2011年11月7日

原因不明の人獣共通感染症、ヤギ-ブルンジ タンザニアから
ダニ媒介性脳炎-オランダ,オーストリアから
原因不明の発熱性疾患-インド

● 原因不明の人獣共通感染症、ヤギ-ブルンジ タンザニアから
PRO/AH/EDR> Undiagnosed zoonosis, caprine - Burundi ex Tanzania: susp. RFI 20111107.3319
 情報源 IWACU - The voice of Burundi [in French]、2011年10月26日。
9月以降,Giharo 市ではヤギ肉の摂取が行われなくなっている。ウイルス性疾患が原因で300頭以上が処分された。保健当局者は処分が唯一の解決策と述べている。Rutana の農業家畜当局 The Provincial Directorate of Agriculture and Livestock [DPAE, Direction provinciale d'agriculture et de l'elevage] は、ウイルス性疾患を理由にヤギとヒツジの肉の摂取を禁止している。特に、越境してきたとされるタンザニアとの国境地帯の住民にとって重要だと説明されている。汚染肉を摂取することでヒトにも感染する、と警告されている。タンザニアから輸入され NGO が分与したヤギが発病したとの証言もあり、このNGO が治療に抗生物質を使用しない点から、ウイルス性疾患であるとの疑いがもたれている ...
[Mod.AS- 小型反芻動物が感染する人獣共通感染のウイルス疾患であるとすれば、リフトバレー熱 Rift Valley fever (RVF) とクリミアコンゴ出血熱 Crimean-Congo hemorrhagic fever (CCHF) の可能性が高い。タンザニアにおける最新の RVF 感染流行が記録されたのは2007年である。食中毒が原因であれば、細菌、とりわけブルセラ菌 _Brucella melitensis_の関与も考慮すべきである。2011年より前にも、ブルンジ北部から undiagnosed epizootic in goats が報告されている (20110917.2830)]

● ダニ媒介性脳炎-オランダ,オーストリアから
PRO/AH/EDR> Tick-borne encephalitis - Netherlands ex Austria 20111107.3318
オーストリアから帰国した2人のオランダ人旅行者が感染した、ダニ媒介性脳炎
 情報源 Eurosurveillance, Volume 16, Issue 44, 、2011年11月3日。
ダニ媒介性脳炎 Tick-borne encephalitis (TBE) はオランダ国内には常在せず、診断されることもまれな疾患である。今回、7月と8月にオーストリアから帰国した2人のオランダ人旅行者に発生した TBE の事例について報告する。TBE virus endemic regions から帰国し、神経学的症状を伴う患者の鑑別診断として travel-related TBE を含めることが重要であることを指摘したい ... 2006 年から 2011年までの期間に the Netherlands Centre for Infectious Disease Control では年平均で 17例 per year (range 9-25) が診断されている ... 疫学的指標は TBEV endemic area での滞在 (典型的な潜伏期間 7-14 days) とダニによる刺咬 tick bite の質問に対するイエスであり、さらに確定診断 confirmative diagnosis based on positive TBEV IgM and IgG responses を行う。この診断基準 criteria を用いた the 5-year period from 2006 to 2010 において,an acute TBEV case based on IgM and IgG seroconversion は1例のみであった

● プリオン病 (10)
PRO/AH/EDR> Prion disease update 2011 (10) 20111107.3317
[1] 英国: National CJD Surveillance Unit - monthly statistics as of Mon 7 Nov 2011 - no new vCJD cases, 2 deaths.
 情報源 UK National CJD Surveillance Unit, monthly statistics 、2011年11月7日。
7日、definite or probable vCJD による死者数が175人となった。生存者は1例で、the total number of definite or probable vCJD cases (dead and alive) 176例である
Totals for all types of CJD cases in the UK in the year 2011
During 2011 so far [as of 7 Nov 2011], there have been 132 referrals, 67 fatal cases of sporadic CJD, 2 cases of GSS, 7 cases of familial CJD, 4 cases of vCJD, and 3 cases of iatrogenic CJD.
[2] Alzheimer's a prion disease?
 情報源 Medical News Today 、2011年10月5日。
アルツハイマー病 Alzheimer's disease 患者の一部に認められる脳の変化 brain damage は、もとは感染性プリオン病 infectious prion-like disease ではないかとの見方が、the Journal Molecular Psychiatry で報告された
[3] BSE situation review
Editorial: The European Response to BSE: A Success Story By Herbert Budka, Member and Vice-Chair of EFSA's Panel on Biological Hazards (BIOHAZ)
 情報源 European Food Safety Authority, EFSA Journal 2011;9(9):e99、2011年9月2日。
[4] vCJD risk analysis
 情報源 Daily Mail 、2011年11月1日。
当局 the Health Protection Agency (HPA) が採集したエビデンスによると、1996年以前の肉を摂取した4000人に1人の割合で [the vCJD prion] が認められる可能性がある。これ以降は、the food chain から狂牛病の肉が一掃されたとされる。他の計算では、全国で15000人もの人々が感染[すなわちvCJD プリオンを保有] の可能性があるともされており、また、高齢者ほどvCJD が多いことが示唆されている

● 炭疽-ウガンダ
PRO/AH/EDR> Anthrax, human, bovine - Uganda: (SE) 20111107.3316
[1] 投稿者 ウガンダ・Dr Gyaviira Makanga 医師、2011年11月6日。
the Western districts の1つ Sheema [district] にある1ヵ所の村 human settlement で炭疽 Anthrax 感染流行が発生している。汚染牛肉の摂取により、ウシからヒトに感染したと見られている。患者数は不明だが,犠牲祭 IDD [Eid] day for the Muslims である6日、牛肉と乳製品の摂取が禁止された。
[2] 情報源 Uganda News Picks 、2011年11月7日。
炭疽感染流行により Sheema district で2人が死亡したことが、地域保健当局者から明らかにされた。10月25日に Mashojwa village in Muzira sub-county で発生したと発表された。死亡したのは55歳の食肉業者とほか1名の男性で、3人?でウシの皮剥ぎをおこなっった。
[3] 情報源 New Vision、2011年11月7日。
炭疽によると見られる感染流行 anthrax outbreak が Mbarara Share に広がった。 Sheema district で死者2名と動物3人の死亡が発生した流行が、隣接する地域 the neighbouring sub-county of Bubaare in Mbarara district にも拡大した可能性がある ... 10月25日に Mashojwa village, Muzira Parish in Kagango Sub-county で発生し、Idd Adhuha が肉なしで祝われる結果となっている

● 原因不明の発熱性疾患-インド
PRO/EDR> Undiagnosed febrile illness - India (02): (WB) RFI 20111107.3315
 情報源 The Times of India, Times News Network (TNN) 、2011年11月4日。
コルカタ Kolkata から170km 離れた the East and West Midnapore border の貧しい村 Nilkanthapur に、過去3年間に 6人の命を奪った殺人ウイルスが再び発生した。致死率 50%のハンタウイルスもしくは韓国出血熱である可能性もある、と専門家は指摘している。サンプルを採取した the National Institute of Virology (NIV), Pune and the School of Tropical Medicine (STM) in Kolkata での検査結果は未だ出ていないが、患者らの症状がハンタウイルス感染に類似していた。10歳の少年と近所に住む6歳の少年が、危険な状態にあるため the Institute of Child Health (ICH) in Kolkata に搬送された
[Mod.TY- 出血や腎の症状に触れられていないので,Puumala (known to be in India), Seoul (likely to be there also), and Hantaan hantaviruses の可能性は低い。 Chandipura, Japanese encephalitis, and West Nile viruses の可能性も考えられるが、laboratory tests. の結果が必要である]

● サルモネラ感染症-欧州,輸入イタリアントマト
PRO/AH/EDR> Salmonellosis, st Strathcona - Europe: (DK, DE, AT) imp. tomatoes 20111107.3314
 情報源 Statens Serum Institut、2011年11月5日。
この数週間、 Statens Serum Institut [State Serum Institute] はまれな血清型 rare serotype, _Salmonella [enterica_ serotype] Strathcona のサルモネラ菌による感染流行 salmonellosis outbreak に関する調査を行っている。この血清型はこれまでにデンマークでは検出されたことはなく、感染流行の原因菌となったこともなかった。今回の感染流行で、the Danish National Laboratory Surveillance System には培養で確定診断された合計40例の患者が登録されている。女性 24人と男性 16人で、全国の小児と成人の患者からなっている。初発患者の発病は9月4日、最後の患者が確認されたのは10月14日だった。同じ期間中に、ドイツで14例、オーストリアで1例が報告されている。小型で細長いトマト tomatoes of the type datterino が感染の原因であることが判明している。イタリア南部の生産者によるこのトマトは、まずスーパーマーケットチェーンの "Rema 1000" で販売されていた。現在、このチェーンでは販売されておらず、感染流行もほぼ終息したと見られている。他への流通の有無については現在調査中である。デンマーク国内でトマトがサルモネラ感染症流行の原因菌となったことはなかったが、米国内では複数の食中毒流行がトマトが原因で発生している
写真 the tomato cultivar (_Lycopersicon lycopersicum_) datterino

● 赤痢-米国
PRO/EDR> Shigellosis - USA: (GA) schools 20111107.3313
 情報源 WALB、2011年11月4日。
郡内の各校 Worth County schools が,赤痢感染流行 shigellosis outbreak のため2日間休校となった数日後、ジョージア Georgia 州南西部公衆衛生当局は少なくとも6郡 Southwest Georgia counties (Worth, Dougherty, Lee, Early, Seminole, and Decatur County) に感染が広がったことを明らかにした。石鹸と温水による20秒間の手洗いの励行が呼びかけられている。

● 脳炎など-インド,コメント
PRO/EDR> Japanese encephalitis & other - India (33): (MA) comment 20111107.3311
20111106.3302 に関し。
 投稿者 Prabhjot Singh 、2011年11月6日。
ムンバイ Mumbai は交通の要所で、 UP and Bihar などの脳炎が発生する州から多数の人々が往来するため、ムンバイで患者が発生しても不思議ではない。移動労働者らが帰省する、10月最終週の祭り Diwali [festival of lights] 後に病気が発生したことは、市内での感染伝播ではなく(市外からの)輸入例であることを示唆している

● ナマズの腫瘍-米国
PRO/AH/EDR> tumor - USA: (MD) RFI 20111107.3312
Cause of catfish tumors still unknown
 情報源 Howntownannapolis.com, The Capital Gazette、2011年10月31日。
South River のナマズ catfish の身体に現れた腫瘍の原因は、依然として不明のままである。新たな調査で魚類の腫瘍の原因としてしばしば問題となる PAHs [polycyclic aromatic hydrocarbons] と呼ばれるトキシン a group of toxins ではないことが判った。ウイルスやその他の汚染物質による可能性もある、と当局 the US Fish and Wildlife Service's Chesapeake Bay Field Office in Annapolis の専門家は述べている
[Mod.PMB- 魚類の皮膚腫瘍の原因として、ウイルスや汚染物質によるものが知られている。化学物質に汚染された水域で、魚類に口腔や皮膚、肝臓の腫瘍が発見された事例もある。また(いずれも魚類の種である)walleye (_Stizostedion vitreum_), redhorse sucker (_Moxostoma_ sp.), white sucker (_Catostomus commersoni_), and bowfin (_Amia calva_) など、他の種でもこのような腫瘍が確認されている]

● ココアの病気,維管束縞枝枯れ病-インドネシア
PRO/PL> Vascular , cocoa - Indonesia: (Sulawesi) 20111107.3310
Indonesia cocoa exports slump
 情報源 The Star, Reuters report、2011年11月2日。
世界第3位のココア生産国であるインドネシアが、2011年不作に苦しんでいる。高湿天候に加え、Sulawesi [island] の複数の州で致死性真菌疾患 the vascular streak dieback (VSD) が発生した
[Mod.DHA- Vascular streak dieback (VSD) of cocoa は1960年代にパプアニューギニアで初めて発見された真菌 _Oncobasidium theobromae_ を原因とし、東南アジア、メラネシア、極東の一部で非常に深刻な問題となっている]