2011年10月1日-2日

マラリア 南スーダン,クロロキン治療不成功

● マラリア 南スーダン
PRO/EDR> Malaria - South Sudan : (Unity) 20111002.2968
 情報源 Sudan Tribune、2011年9月30日
Unity state の保健当局によると、最近増えているマラリア Malaria 感染により、10人が死亡した。入院患者の80%がマラリアに感染していると医師らは話している。多くの住民が、マラリア感染に対する予防に無関心であるが、市民らは当局の対応の欠如を指摘する
[Mod.EP- 南スーダンを含むスーダンに関する報告 Efficacy of chloroquine and sulfadoxine/pyrimethamine mono- and combined therapy against falciparum malaria in Sudan. East Mediterr Health J. 2007; 13(1): 25-34 の中で、南スーダンの小児マラリア患者の80%がクロロキン chloroquine による治療が不成功に終わり、sulfadoxine/pyrimethamine による治療の4.4%が失敗し、2剤の併用による改善は見られなかったと記載されている。
2010年の報告 (Descriptive study on the efficacy of artemether-lumefantrine in the treatment of uncomplicated _Plasmodium falciparum_ malaria in Sudan. Eur J Clin Pharmacol. 2010; 66(3):231-7) では、Artemisinin をベースとした治療が効果的であったことが示された。結果、WHO から、政府は artemisinin-based combination therapy (ACT) に変更するよう推奨されている]

● 麻疹
PRO/EDR> Measles update 2011 (34)
Archive Number: 20111002.2973
[1] 英国 (Kent)
 情報源 BBC News、2011年9月30日
保健当局 The HPA [Health Protection Agency] によると、 Kent で2011年の7月までに発生した麻疹 Measles 感染者数は、2010年の6例の10倍以上となる62例に達し、主な患者は小児と若年成人だった。多くがワクチンを受けていない、大学などの学校の生徒間での集団発生だった
[2] スイス (2003 - 2010)
Measles in Geneva between 2003 and 2010: persistence of measles outbreaks despite high immunisation coverage
 情報源 Eurosurveillance, Volume 16, Issue 39 、2011年9月30日
高い予防接種率 high immunisation coverage にもかかわらず、2003年から2010年にかけて the canton of Geneva で複数の麻疹感染流行が発生し、161 reported cases (52 in 2003, 16 in 2005 and 93 in 2007-2010) が報告された。患者は主に 10-14 year-old children in 2003 (31 percent) と20歳以上の成人 in 2005 (75 percent) and 2007-2010 (39 percent) だった。遺伝型に多様性 the diversity of the genotypes (D8, D6, D5, D4 and G3) が認められたことにより、他の canton などからの輸入患者が複数例あったことが確かめられている。流行年により、家庭内 (54 percent) と学校内 (22 percent) in 2003や、病院内 (71 percent) と家庭内 (29 percent) in 2005、あるいは家庭内 (55 percent) と学校内 (26 percent) in 2007-2010,での感染伝播が中心だった。感染した患者の中でワクチンを接種されていたのはそれぞれ6% in 2003, 27 percent in 2005 and 2 percent in 2007-2010 で、2回の接種を完了していた感染患者はいなかった
Between 2003 and 2008 の、特に the 2nd dose の measles vaccine coverage は、生後28か月では 23 percentage 上がって 91.7 percent、5-6歳の接種では27%上がって 92.3%、13-14歳では 19 points 上がって 86 percent に改善していた。
国際基準として接種率が高いものの,麻疹根絶には不十分な状況下であったことから,サーベイランス等 efficient surveillance and early control measures により感染流行の発生を抑え,teenagers and young adults の Catch-up vaccination を強化することが望まれる。
[3] エクアドル (Ambato)
 情報源 EL Universo [in Spanish]、2011年9月27日
9月26日、疫学当局者 The National Director of Epidemiology が合計8人の麻疹感染が確定診断され、うち2人が "African genotype" [i.e. B-3 genotype;] による感染であることが確認されたと明らかにした。小児1名の肺炎による死亡が疑われている,the outbreak in the parish of Quisapincha in Ambato に関する会見で明らかにされた。欧州を発生源とする海外からの感染流行で、Quisapincha を訪れた商業団体により導入されたと説明されている
[Mod.CP- Ambato は Andean valley of Ecuador 中部の都市で the province of Tungurahua の州都であり、海抜2577 meters に位置する。
以下に、Elcomercio.com [in Spanish] からの抜粋を提示する; 
 "Quisapincha Parish は Tungurahua の中で最も古い先住民族の村の1つであり、州都からわずか30分足らずの場所にありながらその開発は Ambato より遅れている。この10年間に、セーターなどの製造業により Quisapincha である程度の開発が進んだ。また the Ambato-Pinilo-Ambatillo-Quisapincha road が舗装され、the Parque Provincial de la Familia が建造されたことで商業的な観光事業も大幅に増加した。
Quisapincha では近年の麻疹感染流行が大きな問題となっている。Hospital Docente Ambato (Ambato Teaching Hospital) の支援があるものの治療の改善に至っていない]
[4] 米国 (CDC - India update)
 情報源 dalje.com, a UPI report、2011年9月30日
米国 the Centers for Disease Control and Prevention (CDC) からの報告によると,2008年に世界中でおよそ16万4000人が麻疹感染により死亡し、73万3000人が感染した。Morbidity and Mortality Weekly Report 掲載のこの報告によると、2008年の死亡患者の77%が東南アジアで発生し、死者の多くがインドで発生していた。"インドにおける麻疹による死亡を減少させることが the global goal of 95 percent reduction in measles deaths by 2015(2000年比)に最も重要である" とされている。"全ての小児に対して2回の麻疹ワクチン接種を行うことが、麻疹による死亡減少のための重要なステップであるが、インドは最近まで1回のみの接種を行う数少ない国の1つであった."
[5] オーストラリア (update)
 情報源 Medical Observer、2011年9月26日
2011年のオーストラリアでは、2010年と比較して麻疹感染の患者が約2倍に増加したと当局者 the National Centre for Immunisation が説明した。若年成人のワクチン接種率の低さが要因であり、この集団は海外旅行する確率が高く、一部のコミュニティ内でのワクチン接種の落ち込みが認められている。9月までに136例の麻疹感染が報告されているが、2010年は70例だった。約61% (82 individuals) がワクチンを受けていなかった ... ワクチンの接種が1回だけだった the 1970s and '80s 生まれのオーストラリア人は接種率が低く、海外旅行を好むことから、懸念材料となっている
[6] ニュージーランド New Zealand
 - 最新状況:Scoop Health、2011年9月27日
オークランド保健当局 Auckland Regional Public Health Service は、9月23日以降に新たに11例の麻疹感染を報告する。9月27日現在の累積患者数は、5月30日以降に確定診断された症例179例となった
 - (機内での感染): The Dominion Post via stuff.co、2011年9月30日
ビクトリア州大学 Victoria University の19歳の学生1名が、9月にオークランド Auckland からウェリントン Wellington に向かう国内線のフライトの中で麻疹に感染した
 - (Waikato):stuff.oc 、2011年9月30日。
保健当局 Waikato health authorities は地域内の不十分なワクチン接種率のため、麻疹感染拡大は不可避だとしている。7-31歳の24人の麻疹感染が確認されている

● 食中毒 タイ,ペルー(2件)
タイ
PRO/MBDS> Food poisoning - Thailand: Chai Nat, RFI 20111002.2972
 情報源 National News Bureau of Thailand Public Relations Department、2011年10月2日
被災者100人が、提供された料理を食べて嘔吐や下痢などの重い食中毒に苦しんでいる可能性があると報告された。公衆衛生省によると Chai Nat province の10箇所の臨時の診療所で診察を受け病院に搬送された。寄付されたインスタントラーメン、チャーハンなどの食品を食べた洪水の被害者らが発病した。

ペルー
PRO/AH> Foodborne illness, fatal - Peru (02): (CJ) comment 20111001.2962
 投稿者 豪 ・ Robyn Schipp、20110年10月1日
殺鼠剤の炭酸バリウム Barium carbonate は、急速なカリウムの再分配をきたし筋力低下や死亡の原因となる。複数の文献に白い粉末と書かれている。硝酸剤のような紫色の四肢の表現は一致しないが、ある国で一般的に使われている脊椎動物毒 the vertebrate poisons が、他の国では知られていないこともありうることは銘記すべきだ。
関連項目 20110923.2877

● ダニ媒介性脳炎 オーストリア,スウェーデン(2件)
オーストリア
PRO/AH/EDR> Tick-borne encephalitis - Austria (04) 20111002.2971
 投稿者 TravelMedCenter Leonding ・ Martin Haditsch, MD, PhD、2011年10月1日
Tick-borne encephalitis prevalence in Austria
スウェーデンで述べられたことはオーストリアにも当てはまる。以前は年間50-60例(100以下)であったダニ媒介性脳炎の患者が、9月29日の時点ですでに100例を超えた
関連項目 Austria (03) risk 20110712.2105

スウェーデン
PRO/AH> Tick-borne encephalitis - Sweden (03): background 20111001.2964
 情報源 GIDEON (Global Infectious Disease & Epidemiology Network)、2011年10月1日
20110930.2955 に関し。
スウェーデンにおけるダニ媒介性脳炎の発生率は、周辺各国に比べかなり高く well beyond 、また2000年以降有意に増加している

● 日本脳炎など インド
PRO/AH/EDR> Japanese encephalitis & other - India (23): (BI) 20111002.2970
 情報源 Xinhua News Agency、2011年10月1日
インド北部のビハール Bihar 州で、6月以来100人以上の小児が脳炎と見られる病気で死亡した。過去7週間に Bihar's Gaya districtでは少なくとも51人の小児が死亡した。多くは、極貧のカーストの子どもらであった。州都 Patna から約 100km離れた Anugrah Narain Medical College and Hospital in Gaya で死亡した。高熱の後に、意識不明や痙攣状態となったと報告されている 

● サイクロスポーラ症 米国(2件)
PRO/EDR> Cyclosporiasis - USA: (GA) 20111001.2960
 情報源 CBS Atlanta, WSB-TV/Associated Press (AP) report、2011年9月30日
ジョージア州保健当局 Georgia Division of Epidemiology officials は、水族館 the Georgia Aquarium の見学者とスタッフ100人以上が発病した原因の調査を行っていることを明らかにした。当局者はサイクロスポーラ _Cyclospora_ が原因であったと述べた。CDC によるとこの寄生虫は腸管感染症の病原体である。7月後半の水族館での 3 catered events に参加した客らが、数日後から1週間続く下痢を発症した。イベントで提供されたミックスサラダ、フレッシュバジル、チェリートマトの3つについて調査が行われているが、提供した農場会社の所有者は、同社が the highest safety standards を遵守していると説明している。

PRO> Cyclosporiasis - USA (02): background 20111002.2967
 情報源 GIDEON (Global Infectious Disease & Epidemiology Network)、2011年10月2日
20111001.2960 に関し。
ジョージア Georgia 州で感染流行が発生したが、Cyclospora_ は米国内で報告される寄生虫性腸管感染症として最も少ない。

● 病原性大腸菌 O157 英国
PRO/AH/EDR> E. coli O157 - UK (03): leeks, potatoes
Archive Number: 20111001.2965
 情報源 The Guardian、2011年9月30日
英国内で250人の感染と1人の死亡を発生させた、8ヶ月にわたる大腸菌 E. coli O157の感染流行は、感染源不明のため当時公表されていなかったが,6ヶ月に及ぶ調査でついに、患者らの自宅における痛んだ?ネギやポテト handling loose raw leeks and potatoes の取り扱いと感染との関係が明らかになったと,保健当局 the Health Protection Agency(HPA)が明らかにした。
2010年12月から2011年7月まで患者の発生が続いていた。合計250人が感染して嘔吐や下痢などを発症し、うち100人が16歳以下で、74人が入院治療を要し、4人は溶血性尿毒症症候群を併発した。持病があったとされる1人が死亡している。Phage Type 8 (PT8) と呼ばれるまれな大腸菌 O157 による感染であり、England で193人、 Scotland で44人、Wales で14人の患者が確認されている。69%が女性だった。過去3年間に英国全体で _E. coli_ 0157 PT8.に感染した患者は81人だった

● リステリア症 米国(2件)
PRO/AH> Listeriosis - USA: romaine lettuce, recall 20111001.2959
 情報源 CBS News, Associated Press (AP) report、2011年9月30日
アラスカ Alaska 州当局は、袋入りのカット済みレタス bags of chopped romaine lettuce がリステリア菌により汚染された疑いがあるため、回収を行っていることを明らかにした。今のところ感染の報告は入っていない。True Leaf Farms (Salinas, California)社の the 2-pound bags of chopped romaine lettuce で、消費期限は 29 Sep 2011となっており、 アラスカ州内では Church Brothers, LLC. 社により流通している

PRO/AH> Listeriosis, fatal - USA (08): background 20111001.2958
 情報源 GIDEON (Global Infectious Disease & Epidemiology Network)、2011年9月30日
20110930.2950 に関し。
リステリア菌 _Listeria monocytogenes_が食中毒の原因となることはあまりないが、この菌種は非常に高い致死率disproportionately high mortality rate を伴う。

● 狂犬病 ボリビア
PRO/AH/EDR> Rabies - Bolivia (07): (CB) canine, human exp. 20111002.2969
 情報源 FM Bolivia, El Diario report [in Spanish]、2011年9月30日。
コチャバンバ Cochabamba 州では、1日のうちに4例のイヌの狂犬病 Rabies 感染が報告された。the Avenida Petrolera area の 2例と、the Tiquipaya municipality と the Maica area の各1例だった。the Avenida Petrolera (the Cercado municipality) の1頭に飼い主が襲われている

● Cytauxzoonosis、ネコ 米国
PRO/AH/EDR> Cytauxzoonosis, feline - USA: emerging 20111001.2966
 情報源 Cat Channel、2011年10月1日
New Cases of Bobcat Fever Prompts Tick Control Warning
Cytauxzoonosis は寄生虫による血液感染症で、"bobcatfever" とも呼ばれることがあるが、ミシシッピ Mississippi 州で複数のネコの死亡に関係している疑いがもたれている。米国の南岸及び東岸沿いで後半に拡大しつつある、この致死性の予防にはネコのダニ対策が必要である。州内での発生は新しいものではないが、今回の発生を受け、獣医師らはペットの飼い主に対しネコのダニ駆除の重要性を説明する必要に迫られている。この病気に対する治療法はない、と Mississippi State University (MSU) College of Veterinary Medicine の臨床教授は説明している。疾患を伝播させるダニ the American dog tick が、ヒトやイヌによって気づかれないままに屋内に持ち込まれることもある。イヌやヒトが感染することはなく、感染したネコが他のネコを感染させることもない。診断・治療ともに非常に困難で、診断の目的は苦しみを除くための安楽死を決定するためにあると言う。mycoplasma, toxoplasmosis and feline infectious peritonitis などの病気と紛らわしい症状として、抑うつと不穏、食事や飲水の拒否などがある

● White nose syndrome 北米
PRO/AH> White nose syndrome, bats- North America (08): comment 20111001.2963
 投稿者 USGS, National Wildlife Health Center、Jonathan Sleeman, MA, VetMB, Dipl. ACZM, Dipl. ECZM, MRCVS、2011年10月1日
コウモリが WNS の病原体と見られている_Geomyces destructans_の主要な感染経路 the primary mode of transmission となっている可能性があるとの Dr. Vinerの見解と同意見であるが、the Bulletin: "Universal precautions for the management of bat white nose syndrome (WNS)." の中で,"コウモリとヒト双方が the spread of WNS に関係していると考えられ,不用意なヒトによる真菌の移動を減らすことが重要な感染対策 important management objective である" と書かれている

● インフルエンザ、イヌ 米国
PRO/AH/EDR> Influenza, canine - USA (03): (TX) comment 20111001.2961
 投稿者 シンガポール・Kim Halpin BVSc, MVSc, MACVS, PhD、2011年9月30日
20110928.2931 に関し。
犬インフルエンザの歴史は約40年と書かれていたが、それは1967年に初めて発見された paramyxovirus の1種の canine parainfluenza のことではないだろうか。