2011年11月25日

カンピロバクター症 英国、ホテル

● カンピロバクター症 英国
PRO/AH/EDR> Campylobacteriosis - UK (02): (England), hotel guests 
Archive Number: 20111125.3452
 情報源 BBC、2011年11月25日
10月に Greater Manchester の5つ星ホテル The Lowry Hotel in Salford での charity dinner 参加後、宿泊客80人がめまいと嘔吐を訴えた ... 保健当局 the Health Protection Agency (HPA) によると、宿泊客らの症状は細菌のカンピロバクター campylobacter によるもので、調理が不十分であった肉が原因と見られている。
[Mod.LL- campylobacteriosis の最も多い症状は発熱下痢だが、噴水状の嘔吐 prominent vomiting や血性下痢が認められることもある。さらに腸管感染 enteric campylobacteriosis 後にギラン・バレー症候群 Guillain-Barre syndrome が発生することもある。ヒトの感染では、十分加熱されなかった鶏肉が原因となることがほとんどである。
嘔吐の症状に関する文献 (Investigating vomiting and/or bloody diarrhoea in Campylobacter jejuni infection. J Med Microbiol. 2006;55: 741-746) では、摂取した菌量が関係することが示唆されている。
要約:
"_Campylobacter jejuni_ infection は、下痢、全身倦怠、発熱、腹痛を伴う、急性腸炎の症状を示すことが多く、嘔吐や血性下痢の報告は少ない。異なる臨床症状の原因となる、宿主・病原体・環境因子を明らかにするため、検査で確定診断された _Campylobacter jejuni_ cases について、嘔吐や血性下痢が認められた症例といずれの症状も認められなかった症例の比較を行った。単変数解析 Single variable analysis とロジスティック回帰分析 logistic regression を採用した。Explanatory variables には、食品、水、環境リスクが含まれている。嘔吐や血性下痢を訴えた症例は病悩期間が長く、入院を要する可能性が高い傾向が見られた。
"独立した危険因子として、小児、女性、鶏肉以外の家禽、パック済みサンドイッチ、ソーセージの摂取と、エンジニアの作業と飲料水の問題が認められた。煮沸しない水道水摂取とこれらの症状との間にも用量反応関係が認められた。嘔吐と血性下痢は、より重篤な疾病予後を反映し、宿主の感染感受性 and/or 感染した菌量 infective dose に関係する可能性がある。England and Wales において煮沸しない水道水が、 _C. jejuni_ infection にどのような役割を果たしているかについては、さらに検討が必要である" ]

● ハンタウイルス チリ
PRO/EDR> Hantavirus update 2011 - Americas (46): Chile (AR) 20111125.3450
 情報源 BioBio Chile [in Spanish]、2011年11月22日
La Araucania において、4例目のハンタウイルス Hantavirus 感染による死者が確認された。the rural sector of Pitrufquen 在住の32歳の女性1名である。12日に発病し、15日に地域の医療機関を受診し、翌日 the Temuco Regional Hospital に搬送され入院となり、ハンタウイルス迅速検査で陽性が確認された。発症から4日目の16日に死亡した。地域当局者 The Araucania Health SEREMI [Secretaria Regional Ministerial de Salud; government administrative agency] によると、この地域内では2011年になって7例のハンタウイルス感染が報告されており、この患者が死亡したことにより死者は4例となった。
[Mod.TY- ... Andes virus と考えられ、通常は感染したげっ歯類の排泄物や尿から感染するが、まれに非常な濃厚接触による human to human transmission of Andes virus も起こりうる]

● 病原性大腸菌 O157 米国,未殺菌ミルク
PRO/AH/EDR> E. coli O157 - USA (10): (WA) unpasteurized milk, recall 20111125.3449
 情報源 Tacoma (WA) News Tribune 、2011年11月24日
Tenino にある The Cozy Vale Creamery 社製 whole and skim milk and cream が,重症消化器疾患の原因菌による汚染の恐れがあるとして回収が行われている。7 retail outlets in Pierce, Thurston and King counties [in the state of Washington] に流通している。消費期限は12月6日またはそれ以前の製品で、ワシントン州農業当局 Washington State Department of Agriculture による施設環境調査 environmental swabbing at the facility で、搾乳室 the milking parlor および製造エリア processing areas で、毒素産生性大腸菌 toxin-producing _E. coli_ [O157] bacteria による汚染が確認されたため、回収されることとなった ... 8月以降 3人の Cozy milk customers の患者が報告されている。
参考項目 20071108.3629

● インフルエンザ 米国 H3N2、WHO
PRO/AH/EDR> Influenza (71): USA (IA) swine-origin H3N2 reassortant, WHO 20111125.3448
 情報源 WHO Global Alert and Response (GAR) Disease Outbreak News、2011年11月24日
Influenza like illness in the United States of America
米政府当局から3例のブタインフルエンザ swine origin triple reassortant Influenza A H3N2 患者について報告されている。11月10日から13日にかけて、小児3人(11ヶ月、2歳、3歳)が発熱性呼吸器疾患を発症し、全員がアイオワ州 Iowa State 内の同じ医療機関を受診していた。いずれの患者も入院を必要とせず、回復した。18日に the State Hygienic Laboratory at the University of Iowa で実施された検査により、 a swine-origin triple reassortant influenza A (H3N2) (S-OtrH3N2) virus が確認され、同20日に sequencing at the Centers for Disease Control and Prevention (CDC) によって追認された。3人は同じ保育施設に通園していた。現在も調査が続けられているが、いずれの患児にもブタとの疫学的関連性は確認されていない。他の園児、家族、接触者らの感染やブタとの接触の有無について、さらに調査されている。2009年以来、米国内で確認された 16th, 17th, and 18th cases of human infection with swine origin triple reassortant influenza A (H3N2) であり、2011年では8~10例目となった。

● 黄熱 ブラジル,サル
PRO/AH/EDR> Yellow fever - South America (02): Brazil (MG), monkeys 
Archive Number: 20111125.3453
 情報源 Reporter MT [in Portuguese]、2011年11月7日
クイアバ保健当局 Cuiaba Health Surveillance が、10月21日-28日の期間に the Jardim Aquaius neighborhood で起きた11頭のサルの死亡について調査を開始した。保健当局は、1頭でも霊長類の死亡が発生すれば、ヒトの黄熱 yellow fever [YF] 感染発生の恐れがあるとして、注意を呼びかけることになっている。中毒の可能性についても調べている。検査結果が判明していない段階で、当局は都市型 YF 発生防止のための対策を進めている。ブラジルでは、1942年以降、都市型感染は発生していない。黄熱ウイルスのベクターは、_Hemagogus_ and _Sabathes_ mosquitoes である ...
> 1992 - 2006 年の間に Mato Grosso 州で22 cases of yellow fever が発生し、うち13人が死亡した。2007年に州内の the Juara 市で1例; 2008年に 2 cases in Novo Sao Joaquim and Guaranta do Norte;さらに 2009年に 2 cases in Feliz Natal が発生した。2010年、2011年は報告されていない。

● 原因不明の疾患、ウシ ドイツ、オランダ
PRO/AH/EDR> Undiagnosed illness, bovine - Germany, Netherlands (03): update, RFI 20111125.3451
 投稿者 オランダ・Animal Health Service、Jet Mars、2011年11月24日
Undiagnosed bovine illness in Germany and the Netherlands
8月、Deventer の動物衛生当局 the Animal Health Service が the Eastern part of the Netherlands の複数のウシ農場において,多数のウシの重症下痢症、発熱、泌乳低下を確認した。the Animal Health Service and the Central Veterinary Institute of the Wageningen University and Research Centre (in Lelystad) において、下痢が見られたウシの便検体について診断検査が実施された。(RT)PCR, 培養検査 culturing techniques, 電子顕微鏡検査 electron microscopy and マイクロアレイ microarray screening with the EPIZONE-Biochip 5.1 (約 2000 種類の virus species をカバーする molecular probes が含まれる) などが行われたが、観察された臨床症状を説明できる病原体は同定されなかった ... 10月以降、定常レベルに落ち着いている。North Rhine-Westphalia で最近報告された症例とは、独立した事例 a different phenomenon と考えられる。

● Q 熱 オーストラリア
PRO/AH> Q fever - Australia (05): (QL) 20111125.3447
20111124.3434 に関し。
 投稿者 Dr Jaimie Frazer、2011年11月25日
Serological evidence of _Coxiella burnetii_ infection in dogs in a regional centre. Austral Vet J 2011; 89(10): 385-7.を紹介。
要約
(結語) ペットのイヌの間で _C. burnetii_ infection が確認されたことより、イヌの飼い主や獣医師らに対する公衆衛生上の影響が示唆された。This study is the 1st known investigation of _C. burnetii_ seroprevalence in dogs in Queensland.

● 流行性出血病、シカ科-米国
PRO/AH/EDR> Epizootic hemorrhagic disease, cervids - USA (14): (NC) 20111125.3446
 情報源 StarNewsOnline 、2011年11月22日。
ノースカロライナ州野生動物当局 the North Carolina Wildlife Resources Commission は、州内のシカの間で出血性疾患が再び発生しているものの、小規模であり、ハンティング活動への影響はないとしている。最も新しい流行性出血病の大流行 The last major outbreak of epizootic hemorrhagic disease, or EHD が発生したのは2000年のことであるが、ウイルスは常に the white-tailed deer population の間に存在していると説明した。大流行はおよそ10年周期で起きているが、今回の発生はどちらかといえば小規模である、と説明されている