2011年12月11日

◎ ボツリヌス症 フィンランド・イタリアから,英国 ECDC

◎ ボツリヌス症 フィンランド,英国(2件)
フィンランド
PRO/EDR> Botulism - Finland (05): ex Italy, bottled olives 20111211.3569
 情報源 Eurosurveillance, Volume 16, Issue 49、2011年12月8日
2011年10月中旬、フィンランド国立衛生福祉研究所 the National Institute for Health and Welfare (THL) に、ボツリヌス症 Botulism が疑われる食中毒患者の報告が入院した。3日前に、胃腸症状を伴うことなく、突然のめまい、視力障害、嚥下障害、構音障害を発症し入院となった高齢の患者らであった。入院の翌日に病状は悪化し、臨床症状から食品によるボツリヌス食中毒 foodborne botulism が疑われた。患者らには渡航歴はなく、皮膚が健常であったことから、創傷ボツリヌス症 wound botulism は除外された。
入院の1-2日目に、下降性麻痺が進行してほとんど四肢麻痺の状態となり、呼吸筋不全のため、機械的換気を要した。臨床症状、および脳脊髄液に異常が見られなかったことから、ボツリヌス症が疑われた。神経筋電図検査 Electroneuromyography (ENMG) では、ボツリヌス症と他の神経筋疾患との厳密な鑑別はできなかった。
第1例目の患者は、多臓器不全により、入院から14日目に死亡した。この患者の入院の4日後に、同居の若年成人1名が、複視、嚥下障害、構音障害を発症した。これらの2名の患者と、他の家族2名への聞き取りで、患者らはいずれも、2011年10月中旬にはじめて開けたガラス瓶に入ったアーモンドを詰めたオリーブを、3日の間をあけてそれぞれ食べていたことが判明した。この食品が原因である可能性が最も高いため、まずはじめに検査が行われた。他の2人の家族のうち、1人は下痢をしていたが、神経学的症状が見られたものはなかった。1人は問題のオリーブを食べたが、もう1人は全く食べていなかった ...以下、検査、製品に関する調査、結論など。
[Mod.LL- 欧州内で発生し this week's issue of Eurosurveillance にまとめられた the 3 outbreaks of botulism のうち、2/3 がオリーブに、2/3 が市販の製品に、そして2/3 が type A に関係していた。この感染流行は、市販されていたオリーブ由来の type B botulinum toxin による事例であった。
運動ニューロン活動電位が、軸索端末を脱分極すると、細胞質からシナプス間隙にアセチルコリンが放出される。トキシン botulinum toxin (BT) が神経筋接合部に存在すると、 the botulinum neurotoxin の H 鎖 the heavy chain がコリン作動性神経端末に特異的に存在する糖タンパク構造に結合する。この特異的結合が BT のコリン作動性シナプスの高度選択性の理由である。内面化 internalization 後、L 鎖 the light chain of the botulinum neurotoxin は高い特異性を持って the SNARE protein complex に結合する。この標的タンパクは the BT serotypes により異なっている。BT- A は synaptosomal-associated proteins of 25kDa (SNAP-25) の伝達を遮断 cleaves し、BT-B は、synaptobrevin IIと呼ばれる、 vesicle-associated membrane protein (VAMP)を遮断する]

英国
PRO/EDR> Botulism - UK (04): Scotland, commercial curry sauce 20111211.3565
 情報源 Eurosurveillance、2011年12月8日
スコットランドで起きたボツリヌス食中毒 Botulism 集団発生の調査が行われている。同じ家族の小児3名が、1つの瓶 a jar に入ったカレーソース摂取後に、ボツリヌス症を発症したことが確認されている。瓶に残ったソース、鍋のふた、残された食品の検査で、ボツリヌス菌毒素 _Clostridium botulinum_ type A toxin 陽性が確認された。いずれも回復しているが、2人は今も集中治療室で人工換気されている
[Mod.LL- a single jar of the curry sauce だけがボツリヌス菌の原因食品であった点に、関心が持たれる。容器の保管状態に問題があり、ボツリヌス菌の繁殖を許し、トキシンの産生につながったと考えられる]
関連項目 20111118.3398

● 麻疹 ウクライナ、ウガンダ、ジャマイカ、ニュージーランド
PRO/EDR> Measles update 2011 (44) 20111211.3574
[1] ウクライナ: Six-fold increase in measles cases
 情報源 Forum、2011年12月7日
保健省が the Lviv, Ivano-Frankivsk, Zakarpattia and Rivne regions における麻疹 Measles 感染例の増加を確認した。欧州における感染増加と、2008年に国内での青年と若年成人に対するワクチン一斉接種が行えなかったことの2つが、感染数増加の理由として挙げられている。10月現在の患者数は 193人で、前年比の6倍増となっている。
[2] ウガンダ (multi-districts)
Government issues national measles alert

 情報源 Sunday Monitor、2011年12月6日
国内東部、中央部、西部など、全国的な麻疹感染流行の発生を発表した。 Bududa, Bukedea, Bushenyi Kabarole, Kampala, Rakai, Ntungamo, Luweero, Namayingo, Nakasongola, and Namutumba districts の各地域で患者が確認されている。11月にはじめて Namayingo で合計112人の小児らが麻疹感染が疑われる症状で入院した 
[3] ジャマイカ (alert)
Island-wide alert for measles importers
 情報源 Jamaica Observer、2011年12月6日
保健省が欧米各国での麻疹感染流行への注意喚起を行った。
[4] ニュージーランド (Tairawhiti )
Four more measles cases
 情報源 The Gisborne Herlad、2011年12月5日
麻疹感染流行の第2波が Tairawhiti [2001年に設定されたCrown Entity の1区画で Hicks Bay から the Wharerata にいたる地域] で発生している。2人の East Coast の小児と Gisborne teenagers の2人に麻疹感染の症状が見られ、麻疹検査の結果は "very probable" だった。Gisborne Intermediate [school] と Campion College で、合計2人の麻疹感染が確認されてからの2週間で、新たに4人の患者が発生した

● A群連鎖球菌、猩紅熱 スペイン,中国(2件)
スペイン
PRO/EDR> Streptococcus group A, scarlet fever - Spain: (VC) 20111211.3573
 情報源 lasprovincias.es [machine trans}、2011年12月12日
保健局は(小児を中心に)40人の感染者が発生した学校内での猩紅熱 scarlet fever 流行を確認した。当局の発表によれば、流行があったのは the health department of Sant Joan で、mark protocol に従って抗生物質の配布と学校及び保護者らへの情報提供が行われた。

中国
PRO/EDR> Streptococcus group A, scarlet fever - China (13): (Shanghai) 20111211.3570
 情報源 ShanghaiDaily.com、201年12月10日
郊外の小学校で、40人以上の生徒が猩紅熱 scarlet fever に感染した疑いが持たれていることが、昨日保護者らの話で分かった。grade 2 class at the Mingqiang Elementary School では少なくとも39人が感染した可能性があり、7日 [?] 学校が保護者らを集めて、簡易検査 initial test により48人中39人が感染していた旨の説明を行った。grade 3 class でも6人が感染を疑われているという

● ハンタウイルス ペルー、チリ
PRO/AH/EDR> Hantavirus update 2011 - Americas (47): Peru, Chile 20111211.3571
[1] ペルー Peru [in Spanish]
 - (Mazanillo, Mazan district, Loreto Department):La Region、2011年11月29日
the Felipe Arriola Iglesias Hospital から11月28日、新たに1例のハンタウイルス Hantavirus 感染患者が報告された。前週から内科の集中治療室に勤務する31才の女性で、初診の the Mazan Health Center から地域病院に紹介された。数週間前にハンタウイルス感染により死亡した18歳の男性 [20111119.3412] の近くの(nearly a neighbor)、the Mazanillo community の住民だった。
[Mod.TY- the Amazon Basin におけるHPS (hantavirus pulmonary syndrome) の原因となるハンタウイルスと保有宿主はおそらく、 Araraquara and its rodent host (_Necromys (Bolomys) benefactus_)と思われる]
 - (Rio Napo, Mazan district, Loreto department):HealthMap Alerts、2011年11月29日
国立衛生研究所 The National Institute of Health で、5例目となる Rio Napo, Mazan district 在住の38歳女性のハンタウイルス肺症候群 hantavirus pulmonary syndrome [HPS] の患者が確認された。現在集中治療室 the ICU of the Loreto Regional Hospital に入院中で、危険な状態にあるが、腎障害に対する透析が行われ、呼吸障害と当初のショック状態から徐々に改善の兆しが見られている。
[2] チリ (Melipilla, Santiago Metropolitan District)
 情報源 La Cuarta [in Spanish]、2011年11月29日
首都の保健当局 The Metropolitan Health SEREMI [Secretaria Regional Ministerial de Salud; governmental administrative unit] は、地域内初のハンタウイルスによる死者を確認した。23日に the Barros Luco Hospitalで死亡した、the San Ramon area of Mallarauco in Melipilla の58歳男性である。2007年以来の死亡患者が発生したと、当局が発表した

● 髄膜炎菌性髄膜炎 ブラジル
PRO/EDR> Meningitis, meningococcal - Brazil: (BA) 20111211.3568
 情報源 New Strait Times、2011年12月9日
北東部バイア Bahia 州で、2011年初以来、109人が髄膜炎菌性髄膜炎 Meningitis, meningococcal 流行により死亡したことが、9日の当局からの報告で分かった。細菌性髄膜炎に合計1670人が感染した。髄膜炎の致死率は約 8-10%に上る。観光地の Costa do Sauipe では、感染流行を理由に予約のキャンセルが相次いでいる。

● 肺炎、ヒツジ 米国
PRO/AH/EDR> Pneumonia, ovine - USA (02) : (MT) bighorn sheep 20111211.3577
 情報源 The Wildlife News、2011年12月10日
Pneumonia Confirmed in Cinnabar Mountain Bighorn Sheep
Corwin Springs 近郊のオオツノヒツジの群れ the Cinnabar Mountain bighorn sheep herd で、今週始めに、当局 Montana Fish, Wildlife & Parks により肺炎の発生が確認された

● 黒コショウの病気,黄変病 インド
PRO/PL> Yellowing diseases, black pepper - India: (KA) 20111211.3575
 情報源 Daijiworld Media Network、2011年12月5日
Disease plagues pepper plantations in state
州内全域のコショウ栽培地で、初期に緑色の葉が黄化し次いで the green pepper [corn]とともに落葉する病気が発生している

● ブルセラ症 ロシア
PRO/AH/EDR> Brucellosis - Russia: (Dagestan), livestock, human, RFI 20111211.3572
 情報源 Ria Dagestan、2011年12月8日
Brucellosis situation threatens to spiral out of control in Dagestan
8日の会合で副首相は、思い切った策を講じなければ、ダゲスタン Dagestan 共和国内のブルセラ症 Brucellosis は手に負えない状態になるだろうと述べた。2011年の11か月間で、1620頭のウシと826頭のヒツジ及びヤギがブルセラ症と診断されている。ブルセラ症は動物からヒトに感染する危険な疾患で,国立感染症センター the National Center for Infectious Diseases によれば、248人が感染し138人が急性感染症だった ... 主な問題は、衛生的なと畜場の不足で、しばしば基本的な獣医学・衛生学上のルールを守らずに庭先で "と畜" が行われていることにあるとされている。もう1つの原因は、国内の他の地域からの、ブルセラ症に感染したウシの移動に対する監視が行われていないことである。

● 東部ウマ脳炎 米国
PRO/AH> Eastern equine encephalitis - USA (19): (FL) equine 20111211.3567
 情報源 CFNEWS13.com、2011年12月9日
2 horses die from eastern equine encephalitis
ヒトに感染することのある、東部ウマ脳炎 eastern equine encephalitis (EEE) の感染により、Lake County, Florida のウマ2頭が死亡した 

● コリネバクテリウム 米国、ウマ
PRO/AH> Corynebacterium, equine - usa (LA) 20111211.3566
 情報源 KATC.com、2011年12月8日
Pigeon fever cases in horses
30頭以上のウマの pigeon fever が当局 the Louisiana Department of Agriculture and Forestry に報告されている ... Pigeon fever はコリネバクテリウム菌 _Corynebacterium pseudotuberculosis_ 感染症の一般的な呼び名で、ウマの胸腹部に膿瘍を形成する。ハトには関係がない。膿瘍により、ウマの胸がハトのように見える "pigeon-breast" appearance 。 dry-land strangles とも呼ばれている
[Mod.TG- Pigeon fever, pigeon breast, breastbone fever, dryland distemper, dryland strangles, false strangles, false distemper are the names by which this disease -- caused by the bacterium _Corynebacterium pseudotuberculosis_ -- is most frequently known. ]