2012年1月14日-16日

原因不明の脳疾患 ウガンダ

● 原因不明の脳疾患 ウガンダ
PRO/EDR> Undiagnosed cerebral disease - Uganda : (Acholi) nodding disease
Archive Number: 20120115.1011277
 情報源 Daily Monitor、2012年1月15日
Acholi Sub-region において、これまでに1800人の小児が首を曲げながら(nod)に至り、ほか1000人もこの症状に苦しめられている。絶え間なく涎を流すのも、この nodding disease の症状の1つである .. 2003年に初めて報告され、Kitgum, Lamwo, and Pader districts から2-15歳の少なくとも1270人が、また Gulu District からも先週2例が報告された。症状は、身体及び精神発達遅延、頷き head nodding、持続性の鼻漏と流涎からなる。患者の一部は頷くこと自体が死につながる場合がある。患児の多くは、食べることで nodding and seizures が誘発されるため、栄養不良に陥っている。抗けいれん薬が使用されているが疾患の治療にはつながっていない。2009年に採取された検体が米 CDC で検査されたが病気の原因の解明には至っていない。
black fly が伝播し,河川盲目症の病原体でもある原虫のオンコセルカ Onchocerca volvulus が関係するとの説に注目が集まっている。Mulago Hospital の MRI 検査で患児の一部に異常な脳波 abnormal brain waves が見つかっている [MR scan によってイメージ image は得られるが、脳波 wawes は分からない] 。Pager River Belt in Kitgum 周辺に多く、この地域では銃やミサイルが使用されていた ... その他の想定されている病因説など
[Mod.EP- われわれは a toxic encephalopathy causing myoclonia である可能性が高いとの見方をとっている。a common infectious agent が存在する可能性は低いとの報告であった。患児と健常児との間の、食料や飲料に関する A case-control study がぜひとも必要だろう]

● デング熱/デング出血熱
PRO/EDR> Dengue/DHF update 2012 (03)
Archive Number: 20120116.1011474
[1] フィリピン (Cagayan de Oro, Misamis Oriental province). 14 Jan 2012. The Cagayan de Oro city で13日、小児3人が感染
[2] スリランカ 14 Jan 2012. 2012年(12日まで) 674 dengue patients and 7 deaths from all parts of the country、昨年[2011], 28 112 dengue patients and 185 deaths
[3] マレーシア 12 Jan 2012. 2012年の第1週の患者数が、前年比90人(26%)増の440人だった。最多は Selangor of 61人増、次いで Johor with 11、Perak with 10 more cases.
[4] ペルー [in Spanish] (Pasco). 11 Jan 2012. the Pasco region, Constitucion district in the Oxapampa provinceで 55 probable and 33 positive people
[5] ブラジル Brazil [in Portuguese]
 - (Rio de Janeiro municipality, Rio de Janeiro state). 10 Jan 2012. the 1st week of 2012、 there were 64 cases, most (20 cases) in the Leopoldina (north zone), with no deaths.
 - (Ribeirao Preto, Sao Paulo state, 7 municipalities in Parana state, Campo Grande in Mato Grosso do Sul state, and Ilheus in Bahia state;). during the 1st week of January 2012, high indices of _Aedes aegypti_ breeding sites and are considered at risk of dengue outbreaks
[6] マーシャル Marshall Islands. 13 Jan 2012. on the decline in Majuro, but on Ebeye Island since Christmas [25 Dec 2011] has slowly but steadily increased. Ebeye health officials report 101 suspected cases, with 46 of those confirmed as dengue. The majority of the Ebeye cases have occurred over the past 2 weeks.
[7] ミクロネシア Jan 2012. the Federated States of Micronesia [FSM] では[2011年]9月の流行開始以来 1078 casesを報告し、the highest in the State of Yap with 839 casesだった。77 cases in Ulithi Atoll, 158 on Fais Island, 2 in Eauripik Island, and 2 in Woleai Atollとなっており、2人がthe dengue type 2 virus 感染により死亡した。

● そけいリンパ肉芽種 チェコ共和国、スペイン
PRO/EDR> Lymphogranuloma venereum - Europe: (Czech Republic, Spain) increase
Archive Number: 20120116.1011622
[1] チェコ共和国
1st detection of _Chlamydia trachomatis_ LGV biovar in the Czech Republic, 2010-2011
 情報源 Eurosurveillance Edition 2012, 17(2)、2012年1月12日
チェコ在住の HIV 感染の男性同性愛者 MSM 4人の直腸炎 proctitis について報告する。いずれも the lymphogranuloma venereum (LGV) biovar of _Chlamydia trachomatis_ が起因菌であった。MSM の間での _C. trachomatis_ serovars L1-3 による直腸炎の増加が2003年以降、欧州各国、米国、カナダなどでの増加が認められている。これまで東欧での LGV に関する報告はなかった
[2] スペイン(バルセロナ)
Lymphogranuloma venereum: a hidden emerging problem, Barcelona, 2011
 情報源 Eurosurveillance Edition 2012, 17(2)、2012年1月12日
2007年初から2011年末にかけて、146例の lymphogranuloma venereum (LGV) が保健当局 the Barcelona Public Health Agencyに報告された。このうち約49%は2011年に報告されたもので、men who have sex with men [MSM] が中心だった。約半数の32例が7月から9月にかけて報告された

● 麻疹
PRO/EDR> Measles update 2012 (03)
Archive Number: 20120115.1011321
[1] フランス(ARDS)
Fatal Case of Measles Without Rash Found in Young Woman

 情報源 Doctors Lounge、2012年1月13日
原著 Fatal measles without rash in immunocompetent adult, France. Emerg Infect Dis Mar 2012 in press
麻疹 Measles 感染による急性呼吸窮迫症候群 acute respiratory distress syndrome (ARDS) で死亡した患者には発疹が認められなかったことが、11日 the U.S. Centers for Disease Control and Prevention's Emerging Infectious Diseases journal において報告された。フランス・グルノーブル大学病院 the Centre Hospitalier Universitaire de Grenoble の医師らは、国内の29歳女性1名が、発疹を伴わない麻疹により、難治性 ARDS を発症し死亡したと報告した。外来において、発熱、咳、鼻かぜ、下痢、体重減少に対し、5日間の抗炎症薬と経口プレドニゾロンによる治療を受けたが、症状が改善せず入院となった。検査により、再生不良性貧血と極度のリンパ球減少を伴う白血球減少症が認められ、胸部レントゲン検査では両側びまん性間質浸潤を指摘され; 抗生物質による治療が追加された。詳しい検査が行われたが、元々の免疫低下をきたす疾患は確認されず;急性ウイルス感染症が示唆された。入院3日目、重症呼吸不全を起こし、集中治療室に移された。同6日目、幅広い血清学的検索の結果、麻疹ウイルスに対する抗 IgM 抗体が検出された。リバビリン ribavirin、副腎皮質ステロイド、免疫グロブリンの静脈注射による治療が行われ、リンパ球数は基準範囲まで回復したが、呼吸状態は改善せず、患者は死亡した。麻疹ウイルスは genotyped as D4 で、フランス及び他の欧州各地で感染循環する流行株 an epidemic strain であると確認された。経過中、粘膜疹 enanthem もしくは麻疹様発疹 morbilliform rash は認められず、また患者には麻疹ワクチン接種を示す書類も確認されていない
[2] ロシア(チェチェン)
Measles outbreak in Chechnya

 情報源 'The Caucasian Knot' [In Russian]、2012年1月12日
チェチェン共和国the Republic of Chechya の保健当局は、麻疹に感染した25人の小児の治療を行っている。実際の感染者数はさらに多いと見られ、事態は深刻である 
[3] ウクライナ(リヴィヴ)
Measles outbreak in Lviv Oblast attributed to migrants from Italy

 情報源 Ukrbiznes Agency [In Russian]、2012年1月13日
the Lviv Oblast Administration 保健当局は2011年末、イタリアからウクライナへの移民が増加していることを受け、麻疹感染流行への警戒を強めている。the Lviv Oblast での麻疹感染者数は2011年後半から増加しており、これはイタリアでの発生増加と機を一にしている。この時期、欧州各国からウクライナへの送還 displacement が強化され、特にイタリアからの送還が目立っていた。保健当局は、麻疹ウイルスの中でもっとも多い型は欧州全体や特に2011年前半のイタリアで広く蔓延する D4 genotype であることを確かめた。リヴィウでは、1日から13日までの期間中、小児131人を含む303人の麻疹患者が確認されている。2010年12月1日から2012年1月11日までの累計では、1118人の麻疹感染が発生し、うち579人が小児だった。リヴィウのほか、the Ivano-Frankivsk, Volyn, Rivne, Transcarpathia Oblasts, as well as in the city of Kiev でも麻疹感染の流行が起きている。
[4] 英国(スコットランド)
Glasgow schoolchildren offered MMR vaccine as measles cases rise across Europe
 情報源 STV News、2012年1月9日
The NHS [National Health Service] は、麻疹ワクチンの接種を完了していない全ての中学生 secondary schoolchildren に対し書面で通知を行っている。グラスゴー Glasgow では、欧州全域の麻疹感染流行のスコットランド Scotland への波及が懸念されるため、中学生への the MMR vaccine (麻疹風疹ムンプス3価ワクチン)の接種が勧められている .... 1998年、MMR ワクチンが自閉症に関係するとした Andrew Wakefield の間違った医学論文によりワクチン接種率が低下したことと、西欧諸国での麻疹感染増加、特にアイルランド共和国では2010年に60%の増加が見られたことなど
[5] コンゴ民主共和国 Congo DR
 - (Ubundu): Radio Okapi (Kinshasa) [In French]、2012年1月3日
children dying every day from measles since October
2011年10月以降、キサンガニKisangani から125kmの、Ubundu [Orientale province] 地域において、麻疹感染による小児の死亡が続いている。
[Mod.CP- 2011年初以来、国内で10万人以上の麻疹感染が発生したと報じられており、国境なき医師団 MSF [Medecins san Frontieres] は緊急の麻疹ワクチン接種への支援を呼びかけている。Kongolo では1週間に119 new cases of measles が報告され、Mwene Ditu では2ヵ月半の間の感染者3000人、死者40人が報告されている]
 - (Faradje):Allvoices.com、2012年1月12日
Measles reached a sixth province in the Democratic Republic of Congo

2011年12月27日から29日にかけて行われた、NGO のMSF による the Faradje health zone, in Eastern Province における調査の結果、麻疹感染の流行発生が確認された。2011年の第3 trimester に、同地域内で死者3人を含む 210人の麻疹感染が疑われている。2011年4月、5か所の地域 five provinces off CongoDR: Katanga, Maniema, South- Kivu, Eastern and Western Kasai での麻疹感染流行が確認されていたが、今回6か所目となる Eastern Province (Orientale province) にも感染が拡大した。
[6] 米国:KSN.com 、2012年1月12日
Measles cases confirmed in southwest Kansas

Finney County の保健当局は、2例の麻疹感染を確認した。

● 鳥インフルエンザ、ヒト カンボジア
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (07): Cambodia (BM)
Archive Number: 20120114.1010683
 情報源 China Daily, Xinhua report、2012年1月13日
Cambodia finds first case of H5N1 infection inhuman in 2012
北西部 Banteay Meanchey 州で2歳の男児1名が鳥インフルエンザ Avian influenza H5N1 ウイルスに感染したことが、保健省及び WHO から13日に発表された。患者は現在  Angkor Hospital for Children in Siem Reap province 小児病院に入院中で、危険な状態にある。3日から発熱、咳、鼻水、嘔吐の症状があり、治療の効果が見られないため9日に Angkor Hospital for Children に入院となった。12日の検体検査の結果、発病前に病死した家きんとの接触があったことが判明した。カンボジア国内で H5N1 ウイルスに感染した患者は、この男児が19人目で、2012年の初めての患者となった。このうち16人が死亡している

● レプトスピラ症 フィリピン
PRO/AH/EDR> Leptospirosis – Philippines (02): (MN, Lanao del Norte) fatal
Archive Number: 20120114.1010556
 情報源 Energypublisher.com、2012年1月12日
ミンダナオ Mindanao 島の医療機関はストーム tropical storm Washi のあと、げっ歯類によって感染する細菌性のレプトスピラ症 leptospirosis の患者に対する警戒を強めている。 Cagayan de Oro and Iligan 両市で314人の患者と8人の死亡が報告されている

● 赤潮、魚類 米国
PRO/AH> Red tide, fish - USA: (FL Florida) bird, turtle
Archive Number: 20120116.1011990
 情報源 NBC 2、2012年1月12日
Lee and Collier counties (Florida) 沖には今も赤潮が漂っている。Pine Island Sound, San Carlos Bay, and inshore Marco Island での極度の低濃度~中濃度 red tide cell concentrations が報告されている

● リス痘 アイルランド
PRO/AH> Squirrel pox, red squirrel - Ireland: (WW)
Archive Number: 20120116.1012040
 情報源 Irish Independent、2012年1月13日
Wildlife chiefs concerned over squirrel pox virus
アイルランドで初めて発生した myxomatosis に類似する病気、リス痘 the squirrel pox virus 感染流行により2匹目の red squirrel が死亡した。the Sugar Loaf, near Kilmacanogue, Co Wicklow の低い斜面で発見されたリス痘ウイルス the squirrel pox virus (SQPV) は [exotic] grey squirrels に発病することなく保有されている。しかし the native Irish red squirrel にも感染し、通常、ウサギの罹る myxomatosis-type symptoms  の様な症状の末、数日間のうちに死に至らしめる

● 炭疽 ペルー
PRO/AH/EDR> Anthrax, bovine - Peru: (Tacna) RFI
Archive Number: 20120115.1010968
 情報源 llo Puerto Clave、2012年1月12日
Outbreak of Anthrax threatens animals in Inclán Sama [Peru]
the district of Sama Inclan の保健当局 the Regional Directorate of Health の人獣共通感染担当部局が11日、動物[ウシ]1頭の炭疽 Anthrax 感染が発生したが、ヒトの感染は発生していないと報告した。
[Mod.MHJ- ホルスタイン種の写真が掲載されており a bovine outbreak のようではあるが、単に手近の写真を使用しただけの journalistic freedom かもしれない。一方、ヤギやヒツジ1頭だけなら、気づかれたり、ましてや診断がついたりする可能性は低い]

● 中毒、鳥類 米国
 PRO/AH/EDR> Poisoning, avians - USA (UT): starlicide
Archive Number: 20120114.1010900
 情報源 Standard-Examiner Davis Burearu、2012年1月13日
Clues emerge in Clearfield bird deaths
クリアフィールド CLEARFIELD 発 -- ユタ州野生動物保護局 Utah Division of Wildlife Resources officials は、Clearfield でクリスマスの1週間前に多数の鳥類が死亡した原因を突き止めたが、今もいくつかの疑問点が残されている。 Logan の検査機関に送られた鳥類の毒物検査の結果、ムクドリ starling の個体数制限に使用される、化学構造が DRC-1339 に似た毒物、商品名 Starlicide に曝露して死亡したと見られている 

● 馬ヘルペスウイルス 米国
PRO/AH/EDR> Equine herpesvirus, equine - North America (02): (CA)
Archive Number: 20120114.1010899
 情報源 Horsetalk.co.nz、2012年1月14日
Three EHV-1 cases in Orange County, California
カリフォルニア California 州の3頭のウマが、神経型の馬ヘルペスウイルス equine herpes virus 1 (EHV-1) に感染していたことが、検査で判明した

● 狂犬病 メキシコ
PRO/AH/EDR> Rabies, bovine - Mexico (TA)
Archive Number: 20120114.1010901
 情報源 El Diario [in Spanish]、2012年1月14日
the Santa Gertrudis ranch で先週末に23頭のウシが死亡した麻痺性狂犬病 [bovine] paralytic rabies と見られる感染流行に対する注意が呼びかけられている
[Mod.TY- bovine paralytic rabies は、南北アメリカの熱帯地域で最も多い吸血コウモリの_Desmodus rotundus_ により伝播される]