺門および縦隔リンパ節腫大が認められる。咳、血痰、呼吸困難、胸痛などが見られることもあり、気道や循環への圧迫の程度による。傍気管への浸潤により、気管および気管支が圧迫され、咳や呼吸困難が生じる。"
アフリカヒストプラズマ症 African histoplasmosis は、真菌の _Histoplasma capsulatum_ var. _duboisii_ を原因とする全身感染症で、わずかな例外を除けば、アフリカ大陸中央部で発生し、西及び中央アフリカの特にナイジェリア、セネガル、コンゴ民主共和国、アンゴラに最も多い。The _duboisii_ variety は _H. capsulatum_ var. _capsulatum_ の平均2倍の大きさの酵母細胞を持つ。the _duboisii_ variant は概して、初期の肺病変よりも皮膚・骨・リンパ節への播種病変で気づかれることが多い。 2つの variants の播種は免疫が抑制された場合に起こりやすい]

◎ ボツリヌス症 米国 創傷、薬物関連

PRO/EDR> Botulism, wound, drug-related - USA: (TX)
Archive Number: 20110907.2730
[1] ヘロイン常習者3人が入院
 情報源 KRQE (New Mexico)、2011年9月2日
ニューメキシコ州保健局 The New Mexico Department of Health [NMDOH] は、創傷ボツリヌス症 Botulism と見られる、3人のヘロイン常習者の入院患者の調査に協力している。ボツリヌス症は、まれであるが死亡する可能性のある病気,wound botulism は創部に感染したボツリヌス菌が産生するトキシン toxin が原因で発症する。この3人はテキサス Texas 州で入院となっているが、汚染されたヘロインを使用していたと見られている。当局者はボツリヌス症を疑わせる症状や所見があり、特に薬物注射の既往がある場合は注意するよう医療関係者らに呼びかけている。
[2] 患者は4人に
 情報源 El Paso Times、2011年9月7日
市公衆衛生当局 El Paso Department of Public Health は、新たな wound botulism が疑われる患者の調査を開始しており、この疾患が疑われる患者は合計4人となった。今回の事例は、 black tar heroin の使用歴のある注射用薬物常習者であったことが6日明らかにされた ... 保健当局は、メキシコから輸入される a tainted batch of black tar heroin がボツリヌス症の原因ではないかと見ている。
[Mod.LL- 創傷ボツリヌス症 Wound botulism は、ボツリヌス菌 _Clostridium botulinum_ の芽胞が創傷に付着・発芽し、生体内で神経毒 botulinum neurotoxin が産生された場合に発生する。the wound botulism 患者の多くが注射による薬物常用者 injecting drug users (IDUs) である。意図してあるいは誤って、皮下や筋肉内に注射を行う IDUs では特に感染が起こりやすい。以前から Black tar heroin が米国や欧州における集団発生 clusters of wound botulism に関わってきた。このヘロインはアヘン opium poppy 栽培地域に近いメキシコを中心とした急造の製造所で生産される gummy black substance (粘着性の黒色物質) で、皮膚腫脹 skin popping と表現されるやり方で皮下に注射されることが多い。注射部位は判りにくくなるか、あるいは壊死や膿瘍を形成する。薬物が粘調であるため様々な希釈液 ("cutting" agents) が必要とされ、これがボツリヌス菌芽胞による感染源になると考えられる。ある調査によると wound botulism の発生は皮膚の清浄度、注射器具 the injection paraphernalia の衛生、針の共有には関係しない。
医師は下行性の弛緩性麻痺 descending, flaccid paralysis の患者を診察する場合には、常にボツリヌス症を考える必要がある。
抗毒素 Botulinum antitoxin は、病初期に用いればどの病型に対しても症状の軽減に有効であり、細菌学的検査の結果を待って使用が遅れてはならない。wound botulism の患者では、病原菌の除去と antitoxin treatment 後の再発回避のため、抗生物質治療外科的切除が必要である。ボツリヌス菌 _C. botulinum_ はペニシリン benzyl penicillin とメトロニダゾール metronidazole に感受性がある。Toxin type A (one of 7 types of botulinum toxin) は、米国内では食中毒と創傷ボツリヌス症のいずれにおいても,最も多い原因トキシンとなっている。toxin type A によるものは最も重症で、麻痺の進行が早く、高率に患者への人工呼吸器の装着が必要となる。すべてのタイプのトキシンは、運動ニューロン末端のシナプス前コリン作動システムに作用し、神経筋ジャンクションのアセチルコリン伝達をブロックする]

● バベシア症 米国

PRO/AH/EDR> Babesia - USA: blood supply 20110907.2729
 情報源 PRNewswire-USNewswire、2011年9月6日
US blood supply vulnerable to _Babesia_ infection spread by ticks
原著 Transfusion-Associated Babesiosis in the United States: A Description of Cases. Ann Intern Med. 5 Sep 2011.
輸血を介した,ダニ媒介性の赤血球寄生虫のバベシア _Babesia_ の感染が起きていることが、過去30年間のデータに関する調査で明らかになった。輸血関連のバベシア症は、1979年に初めて存在が確認されて以降増加している。the Annals of Internal Medicine に 6日掲載されたこの研究結果によると,1979-2009年の間に発生した 159人の transfusion-related babesiosis のうち、その多く (77%) が2000年から2009年にかけての患者だった。感染していながら体調に異常を感じていない献血者を拾い上げる,FDA が認可したスクリーニングのためのバベシア症検査はない。死亡する可能性もあるバベシア症は、輸血に関連して発生することもあるが治療可能である。重篤な転帰として多臓器不全や死亡があり、脾臓を摘出した患者や高齢者、免疫不全の患者に最も発生しやすい。著者はスクリーニング検査の開発などの対策を求めている。現在、複数のメーカーが献血時スクリーニング用の検査 FDA-approved tests for _Babesia_ の開発を進めている ... 
この病気はダニによって感染することが最も多く、ダニの刺咬対策も重要である ... 米国内のダニによるバベシア症患者は、ほとんどが the Northeast and the upper Midwest の7つの州 (in parts of Connecticut, Massachusetts, Minnesota, New Jersey, New York, Rhode Island, and Wisconsin) で発生し、1年中で暖かい季節に集中する。一方、輸血関連の患者は19の州で年間を通じて発生している。症状が軽いものだけでなく、重症患者であっても医師が想起しない場合はバベシア症の診断がつきにくく、同じく赤血球に感染するマラリアと間違えられることが多いと説明する。2011年 1月から届出疾患 nationally notifiable disease になった
[Mod.EP- スクリーニング検査がないため、著者らは輸血歴のある、溶血性貧血を伴った発熱患者ではバベシア感染を考慮すべきただと主張している。唯一の診断法は、マラリア同様、厚層塗抹標本の鏡検である。PCR for _Babesia_ spp の検査や、鏡検によるマラリアやバベシアの専門診断は、どこの病院でも行えるものではなく、可能な施設に検体を送らざるを得ないため、診断は難しい]

● マラリア ガイアナ
PRO/EDR> Malaria - Guyana
Archive Number: 20110909.2753
[1] Guyana coast at risk of malaria resurgence
 情報源 The Medical News、2011年9月9日
気候変動による気温上昇と雨量の増加に伴い、人口が密集する沿岸部で再び発生する恐れがあるため、ガイアナ政府当局はマラリア Malaria 感染の拡大防止に取り組んでいる。マラリア患者の大半が the small South American country の北西部で発生しているが、近年、東部と南部の内陸部や沿岸部でも報告されるようになった。6月の国連機関 the U.N. Economic Commission for Latin America and the Caribbean (UNECLAC) からの報告によると、2006年から2010年にかけて、降雨量と気温が上昇するたびに、マラリア患者が増加した(1mmあるいは1℃ごとに、11人の増加)
[2] 情報源 Alert Net、2011年9月7日
前半は [1]と同内容。1990年代前半から the Caribbean Community (CARICOM) の加盟国であるガイアナは、蚊帳の使用、マラリア薬教育、医療従事者のトレーニングを通じ、年間のマラリア患者数を 92000人から約 1万人にまで減少させる成功を収めていた。1950年代から 1960年代にかけて行われた、殺虫剤 DDT (dichlorodiphenyltrichloroethane) キャンペーンにより、北東部沿岸の人口密集地域では、蚊族が媒介するこの疾患が根絶されていた ... 気候変動の他、経済活動として短期労働者が金鉱山 (Cuyuni-Mazaruni 西部、Omai など) に入ることも、患者数増加につながっていることなど

● 狂犬病 中国
PRO/AH/EDR> Rabies - China (04): (Shanghai), canine, human 20110909.2752
 情報源 China Daily 、2011年9月9日
Rabies deaths on the rise in Shanghai
2011年の 8か月間に(上海)市内で 9人が狂犬病 Rabies により死亡した。昨年同時期の死者は1名だった。上海市当局は8日、イヌ咬傷によるリスクについて市民に注意を促した。上半期に2010年同期を40%以上うわ回る4万人以上が、イヌによる咬傷のため疾病センターを受診した。郊外における野犬や未登録のイヌによる咬傷がほとんどで、咬傷を受けた人の85%が上海に市民登録していなかった

● 手足口病 ベトナム WHO
PRO/EDR> Hand, foot & mouth disease - Viet Nam (08): WHO 20110909.2749
 情報源 World Health Organisation (WHO), West Pacific Region,: Representative Office in Viet Nam、2011年9月7日
Hand Foot and Mouth Disease in Viet Nam
ベトナム保健省 The Ministry of Health (MOH) は手足口病 Hand, foot & mouth disease の発生状況を注視している。1月から9月4日までに98人が死亡し、42763人の感染が確定診断されている。死者の3/4が、3歳以下の小児だった。

● B 型肝炎 インド
PRO/EDR> Hepatitis B - India: (KA Kerala) Kochi city, RFI
Archive Number: 20110908.2739
 情報源 The Times of India、2011年9月7日
Aluva and Paravoor districts から、6日新たに 8人の B 型肝炎 Hepatitis B の患者が報告された。感染流行は the Ernakulam district の他の地域にも広がり、当局は感染拡大防止策を実施しているものの、新たな患者発生により、その効果は疑問視されている。 Kothamangalam [another town located in an eastern part of Ernakulam district] でも、各地で感染患者の報告があり、当局は医療施設などの設置を開始した ...
[Mod.CP- B 型肝炎ウイルスの感染経路やどのような対策が実施されているのか、分からない]

● 炭疽 ザンビア
PRO/AH/EDR> Anthrax, human, hippopotamus - Zambia (03): (EP) 20110908.2737
 情報源 AllAfrica, Times of Zambia report、2011年9月8日
Chama District (Eastern Province) の炭疽 Anthrax 感染が疑われる患者数が、120人から278人に増えたことが、8月29日に保健省から発表された。現地 Eastern Province の医療当局者は7日,Chama において炭疽感染が直接関与した死者は5人であると述べた。地区内で炭疽により90頭以上のカバが死亡している。患者らはカバの肉に触ったり食べたりして感染したことが分かった。当局は Chama と周辺地域の住民に対し、感染拡大を防ぐため、狩猟で得た肉 game meat を食べないよう呼びかけている
[Mod.MHJ- カバの感染が止まらない限り、ヒトの感染は続くだろう]

● ブルセラ症 ウガンダ
PRO/AH/EDR> Brucellosis, animal, human - Uganda: (RR), RFI 20110909.2751
 情報源 AllAfrica、2011年9月8日
Legislators Issue Alert On Cattle Disease
議会 Members of Parliament (MPs) は 7日、国内各地でブルセラ症流行 outbreak [see commentary] of brucellosis が起きたことへの注意喚起を行った。特に Mbarara District の議員は、ウシからヒトに感染するこの病気への懸念を強め、政府の支援を求めている。生の製品によりウシからヒトに感染するため、時期を逸することなくワクチンを接種するよう訴えた。細菌の _Brucella melitensis_ に感染したウシやヤギなどからの、未殺菌ミルク、ghee 、チーズなどの摂取が原因となる。また、ヒトの不妊や流産の原因にもなると説明した ...
[Mod.AS- この記事にはいくつか不正確な記述が見受けられる。まず、現状は "outbreak" ではなく、継続的な憂慮すべき状況が増悪した結果である。ウシの病原菌として _B. melitensis_ が挙げられている; ウシに最も関係が深いのは _B. abortus_ である。_B. abortus_ (ウシに多い) も _B.melitensis_ (ヤギに多いがウシにも感染) もともに、ウガンダ国内に定着 endemic し、人獣共通感染 zoonotic の状態にある。Mbarara -- 国内で最も重要な酪農地帯 -- で以前に行われた調査でも,ブルセラ症 brucellosis が広く蔓延し、ウシの群れの 55.6 %、個体ごとで 15.8 %、群単位では (最大?) ­90 %に感染が広がっていた。 ウガンダ政府当局からの OIE へ報告 (2005-2010) には、the brucellosis の発生件数やワクチン接種状況などの情報は記載されていない]

● 炭疽 イタリア,スロベニア・否定(2件)
PRO/AH/EDR> Anthrax, livestock - Italy: (Southern Italy) 20110909.2750
 投稿者 伊・Istituto zooprophilattico Sperimentale della Puglia della Basilicata、Antonio Fasanella、2011年9月9日
Campania と Basilicata に挟まれた地域 (South Italy) で、5件の炭疽 Anthrax 感染流行が報告されている。うち3件がウシで、ヒツジとウマが各1件である。ヒトの感染はない。genotype the isolated strains を行っている。

PRO/AH/EDR> Anthrax, bovine - Slovenia (02): (NE) NOT 20110909.2748
Cattle not infected with anthrax; all measures therefore terminated
 情報源 RTV SLO [in Slovenian]、2011年9月8日
Vitanje 市で現地獣医師が5日に炭疽と診断したウシ1頭について、新たに行われた検査は逆の結果と判明した。このウシのいた農場への措置が解除された。

● 鳥インフルエンザ インド OIE
PRO/AH/EDR> Avian influenza (57): India (Assam) new outbreak, OIE 20110909.2747
 情報源 OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2011; 24(36)、2011年9月8日
Highly pathogenic avian influenza, India immediate notification
感染開始時期 2011年8月29日
前回流行時期 2011年7月4日
原因ウイルス highly pathogenic avian influenza virus Serotype: H5N1 
新たな感染流行
発生地  Bhamondanga Pt-1, Agomoni, Dhuburi, Assam 農村
感染した種 Species / 個体数 / 症例数 / 死亡数
Birds / 34 313 / 1436 / 1436
Affected population: 庭先飼育の家禽

● コーヒーの病気,Thread blight インド
PRO/PL> Thread blight, coffee - India: (KA) 20110909.2745
 情報源 The Hindu Business Line、2011年9月6日
Continuous rain leads to berry drop in coffee
the Karnataka Planters Association (KPA) によると、コーヒー栽培地域では、8月の最後の10日間に降り続いた雨により、アラビカ arabica 種の実が落下したうえ、black rot が発生する、二重のトラブルに見舞われている。さらに、カリウムを基本とする肥料が不足していることも、落果の原因となっている。Black rot (koleroga) は、高湿環境で発生しやすい
[Mod.DHA- 真菌の _Corticium koleroga_ (previously _Pellicularia koleroga_, _Ceratobasidium noxium_) は、コーヒーのほか、柑橘類や henna などの熱帯や亜熱帯の植物の thread blight (also called black rot) の原因となる]

● アメリカ腐狙病、養蜂 ニュージーランド
PRO/AH/EDR> American foul brood, apiary - New Zealand: (HB) 20110909.2744
 情報源 Radio New Zealand News、2011年9月6日
Outbreak of bacterial disease in Hawke's Bay hives
養蜂協会長 The Hawke's Bay Beekeepers は、地域内の深刻な腐蛆病流行 significant outbreak of American foul brood disease 発生に関して、農業当局 the Ministry of Agriculture and Forestry [MAF] による無責任な養蜂業者の告発 (公表? prosecute) が必要との見解を示した。ニュージーランドで1877年に初めて確認されたこの細菌性疾患は、ハチの子の病気 the brood diseases の中で最も広い範囲で発生があり、危険である。Napier の南部郊外の the Waiohiki area で発生した流行により、 30 hives が焼却処分に追い込まれた。問題は、当局が一切 prosecute しようとしないことで、2010年にある養蜂家が、5から7か所で死滅したハチの群れ(巣箱) dead hives を発見したが、 prosecute されなかった。春に hives の死滅が確認されたことは、何ヶ月も American foul brood に感染していたことを意味する。感染発生箇所から数kmの範囲内の、感染のない巣箱にも影響が出る可能性があるとしている。
[Mod.TG- American foul brood (AFB) は、幼虫段階 the larval stage のミツバチ _Apis mellifera_ や他の_Apis_ spp に感染する病気で、これらの種が飼育されている世界中の地域で発生が確認されている。病原菌 _Paenibacillus larvae_ はグラム陽性細菌で、感染した幼虫の体内で10億個以上の芽胞を産生する。先端が丸く、直線あるいは時に曲がった桿菌で、サイズはまちまち (幅 0.5 micron 長さは 1.5 から 6 micron) である ... 感染は、 nurse bees もしくは幼虫の細胞内に残る芽胞により伝播される。孵化から53時間以上経過した幼虫には感染しない]

● 小反芻獣疫 イスラエル OIE
PRO/AH/EDR> Peste des petits ruminants - Israel: (HA) OIE, RFI 20110908.2742
 情報源 OIE-WAHID Weekly Disease Information Vol. 24 - No. 36、2011年9月7日
Peste des petits ruminants, Israel Immediate notification 
感染開始時期 2011年8月28日
前回流行時期 2006年2月
原因ウイルス  Peste des petits ruminants [PPR] virus
新たな感染流行
発生地 HAIFA (UMM AL-FAHM, Hadera)
感染した種/頭数/ 感染数 / 死亡 / Destroyed/ Slaughtered
ヒツジ Sheep / 54 / 13 / 5 / 0 / 0
アウトブレイクの原因 違法な生きた動物の持ち込みなど

● 大量死、鳥類 ロシア
PRO/AH/EDR> Die-off, avian - Russia (02): (KX) wild bird, botulism 20110908.2736
 情報源 Komsomolskaya Pravda [in Russian]、2011年9月5日
Mass bird mortality in a popular Siberian lake due to lethal toxin
人気リゾートの Lake Tagar [Minusinsk district, Krasnoyarsk krai territory] で、2週間に約600羽のダックが死亡した。獣医学当局者は原因究明を急いでいる。1年前にも同じ9月に同じ場所で大量死が発生し、約2000羽のダックが被害を受けたが、原因不明のままである。今回専門家らにより、湖内の植物の有機的腐敗によりボツリヌス菌 _Clostridium botulinum_ が発生していたことが判明した。
参考情報 avian botulism 20100709.2294

● パラミクソウイルス、ハト オーストラリア
PRO/AH/EDR> Paramyxovirus, pigeons - Australia: (VI) 20110908.2735
[1] 6つの群れのハトの80-90%が死亡した
 情報源 Adelaide Now、2011年9月7日
South Australian (SA) の家禽飼育業者らは、中国で発見されたのと同じ新種の家きんのウイルスの発生による影響を懸念している。The avian paramyxovirus がオーストラリアで初めて発生し、広い範囲のハトで被害が発生している。当局はハト愛好家ら pigeon fanciers に対し,ウイルス感染の拡大防止のため飛行させないよう求めている ... the avian paramyxovirus は家きんのニューカッスル病 Newcastle disease と類似し、Australia ではこれまで報告されたことがなかった。Victoria 州北西部 the Shepparton district とメルボルン Melbourne でレース用とショーを含む6つの群れのハトの80-90%が死亡した ...
[2] オーストラリアでの確認はこれが初めて
 情報源 The Age、2011年9月6日
ヒトにも感染する可能性のある、まれなウイルス A type of avian paramyxovirus により、ビクトリア州のハトが大量に死亡した。オーストラリアでの確認はこれが初めてであった ... ヒトの感染では軽症で短期間の結膜炎やインフルエンザ様症状しか起こさない、と説明されている
[3] 商用家禽にワクチン接種
 情報源 ABC News (Australian Broadcasting Corporation)、2011年9月7日
ハトを死亡させるウイルスの感染が、他の鳥類に波及する可能性が出ているため、ビクトリア州政府当局は検疫体制をとる事になった。商用家禽業者らは、ワクチン接種を行った ...
[4] 同内容
 情報源 Xinhua News Agency、2011年9月6日
[Mod.TG- Pigeon paramyxovirus type 1 (PPMV-1) は Newcastle disease virus (NDV), に非常に近い関係にあるウイルスで、同じ _Paramyxoviridae_ 科に分類され、 paramyxovirus type 1 と呼ばれる同じ serotype に含まれている。抗体刺激に対する抗原性のはっきりした違いで、両者を鑑別することは可能である。1970年代後半に中東のハトから初めて分離された PPMV-1 は、その後北アフリカ中に広がり、1981年にイタリアから報告され世界中に広まった。PPMV-1 はハト pigeons, ドバト doves や観賞用の鳥類でも確認されている。PPMV-1 はニワトリからハトへの感染伝播が繰り返された結果生じた a variant form of NDV of chickens である可能性が指摘されている]

● 口蹄疫 イスラエル,ナミビア(2件)
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - Israel (15): OIE, resolved 20110907.2734
 情報源 OIE-WAHID Weekly Disease Information Vol. 24 - No. 36、2011年9月6日
Foot and mouth disease, Israel, Follow-up report No. 6 (Final report).
感染開始時期 2011年4月17日 [an earlier single outbreak started 1 Mar 2011].
終息時期 2011年9月1日
原因ウイルス Foot-and-mouth disease virus, Serotype: O.

PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - Namibia (02): (OD) buffalo, conf, RFI 20110907.2731
 情報源 AllAfrica, New Era report、2011年9月7日
2頭のバッファローが検査の結果、口蹄疫 foot-and-mouth disease (FMD) に感染したことが判明し、Okakarara [Otjozondjupa Region] の住民らは21日間の検疫期間中、生活の糧であるウシの販売を禁止されている

● 原因不明の真菌、アーモンド スペイン
PRO/PL> Undiagnosed fungi, almond - Spain: (AN Andulsia) 20110907.2728
 情報源 FreshPlaza、2011年9月5日
Almeria almond production fell 70 percent
[小規模栽培農家の組合である] the UPA-Almeria は、州内のアーモンド生産量が70%減少したことを認めた。原因は、霜により開花が妨げられたことと、真菌の発生である
[Mod.DHA- Almond (_Prunus dulcis_) やその他の核果 (_Prunus_ species) には、多種多様の病原真菌が感染するが、上記記事では、他の核果には触れられていない]