2012年1月19日

チクングニア熱-モーリシャス
◎ ラッサ熱-ナイジェリア,院内感染

● 鳥インフルエンザ、ヒト (09) -カンボジア、エジプト、インドネシア、ベトナム
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (09): Cambodia, Egypt, Indonesia, Viet Nam
Archive Number: 20120119.1015836
[1] カンボジア,WHO
 情報源 World Health Organization (WHO), Global Alert and Response (GAR), Disease Outbreak News 、2012年1月18日。
カンボジア政府保健省は16日、1例のヒトの鳥インフルエンザ avian influenza A (H5N1) virus 感染患者が18日に死亡したことを発表した [20120117.1012307] 。この男児は、国内で18例目の the H5N1 virus 感染の患者となり、これまでに17人が死亡している。
[2] エジプト,WHO
 情報源 WHO, Global Alert and Response (GAR), Disease Outbreak News、2012年1月19日。
エジプト保健人口省は2例のヒトの鳥インフルエンザ avian influenza A (H5N1) virus 感染について WHO に報告した。1例目は Cairo governorate の2歳女児で、2011年10月30日に、インフルエンザ様症状 influenza-like illness (ILI) のため the Helwan Fever Hospital を外来受診した。定点観測地点 sentinel ILI surveillance sites における、ILI outpatients の検体に対して実施されている、定期的な RT-PCR 検査 (at the Central Public Health Laboratory) の中で、感染が確認された。確定後、疫学担当チームが患者の調査を行い、 患児の女児の家族からデータを採取したところ、 庭先飼育の家禽 backyard poultry との接触が判明した。患児の検体については the US Naval Medical Research Unit No. 3 (NAMRU-3) において、詳しい検査が行われている。2例目の患者は、Fayium governorate の31歳の男性で、2012年1月1日に発症し、14日から oseltamivir による治療が開始されたが、今も 集中治療室 the critical care unit に入院中である。感染は、 the Central Public Health Laboratory, a National Influenza Center of the WHO Global Influenza Surveillance Network において確認されている。両症例の疫学的調査により、 backyard poultry との接触が確認されている。エジプトではこれまでに159例の感染が確認されており、うち55例が死亡した。
[3] インドネシア,WHO
 情報源 WHO, Global Alert and Response (GAR), Disease Outbreak News 、2012年1月19日。
インドネシア政府保健省は、新たに1例のヒトの鳥インフルエンザ avian influenza A(H5N1) virus 感染について発表した。 Jakarta province の5歳の女児で、1月7日に地域内の調査を行っていた surveillance team が発見し、病院へ紹介された。同13日に呼吸困難の症状があり、状態が悪化して16日に死亡した。疫学的調査で、症例No, 183 [20120111.1007376] の家族として接触があり、同居家族として、同じハトと直接接触していたことも判明した。他の感染例は確認されていない。インドネシアで184人の感染が確認され、152人が死亡している。
[4] カンボジア、ベトナム
 情報源 Asia Pacific news, channelnewsasia.com, Agence France-Presse report、2012年1月19日。
ベトナム政府当局は19日、およそ2年ぶりに、鳥インフルエンザによるヒトの死亡が発生したことを明らかにした。カンボジアでも、小児が死亡している。中国が昨年[2011年]12月に18ヶ月ぶりのH5N1ウイルスによる死者を報告して以来、国内で鳥インフルエンザに対する不安が広がっていたが、ベトナム政府当局は、警戒する必要はないとしていた。 "鳥インフルエンザの発生状況は、依然としてコントロール可能な範囲にある within our control" とホーチミン市の当局者 the Health Department of Ho Chi Minh City は述べ、 "southern provinces の状況についての調査チームが派遣されている"と説明した。11日に死亡したこのベトナム人の患者は、南部 the southern Mekong delta province of Hau Giang のダック農家で、飼育していた群れからの感染について調査が行われている。ベトナムでの感染は April 2010.以来となる。隣国カンボジアでは、北西部 Banteay Meanchey province の2歳男児が、病気の家禽との接触により感染し、1月18日に死亡したことが、WHO から報告されている。2003年以降、The H5N1 strain of avian influenza による死者は340人 [now 342] に達している。ベトナムは、東南アジアの中で、鳥インフルエンザによる死者が最も多い国の1つで、2003年以降59人の死者が記録されている。国連機関によれば、H5N1 によるカンボジアの死者は17人とされている。2011年にカンボジアで発生した8人の鳥インフルエンザ感染患者は、全て死亡しており、最後の患者の発生は2011年8月だった。このうち7人が小児だった。冬季は、ウイルスの活動性が高まる傾向にあり、2012年1月初旬以降、ベトナム Viet Nam's Mekong delta area で、鳥インフルエンザ感染封じ込めのために3000羽以上の鳥類の処分が行われている。
[Mod.CP- 19 Jan 2012 の時点の the global total of human cases of avian A/(H5N1) virus infection は 581 cases,342 人死亡となっている]

● チクングニア熱-モーリシャス
PRO/EDR> Chikungunya (02): Mauritius
Archive Number: 20120119.1015835
 情報源 Grand Baie.mu [in French]、2012年1月18日。
The Barnwell hospital より、2012年初の[チクングニア熱感染の]患者が11日に治療を受けたことが発表された。保健当局者 [of the Island of Mauritius] が明らかにした。患者はthe region of Ebene 在住の60歳代で、Moka に3日間入院した
[Mod.TY- モーリシャス the Island of Mauritius では近年,isolated cases as well as outbreaks of chikungunya virus infection の報告があった。Chikungunya はアルファウイルス Alphavirus of the Togaviridae family の1種で、ネッタイシマカ _Aedes aegypti_ およびヒトスジシマカ _Ae. albopictus_ mosquitoes により伝播される。現在の Mauritius の蚊族の増勢 the relative abundance of these vector mosquitoes については触れられていない]

● 結核-インド
PRO/EDR> Tuberculosis, TDR - India (04): (MH) fatal
Archive Number: 20120119.1015543
 情報源 UN Integrated Regional Information Networks (IRIN) News、2012年1月17日。
完全薬剤耐性結核 The "totally drug-resistant" tuberculosis (TDR-TB) がインド国内で発生し、まさに an advanced stage of drug-resistant TB であり、ほかに良い呼称がないため totally drug-resistant と呼ばれている。"the WHO [World Health Organization] が、この高度耐性 advanced stage of resistance の定義を決めるまで TDR の用語がよいだろう a good descriptor とインドの医師は述べた。この医師らは、2011年12月後半に初めてのいわゆる TDR-TB の患者4名についての lab tests では,結核治療に用いられる 12 drugs に効果が見られないことを報告した。薬剤に対する結核菌の抵抗性は、患者が推奨される6ヶ月間の抗生物質治療を最後まで受けなかったり、品質の悪い薬剤 sub-standard drugs を服用したりしたために発生し、そのことで治療期間や費用がより増えてしまう。ムンバイ Mumbai の患者4人のうちの3人は、"間違った指示されていない第2選択薬が、勝手に増やされ、間違った量で処方されていた" 。多剤結核耐性の治療を試みた複数の医師が処方していた。WHO は 2 groups of drug-resistant TB を規定している: 最も効果のある2剤の効果が見られない multidrug-resistant (MDR-TB) と、fluoroquinolone and anti-TB injectable drugs による治療も効果がない、extensively drug-resistant TB, (XDR-TB) である。"実際には、本当に 'total' なのか明らかではない -- 全ての薬剤について検査を行うことはとてもできない" と、2006年以降 XDR-TB への世界的な対応を指揮する TB expert with WHO's TB control department は話している。WHO は the 4 "1st-line" drugs に反応しない結核患者に対して、14種類の薬剤についての treatment guidelines を発行している -- the Indian labs ではこのうち6種類の検査は行われていない --。 13 Jan 2012 briefing note では、抗結核薬の一部に対する感受性試験 lab testing の国際標準が欠如していることから、その結果によって薬剤による治癒を否定することが困難であると WHO によって説明されている。検査室である薬剤に結核菌が反応しなかったとしても、感染した患者にもそうであるかどうかはわからないし、新たな抗結核薬も開発中で、totally drug-resistant strains と呼ばれる菌に対する有効性も確かめられていないとしている。2012年3月には a new TB definition の必要性を議論する専門家会合が開催される。" 'totally drug-resistant' TB を、他の XDR-TB cases と、特に治療結果の点で異なる特徴を持つ a subset of XDR-TB と定義づけるのであれば、国際的に認められた定義が必要となるかもしれない" としている。"もし XDR に比べて、非常に治療が困難な型 とするならば、一部の二次選択薬(による治療) SLD [2nd-line drug] options が残されている" と述べられている。ドイツ、イタリア、イラン、そして今度のインドで、21 cases labelled TDR-TB が文献的に報告されている。 "多くの国々が、今後、多数の症例を経験する可能性が非常に高い -- 特に東欧では、より高いだろう" 。2010年末までに69 カ国がWHO に対して少なくとも1例の XDR-TB を報告しており、全世界の推計 MDR-TB cases 患者総数の半数以上が中国とインドから報告されている。2010年TB or MDR-TB の発生のある36か国中16カ国は、結核菌培養と感受性試験の行える検査機関が人口500万人当たり1未満であった。

◎ ラッサ熱-ナイジェリア,院内感染


PRO/AH/EDR> Lassa fever - Nigeria: (EB) nosocomial
Archive Number: 20120119.1015405
[1] Ebonyi で医師1名死亡、他の医師も治療中
 情報源 The Nation、2012年1月18日。
Ebonyi State で1人の医師がラッサ熱 Lassa fever と呼ばれる出血熱で死亡した。the Federal Teaching Hospital (FTH), Abakaliki [capital of Ebonyi State] では、他の数人の医師らも同疾患に対する治療を受けている。保健省による公式の確認はされていないが、感染流行への注意が呼びかけられている。感染患者らへの曝露により、医師らが感染し流行が発生したと同病院の医師の1人が話した。政府保健省に対し感染拡大阻止のための介入を求めている。2008年に州内で初めてラッサ熱 outbreak of Lassa fever が報告され、複数の死者が発生した。医師1名と医療関係者数名の感染があった。2011年、Abakaliki 近郊の軍宿舎 the Military cantonment(Nkwoagu)でも4人が感染により死亡している

[2] 情報源 Daily Times Nigeria、2012年1月18日。
Igboji General Hospital Ikwo Ikwo LGA [local government area] of Ebonyi state の医長がウイルス出血熱により死亡したことを受け、政府当局は乾期に伴うウイルス出血熱、胃腸炎、髄膜炎等の感染症の治療と流行対策を行う、緊急対策チームを立ち上げた .....
[Mod.CP- Lassa viral haemorrhagic fever は、西アフリカで発生する 1-4 weeks の急性ウイルス感染症である。一本鎖 single-stranded RNA virus で、アレナウイルス Arenaviridae 科に属する。ギニア (Conakry)、リベリア、シエラレオネとナイジェリアの一部に地方感染するが、他の西アフリカ諸国にも存在する可能性がある。約80%の感染者は無症候性である; 残りの患者では、肝臓、脾臓、腎臓など複数の臓器にウイルス感染が起こり、重症の多臓器疾患を発症する。潜伏期間は 6-21 days である。通常、発症は緩徐で、発熱、全身衰弱、倦怠感の症状で始まる。数日後、頭痛、咽頭痛、筋肉痛、胸痛、嘔気、嘔吐、下痢、咳、腹痛などの症状が起きる。重症例では、顔面腫脹、胸腔内液体貯留、口・鼻・腟・消化管からの出血、血圧低下が見られることがある。尿中蛋白が認められる場合もある。末期には、ショック、けいれん、振戦、失見当識、昏睡となる。患者の25%に聴力障害 Deafness が発生するが、そのうちの半数の患者は、1-3か月後にある程度回復する。 ラッサ熱は人獣共通感染症であり、ヒトは感染動物との接触により感染する。ラッサウイルスの保有動物は the genus _Mastomys_ のげっ歯類で、一般に the "multimammate rat" と呼ばれている。ラッサウイルスに感染しても、Mastomys は発病することはないが、排泄物(尿、糞)中にウイルスを排出する。通常、ヒトのラッサウイルス感染は、感染のあるマストミスの排泄物 excreta of infected _Mastomys_ rats に接触することで起きる。ラッサウイルスは、ラッサ熱感染のある患者の血液、尿、糞、その他の体液との直接の接触により、ヒトの間で感染が広がることもある。空気感染によるヒトの間での感染拡大に関しては、疫学的証拠がない。community 及び 医療器具の汚染を通じてウイルス感染伝播が起こりうる health care settings においては、ヒトからヒトへの感染が発生する可能性がある]

● シュマーレンベルグウイルス-オランダ、ベルギー
PRO/AH> Schmallenberg virus - Europe (08): update
Archive Number: 20120119.1015883
[1] オランダ
 情報源 Agrarisch Dagblad [in Dutch]、2012年1月19日。
the Animal Health Service [GD] は、最も楽観的な推測では,2月1日以降新たに the Schmallenberg virus [SBV] による奇形の子羊が生まれることはないと述べた。 "感染の大部分が、2011年の8月から9月にかけての時期に発生したと考えている" とした上で、子羊に奇形が発生する可能性が最も高いのは、妊娠25日目から50日目までに the SBV に感染したヒツジ である、と説明されている。 
[ヒツジの平均妊娠期間は約 147 days, ranging from 144 to 152 days]
[2] ベルギー
 投稿者 ベルギー・Veterinary and Agrochemical Research Centre、Thierry van den Berg、2012年1月19日。
妊娠6ヶ月で流産されたオスの Belgian Blue の子牛の脳の PCR 検査で、19日、Schmallenberg virus (SBV) が検出された。この子牛には奇形は確認されなかったが、剖検で皮下の浮腫と水頭症が判明した。フランス国境付近のベルギー南部の約300頭の群れで、ほとんどが肉用牛 the Belgian Blue beef type で、一部は乳用牛だった。Brucellosis, BVD, mycosis, and current bacteria の感染は除外されている。 BTV, Q fever, and _Neospora caninum_ については、現在検査中となっている。現段階で、流産の原因がSBV と決めることはできないが、妊娠期間が長いため、出産時にはウイルスが消失してしまう子牛では、 SBV 診断がヒツジよりも困難としたオランダの共同研究者らの結論に沿うものである。今回、出産予定よりも3か月前に流産が起きたため、ウイルス感染による可能性が残された。同じ状況は、ウシとヒツジの AKABANE ウイルスに関しても言われている。ウシの感染のピークは今後2から3ヶ月と見込まれており、これまでに多数の農場で起きた流産や奇形のウシの出産に関する診断についての確認が必要である。ベルギー国内でこれまでに流産、死産、先天奇形の発生が確認された農場は50箇所に及んでいる。うちわけは、18 cattle farms (only one tested positive), 30 sheep farms (of which 27 tested positive) and 2 negative goat farmsである。

● アフリカ豚熱-南アフリカ OIE
PRO/AH> African swine fever - South Africa (02): (MP) OIE
Archive Number: 20120119.1015587
African swine fever, South Africa reoccurrence of a listed disease

 情報源 OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2012; 25(3)、2012年1月13日。
感染開始時期 2012年1月3日
前回流行時期 2011年1月
原因ウイルス African swine fever virus
新たな感染流行
発生地 Delmas, Mpumalanga: farm
感染動物 種 / 頭数 / 感染数 / 死亡数 / Destroyed / Slaughtered
ブタ Swine / 80 / 35 / 28 / 52 / 0
Affected population: Gauteng のと畜場で、発病して確認されたブタ No pigs left on farm and abattoir also empty.

● 炭疽-ブータン
PRO/AH> Anthrax, bovine - Bhutan: (MO) susp
Archive Number: 20120119.1015176
Anthrax kills 11 cows
PRO/AH> Anthrax, bovine - Bhutan: (MO Mongar) susp
Archive Number: 20120119.1015176
 情報源 Kuensel Online、2012年1月18日。
辺境地の Kumadzong village (of Gongdue gewog [group of villages] in Mongar) において、過去2週間、毎日牛肉を食べていた住民らが、2011年12月31日以降、村内で11頭のウシの死亡があったことを、村から歩いて3時間の距離にある Daksa の地域の家畜出張事務所 extension office に対して13日に報告した。5戸が保有するこの11頭はすべて、炭疽 Anthrax 感染流行により死亡した疑いがもたれている。このうちの10頭は住民らによって消費されてしまっている。今のところ、健康上の問題は報告されていない