2012年1月11日

鳥インフルエンザ、ヒト -インドネシア
コレラ-ハイチ、ドミニカ共和国

● デング熱、チクングニア熱-インド、共感染
PRO/EDR> Dengue-chikungunya virus co-infections - India
Archive Number: 20120111.1007483
 情報源 Deccan Chronicle、2012年1月9日。
原著 Prevalence of dengue and chickungunya fever and their co-infection. Indian J Path Microbiol 2011. 54 (4):844-6.
デング熱 Dengue とチクングアア熱 chikungunya に共感染する症例が増えつつあり、デング熱とチクングニア熱の患者のおよそ3%が、これらの疾患に同時感染した the co-infection category に分類された。偶然に、同じネッタイシマカがデング熱ウイルスとチクングニア熱ウイルスを感染伝播することがある;同じ蚊が両ウイルスを保有していれば、共感染 co-infection の確率はより高くなる。研究チームは、両ウイルスが同時に感染循環する地域では、より共感染の問題が顕在化することを示した。共感染が起きると、医師の診断も困難となる。これらの疾患には共通の症状もあるが、その影響には違いがある。2つのウイルスの検査を行えば、1つのウイルスに感染したのか、2つのウイルスに同時に感染したのかが分かる。チクングニア熱ウイルスの感染では、[ほとんど]死亡することないが、デング熱ウイルス感染では、死亡を含む重篤な合併症が起きる可能性がある。両疾患に共通する症状としては、発熱、関節や骨痛、嘔気、嘔吐、頭痛、倦怠感などがある[数ヶ月から1年を超える急性関節痛の持続は、よりチクングニア熱の症状に特徴的である]。この研究チームは、331検体についてデング熱を、170検体についてチクングニア熱を調べた[抗体検査]。デング熱の検体の12%、チクングニア熱の検体の20%が陽性となった。72検体については、デング熱とチクングニア熱の2つの抗体を調べたところ、およそ3%が、両ウイルスとも陽性という結果になった .... 2つの検査を行わなければ、どちらかの疾患の症状を見逃すことも起こりうると述べられている。
[Mod.TY- both dengue and chikungunya outbreaks の発生地域の住民が2つのウイルスに感染することは珍しくないだろう。ただ、今回の研究が市販の IgM 抗体測定キットの結果に基づいていることが[問題で]ある。まず検査結果のウイルスに対する特異性を示す必要があるが、ELISA kit による血清学的検査結果のみで、ウイルス分離や RT-PCR が行われていないため、日本脳炎やウエストナイルウイルスなど、他のフラビウイルスによる交叉反応である可能性がある。The USA CDC では、陽性結果に対して常に、よりウイルス特異性の高い検査 90 per cent plaque-reduction neutralization tests による確認が行われているが、今回の研究では実施されていない。2つ目に IgM 抗体はデング熱やチクングニア熱ウイルスの急性感染の後、数ヶ月から時に1年以上も検出が持続するため、今回の研究で(同時に陽性となったうちの)一部または全部は、同時に感染したのではなく、2つのウイルスに順次感染した患者である可能性もある .. ]

● 鳥インフルエンザ、ヒト -インドネシア(2件)
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (06): Indonesia (JA) WHO
Archive Number: 20120111.1007376
 情報源 World Health Organisation (WHO), CSR, Disease Outbreak News 、2012年1月11日。
インドネシア保健省は、新たな鳥インフルエンザ  Avian influenza A(H5N1) の感染患者1名について発表した。患者は Jakarta Province の23歳男性で、2011年12月31日に発症し、2012年1月6日に入院したが、同7日に死亡した。疫学調査の結果、男性は病死したハトを飼育していたことが判明した。[患者の] 検査により、鳥インフルエンザ A(H5N1) ウイルスに感染していたことが確認されている。インドネシアでこれまでに183例の感染が確認され、151人が死亡した。
[Mod.CP- Jakarta はインドネシア最大の都市で首都でもある。公式には the Special Capital Territory of Jakarta と呼ばれジャワ Java 島北西岸に位置する。20120111.1007152 and 20120109.1004606 が WHO により公式に確認された。11日現在の the WHO Table of the Cumulative number of confirmed human cases for avian influenza A(H5N1) reported to WHO, 2003-2012 によると、全世界の患者数及び死者の数は 577 and 340 となっている。最も多くの患者が発生しているのはインドネシアだが、2006年まで患者は報告されていなかった: The distribution of cases worldwide (deaths in parentheses) now becomes: Indonesia 183 (151), Egypt 157 (55), Viet Nam 119 (59), China 41 (27), Thailand 25 (17), Cambodia 18 (16), Turkey 12 (4), Azerbaijan 8 (5), Bangladesh 3 (0), Iraq 3 (2), Pakistan 3 (1), Laos 2 (2), Djibout 1 (0), Myanmar 1 (0) and Nigeria 1 (1). ]

PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (05): Indonesia (JA) conf.
Archive Number: 20120111.1007152
[1] 情報源 Jakarta Globe、2012年1月10日。
ジャカルタ Jakarta の保健当局は9日、最近鳥インフルエンザで死亡した若年男性の、5歳の弟が感染していなかったことを明らかにした。発熱と咳のために7日に入院となったが、同日、23歳の兄が鳥インフルエンザで死亡した。弟の検査の結果が陰性であることが判明したと9日発表された。当局は、23歳の男性が鳥インフルエンザ感染であったことを確認している。首都の病院が満床で収容できなかったため、この男性は Tangerang の鳥インフルエンザ専門病院で死亡した
[2] 情報源 Jakarat Globe、2012年1月11日。
Sunter, North Jakarta の男性1名が最近、鳥インフルエンザにより死亡したことは、インドネシアには依然として鳥インフルエンザの危険が存在することを改めて認識させられた。23歳の男性が Satya Negara Hospital において6日間の治療を受けた末に死亡し、血液検査で the H5N1 virus が陽性であることが判明し、2012年の[インドネシアにおける]初めての鳥インフルエンザ [avian influenza A/(H5N1) virus infection] による死者となった。当局は、男性は飼育していたハトから感染したと見ている。男性の、5歳の弟が咳と熱の症状を発症したため、直ちに Persahabatan Hospital in North Jakarta を受診したが、鳥インフルエンザではないことが確認されている。2011年10月には、バリ Bali 島 Bangli 地区の2人の幼いきょうだいが、近所の死亡した家禽との接触による鳥インフルエンザ感染で死亡し、それ以前の2010年7月にも、Tangerang の女性1名の鳥インフルエンザによる死亡が公式に発表されていた
[Mod.CP- 全体的に、これら2件の the Jakarta Globe の記事はバランスの取れた報道内容であり some international sources のようにヒステリックではない]
関連項目 20120109.1004606

● コレラ-ハイチ、ドミニカ共和国
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update 2011: Haiti, DR
Archive Number: 20120111.1007086
[1] ハイチ、ドミニカ共和国 最新状況
 情報源 France 24 、2012年1月6日。
近年最悪の流行の1つである、ハイチのコレラ Cholera 感染流行による死者は、7000人近くに達したことが、6日 the Pan American Health Organization の副事務局長から明らかにされた。2011年12月の時点でハイチ政府当局は、死亡患者に加え、52万人以上のコレラ感染患者が報告されており、1日あたり新たに200人の感染が発生していると報告している。22万5千人が死亡した、2010年1月12日の地震から2年目のブリーフィングの中で、隣国のドミニカ共和国でも2万1千人が感染し、363人が死亡していると説明した。今回のコレラ感染流行は2010年10月に開始し、ネパールからの国連平和維持部隊のキャンプが発端となったと、広く非難されている。
[2] The role of HealthMap and Twitter for surveillance
 情報源 Nature、2012年1月10日。
Twitter は従来の方法よりも迅速にハイチの致命的なコレラ感染流行を検出し追跡するためのデータを提供していた。2010年1月の地震後にハイチを襲い6500人以上の死者を出しているコレラ感染流行の検出に関しては、公式発表(記録)よりも online social media and news feeds は、より早く広く正確であった。この結果は、ハイチ地震2周年に発行される10日の special section of The American Journal of Tropical Medicine and Hygiene に掲載される。著者らは automated surveillance platform の HealthMap を使用し、感染流行発生から100日間の news media の情報量を評価するとともに、Twitter 上の the number of "cholera" posts を調べた
[3] ヒスパニオラの第1例目の患者
 情報源 New York Times 、2012年1月10日。
2010年の流行開始時に、初めてコレラに感染したハイチ患者は、ほぼ間違いなく Mirebalais 在住の28歳の知的障害者の男性であることが、研究者らにより明らかにされた。 The American Journal of Tropical Medicine and Hygiene に記載されているこの男性は、Creole語で "狂人" を意味する the village "moun fou" と呼ばれていた。家族は飲料水に注意していたが、この男性はしばしば裸足で川 the Latem River に出かけ水を飲んでいた。この川は,ネパールの国連平和維持部隊のキャンプからの排水が流されていた the Meye River のすぐ下流にある。Haiti's outbreak は a Nepali strain によるもので、キャンプが感染源と考えられている。この男性は2010年10月12日に重症下痢症を発症し、24時間以内に死亡した。遺体を洗った2名も48時間後に発病している。初めての入院患者 Haiti's 1st hospitalized cholera case は同17日に Mirebalais で発生している

● 百日咳-オーストラリア
PRO/EDR> Pertussis - Australia: (WA)
Archive Number: 20120111.1007036
 情報源 IEWY News 、2012年1月3日。
[西オーストラリア Western Australia 州]保健局は幼い子供の保護者らに対し、百日咳 whooping cough の症状に注意すると共に、家族のワクチン接種状況を確認するよう呼びかけている。2011年12月23日までに当局に報告された百日咳患者の数は合計3597人であり、一方、2010年の1年間の患者数は1458人だった。11月にピークの704人が報告された。現在はやや減少傾向にあるものの、依然としてコミュニティ内の百日咳発生状況は高いままである。当局者は、最後に百日咳の感染流行が発生したのは2004年であり、3-4年ごとに流行を繰り返していると述べ、WA の感染流行は、近年の他州での百日咳発生状況と連動していると説明した。いずれの年齢層にも影響があるが、特に重症化し生命の危険もある生後6ヶ月未満に対する影響が懸念される、と述べた。
[Mod.LL- 2011年の患者のうち、生後6か月未満のハイリスクグループの患者がどれくらい含まれていたのか、明らかではない。乳幼児の合併症として最も多いのは、無呼吸、肺炎、哺乳・摂取不足による体重減少、咳嗽後嘔吐などである。このほか、睡眠障害、気胸、鼻出血、結膜下出血、頭蓋内血腫、脱肛、尿失禁、肋骨骨折などもある。百日咳の合併症の粗発生率は5-6%であるが、6ヶ月未満では3-4倍高くなる。米国内では、接種が完了していない乳児 infants の発病や死亡を抑制する目的で、無細胞ワクチン "cocooning" acellular pertussis vaccines の使用が推奨されている。基礎免疫完了後の年長児や成人で、典型的な "whoop 喘鳴" を伴わない慢性の咳症状の見られる、 百日咳感染への感受性増加が、次々に報告されている。免疫の減弱 Waning immunity による問題と考えらているが、他の要因が関係する可能性もある]

● ツツガムシ病-インド
PRO/AH/EDR> Scrub typhus‚ India: (TN) Chennai, fatal
Archive Number: 20120111.1006935
 情報源 Times of India 、2012年1月12日。
先週、Apollo Hospitals で少女が、高価な抗生物質による治療を受けたにもかかわらず、多臓器不全で死亡した。ツツガムシ病 Scrub typhus であることを決定付ける太ももの小さな刺し口 tiny black scar に医師らが気づいたのは、少女が集中治療室に入った後だった。医師は、抗生物質により治療可能であるが手遅れになると手の施しようがなくなると説明した。2011年12月にも、この医師らは少なくとも3人の重症のツツガムシ病患者を診察した。デング熱のシーズンであり4人のデング熱患者がいるが、ツツガムシ病の患者ほど重症にはならない、と説明した。
[Mod.ML- Scrub typhus, Republic of Palau. Emerg Infect Dis. 2006; 12(2): 290-5.]


● シュマーレンベルグウイルス-欧州 ECDC
PRO> Schmallenberg virus - Europe (04): EU, RFI
Archive Number: 20120111.1007296
 情報源 The European Centre for Disease Prevention and Control (ECDC) - Publications、2012年1月11日。
食品流通と動物衛生常任委員会 the Standing Committee on the Food Chain and Animal Health (SCoFCAH) による the Schmallenberg Virus Situation に関する会議において、ドイツ、オランダ、ベルギーから提出された情報によれば、この新たなウイルスが反芻動物の家畜の間で循環したのは、the 2nd semester of 2011 であり、ウシの非特異的な臨床症状を示したり、主にヒツジの、より頻度は低いがウシやヤギでも、先天奇形の原因となった

● ナシの病気,火傷病-米国
PRO/PL> Fireblight, pome fruit - USA: (NY), SR strains
Archive Number: 20120111.1006401
 情報源 Physorg 、2012年1月9日。
過去50年間、火傷病 fireblight は抗生物質ストレプトマイシン streptomycin の使用により防護されてきたが、Wayne and Ontario counties 内の4か所で、最近耐性菌による疾患 streptomycin-resistant strains of the disease が発見されたことから、植物病理学者らがリンゴおよびナシ農家 New York apple and pear growers に対し注意を呼びかけている ... Strep-resistant fire blight が初めて発見されたのは、カリフォルニア California in 1971 で、その後 Washington, Oregon, Missouri, and southwest Michigan に感染が拡大した。Michigan からの病気の苗木によって、2002年に an outbreak in New York が発生したが、根絶に成功したと見られていた
[Mod.DHA- Fireblight は 細菌の_Erwinia amylovora_ の感染を原因とし、世界中の pome fruit trees にとって最も大きな被害を与える病気の1つと考えられている。ナシ pear、マリメロ quince、リンゴ apple の多くの品種に感染感受性がある susceptible。 the _Rosaceae_ の仲間だけに感染し、多くは the sub-family _Maloideae_ (synonym _Pomoideae_) の感染であるが、多くの栽培バラや、 キイチゴ bramble varieties にも感染する。感染が知られている宿主は more than 140 species from 40 genera. にも及ぶ。 Many ornamental and weed species が、作物への感染 crop infections に関係する、病原体保有種 pathogen reservoirs となる]

● White nose syndrome、コウモリ-北米
PRO/AH/EDR> White nose syndrome, bats - North America
Archive Number: 20120111.1006347
 情報源 Seattle Pi 、2012年1月8日。
Vermont, New York やその他の州で、数百万頭のコウモリの死亡原因となっている、原因不明の真菌性疾患の研究者の1人が、同じ真菌に感染しながら European bats が生存していることから、white nose fungus に対する最良の感染対策の方法が得られるのではないか、と述べている。多くの研究者は、北米の white nose syndrome の原因となっている真菌は欧州から持ち込まれたもので、最初に New York state の洞窟に導入されたと考えている。この真菌が侵襲性のある種であることは厳密に証明されていないものの、その関連性に関する研究報告がまもなく完成する