2012年1月17日-19日

◎ ラッサ熱 緩徐な発症、聴覚障害
結核 インド "totally drug-resistant" tuberculosis (TDR-TB)

◎ ラッサ熱 ナイジェリア
PRO/AH/EDR> Lassa fever - Nigeria: (EB) nosocomial
Archive Number: 20120119.1015405
[1] Ebonyi で医師1名死亡、他の医師も治療中
 情報源 The Nation、2012年1月18日
Ebonyi State で1人の医師がラッサ熱 Lassa fever と呼ばれる出血熱で死亡した。the Federal Teaching Hospital (FTH), Abakaliki [capital of Ebonyi State] では、他の数人の医師らも同疾患に対する治療を受けている。保健省による公式の確認はされていないが、感染流行への注意が呼びかけられている。感染患者らへの曝露により、医師らが感染し流行が発生したと同病院の医師の1人が話した。政府保健省に対し感染拡大阻止のための介入を求めている。2008年に州内で初めてラッサ熱 outbreak of Lassa fever が報告され、複数の死者が発生した。医師1名と医療関係者数名の感染があった。2011年、Abakaliki 近郊の軍宿舎 the Military cantonment(Nkwoagu)でも4人が感染により死亡している
[2] 情報源 Daily Times Nigeria、2012年1月18日
Igboji General Hospital Ikwo Ikwo LGA [local government area] of Ebonyi state の医長がウイルス出血熱により死亡したことを受け、政府当局は乾期に伴うウイルス出血熱、胃腸炎、髄膜炎等の感染症の治療と流行対策を行う、緊急対策チームを立ち上げた .....
[Mod.CP- Lassa viral haemorrhagic fever は、西アフリカで発生する 1-4 weeks の急性ウイルス感染症である。一本鎖 single-stranded RNA virus で、アレナウイルス Arenaviridae 科に属する。ギニア (Conakry)、リベリア、シエラレオネとナイジェリアの一部に地方感染するが、他の西アフリカ諸国にも存在する可能性がある。約80%の感染者は無症候性である; 残りの患者では、肝臓、脾臓、腎臓など複数の臓器にウイルス感染が起こり、重症の多臓器疾患を発症する。潜伏期間は 6-21 days である。
通常、発症は緩徐で、発熱、全身衰弱、倦怠感の症状で始まる。数日後、頭痛、咽頭痛、筋肉痛、胸痛、嘔気、嘔吐、下痢、咳、腹痛などの症状が起きる。重症例では、顔面腫脹、胸腔内液体貯留、口・鼻・腟・消化管からの出血、血圧低下が見られることがある。尿中蛋白が認められる場合もある。末期には、ショック、けいれん、振戦、失見当識、昏睡となる。患者の25%に聴力障害 Deafness が発生するが、そのうちの半数の患者は、1-3か月後にある程度回復する。 
ラッサ熱は人獣共通感染症であり、ヒトは感染動物との接触により感染する。ラッサウイルスの保有動物は the genus _Mastomys_ のげっ歯類で、一般に the "multimammate rat" と呼ばれている。ラッサウイルスに感染しても、Mastomys は発病することはないが、排泄物(尿、糞)中にウイルスを排出する。通常、ヒトのラッサウイルス感染は、感染のあるマストミスの排泄物 excreta of infected _Mastomys_ rats に接触することで起きる。ラッサウイルスは、ラッサ熱感染のある患者の血液、尿、糞、その他の体液との直接の接触により、ヒトの間で感染が広がることもある。空気感染によるヒトの間での感染拡大に関しては、疫学的証拠がない。community 及び 医療器具の汚染を通じてウイルス感染伝播が起こりうる health care settings においては、ヒトからヒトへの感染が発生する可能性がある]

● 結核 インド
PRO/EDR> Tuberculosis, TDR - India (04): (MH) fatal
Archive Number: 20120119.1015543
 情報源 UN Integrated Regional Information Networks (IRIN) News、2012年1月17日
完全薬剤耐性結核 The "totally drug-resistant" tuberculosis (TDR-TB) がインド国内で発生し、まさに an advanced stage of drug-resistant TB であり、ほかに良い呼称がないため totally drug-resistant と呼ばれている。"the WHO [World Health Organization] が、この高度耐性 advanced stage of resistance の定義を決めるまで TDR の用語がよいだろう a good descriptor とインドの医師は述べた。この医師らは、2011年12月後半に初めてのいわゆる TDR-TB の患者4名についての lab tests では,結核治療に用いられる 12 drugs に効果が見られないことを報告した。薬剤に対する結核菌の抵抗性は、患者が推奨される6ヶ月間の抗生物質治療を最後まで受けなかったり、品質の悪い薬剤 sub-standard drugs を服用したりしたために発生し、そのことで治療期間や費用がより増えてしまう。ムンバイ Mumbai の患者4人のうちの3人は、"間違った指示されていない第2選択薬が、勝手に増やされ、間違った量で処方されていた" 。多剤結核耐性の治療を試みた複数の医師が処方していた。WHO は 2 groups of drug-resistant TB を規定している: 最も効果のある2剤の効果が見られない multidrug-resistant (MDR-TB) と、fluoroquinolone and anti-TB injectable drugs による治療も効果がない、extensively drug-resistant TB, (XDR-TB) である。"実際には、本当に 'total' なのか明らかではない -- 全ての薬剤について検査を行うことはとてもできない" と、2006年以降 XDR-TB への世界的な対応を指揮する TB expert with WHO's TB control department は話している。WHO は the 4 "1st-line" drugs に反応しない結核患者に対して、14種類の薬剤についての treatment guidelines を発行している -- the Indian labs ではこのうち6種類の検査は行われていない --。 13 Jan 2012 briefing note では、抗結核薬の一部に対する感受性試験 lab testing の国際標準が欠如していることから、その結果によって薬剤による治癒を否定することが困難であると WHO によって説明されている。検査室である薬剤に結核菌が反応しなかったとしても、感染した患者にもそうであるかどうかはわからないし、新たな抗結核薬も開発中で、totally drug-resistant strains と呼ばれる菌に対する有効性も確かめられていないとしている。2012年3月には a new TB definition の必要性を議論する専門家会合が開催される。" 'totally drug-resistant' TB を、他の XDR-TB cases と、特に治療結果の点で異なる特徴を持つ a subset of XDR-TB と定義づけるのであれば、国際的に認められた定義が必要となるかもしれない" としている。"もし XDR に比べて、非常に治療が困難な型 とするならば、一部の二次選択薬(による治療) SLD [2nd-line drug] options が残されている" と述べられている。ドイツ、イタリア、イラン、そして今度のインドで、21 cases labelled TDR-TB が文献的に報告されている。 "多くの国々が、今後、多数の症例を経験する可能性が非常に高い -- 特に東欧では、より高いだろう" 。2010年末までに69 カ国がWHO に対して少なくとも1例の XDR-TB を報告しており、全世界の推計 MDR-TB cases 患者総数の半数以上が中国とインドから報告されている。2010年TB or MDR-TB の発生のある36か国中16カ国は、結核菌培養と感受性試験の行える検査機関が人口500万人当たり1未満であった。


● 鳥インフルエンザ、ヒト カンボジア・エジプト・インドネシア・ベトナム、カンボジア(2件)
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (09): Cambodia, Egypt, Indonesia, Viet Nam
Archive Number: 20120119.1015836
[1] カンボジア,WHO
 情報源 World Health Organization (WHO), Global Alert and Response (GAR), Disease Outbreak News 、2012年1月18日
カンボジア政府保健省は16日、1例のヒトの鳥インフルエンザ avian influenza A (H5N1) virus 感染患者が18日に死亡したことを発表した [20120117.1012307] 。この男児は、国内で18例目の the H5N1 virus 感染の患者となり、これまでに17人が死亡している。
[2] エジプト,WHO
 情報源 WHO, Global Alert and Response (GAR), Disease Outbreak News、2012年1月19日
エジプト保健人口省は2例のヒトの鳥インフルエンザ avian influenza A (H5N1) virus 感染について WHO に報告した。1例目は Cairo governorate の2歳女児で、2011年10月30日に、インフルエンザ様症状 influenza-like illness (ILI) のため the Helwan Fever Hospital を外来受診した。定点観測地点 sentinel ILI surveillance sites における、ILI outpatients の検体に対して実施されている、定期的な RT-PCR 検査 (at the Central Public Health Laboratory) の中で、感染が確認された。確定後、疫学担当チームが患者の調査を行い、 患児の女児の家族からデータを採取したところ、 庭先飼育の家禽 backyard poultry との接触が判明した。患児の検体については the US Naval Medical Research Unit No. 3 (NAMRU-3) において、詳しい検査が行われている。2例目の患者は、Fayium governorate の31歳の男性で、2012年1月1日に発症し、14日から oseltamivir による治療が開始されたが、今も 集中治療室 the critical care unit に入院中である。感染は、 the Central Public Health Laboratory, a National Influenza Center of the WHO Global Influenza Surveillance Network において確認されている。両症例の疫学的調査により、 backyard poultry との接触が確認されている。エジプトではこれまでに159例の感染が確認されており、うち55例が死亡した。
[3] インドネシア,WHO
 情報源 WHO, Global Alert and Response (GAR), Disease Outbreak News 、2012年1月19日
インドネシア政府保健省は、新たに1例のヒトの鳥インフルエンザ avian influenza A(H5N1) virus 感染について発表した。 Jakarta province の5歳の女児で、1月7日に地域内の調査を行っていた surveillance team が発見し、病院へ紹介された。同13日に呼吸困難の症状があり、状態が悪化して16日に死亡した。疫学的調査で、症例No, 183 [20120111.1007376] の家族として接触があり、同居家族として、同じハトと直接接触していたことも判明した。他の感染例は確認されていない。インドネシアで184人の感染が確認され、152人が死亡している。
[4] カンボジア、ベトナム
 情報源 Asia Pacific news, channelnewsasia.com, Agence France-Presse report、2012年1月19日
ベトナム政府当局は19日、およそ2年ぶりに、鳥インフルエンザによるヒトの死亡が発生したことを明らかにした。カンボジアでも、小児が死亡している。中国が昨年[2011年]12月に18ヶ月ぶりのH5N1ウイルスによる死者を報告して以来、国内で鳥インフルエンザに対する不安が広がっていたが、ベトナム政府当局は、警戒する必要はないとしていた。 "鳥インフルエンザの発生状況は、依然としてコントロール可能な範囲にある within our control" とホーチミン市の当局者 the Health Department of Ho Chi Minh City は述べ、 "southern provinces の状況についての調査チームが派遣されている"と説明した。11日に死亡したこのベトナム人の患者は、南部 the southern Mekong delta province of Hau Giang のダック農家で、飼育していた群れからの感染について調査が行われている。ベトナムでの感染は April 2010.以来となる。隣国カンボジアでは、北西部 Banteay Meanchey province の2歳男児が、病気の家禽との接触により感染し、1月18日に死亡したことが、WHO から報告されている。2003年以降、The H5N1 strain of avian influenza による死者は340人 [now 342] に達している。ベトナムは、東南アジアの中で、鳥インフルエンザによる死者が最も多い国の1つで、2003年以降59人の死者が記録されている。国連機関によれば、H5N1 によるカンボジアの死者は17人とされている。2011年にカンボジアで発生した8人の鳥インフルエンザ感染患者は、全て死亡しており、最後の患者の発生は2011年8月だった。このうち7人が小児だった。冬季は、ウイルスの活動性が高まる傾向にあり、2012年1月初旬以降、ベトナム Viet Nam's Mekong delta area で、鳥インフルエンザ感染封じ込めのために3000羽以上の鳥類の処分が行われている。
[Mod.CP- 19 Jan 2012 の時点の the global total of human cases of avian A/(H5N1) virus infection は 581 cases,342 人死亡となっている]

カンボジア
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (08): Cambodia (BM) WHO
Archive Number: 20120117.1012307
 情報源 World Health Organization (WHO), Global Alert and Response (GAR), Disease Outbreak News 、2012年1月16日
カンボジア政府保健省は、1名の鳥インフルエンザ Avian influenza A (H5N1) virus感染患者について発表した。患者は、バンテアイメアンチェイ Banteay Meanchey Province 州の2歳の男児で、1月3日に発症し、同9日に入院となり、Tamiflu [oseltamivir] による治療を受けながら、人工呼吸器を装着されている。自宅のある村で複数の病気の家きんに曝露していたことが報告されている。カンボジアで19人目のH5N1ウイルス感染患者となった;うち16人が合併症により死亡している ....患児と接触のあった病院職員にはオセルタミビルが処方され、これまで、患児との接触者の中に鳥インフルエンザ A(H5N1) の検査で陽性となったものはいない。
[Mod.CP- 20120114.1010683 についての WHO 公式確認] 

● チクングニア熱 モーリシャス
PRO/EDR> Chikungunya (02): Mauritius
Archive Number: 20120119.1015835
 情報源 Grand Baie.mu [in French]、2012年1月18日
The Barnwell hospital より、2012年初の[チクングニア熱感染の]患者が11日に治療を受けたことが発表された。保健当局者 [of the Island of Mauritius] が明らかにした。患者はthe region of Ebene 在住の60歳代で、Moka に3日間入院した
[Mod.TY- モーリシャス the Island of Mauritius では近年,isolated cases as well as outbreaks of chikungunya virus infection の報告があった。Chikungunya はアルファウイルス Alphavirus of the Togaviridae family の1種で、ネッタイシマカ _Aedes aegypti_ およびヒトスジシマカ _Ae. albopictus_ mosquitoes により伝播される。現在の Mauritius の蚊族の増勢 the relative abundance of these vector mosquitoes については触れられていない]

● 発がん性ウイルスへの曝露、家きん産業
PRO/AH/EDR> Oncogenic virus exposure, poultry industry
Archive Number: 20120118.1014639
 情報源 PoultryMed、2012年1月6日
原著 "A pilot case-cohort study of liver and pancreatic cancers in poultry workers" in Annals of Epidemiology, Volume 21, Issue 10 , Pages 755-766, October 2011
ウイルスの中に、ニワトリやシチメンチョウに感染し発がん作用をもつものがある。たとえば、the avian leukosis/sarcoma viruses (鳥白血病/肉腫ウイルス ALSV), 細網内皮症ウイルス reticuloendotheliosis viruses, and マレック病ウイルス Marek's disease virus などがそれである。これらのウイルスの中には、動物[すなわち鳥類]に対する最も強力な発がん物質とされるものもある。ヒトも様々な状況で、生きた家きんや卵などに触れることにより、これらのウイルスに暴露している; 生あるいは調理が不十分な料理の摂取; 鶏卵で培養される、麻疹、ムンプス、インフルエンザ、黄熱、腸チフスなどのワクチンの接種、などがある。外部からのウイルス汚染 exogenous ALSV-contaminated のあった黄熱ワクチンの接種による、ニワトリの悪性腫瘍の報告がある。
全てではないが一部の報告では、家きん業労働者や一般市民の血清中から、これらのウイルスに対する抗体の存在が報告されている。Annals of Epidemiology [(2011) 21:755-766] に報告された研究では、poultry oncogenic viruses への曝露と、poultry workers と一般市民の肝及び膵がんによる死亡発生の増加に関係するという仮説の検証と、新たなリスクファクターとしての同定が試みられた。30 411 poultry workers and 16 408 non-poultry workers から構成される case-cohort study である。生きた家きんの処理や捕獲に職業的に従事することは、すい臓がんに大きく関係することが結果として示された。また、職業としてニワトリの処理を行うことは、肝臓がんと有意に関係した。
[Mod.CP- New occupational findings として膵がん/肝がんそれぞれについてのオッズ比 odds ratio (OR) は,家きんの処理 slaughtering of poultry (8.9/ 9.1); 生きたニワトリの捕獲 catching of live chickens (3.6/1.0); 他の食用動物の殺処分 killing other types of animals for food (4.8/2.0), そしてかつての養豚業従事歴(3.0) for pancreatic cancer only との結果が示されている。Occup Environ Med doi:10.1136/oemed-2011-100310 の研究でも、poultry and control workers と肺がんとの関係が報告されている。同様の、家きん産業以外の職業曝露によるリスク上昇として、stockyard、化学工場、防カビ剤の使用、プラスティック製品製造などでの労働でも認められている。cancer occurrence in poultry workers と職業上の暴露との関係を示すには、full scale epidemiological studies of adequate statistical power が必要となる。しかし、これらの解析結果には、ウイルス学的考察 virological componentが含まれていない点を指摘しなければならない。avian leukosis/sarcoma viruses (ALSV), reticuloendotheliosis viruses, and Marek's disease virus は、確かに強力な発がん性物質 potent cancer-forming agents ではあるが、その作用はほとんど鳥類だけに対するものである。Peyton Roux が、発がんウイルス第1号のラウス肉腫ウイルス Rous sarcoma virus を発見してから、ちょうど100年を過ぎたが、今もこのウイルスは、鳥類だけに感染するウイルス uniquely avian virus のままである]

● 中毒 コロンビア
PRO/EDR> Poisoning, fatal, fermented drink - Colombia: (GV) glyphosate
Archive Number: 20120118.1013776
 情報源 Caracol Radio [in Spanish]、2012年1月15日
原住民の Cubeos [少数民族 ethnic group of the Colombian Amazon] の間で "chicha" [自家製発酵飲料]による集団食中毒が発生し、1人が死亡、10人以上が重体となっている。Calamar, Guaviare Department [southern central region of Colombia] 市の中心地から4時間の the village of La Reforma で起きた今回の事例について、原住民の村長は、非合法の作物駆除に撒布された農薬?に曝露した sprayed バナナを、the Cubeos が、廃棄せずに chicha にして飲んだために発生した、と述べていることを、市長が明らかにした
[Mod.TG- 16日の Diario La Nacion (in Spanish) によると、11日に国家警察の飛行機が the Cubeo settlement 近郊のコカイン農園に glyphosate を撒布したところ、飲料製造に使われたバナナなどの農産物も汚染された、と記事に書かれている]

● 腸管出血性性大腸菌 米国(2件)
PRO/AH/EDR> E. coli EHEC, 2010 - USA: (MN) non-O157, venison kabob
Archive Number: 20120117.1013136
 情報源 MSNBC、2012年1月18日
ミネソタ Minnesota 州の高校の科学の授業で road-kill capture(交通事故死したシカ?)の1頭や狩猟のシカ等の食肉処理などを行ったところ、生徒29人が大腸菌 E. coli による食中毒を発症した。2010年に発生したこの事例が、雑誌 the journal Emerging Infectious Diseases で報告され、factory-processed meat だけでなく、小規模の地元の精肉店であっても the risks of _E. coli_ contamination があることが指摘されている

PRO/AH/EDR> E. coli EHEC - USA: (MI) food handler
Archive Number: 20120117.1013132
 情報源 Western Upper Peninsula Health Department、2012年1月12日
[ミシガンMichigan 州] Western Upper Peninsula の保健当局は、クリスマス期間中に発生した大腸菌による食中毒集団発生 a cluster of cases of _Escherichia coli_ O157:H7 infection の調査を行っている。当初3 local and 2 non-local cases が確認された。さらに調査したところ、別の2名が確認され、4人が入院となったが死者は出ていない。また、調査により Houghton のレストラン The Ambassador の調理人 an ill food handler が感染源と見られることが判明した。

● 結核 インド
PRO/EDR> Tuberculosis, TDR - India (03): (MH) fatal
Archive Number: 20120117.1012906
 情報源 The Times of India (TOI), Times News Network (TNN) 、2012年1月15日
州政府当局は、完全薬剤耐性結核 totally drug-resistant tuberculosis (TDR-TB) の患者らを、Maharashtra's Sangli 近郊の Jaysingpur のサナトリウムに移すことを決めた。ムンバイ [Mumbai] からの移動に先立って、専門家らが患者の状態を判断することになっている .... Hinduja Hospital in Mahim で12人の患者が完全薬剤耐性結核菌 the TDR-TB bacilli に感染していることが判明したのは 2011年10月で、うち1人が1ヵ月後に死亡している。病院によると、さらに1人の死亡と患者の1人からその母親への感染が起きていたことが分かった。"JJ Hospital in Byculla [a neighbourhood in South Mumbai] にも同じ菌に感染した患者2名がいて、1人が死亡、もう1人に対しても治療法がない状態である" と当局者が述べた。
関連項目 20120110.1005663

● 髄膜炎菌性髄膜炎 ベトナム
PRO/EDR> Meningitis, meningococcal - Viet Nam: (Ho Chi Minh City)
Archive Number: 20120117.1012861
 情報源 Thanh Nien News 、2012年1月9日
ホーチミン市 Ho Chi Minh City [HCMC] の医師らは、同じ職場の同僚5人が致死性の脳炎 the outbreak of a fatal type of encephalitis [sic] に感染したとして、注意を呼びかけている。多くの種類の動物の粘膜表面に常在する共生菌の1つで、多くの種類を持つナイセリア菌 _Neisseria_を原因とする疾患で、感染すると短時間で死に至る。HCMC Tropical Diseases Hospital では、皮下出血による紅斑と発熱が見られ入院となった29歳の患者が治療を受けている。同病院の院長は、District 7 にあるこの男性と同じ会社の同僚の女性も、約3週間前に同じ病気で入院していることを明らかにした。この会社の他の同僚についても調べたところ、ほかにも 3人に同じ症状が認められていたことが判明した。
[Mod.ML- 髄膜炎菌性疾患 Meningococcal disease は髄膜炎菌 _Neisseria meningitidis_ を起因菌とし、複数の病原性血清群 pathogenic serogroups of meningococcal bacteria があり、その中に groups A, B, C, Y, and W135 などが含まれている。これらのグループはさらに specific strains に分かれている。_N. meningitidis_ により、髄膜炎と敗血症が引き起こされる。細菌は、呼吸器分泌物飛沫 droplets of respiratory secretions を通じてヒトからヒトに感染するが、それは主に無症候性鼻咽頭キャリアの微生物によって起きる。ある時点の人口のおよそ10-25%が_N. meningitidis_ を保有すると推定されており、流行時 epidemic situations にはより高い確率となる。濃厚かつ長期の接触 Close and prolonged contact (たとえば、キス、くしゃみ、咳への曝露、軍や学生寮での共生、食器類の共用) などが感染伝播を助長する。髄膜炎菌性髄膜炎の平均潜伏期間は4日間で、2から10日までの間とされている。さらに詳しい情報に関しては、20100625.2115 参照のこと。organization もしくは community 内のアウトブレイク outbreak of meningococcal 発生は、最大3か月間に3人以上の confirmed or probable cases が発生し、一次感染の症例から感染リスクのある人口10万人あたり10人以上に感染が発生した場合と定義されている。これは the normal occurrence の約10倍の発生となる。一般人口の500-800倍の感染リスクがあると見なされた接触者に対しては、化学的予防 Chemoprophylaxis (CDC) が行われる。患者の濃厚接触として、同居家族 household members、day-care center contacts、患者の口腔分泌物に直接触れた人物などが挙げられる。感染流行時には、流行宣言後のなるべく早い時期に、リスクのある人々への流行の原因となった血清群の菌に対するワクチン接種が行われるべきである]
地図 Ho Chi Minh City, formerly named Saigon はベトナム最大の都市で、人口は 7 396 446 in 2010

● 狂犬病 インドネシア
PRO/EDR> Rabies - Indonesia (01): (Bali), false alarm
Archive Number: 20120117.1013342
 投稿者 Merritt Clifton、2012年1月17日
2008年に始まった狂犬病 Rabies 感染流行の実態が極めて深刻 quite bad enough となっているバリ Bali 島から、間違った注意喚起 false alarm が瞬く間に広い範囲に拡がったので訂正しておきたい。13日の the 'Bali Times' には、不可解な "New Death Sparks Renewed Rabies Fear" という見出しの記事が掲載された。記事の冒頭には、わずかに残されていた狂犬病の発生のない地域の1つの Nusa Penida でも先週、現地の女性 1名が狂犬病により死亡し当局は感染の波及を懸念しているとし、 Sanglah Hospital の狂犬病対策責任者は Klungkung regency の43才と58才の患者が先週死亡し、狂犬病によるものと見られていると述べたと記されている。しかし、この記事はちょうど1年前の2011年1月8日の、現地語で書かれた新聞 'Radar Bali' の記事の抜粋・翻訳だと思われる。]
関連項目 20110110.0121

● シュマーレンベルグウイルス オランダ・ベルギー、ドイツ、ベルギー(3件)
PRO/AH> Schmallenberg virus - Europe (08): update
Archive Number: 20120119.1015883
[1] オランダ
 情報源 Agrarisch Dagblad [in Dutch]、2012年1月19日
the Animal Health Service [GD] は、最も楽観的な推測では,2月1日以降新たに the Schmallenberg virus [SBV] による奇形の子羊が生まれることはないと述べた。 "感染の大部分が、2011年の8月から9月にかけての時期に発生したと考えている" とした上で、子羊に奇形が発生する可能性が最も高いのは、妊娠25日目から50日目までに the SBV に感染したヒツジ である、と説明されている。 
[ヒツジの平均妊娠期間は約 147 days, ranging from 144 to 152 days]
[2] ベルギー
 投稿者 ベルギー・Veterinary and Agrochemical Research Centre、Thierry van den Berg、2012年1月19日
妊娠6ヶ月で流産されたオスの Belgian Blue の子牛の脳の PCR 検査で、19日、Schmallenberg virus (SBV) が検出された。この子牛には奇形は確認されなかったが、剖検で皮下の浮腫と水頭症が判明した。フランス国境付近のベルギー南部の約300頭の群れで、ほとんどが肉用牛 the Belgian Blue beef type で、一部は乳用牛だった。Brucellosis, BVD, mycosis, and current bacteria の感染は除外されている。 BTV, Q fever, and _Neospora caninum_ については、現在検査中となっている。現段階で、流産の原因がSBV と決めることはできないが、妊娠期間が長いため、出産時にはウイルスが消失してしまう子牛では、 SBV 診断がヒツジよりも困難としたオランダの共同研究者らの結論に沿うものである。今回、出産予定よりも3か月前に流産が起きたため、ウイルス感染による可能性が残された。同じ状況は、ウシとヒツジの AKABANE ウイルスに関しても言われている。ウシの感染のピークは今後2から3ヶ月と見込まれており、これまでに多数の農場で起きた流産や奇形のウシの出産に関する診断についての確認が必要である。ベルギー国内でこれまでに流産、死産、先天奇形の発生が確認された農場は50箇所に及んでいる。うちわけは、18 cattle farms (only one tested positive), 30 sheep farms (of which 27 tested positive) and 2 negative goat farmsである。

PRO/AH> Schmallenberg virus - Europe (07): update, Germany OIE
Archive Number: 20120118.1014295
[1] Schmallenberg virus more difficult to discover in cattle
 情報源 Agrarisch Dagblad (AGD) [in Dutch]、2012年1月17日
子羊に比べ、子牛のシュマーレンベルグウイルス the Schmallenberg virus [SBV] 感染を診断するのは困難である;しかし、先天奇形のある子牛の症例の報告数が増加している。ヒツジに比べてウシの妊娠期間が長いため、子牛の同ウイルス感染を調べるのは難しい。”ウシの場合、感染時期から出産までの時間が、ヒツジより著しく長いため、出産時に子牛の体内にウイルスが残されている可能性が低くなる”と the Central Veterinary Institute (CVI) の当局者は説明した ... 18日正午現在のオランダのデータ による、先天奇形の発生のあった農場数: cattle 101, sheep 129, goats 11 など。ドイツ the German state North Rhine-Westphalia の保健当局は、今後、出産されるウシ(子牛)の15-20%が SBV に感染していると見ている。秋に感染したウシが最も多く、2012年2月に奇形のウシの出産がピークとなる、と話している。
[2] New herd virus haunts Europe
 情報源 The Scientist、2012年1月17日
2011年11月、ドイツ・シュマーレンベルグ Schmallenberg の複数の農家で、一部の乳牛が発熱し、ミルクの分泌が減っている事に気づかれた。それから2か月経たないうちに、the Schmallenberg virusと命名されたこのウイルスが、国内および隣国ベルギーやオランダの約90か所の農場[もっと増えている]でも、成牛の感染が確認されると同時に、死産や、子牛、子羊や生まれたばかりの子ヤギの先天異常の原因となっている。ドイツの動物衛生の研究機関である the Friedrich-Loeffler-Institute の所長は、”現在、ある群れでは子羊の20-50%に奇形が認められており、その中には、水頭症 fluid sacs in the brain、脊柱側弯症などがあり、多くの場合死産されている”、と説明している。
[3] New animal virus takes Northern Europe by surprise
 情報源 ScienceNow (Science magazine) 、2012年1月13日
新たに発生したこのウイルスは、ヌカカ midges (_Culicoides_ spp.) によって媒介され、2011年の夏から秋に最も多く感染が発生したと見られており、一方、子宮内でウイルスに曝露した胎仔の出産が今始まっている。水頭症 hydranencephaly --脳の一部が液体に満たされた嚢に置き換えられる病態-- や脊椎が曲がる側弯症などのある子羊が初めて確認されたのは、クリスマス前であった

PRO/AH> Schmallenberg virus - Europe (06): update, Belgium
Archive Number: 20120117.1012402
 投稿者 ベルギー・Veterinary and Agrochemical Research Centre (VAR)、Dr Thierry van den Berg、2012年1月16日
2011年12月23日の初めての確認以来、ベルギー国内で反芻動物の流産、死産、先天奇形の発生する農場の数は増え続けており、13 cattle farms (all found negative), 34 sheep farms (of which 23 tested positive) and 2 negative goat farms という結果であった。感染の疑われる検体 suspect samples from 94 lambs, 17 calves and 5 newborn goats の検査汚こなれれ 49 lambs の陽性が判明した。農場単位で見ると、出生あたりの SBV-positive lambs は約32 %で、even 3 of the 4 ewes in one outbreak である .....

● アフリカ豚熱 南アフリカ(2件)
PRO/AH> African swine fever - South Africa (02): (MP) OIE
Archive Number: 20120119.1015587
 情報源 OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2012; 25(3)、2012年1月13日
African swine fever, South Africa reoccurrence of a listed disease
感染開始時期 2012年1月3日
前回流行時期 2011年1月
原因ウイルス African swine fever virus
新たな感染流行
発生地 Delmas, Mpumalanga: farm
感染動物 種 / 頭数 / 感染数 / 死亡数 / Destroyed / Slaughtered
ブタ Swine / 80 / 35 / 28 / 52 / 0
Affected population: Gauteng のと畜場で、発病して確認されたブタ No pigs left on farm and abattoir also empty.

PRO/AH> African swine fever - South Africa: (MP)
Archive Number: 20120117.1013196
 情報源 The PigSite、2012年1月16日
ASF outbreak reported in Mpumalanga
動物衛生の当局者 chief director of the Department of Agriculture, Forestry and Fisheries, Animal Production and Health より、Mpumalanga 州でアフリカ豚熱 an outbreak of African swine fever [ASF] が発生したことが明らかにされた。13日に The World Organisation for Animal Health (OIE) は緊急報告 immediate notification を受けた。報告によると Gauteng の 'と畜場' で確認されたもので、合計80頭中35頭の感染が確認されている

● 炭疽 ブータン
PRO/AH> Anthrax, bovine - Bhutan: (MO) susp
Archive Number: 20120119.1015176
 情報源 Kuensel Online、2012年1月18日。
Anthrax kills 11 cows
辺境地の Kumadzong village (of Gongdue gewog [group of villages] in Mongar) において、過去2週間、毎日牛肉を食べていた住民らが、2011年12月31日以降、村内で11頭のウシの死亡があったことを、村から歩いて3時間の距離にある Daksa の地域の家畜出張事務所 extension office に対して13日に報告した。5戸が保有するこの11頭はすべて、炭疽 Anthrax 感染流行により死亡した疑いがもたれている。このうちの10頭は住民らによって消費されてしまっている。今のところ、健康上の問題は報告されていない 

● 馬ヘルペスウイルス 米国
PRO/AH> Equine herpesvirus, equine - North America (03): (CA California)
Archive Number: 20120118.1013775
 情報源 The Horse、2012年1月16日
California EHV-1 case total rises to 5
Orange County, California で新たに2頭のウマの馬ヘルペスウイルス equine herpesvirus-1 (EHV-1) 検査が陽性となった。今回の2頭を加え、感染流行による症例数は5頭となった

● コリネバクテリア症 米国,ウマ
PRO/AH> Corynebacterium, equine - USA: (TX)
Archive Number: 20120118.1013774
 情報源 Denton Record-Chronicle、2012年1月15日
Pigeon fever new horse problem in Denton County
[数年間にわたって1頭も pigeon fever のウマは確認されていなかったとする、Denton County の獣医師らは] この数ヶ月間、毎週1-2頭の感染を報告する状況にある。Pigeon fever -- もしくは pigeon breast, dry land distemper, and Colorado strangles -- は、発生の予想が困難で感染性がある。病名は、ウマの胸にできる膿瘍のコブがハトの胸のように見えることから名づけられた。コリネバクテリア _Corynebacterium pseudotuberculosis_ 菌の感染を原因とする。細菌はキズや虫の刺し口から侵入すると考えられ、ウマからウマ,またはウマからウシに接触を通じて感染したり、土壌や皮膚のキズを介する伝播も起こりうる。乾燥地域に多くカリフォルニア California 州で広く発生が見られるが、近年、北方地域に感染が拡大している。一旦感染起き始めると排除は困難で unpredictable future outbreaks につながる。死亡することは少ないが、回復に数ヶ月掛かり、再発することもある。戸外で飼育されるウマの方が感染リスクが高い。ワクチンはなく、他のウマへの感染拡大を防ぐしか方法がない

● 原因不明の疾患、トウモロコシ ケニア
PRO/PL> Undiagnosed disease, maize - Kenya: (RV)
Archive Number: 20120117.1012452
 情報源 The Standard 、2012年1月10日
Bomet County [Rift Valley province] の住民らは、過去3ヶ月以上にわたって農作物の原因不明の病気に悩まされている。トウモロコシ maize の茎は枯れ、開花前に萎れてしまう。この地域全域や隣の Narok Countyへの拡大が懸念されている

● マレーバレー脳炎 オーストラリア 
PRO/AH> Murray Valley encephalitis - Australia: (WA)
Archive Number: 20120117.1012345
 情報源 ABC News、2012年1月16日
蚊族からヒトに感染し脳浮腫により死亡することもある、マレーバレー脳炎ウイルス Murray Valley encephalitis [virus] がニワトリ East Kimberley chicken flocks で確認されたと当局から発表された。地域の歩哨ニワトリ sentinel chickens に行われた一連の検査の中で、Wyndham and Kununurra の数羽でウイルスが検出された。
[Mod.TY- 昨年[2011年] 西オーストラリア Western Australia 州の11人が Murray Valley encephalitis (MVE) virus infections と診断され、1人が死亡している。州内の複数の地域で感染が確認されている。MVE virus に対する市販されているワクチンは無く、蚊族の刺咬を避ける以外に感染を予防する方法はない。 sentinel chicken flocks の MVE virus infection の検査が陽性となったことから、地域内で感染循環が発生していることは明らかである]