2012年1月21日

◎ クリミア・コンゴ出血熱 オマーン
住肉胞子虫症 マレーシア MMWR

◎ クリミア・コンゴ出血熱 オマーン
PRO/AH/EDR> Crimean-Congo hem. fever - Oman: fatal 20120121.1017799
 情報源 Gulf News、2012年1月21日
Woman dies of haemorrhagic Congo fever in Oman 
Al Buraimi Hospital に緊急移送された女性1名が,クリミア・コンゴ出血熱 Crimean-Congo haemorrhagic fever で死亡したことが保健省当局者の話で明らかになった。先週 [18 Jan 2012] Buraimi の政府病院に入院となり、あらゆる手段を尽くしたが、入院が遅れたことが原因で死亡したと説明されている。東西アフリカに多いこのウイルスは、家畜や野生動物からヒトにも感染する人獣共通感染の、ダニ媒介性ウイルス性疾患で、致死率はおよそ30%に及ぶ
[Mod.CP- the Oman Observer からの同様の報告でも、女性の感染状況や正確な場所の情報は得られない。緊急移送の理由も不明だが、オマーン以外での感染の可能性がある。
クリミア・コンゴ出血熱 Crimean-Congo haemorrhagic fever (CCHF) は the genus _Nairovirus に分類されるウイルスによる出血熱で,the genus _Nairovirus_ のウイルスはすべてヒメダニ argasid もしくはマダニ ixodid ticks が媒介するが、ヒトに対する病原性を有するものは3種類のみ: the Dugbe and Nairobi sheep viruses そして human pathogen として最も重要な CCHF である。 基本的には人獣共通感染症の形を取るが sporadic cases and outbreaks of CCHF によるヒトの感染が起きることもある。アフリカ、欧州、アジアの多くの国々に endemic である。ヒトに感染すると重症化し、致死率も高い。幸い、動物の感染は多いが、ヒトに感染することは多くない。ベクターのダニ tick vector (members of the genus _Hyalomma_) 同様、ウイルスは地理的に広範囲に分布する。endemic areas の医療従事者はこの疾患およびその院内感染リスクの予防策を知っておく必要がある。CCHF virus は広い範囲の家畜と野生動物に感染する可能性がある。鳥類は感染しないが、ダチョウは例外的に susceptible で endemic areas では広く感染が認められる。動物は感染ダニの刺咬によって CCHF virus に感染するが、最も重要なダニから動物への感染経路は、幼若ダニ immature _Hyalomma_ ticks による小型脊椎動物の吸血による感染とされている。ダニは一旦感染するとその発達段階を通じて感染性を有し、成熟ダニ the mature tick となって家畜のような大型脊椎動物に感染伝播を引き起こすと考えられている。ウシ、ヒツジ、ヤギなどの家畜反芻動物は、感染後約1週間、ウイルス血症の状態となる。ヒトの CCHF 感染では、感染性のある家畜の血液その他の感染組織との直接の接触や、ダニの刺咬により、ウイルス感染が起こる。患者の大部分が農業,と畜場作業員、獣医師などの畜産関係の職業に関係している。潜伏期間の長さはウイルスの感染様式に左右される。ダニ刺咬による感染後の通常の潜伏期間は1-3日間で、最大9日間であるが、感染性血液や組織との接触による感染では、5-6日間から最大13日間となる。発症は突然で、発熱、筋肉痛、めまい、頚部痛と硬直、背部痛、頭痛、眼痛、光線過敏などを伴う。早期の症状として、嘔気、嘔吐、咽頭痛に、下痢や腹部全体の痛を伴うこともある。それからの数日間で、はっきり判る気分の変調 sharp mood swings や、時に錯乱 confused や攻撃性が見られるようになる。2-4日後に、不穏状態 the agitation から、傾眠 sleepiness、うつ、無気力 depression and lassitude に変わり、腹痛は右上腹部に限局し、肝腫大が触知可能となり、出血傾向や出血性の肺炎が認められるようになる場合もある。CCHF による致死率はおよそ30%で、死亡は発症から第2週目に発生する。patients with suspected or confirmed CCHF の血液または感染性の組織に触れた医療従事者には、推定される曝露から少なくとも14日間、体温と症状のモニターとフォローアップが必要である]

● 住肉胞子虫症 マレーシア 
PRO/AH/EDR> Sarcocystosis, human - Malaysia (Tioman Island) 20120121.1017715
 情報源 MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2012 Jan 20;61(02):37-8、2012年1月20日
Acute muscular sarcocystosis in travelers returning from Tioman Island, Malaysia
GeoSentinel (the surveillance program of the International Society of Travel Medicine and CDC) は、マレー半島東岸沖のティオマン島 Tioman Islandhas への旅行者らの間で、32例の急性筋肉胞子虫症疑い患者 suspected acute muscular sarcocystosis を確認している。いずれの患者も、2011年夏に Tioman Island を旅行している。帰宅から数日以内に発熱と筋肉痛があり、激しい痛みが長期間続いた。末梢の好酸球血症とクレアチニンフォスフォキナーゼの上昇が認められた。acute trichinosis and toxoplasmosis の血清検査はいずれも陰性だった。患者の半数はドイツ国内で確認されている。他の患者は、欧州、北米およびアジアの患者であった。2人の患者の筋生検により sarcocystosis に一致する所見が得られた。_Sarcocystis_ spp. は細胞内原虫の寄生虫 protozoan parasites であり、ヒトは the definitive host for _Sarcocystis hominis_ and _Sarcocystis suihominis_ であり、十分加熱されていない牛肉や豚肉 sarcocyst-containing beef or pork の摂取により感染する

● ツツガムシ病 インド
PRO/AH/EDR> Scrub typhus - India: (TN)
Archive Number: 20120121.1017732
 情報源 Times of India、2012年1月20日
the Erode district で3人がツツガムシ病 Scrub typhus により死亡したと見られている。2011年12月には Dharmapuri district で多数の発生があり、現在 Erode district に拡がっている。農地の落花生や穀物を狙うネズミにより伝播される。Nambiyur in Erode district の 2人と、Puliyampatti の1人が感染した
[Mod.LL- Scrub typhus, Republic of Palau. Emerg Infect Dis [serial on the Internet]. 2006 Feb]

● 類鼻疽 オーストラリア
PRO/EDR> Melioidosis - Australia: (NT) 20120121.1017731
 情報源 Australian Broadcasting Corp、2012年1月18日
土壌から類鼻疽 melioidosis に感染した政府議員の配偶者は、Royal Darwin Hospital で回復しつつある。この男性は、足のキズが治らないため医師を受診した。女性医師は、芝刈り中に類鼻疽に感染したと見ている。靴をはき、帽子をかぶり、日焼け止めをし、手袋を着用するなど、注意していたが、半ズボンを履いていた、と説明されている。ノーザンテリトリー The Northern Territory Centre for Disease Control では、今シーズン this wet season 、死者2名を含む24例の類鼻疽患者が確認されている

● ブルセラ症 米国
PRO/AH/EDR> Brucellosis, human - USA: (MA), unpasteurized milk 20120121.1017730
 情報源 Boston Globe、2012年1月20日
Western Massachusetts のある dairy farm で製造された生のミルクを飲んだ男性1名が、ブルセラ症 Brucellosis に感染した疑いが持たれていることが、20日当局から発表された。少なくとも 20年以上この地域の家畜で発生のなかった感染症が再び発生した恐れがある。ブルセラ症は本来は動物間で感染する病気であるが、生のミルクの摂取でヒトにも感染することがある。当局は、男性が生ミルクを購入した Twin Rivers Farm in Ashley Falls が感染源と見て調査を行っている。同農場だけで販売されており、小売店では販売されていない。pasteurized milk は安全であると述べている 

● コレラ コンゴ民主共和国、チャド、ソマリア、フィリピン、インド
[1] コンゴ民主共和国 Congo DR (Bukavu):Press TV、2012年1月16日
人口450万人の South Kivu (capital of Bukavu Province) で新たにコレラ感染流行が発生し、先週以降、1600人以上の患者と 14人の死者が確認されている。昨年 [2011年] も、19000人近い患者と200人以上の死者が報告されている ...
[2] チャド Chad:Medecins Sans Frontieres (MSF)、2012年1月11日
2011年の大規模流行で MSF teams がコレラ感染の治療を行った 12 000 人のうち、約 75%がチャドの患者であった。450人以上の死者と 17200人の患者が報告されており、1996年以来の数字となった。ピークの 8月には 1週間あたり最大の1250人の患者が新たに報告され、うち 1/3が首都ンジャメナ N'Djamena で発生した ... 2010年に、チャド国内で治療を受けた患者数は 6800人を超えている。
[3] ソマリア Somalia (refugee camp):Press TV、2012年1月4日
ソマリア国内で少なくとも新たに 25人の小児がコレラ感染流行により死亡した。エチオピアとの国境に近い the Dolo Ado refugee camp の医療関係者は、25人以上の小児が亡くなり、278人が死に瀕していると述べている。コレラ感染は、Banadir, Bay, Mudug, and Lower Shabelle regions of Somalia で確認されており、過去数か月間に the number of acute diarrhea cases は急増した
[4] フィリピン Philippines (Albay province):Inquirer、2012年1月16日
保健当局 (Albay) は1月初旬に3人が死亡したことを受け、州内のコレラ感染流行に対して、厳重な警戒を行っている。2011年12月に、5 of the 7 cases recorded in December were from Daraga town, 1 from Ligao City and 1 from Legazpiが報告されていた。1月に入り、 Barangay Gapo, Daraga で3人が死亡した。
[5] フィリピン Philippines (Mindanao):Sun Star、2012年1月5日
Zamboanga City で2人がコレラ感染により死亡した 
[6] インド India (Puducherry):Express News Service、2012年1月10日
4日間に胃腸炎の症状のあった106人のうち、9人にコレラ感染が認められた ...

● 壊死性筋膜炎 米国
PRO/EDR> Necrotizing fasciitis - USA: (LA) injecting drug use, “bath salts” 20120121.1017646
 情報源 ABC Good Morning America、2012年1月17日
"bath salts" と呼ばれる、路上で販売されている薬剤を使用したことにより、人食い病 flesh-eating disease に罹患した。bath salts の筋肉内注射により、壊死性筋膜炎が起きた症例はこれが初めて。bath salts とは "様々なアンフェタミン類似物質 various amphetamine-like chemicals" が混じった合成粉末 synthetic powders として売られている、と the United States National Institute on Drug Abuse は説明。同機関は、2011年2月に、注射することで皮膚に深刻な問題を生じる the ravaging skin condition ことを指摘していた

● ウシ結核 英国
PRO/AH> Bovine tuberculosis - UK: (England) badger control 20120121.1017815
 情報源 BBC News、2012年1月19日
Badger cull pilot areas revealed
 情報源 BBC News、2012年1月19日。
ウシ結核 cattle tuberculosis 感染減少を目的とするアナグマ駆除の試みが、2012年 west Gloucestershire and west Somerset で実施されることが、政府当局から明らかにされた。保安上の理由から、詳しい場所は明らかにされていないが、the Gloucestershire area の大部分の地域は Tewkesbury and the Forest of Dean 近郊に位置し、一方 the Somerset には part of Taunton Deane画布組まれている。駆除作業は8月からの6週間に実施される可能性が高く、今後さらに地域を広げて実施されるものと見られている

● 狂犬病 カナダ
PRO/AH> Rabies, fox - Canada (NL) 20120121.1017798
 情報源 CBC News、2012年1月20日
Rabies case confirmed in Labrador
Wabush 近郊で a red fox の狂犬病 Rabies ウイルスの感染が確認されたことを受け、州主席獣医官は Labrador に狂犬病感染流行 outbreak of rabies の可能性があるとして注意を呼びかけている。死亡したキツネのウイルス検査結果が陽性であったことが判明した。 Labrador で狂犬病が確認されたのは 2005年以来

● 馬ヘルペスウイルス 北米
PRO/AH> Equine herpesvirus, equine - North America (04): (CA) 20120121.1017140
 情報源 The Horse.com、2012年1月19日
California EHV-1: case total rises
Orange County, CA, で新たに1頭の馬ヘルペス equine herpesvirus-1 (EHV-1) 感染が確認された