2011年11月5日

◎ 野兎病-オーストラリア、ヒト・ポッサム
◎ チフス菌,キノロン耐性機序
ウエストナイルウイルス-インド

● ボツリヌス症-米国: 魚の燻製、フィリピンから
PRO/EDR> Botulism, smoked fish - USA: risk, recall, ex Philippines 20111105.3300
 情報源 Oregon Live 、2011年11月4日。
カリフォルニア California 州の輸入業者 Foremost Foods International, Inc. of Pomona California 社がフィリピンから輸入された海産物の燻製の自主回収を開始した。同社によると Washington, Nevada and California の各州の Seafood City and Manila Seafood stores を通じて販売された、商品名 Roundscad Smoked Galunggong および Mackerel Smoked Hasa Hasa を回収している。これら商品は2010年3月から2011年10月までの期間に、透明のプラスティック製真空パックで売られていた。FDA による検査で、ボツリヌス菌_Clostridium botulinum_ が確認されたための措置であるが、今のところ患者の報告はない。
[Mod.LL- Galunggong は the Philippines で多く食べられている。the galunggong fish は英語で the blue mackerel scad, round scad または the shortfin scad と呼ばれることが多いが、ムロアジ科 the Decapterus family の他の魚類に対しても用いられる。フィリピンでは一般的に、体長の短い マアジ mackerel を Hasa Hasa と呼んでいる]

◎ 野兎病-オーストラリア、ヒト・ポッサム
PRO/AH/EDR> Tularemia, human, possum - Australia: (TS), RFI 20111105.3299
[1] 情報源 XinHuaNet 、2011年11月4日。
タスマニア Tasmania, Australia において、これまで南半球で確認されたことのなかったまれな疾患の野兎病 tularaemia が確認されたことが、4日当局 state Deputy Director of Public Health から公表された。タスマニア州西部でポッサム possums に襲われた女性2名が野兎病に感染した。北米や欧州とアジアの一部ではよく知られている病気であるが、今回のタスマニアの症例は、南半球では初めての感染例と考えられている ... いずれの患者も完治したが、野生動物との接触には注意し、擦過傷や咬傷を負った場合には医師に相談するよう呼びかけられている。
[2] 情報源 Tasmania Department of Health and Human Services 、2011年11月4日。
western Tasmania でポッサムに襲われた2人がまれな感染症に罹患した経緯についての調査が開始された。野兎病菌 _Francisella tularensis_ の感染症である野兎病の診断には、特殊な検査が必要とされる。今回の同菌の特異株への感染は、南半球初の事例と見られている。野兎病菌 the _Francisella tularensis_ には多数の株が知られているが、タスマニアの患者は軽症型に感染したことが分かった。2011年中に the Queenstown-Zeehan area のポッサムに咬傷や擦過傷を負わされ、創傷部位の皮膚とリンパ節に持続感染の症状が認められた ...
[Mod.LL- 野兎病の病原体である野兎病菌 _Francisella tularensis_ は、ヒトを含む数多くの動物種に感染することが知られている通性細胞内病原体であり、カテゴリー A のバイオテロエージェントでもある。野兎病菌は _Francisella tularensis subsp. tularensis_, _F. tularensis subsp. holarctica_, and _F. tularensis subsp. mediasiatica_ の亜種に分類され、病原性や地理的分布に違いが見られる。 _Francisella novicida_ は公式に the _Francisella_ genus 属内の他種と独立した種と認められており、DNA hybridization experimentst によって 4th subspecies of _F. tularensis_ と考えられている。生命の危険のある type A tularemia の原因となる _F. tularensis subsp. tularensis_ が確認されているのは、北米のみである。これより症状の軽い type B tularemia の原因菌である _F. tularensis subsp. holarctica_ は、北半球の広い範囲で確認されている。_F. tularensis subsp. mediasiatica_ は _F. tularensis subsp. holarctica_ と同程度の病原性を有しているが、中央アジアだけに限局している。_Francisella tularensis subsp. novicida_ は最も病原性が弱い亜種 the least virulent subspecies で、北米でまれに確認されているほか、かつて1度だけ the Northern Territory of Australia から報告された。2003年のこの報告( Characterization of a novicida-like subspecies of Francisella tularensis isolated in Australia. J Med Microbiol. 2003;52: 839-842)では、同地域の汽水に浸っていた下肢創傷から検出された "novicida-like" subspecies of _F. tularensis_ についての記述がある。8年前にこのような報告があったことから、豪州ではじめての the 1st isolation of _F. tularensis_ ではなく the 1st in Tasmania である]

● インフルエンザ 米国,イタリア
米国 ブタ由来 H3N2
PRO/AH/EDR> Influenza (66): USA swine-origin H3N2 reassortant, update 20111105.3298
More human cases of flu with new swine virus
 情報源 The Record.com and the Canadian Press、2011年11月4日。
米国内で新たに、ブタから(種を飛び越えて) ヒトに感染したインフルエンザ Influenza ウイルスによる2例の患者が確認された。4日、the Centers for Disease Control and Prevention (CDC) が明らかにした。 Maine and Indiana 州で2名の感染が明らかになったことにより、7月以降の国内の患者数が7人となった。カナダでの感染は確認されていない ...
[Mod.CP- 現在米国内で 7 cases (6 children and an adult) of infection with an influenza virus ; 2 in Maine, 3 in Pennsylvania and 2 in Indiana が確認されている。各症例間の関連性は確認されていないが、大部分にブタとの濃厚接触が認められている。ウイルスが、ヒトからヒトに感染伝播したとの証拠はなく、家族内発生も認められていない。 the swine H3N2 virus は、ブタの体内で共感染 co-infected with swine H3N2 and the H1N1 strain が発生した際に、the pandemic H1N1 virus から M 遺伝子 M gene (by sub-unit reassortment) を獲得した可能性がある]

イタリア
PRO/EDR> Influenza (65) - Italy : (VO), A & B co-infection 20111105.3293
Influenza in the Italian Veneto Region
 情報源 7th Space Initiative、2011年11月3日。
October 2010 から April 2011 にかけて the Italian Veneto Region で1403人の入院患者に対してインフルエンザウイルス感染の検査 specific real time RT-PCR が行われ,327 samples が positive for either influenza A (75 percent) or B (25 percent) viruses だった。検査陽性の患者のうち、患者2人が co-infected by A/H1N1v and B viruses だった。influenza A and B viruses の共感染はまれながら、自然発生し病原性を有する可能性がある 

● ヘンドラウイルス-オーストラリア 
PRO/AH/EDR> Hendra virus, equine - Australia (12): human risk 20111105.3297
Hendra human risk alert 'failure'
 情報源 Weekly Times Now 、2011年11月4日。
保健当局は、臨床症状を伴うことなく、ウマからヒトにヘンドラウイルス[感染] Hendra virus [infection] が発生する可能性があることについて、9ヶ月間にわたって注意喚起を行っていなかった。1994年以降、感染した7人中4人が死亡したコウモリが媒介する同疾患について保健当局 the Department of Primary Industries and Fisheries が,市民に対するリスク周知を行っていなかったことが明らかになっても適切に対処しなかった点を、オンブズマンの1人が指摘している。今年(2011年)になって Queensland and New South Wales 両州の広い範囲で18件のアウトブレイクが発生する以前に、2006年から2009年の期間中に 6件の集団発生 6 clusters が発生し、2人の獣医師が死亡した時の政府対応に関する報告でシステム上の問題が指摘されている。報告によると Queensland Health が Primary Industries に対して、無症候性のウマからのヘンドラウイルス感染に関するリスクを伝えたのは2008年7月28日であった。同年8月と11月に、獣医師へのガイドラインの更新が行われているが、リスクについては2009年4月まで触れられていなかったとされる

◎ チフス菌,抗生物質耐性-インド

PRO/EDR> Antibiotic resistance, Salmonella typhi - India (02): (Mumbai) fluoroquinolones 20111105.3296
20111031.3235 に関し。
 投稿者 ネパール・Oxford University Clinical Research Unit、Dr. Amit Arjyal、2011年11月3日。
Lilavati and Hinduja hospitals in Mumbai の医師らが、初期の10日間、経口薬 (詳細不明) による治療に反応しなかった耐性チフス症例について報告した。腸チフス enteric fever  (_Salmonella enterica_ serovar Typhi, or _Salmonella enterica_ serovar Paratyphi A)  の治療は、薬剤耐性の蔓延により東南アジア各地で困難になりつつある。しかしワクチン available and affordable vaccines の使用や、公衆l衛生対策の実施に取り組む国はわずかである
[Mod.ML- ciprofloxacin などの古いフルオロキノロンに比べ、gatifloxacin などの 8-methoxy fluoroquinolones は、both fluoroquinolone enzyme targets, DNA gyrase and topoisomerase IV に対し同等の活性を有するため、8-methoxy fluoroquinolones への耐性獲得にはいずれの酵素も標的とするようエンコード化された遺伝子変異が必要となる。以前にフルオロキノロンに曝露したことのない野生株 wild-type strains においてこのような変異が起きる確率は非常に低い。topoisomerase- and gyrase-encoding genes に重大な変異が起きたとしても、the 8-methoxy fluoroquinolones は high levels of in vitro activity  を保持し続ける。さらにくみ出しポンプの過剰発現 overexpression of efflux pumps があっても、the MICs of 8-methoxy fluoroquinolones への影響はわずか minimal effect である。従って gatifloxacin などの抗生物質の耐性菌が出現する可能性は低いと考えられる。しかし the selective pressures imposed by their increased use による the 8-methoxy fluoroquinolones 耐性菌のまん延への注意は重要である]

● ウエストナイルウイルス-インド
PRO/AH/EDR> West Nile virus - Eurasia (13): India (KL) 20111105.3295
 情報源 The Hindu、2011年11月3日。
日本脳炎 Japanese encephalitis (JE) 類似の感染流行が,ウエストナイル熱 the West Nile [WN] fever 感染流行であることが確認された ... 非公式ながら the presence of WN in Alappuzha が報告されている。  
[Mod.TY- the 1st ProMED report of West Nile virus occurrence in India であるが、Emerging Infectious Diseases では  "インド国内で初めてのヒトの WNV 抗体が確認されたのは Bombay in 1952 で、南部、中部、西部でウイルスの活動性が報告されている。インド国内では _Culex vishnui_ mosquitoes in Andhra Pradesh and Tamil Nadu, from _Cx. quinquefasciatus_ mosquitoes in Maharashtra の蚊族と、Karnataka State のヒトから ウイルスWNV が確認されている" と報告された]

● チクングニア熱-インド
PRO/EDR> Chikungunya (25): India (Delhi) 20111105.3294
 情報源 IBN、2011年11月3日。
気温が低下したにも関わらずデング熱患者が増加していることに加え、チクングニア熱 chikungunya 患者も54人に増えたことを、市当局 Municipal Corporation of Delhi (MCD)が懸念している

● リステリア症-米国、マスクメロン
PRO/AH/EDR> Listeriosis, fatal - USA (14): cantaloupe, more cases & deaths 20111105.3290
 情報源 Reuters、2011年11月2日。
リステリア菌 _Listeria_汚染のマスクメロンによる米国内の死者が、新たな1人を加え29人となったことが、2日、the Centers for Disease Control and Prevention (CDC) から発表された。Colorado-based Jensen Farms の、Whole or pre-cut Rocky Ford-brand cantaloupe が原因とされ、28州の139人が発病した

● 口蹄疫-台湾 ,ブタ
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease, swine - Taiwan (03): (PH ex mainland Taiwan) 20111105.3292
COA contains foot-and-mouth disease outbreak in Penghu pigs
 情報源 Chinapost 、2011年11月4日。
Penghu County の子ブタ5頭で口蹄疫 foot-and-mouth disease [FMD] 感染と見られる水疱が確認されたことが、3日当局から報告された。10月30日、郡当局が5頭の子ブタの感染を確認した。これらの子ブタは台湾本島から輸入された

● インフルエンザ、イヌ-米国
PRO/AH/EDR> Influenza, canine - USA (05): (TX) 20111105.3291
Texas sees rise in canine flu cases
 情報源 Todays THV、2011年11月3日。
9月以降 San Antonio, Texas において、30頭の犬インフルエンザ canine influenza "A" 感染が確認されている。ほか70頭についても H3N8 とも呼ばれる、このインフルエンザへの感染が疑われている